時の流れに after story
『ダブル』とは関係ありません。
第三話.水色宇宙に「ときめき」……嘘だろ?
俺はルリちゃんの呼び出しに応じて、彼女の部屋を訪れていた。
途中の廊下でラピスがさかんに
(行っちゃダメ)
と言ってきたが、目の前をルリちゃんが歩いていてはそんなことも出来るはずがなかった。
「さて、アキトさん。私やラピスがそれぞれ成長した姿のままでいることの理由なんですけど」
部屋に入るなりルリちゃんが口を開いた。
「あれ?ハーリー君は?」
「あ!そうでしたね、ハーリー君もそうでしたね。忘れてました」
ハーリー君が聞いたら落ち込む状況だな。
しかし、彼ももう精神は16歳なんだし、しっかりしてもらわないとな。
「アキトさん!ぼおッとしてないで聞いて下さい。実は私……」
そう言ってルリちゃんは自分の下腹部に両手を当てた。
「ま、まさか……ルリちゃん」
「え、ええ…私はこの理由から体がこのままだと思われます。
ただ、ラピスがどうしてなのかは解りませんが」
ルリちゃんは頬を染めて言った。
「解ったよ、ルリちゃん。このことはまだ俺だけの秘密にしておこう。
ルリちゃんも、誰かに喋っちゃダメだよ」
「はい、アキトさん」
そう言うルリちゃんは嬉しそうだった。
「それと、ルリちゃん。これはアカツキ達とも話し合ったんだけど、今回は2回目にあったようなゴタゴタを避けるために
出来る限りのことをしたいんだ。だから、買収はクリムゾンを標的に、それと連絡を頼みたいんだけど」
「買収の件はナデシコに乗っている私には出来ません。ラピスにでも頼んでおいて下さい。
もう1つの方は、既に先方から連絡が入っています。サツキミドリで数人がこちらに合流予定とのことです」
「ラピスにはもう伝えてあるからハーリー君へ連絡しておいてくれ。しかし、いったい誰が合流してくるんだ?」
俺は悪い予感がしながらもルリちゃんに質問をした。
「アキトさんの悪い予感が大当たりです。優華部隊プラス2のメンバーだそうです。メールによると、
今回は密航ではなく正式なクルーとしてナデシコに常駐するとのことです。
それと、彼等用にエステバリスを用意してほしいとのことです」
ルリちゃんからの返答は俺の予測を悪い方に大きく越えるものだった。
「そうか、まぁその事はアカツキ達には内緒にしておこうか?……ナオさんも不幸になるな」
「ナオさんも不幸になりますがアキトさん、御自分のことも考えておいて下さいね」
「それを言わないでくれよ、考えないようにしてるんだから」
俺は正直情けなくなった。
そして、彼女たちがナデシコにやってきた。
今回も私の作成したウィルスによってサツキミドリは木連の襲撃より早く警報が鳴り、3人娘はそれぞれのエステバリスで
ナデシコに降り立ちました。
そんなとき、サツキミドリから発進したシャトルの中で最後尾にいた1隻に無人兵器の攻撃がかすめて行きました。
「艦長!シャトル102号機が緊急着艦したいと言ってきていますが?」
メグミさんがあせった声でユリカさんに報告しています。
「ルリちゃん!シャトルの被害状況の確認、よろしく」
考え事をしていた私にユリカさんが声をかけました。
私より早く反応したのはオモイカネ。しかし、その報告は
『被害は軽微。航行に支障なし』
ってなものでした。
でも、私は見逃してはいません。シャトル102号機は無人兵器の攻撃の瞬間、火線に向かって機体を動かしていたのです。
つまり、あのシャトルは何らかの理由からナデシコに用事のある人物が乗っていると言うこと、つまりは優華部隊の面々プラス2だと言うことです。
そんな答えを1秒で導き出し、私は艦長に
「シャトルの被害状況は航行に影響のあるレベルです。付近に艦影はありません。この艦に着艦しない場合、生存の可能性は0%です」
と報告しました。
そんな私の報告に艦長は、
「わかりました、ルリちゃん後部格納庫ハッチを開けて。シャトルを収容します」
シャトル102号機は格納庫に収容されましたが、
「おーい、ブリッジィ!こちら格納庫のウリバタケだ。収容したシャトルの損害部分が悪い。シャトルにたった1つしかついてないハッチが
損傷してる。ハッチを焼き切るのに30分は掛かるぞ」
ドジなパイロットですね。攻撃に当たってナデシコに乗船、すぐにシャトルを降りてナデシコクルーに合流。
そんな予定だったのでしょうが運悪く、攻撃が当たった場所はたった1つしかないハッチ。
まったく、誰が……こんなにドジなパイロットはサブロウタさんしかいませんね。
私がそんな考えに至っていたときでした。
『ルリ!艦内にボソン反応……この反応はルリが敵側で最も危険だって指定した人物だよ。それと、そのほか6人』
「!!」
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中書き
話が長くなるんでここいらで一旦お開き。
このあと、過去のナデシコになかった大笑いの戦闘が開始されます。
敵の正体はいったい誰なんでしょうか。