時の流れに after story
『ダブル』とは関係ありません。
第二話.「緑の地球」はまかせとけ&早すぎる「さよなら」!……のあたりということで
俺達がナデシコに帰還したときには、主立ったクルーが全員格納庫に来ていた。
ユリカの姿がある。ミナトさんが、メグミちゃんがいる。
しかし、なんでルリちゃんだけが成長した姿なんだろう。
(アキト、私も11歳の姿のままだよ)
俺の思考を読んだのだろう。ラピスがそんなことを言って来た。
(あ!ついでにハーリーも)
ハーリー君が聞いたら泣きそうなことを言ってるな、なんてことを考えていると、
「アキト、何考えてるの?」
ユリカが話しかけてきた。
「なぁ、なんでルリちゃんはあの姿なんだろうな?」
「さぁ?でもルリちゃんの表情、何か余裕みたいなものを感じるんだけど」
「そうか?俺は感じないけど」
そんな俺達に、プロスさんが話しかけてきた。
「テンカワさん、艦長、それに皆さんもブリッジで今後のことに関する発表がありますから、行きませんか?」
今更何をっていうのが俺達の感想だ。そんな俺達の表情を見たプロスさんは、
「ブリッジには事情を知らない方が約1名ほどいらっしゃいますし、そのほかの処理もしなければなりませんし……」
と続けた。
「プロスさん、俺とナオさんの2名、出席を辞退します」
「……そうですね。ではお二人に処理の方をお願いしますよ。但し、くれぐれも言っておきますが殺してしまわないようにして下さいよ」
「「解りました。でも、呼吸していれば生きてるってことですよね?」」
俺とナオさんのかなり危険な質問に、
「まぁそれでもいいですが、出来ることなら回復できる程度に押さえて下さいね?」
そう言うプロスさんがいた。
アキトさんとナオさんの2人が格納庫から出ていった後で私たちは、ブリッジに向かいました。
私が定位置であるオペレーター席に座るのを待っていたかのように、プロスさんが
「我々が目的地を明かさなかったのは、出港前に妨害が入るのを避けるためでした。このナデシコの目的地は火星です。
木星蜥蜴の侵攻で火星はどうなったのでしょうか?それを確かめるためにも我々は火星に行かなければなりません」
名目上の目的は間違いなくそうです。しかし、今回はそれとは違う目的があります。
それは『説明おばさんの回収』です。
ランダムジャンプによる時間逆行は戻ったときにその人が何処にいるのかは歴史道理になります。
よって、木連の方々は木星にいらっしゃいますし、イネスさんは火星にいます。
そんなことを考えていると、
「そ〜はいかないわよ。こんな貴重な戦力をむざむざ火星なんかに行かせるわけがないでしょう。ナデシコは宇宙軍が運用するのよ」
歴史道理とでも言えばいいのかキノコが喋り出すと同時に、4人の軍人さんらしき人が乱入してきた。
「たった5人で何が出来る?」
ゴートさんがうなるように言うがキノコには何処吹く風のようだ。
「あれ?ルリルリ、余裕って感じだね?」
ミナトさんが話しかけてきた。
「キノコは武器を持ってませんから実質敵は4人。ゴートさんとジュンさんが一人ずつ。プロスさんが二人。
課題ってことですよね、アキトさんからの。それに敵がいるのはブリッジ上部。下部にいる私たちには実害はありませんから」
「そうですよね。でも、アカツキさんやヤマダさんは何処行っちゃったんです?」
サラさんが会話に入ってきた。
「あの二人でしたら、アキトさんとナオさんの2人をサポートするために行ってしまいましたよ?」
「でもでもぉ、この後の交渉ってアカツキさんがいた方がいいと思うんだけど」
さらにメグミさんまで入ってきた。
「まったく、家のバカ殿はいったい何を考えてるのかしらね?」
エリナさんの言う家とは家庭のことでは無い、会社という意味である。
「ちょっと、あんたたち。私語をやめておとなしくしなさいよ」
キノコが叫き始めると同時にブリッジに複数のウィンドゥが開いた。
どの映像に映っている軍人さんも縛られてもいないのに身動き一つしない。
その光景に驚いている軍人さんとキノコはゴートさんとジュンさん、それにプロスさんがあっという間に制圧してしまった。
そんな風にして出来た隙をついて、私はアキトさんに通信を送った。
「流石ですね、アキトさん。それはそうと秘密にしておきたい話があるので、後で私の部屋に来ていただけませんか?」
「例の部屋じゃなくて、ルリちゃんの部屋?わかったよ」
ユリカさんの顔が動いたので、そこで通信を切りました。こればっかりはたとえ艦長にも気付かれるわけには行きません。
まあ、いずれはばれてしまうでしょうが。
「ミナトさん、キノコさん達を下ろしたら、そのまま大気圏を突破しちゃって下さい」
「今回は軍の本部への連絡はしないの?」
ミナトさんが歴史と違う私の指示に驚いていった。
「かまいません。どうせ反対されるだけですし、お父様の顔を見る勇気がありませんから」
「ハイハイ、そうよね」
「ちょっと、ミスマル=ユリカ!歴史が変わっちゃうじゃない!」
エリナさんが怒鳴ってる。
「エリナさん、あんまり怒るとしわが増えますよ?ってそんなことはおいといて、ここで軍と敵対するのは得策じゃありません。
オモイカネが連合軍を敵と認識してしまうことになります。それに、現在格納庫において各個人専用にカスタムエステバリスが制作されています。
あれが連合軍を敵と認識して攻撃した場合の被害は予測がつきませんから」
私の説明に押し黙るエリナさん。
そして私は、
「プロスさん!解除コードの入力お願いします。コードは『アオイチキュウハダレノモノ』です。昨日、家を出る前にお父様のパソコンで
確認しましたから間違いないと思います」
指示を続けた。
「解除コードの入力でデルフィニューム部隊は出撃できません。パイロットの皆さんはサツキミドリまで待機して下さい」
「艦長、悪いんだけど予定を変更して、サツキミドリによった後、月の工場によってくれないかな?」
僕のお願いに艦長以下エリナくんまでもが驚いている。
「アカツキさん。それはパイロットからのお願いですか?それともネルガル会長としての指令ですか?」
どうも僕はナデシコのクルーから信頼されてないね。
「相変わらず、きついね艦長は。実はね、月の工場で制作してる機動兵器があるんだよね、それを受け取りに行かないとね」
「アカツキさん!それはどれのことですか?」
メグミくんが喋り始めた。
「ブローディアだったらいいんだけど、間に合いそうもないから今回はブラックサレナだよ。
……しかし、ルリくんは何処に行ってしまったのかな?カスタム機の調整も放り出して……」
爆弾投下完了。さて、僕は格納庫に戻ろうかな。
次回第三話.水色宇宙に「ときめき」………嘘だろ?
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