守護の鎧の登場で、無事敵の包囲網を突破したナデシコ。
代表であるイネスを説得し、ナデシコは周囲を警戒しつつユートピアコロニーを目指す。
「ルリちゃん、ラピス、話がある」
帰還したアキトの口から語られる言葉、それに対する二人の反応は……。
いま、三度目の逆行者の存在が明らかになる。
・ 第七話 『いつかお前が「歌う詩」』 明かされる事実 ・
〜 アキト 〜
遺跡によって改良されたブローディアをもって、俺はナデシコと合流した。
少々遅くなったことにジュンから文句を言われたが、理由を話すと納得してくれた。
さすがに避難民を収容している最中には襲われたくないからな。ユートピアコロニー近辺のチューリップを二、三破壊してきた。
おかげでいまは、ナデシコは平和そのものだ。
とはいえ、まだ油断はできない。火星を脱出するまでは。
そしてもう一つ……。
「アキトさん、きました」
「アキト、きたよ」
俺の部屋にルリちゃんとラピスがやってきた。
そう、話さなければならない。
前回の歴史を、俺が三度目の逆行者であることを。
ジュンは自分のことを言ってもいいといっていた。ハーリーくんは自分のことは内緒にしてくれといっていたけど……。
「あぁ、鍵は開いている。はいってもいいよ」
「お邪魔します」
「ん……」
部屋にはいった二人の顔にはどこか緊張しているのがうかがえた。
怒られるかもな、これは。
でも、ブローディアを見られた以上、もう隠し通すことはできない。
俺は覚悟を決め、二人を前に静かに語り始めた……。
〜 ルリ 〜
『後で話がある』
火星でアキトさんが単独行動をとる前に、ラピスを通じて受け取ったアキトさんからの伝言。
それを聞いたとき、わたしはもの凄くドキドキしていました。
ようやく話してもらえるんだろうか? わたしが抱えている数々の疑問に。
アキトさん……いなくなったりしませんよね……?
そしてわたしたちはアキトさんの部屋を訪れました。
「アキトさん、きました」
「アキト、きたよ」
二度ノックすると、中からアキトさんの返事が返ってきた。
「あぁ、鍵は開いている。はいってもいいよ」
「お邪魔します」
「ん……」
わたしたちもその声に答え、そして部屋の中へと入った。
中ではアキトさんが座って待っていた。
「楽にしてくれていいよ」
「はい。それじゃ失礼します」
アキトさんにうながされて、わたしたちはアキトさんと向かい合うように座った。
「……さて、どこから話したものかな……。ルリちゃんはもう気づいているよね。俺やこの歴史の不自然さに」
「はい」
わたしは迷わず答えた。その答えが知りたくて、今ここにいるのだから。
「最初の疑問はブラックサレナの登場でした。
次にアキトさんにしたいくつかの質問に対する回答。他にも小さな疑問がいくつか。
でもそれは、わたしの知らない一年の間に変わったのだろうと、そう思っていました。ブラックサレナもハーリーくんという協力者がいて、ネルガルのバックアップを受けられる状況なら不可能ではありませんから。
ですが、大気圏突破の際のジュンさんとの秘匿回線での会話をはじめ、サツキミドリや火星での無人兵器の頭脳的ともいえる行動。
そして極めつけはあのブローディアという未知の機体。
……アキトさん、教えてください。あなたはいったい何を隠しているんですか?」
「……隠している、か。そうだね。
たしかに、もっと早く打ち明けるべきだったのかもしれない。
でも、二人に余計な負担をかけたくはなかったんだ」
「どういうこと?」
「……俺は、厳密に言えば二人が知っているテンカワ・アキトとは違うんだ」
えっ……?
アキトさんの言葉に、わたしの頭は一瞬真っ白になった。
「どういう、意味ですか?」
「ボソンジャンプは時間跳躍の技術。なら、別の未来で同じように逆行してくるテンカワ・アキトが存在するかもしれない」
それって……つまり……。
「アキトは、わたしの知っているアキトじゃないの?」
震える声で、ラピスが聞き返す。
「正確に言えば二人の知っているアキトが歴史を変えたあと、そこから俺は逆行して来た」
「……つまり、わたしたちの知っているアキトさんなんですね?」
「そうともいえるね。
ユリカから逃げ、ルリちゃんたちを巻き込んでランダムジャンプし、戻った先の時代で同じ過ちを繰り返すまいと必死になる、君達の知るテンカワ・アキトだよ。ちょっと歴史の先を知っているだけの……ね」
「それなら……どうして、いままで教えてくれなかったんですか……」
「ルリちゃん……」
「どうして!? そんなにわたしたちは頼りないですか!? そんなにわたしは信頼できませんか!? どうして……」
気がつくと自分でも驚くぐらいの大声で叫んでいた。
でも……止まらなかった。
「ごめん……ルリちゃん。悲しませるとはわかっていたけど、言えなかった」
「どうして……ですか」
「俺がこの時代に戻ってきたのには理由があるからだ。
そしてこれを話してしまえば、間違いなく二人を巻き込んでしまう。
それがわかっていたから、話せなかった……。どうしても」
「理由……?」
「あぁ……」
「教えて……もらえますよね」
「言わなければ、言うまで問い続けるだろ? ルリちゃんは」
当然です。
もう……仲間はずれは嫌です。
「アキト……わたしにも教えて」
「ラピス……」
「わたしはアキトの目、アキトの耳、アキトの手、アキトの足。わたしはアキトを守りたい。
それとも……アキトはもう、わたしのことは必要ないの?」
「そんなことはない!」
「なら……教えて。わたしも仲間はずれは嫌……」
「……わかった」
そしてアキトさんは静かに話し始めました。
二度目の歴史で起きたことを。
ナデシコの発進から火星に到り、チューリップで地球に帰還したこと。
北極での暴走、DFSのこと、西欧へ出張したこと。
木連の変化。北斗というアキトさんに匹敵する存在の登場。
ブローディアの完成。落下するサツキミドリとジュンさんの変貌。再び砕かれた和平。
そして……遺跡と共に消えたこと。
「……そして俺は時間の最果てとも思えるような暗闇の空間にたどり着いた。
そこで俺はあいつに、火星の遺跡に木星にある遺跡の存在と蜥蜴戦争の真相を聞いた。
そしてヤツが……木星の遺跡が最初の歴史のユリカを拉致したことを聞いた」
その言葉にわたしは身が凍りつく思いがしました。
あれだけの思いをしたユリカさんを……まだ利用しようというんですか!
「火星の遺跡の妨害によってユリカが木星の遺跡の手に落ちることは防げたが、その後ユリカはその時代の肉体に入り、いまもまだ眠っている状態にある。
俺は……そんなユリカを木星の遺跡から守るために戻ってきた」
「そういう……ことだったんですか」
真実を知ることができながら、わたしの心は少し沈んでいました。
付き合いが長いせいもあってか、アキトさんがもうユリカさんを選んでいることがわかってしまいましたから。
話で聞いた二回目のわたしが選んでもらえなかったのも、ユリカさんの存在があったからなんですね。それだけともいえませんけど。
ふふっ……。これは……ふられてしまいましたね。
結局わたしの初恋は告白できないまま終わりを告げました。
でも、不思議と痛みはそれほど感じませんでした。もしかしたら、心のどこかではこうなるとわかっていたのかもしれません。
なら二つ目の願いをかなえるだけです。
『みんなで幸せになる』という願いを。
「……わかりました。そういうことなら協力させてください」
「わたしも」
「いいのか……?」
「いいもなにもないです。わたしたちは家族なんですから」
「仲間はずれにしないで」
「わかった。……ありがとう」
「いえ……。あ、アキトさん。一ついいですか?」
「ん?」
「ジュンさんなんですけど……ひょっとして……」
「たぶん、ルリちゃんが思っているとおりだよ。あいつも逆行者さ。
ジュンはジュンの助けたい人のために戦っている」
「カタオカ・チハヤさん……でしたね」
「あぁ。ユリカを諦めたジュンが最初に好きになって……悲しい別れをした相手だ」
アキトさんは悲しそうに目を伏せました。
そのときでした。アキトさんの後ろに二つのウィンドウが映ったのは。
【アキト兄、いつになったらあたしたちの紹介してくれるの?】
【そうそう】
「あの……アキトさん、この二人は?」
「あぁ紹介が遅れたね。
この二人がディアとブロス。ブローディア・ゼロのサポートAIだよ」
【久しぶりだね、ルリ姉。ラピ姉】
【ディア、この二人には『はじめまして』だよ】
【あ、そっか】
「はぁ……」
なんだか軽いノリですね。
ディアのほうはともかく、ブロスはなんだか昔のハーリーくんみたいです。
あとで聞くと、ディアはラピスが、ブロスはハーリーくんが育成を担当したそうです。
……納得。
とにかく、こうしてわたしとラピスはアキトさんの正体とこの戦いの真実を知りました。
これからは、より戦いが激化するのかもしれませんね……。
〜 アキト 〜
ルリちゃんたちにすべてを話終えた俺は、肩の荷が下りたように感じながらブリッジへとあがる廊下を歩いていた。
その途中、まるで待ち構えていたようにある人物と出くわした。
「テンカワくん、少し時間はあるかね……?」
フクベ提督だった。なんだろう?
「はい、大丈夫ですけど……」
「そうか。では少しつきあってはもらえんか」
提督……?
俺はそんな提督の行動を疑問に思いながら、そのあとをついていった。
案内されたのはナデシコの提督室。
「ま、座って楽にしたまえ」
「……はい、それじゃ……って、イネスさん?」
俺は招かれるまま提督の部屋へと入ると、そこにはすでに招かれていたのだろうイネスさんがいた。
「あら、テンカワくん……だったわね? ……? テンカワ、というと」
「たぶん、イネスさんの思っている通りのテンカワだと思いますよ」
「それじゃ、やっぱりテンカワ博士夫妻の息子さん……。
それでよくこの艦に……ネルガルの艦に乗る気になったわね?」
「……両親の死にネルガルが関わっている、ということについてですか?」
その言葉を口にした瞬間、俺の声から感情が消える。
それと同時に、フクベ提督とイネスさんの表情がこわばった。理由はきっと別々だろう。
イネスさんは、俺が両親の件を知りながらネルガルに、ナデシコに乗っていることについて。
フクベ提督は、自身の境遇を話す俺のことで。
……まぁ、俺は心が読めるわけではないから、憶測でしかないんだけどな。
「そこまで知りながら、なぜ……?」
「ここに大切なものがあるからですよ。それを守るためなら、俺は場所も手段も選ぶつもりはありませんから」
「だから、この提督の下でも働ける、と?」
イネスさんの言葉に、提督の肩がピクリと反応する。
「この提督が火星大戦で、ユートピア・コロニーにした事……知らないわけでもないでしょ?」
「もちろん、知っていますよ。ですが……それも過ぎた事です。
時間は過去に戻ることはないし……今は、それどころじゃありませんから。
それに、きっとフクベ提督が、一番惨めな思いをしたと思いますから」
人々にとって英雄であろうと、それが本人にとって誇らしいことであるかどうかは同義ではない。
前回の歴史で、俺は『漆黒の戦神』という英雄に祭り上げられた。
俺の場合は実際に現地で人々を助け、戦果も上げた。そういう意味ではまだ提督より救いがある。
だが、提督は違う。
なにも救えず、むしろ見捨てて手にした『英雄』の称号。
それは枷以外の何者でもないだろう……。
「そう……見かけより大人なのね、そんな考え方が出来るなんて。……つくづく興味深いわね、アキト君は」
「そうですか?」
「えぇ。君自身もそうだけど、あのブローディアという機体もね。
あの機体、動力源として搭載しているのは相転移エンジンでしょ? それも現在の科学力ではありえないほど小型化されている」
ほぅ……さすがイネスさん、相転移エンジン開発者の一人だな。もうブローディアの小型相転移エンジンに気がついたか。
「プロスさんに聞いたら、あの機体はテンカワ博士の遺産だそうね? でも彼はCC専門の研究者、機動兵器についての知識はなかったはずよ?」
「でしょうね。俺自身、あれがどこから来たかなんて知りませんから」
「どういうこと?」
ま、正体を知られると面倒だからな。適当なウソで誤魔化すとするか。
「二年ぐらい前に突然現れたんですよ。青いキラキラした光の中からね」
「光の中……? もしや、それはボソンジャンプ……?」
「ボソンジャンプ? なんですか、それ?」
この件に関してはまだ知らないことになっているからな。両親の件についてはごまかしが聞くんだけど、こればっかりはどうにもならないので知らないふりをしておく。
ただ、聞いておいて俺は失敗したと思った。
「説明しましょう!!」
イネスさんの『説明』のスイッチを入れてしまったからだ。
このあと、プロスさんがユートピア・コロニー到着を知らせる通信を入れるまでの一時間半、俺と提督はイネスさんの説明地獄を味わうことになった。
老人にもお構いなしか、イネスさん……。
「テンカワくん」
説明地獄から開放され、イネスさんが先に部屋を退室したあと、俺も部屋を出ようとしたとき後ろから提督に呼び止められた。
「はい?」
「……君は、本当に私を怨んでいないのかね?」
「提督を恨んでユートピア・コロニーの人が生き返るなら、恨みますよ。
でも、死んだ人間は二度と生き返りはしない。それなのに怨んだって意味ないじゃないですか」
怨みが生む力など、たかが知れている。俺がユリカを助けたとき、力を得た先にあった思いは決して怨みだけではなかったはずだ。
「強いな……君は。私はそれ程強くなれんよ」
「俺一人ならここまで強くはなれませんでしたよ。いろんな人が俺を支えてくれるから、俺は強くなれたんです」
「そうか……」
「それに……」
「ん?」
「もう逃げないって決めましたから」
そう、一度目も二度目も、俺は逃げ続けていた。戦いから、家族から、自分の罪から……。
だがその結果はいつもマイナスにしかならなかった。そしてその余波は時として周りの人間さえ巻き込んだ。
だからあの時、火星の遺跡に三度目の歴史に送ってもらうときに決意した。もう逃げたりはしないと。全部、正面から受け止めて見せると。
「逃げたところで結局何も変わりはしないですから。だから、俺は前を向きます。
提督……、たとえ命を投げ出して誰かを救ったとしても、その死は、きっと誰かを悲しませる。それじゃきっと、罪は償えませんよ」
「……そうか」
「えぇ。一応、経験者ですから」
「経験者、か。やはり君は強いな……」
「そうですか……?」
少しでも強くなっているなら嬉しいんだけどね。
俺はそんなことを頭の隅で考えながら、ブリッジへとむかった……。
〜 ラピス 〜
「〜〜〜っ」
「……っ」
真剣なまなざしで、互いを見つめるわたしとルリ。
その緊張感は戦闘中のソレに匹敵した。
「勝負は一度」
「勝ったほうが今回の権利を得る。それでいいですね? ラピス」
「もちろん。ルリこそ、あとで文句を言わないでよね」
「それはこっちのセリフです」
「「―――っ!!」」
互いに相手をけん制しつつ、相手の手を何十にも予測していく。
そして……わたしたちは同時に動いた。
「ジャン……!!」
「ケン……!!」
「「ポン!!」」
その言葉と同時に、わたしたちは右手を同時に出した。
わたしはグー。そしてルリは……。
「ふっ、わたしの勝ちです、ラピス」
「うぅ〜〜〜」
……パー、だった。
ま、負けた……。たった一度のチャンスだったのに……。
「えっと……、決まりましたか?」
勝ち誇るルリと、落胆するわたしの間にハーリーが立った。
「はい、それじゃ行きましょうか。ハーリーくん」
「は、はぁ……」
ハーリーが、なんか申し訳なさそうにこっちをみている。
事の発端は数分前……、ユートピアコロニー到着前にブリッジクルーやパイロットは早めに食事を取るようにユリカが指令を出した。
コロニーで避難民を収容したら、ナデシコはすぐに火星を離れる予定になっている。
そうなったら、ブリッジクルーはしばらく……安全宙域につくまで休みなしということになる。パイロットも臨戦態勢で待機しないといけない。
そういうわけで、操舵士のミナトも通信士のメグミも、今は自動航行システムに任せて休憩に入っている。
ユリカは最初に飛び出そうとしてジュンに捕まった。艦長がイの一番にブリッジを離れるのはどうかと思う。
それはほかの人たちも同意権だったみたいで、しっかりお叱りを受けた後、ペナルティとしてジュンのほうが先に休憩することになった。今は艦長席でふてくされている。
そしてわたしたちも休憩にはいろうとしたんだけど、そこである事実に気がついた。
自動航行システムは、操舵士も通信士も必要としないけど、オペレーターは最低一人、必要とすることを。
オペレーターは、わたし、ルリ、ハーリーの三人。誰かが居残ることになる。
誰が居残るか、公平にジャンケンで決めることになったんだけど、最初に決まった人がまずかった。
「あ、勝っちゃった」
最初に抜けたのは、なんとハーリー。
残されたのは、わたしとルリ。つまり、これに勝てば……。
―――ハーリー(くん)といっしょにお昼ご飯……。
……どうやら、わたしとルリは考えることが同じらしい。
別に、ハーリーが特別ってわけでもないけど、ルリに取られるのはなんかイヤ。
そしてジャンケンは一世一代の大勝負の場に姿を変え……。
結果はご覧のとおり。
「うぅ〜〜〜」
「ラピス、負けは負けですよ」
「わかってるもん!」
「えっと……なんなら僕が変わっても……イエ、ナンデモナイデス」
わたしと交代しようとしたハーリーが、ルリのひと睨みで沈黙する。
まぁせっかく勝負に勝ったのに交代なんかされたら面白くはないよね。わたしもきっとそうだし。
くぅ……しょうがないか。今回は我慢しよっと。
「はぁ……わかった。それならお土産に自販機で何か買ってきて」
「まっ、それぐらいはしましょうか」
「は、はい。それじゃラピス、あとよろしくね」
そういってルリとハーリーはブリッジを出て行った。
あぁーぁ、つまんないなぁ……。ユリカは上でふてくされているし、ほかの人も用事やら休憩やらで誰もいないし……。
……ヒマ。あ、そうだ。
ルリたちの様子をこっそりのぞいてみよう。お土産を忘れられると困るし。
そんなわけでさっそく監視カメラにアクセス♪
ん〜〜っと、あ、いたいた。
なんか、食堂の前で右往左往しているみたい。……というか、ハーリーが嫌がっている?
でも確かハーリーって、ルリのこと好きなんだよね? ……なんかムカツクけど。
それなのに、なんで食堂にはいるのイヤなんだろう? わたしがアキトに誘われたら飛び跳ねるぐらいうれしいのに。
あ、ルリに無理やり引っ張られていった。なんか、アキトに怒られてるみたい。どうしたんだろう?
「オモイカネ、マイクから音声を拾える?」
【できるよ】
「イヤホンにつないで」
【OK!】
わたしはオモイカネにそう指示を出すと、オペレートボードの下に備え付けられているイヤホンを耳につける。
すぐに音声が聞こえてきた。
《だめだろ? ハーリーくん。前も言ったけど、君は今が成長期なんだから》
前も? なんか前にも同じことがあったのかな? でもなにを……?
《火星に入ってから二日ですけど、アレから一度も食堂に来なかったんですか?》
《あぁ。一応、何度か誘ったんだけど……》
《……いままで、ちょっと忙しかっただけです》
《じゃ、今は食べていくんですね?》
ルリにダメ押しされたハーリーはしかたなく、というようにうなずく。
ハーリー、ちゃんとご飯食べてないのかな?
それから食事は何事もなく済み、食堂を出たあたりでハーリーがルリを呼び止めた。
《ルリさん、僕ちょっと部屋によりますから先にブリッジに戻っていてください》
《あ、そうですか? わかりました》
そういってハーリーは食堂の前でルリと別れた。
……でも、ハーリー部屋に何の用があるのかな? 面白そうだし、もう少し見ていよっと。
……あれ? こっちってハーリーの部屋じゃないよね?
ハーリーが向かったのは格納庫のほうだった。いや、正確に言うと、格納庫に通じる通路だった。
いったいどこに行くんだろう? と、わたしの頭の中に疑問がよぎるより早く、ハーリーはトイレの中に入っていった。
「なんだトイレか。……あれ? でもそれならルリにウソをつく必要はないよね?」
……なんかヘン。
わたしは直感でそう感じた。とはいえ、さすがに男子トイレを覗くのは正直、抵抗がある。
どうしよう……。
…………。
……よし、見てみよう。
わたしは自分の直感を信じ、意を決して男子トイレのカメラにアクセスした。……でも、なんで男子トイレにカメラが? 女子トイレにもあるのかな?
……まっ、それはともかく。
やっぱり見ると覚悟しても、ちょっと逃避してしまったみたい。わたしはすぐに意識をカメラに戻した。
そして、そこで見たのは……。
「っ!?」
さっき食べたモノを全部吐き出していたハーリーだった。
え? なんで? どうして? どこか具合でも悪いの!?
混乱するわたしの耳についたイヤホンから、トイレの中の音声が流れてきた。
《ごめんなさい……。ごめんなさい……。ごめんなさい……。》
吐いた後だからなのか、ハーリーの声は掠れていた。
その掠れた声で、ハーリーはずっと謝り続けた。何度も、何度も。まるで針のとんだレコードのように。
でもなんで? なんでハーリーが謝るの? ハーリーはなにも悪いことしてないのに。
混乱するわたしの頭では、いくら考えても答えなんか見つからなかった。いや、たとえ落ち着いていたとしても答えなんて見つかるはずもなかった。
このこと、ルリに話すべきだろうか……?
わからない。それがルリやハーリーにとっていいことなのかどうか。
結局、どうすればいいかわからなかったわたしは、しばらくの間そのことを黙っていることに決めた。
もしかしたら、ただ具合が悪かっただけかもしれない。それじゃ説明のつかないこともあったけど……。
なにより、落ち着いて考えている時間がなかった。
これで……よかったんだよね……?
ルリ……。ハーリー……。
〜 アキト 〜
イネスさんの説得でユートピアコロニーの避難民を乗せることができた俺達はいよいよ火星を脱出するときがきた。
今回はクロッカスがないからな。フクベ提督が死ぬこともないだろう。
プロスさんのほうもブローディア・ゼロやDFSという予想外の収穫で納得してくれたようで、ネルガル研究所に向かわないまま火星を脱出することになった。
しかしどうやら、大気圏突破までにひと悶着ありそうだ。
「上空からチューリップ二基が降下中です。どうしますか? 艦長」
「う〜ん……ハーリーくん、現在の状況は?」
「避難民の収容は完了しています。相転移エンジン、出力40%。高度上昇と共に上昇中」
「……よぉし、ナデシコは大気圏突破を最優先! エステバリス隊はナデシコの護衛をお願いします!!」
そんなわけで、火星突破のための、たぶん、最後の戦いが始まった。
ブローディア発進の少し前、俺は格納庫で現在のブローディアが使用できる兵装のチェックをしていた。
なんでも、リミッターのLVに応じて使用できる武装が限定されているらしい。
「いざというときに不具合がでても困るからな……。
よし、ディア、ブロス。ブローディア・ゼロの兵装マニュアルを出してくれ」
【りょーかい♪】
【一覧表がこれ。詳しく見るときは武装の名前に触れて】
ブロスの操作で、俺の目の前にタッチウィンドウが表示される。
そこには、見知った名前の武装が一覧表になって並んでいる。
まずは、主武装のDFSから……。
「なになに……。
『連続稼働時間120秒、充電時間180秒。フィールド集束時間40秒』だと!?
充電は常に行われているみたいだが、稼働中はエネルギーの送電がストップする仕組みなのか。
おまけに集束時間40秒って……。なんのことだ?」
【あぁ、それ。ようするに虎牙弾や咆竜斬みたいな技を繰り出すとき、フィールドを集束するでしょ? それにかかる時間】
あっけらかんと言い放つディアの言葉に、俺は開いた口がふさがらなかった。
「冗談だろ……? 戦闘中に技を使うんだから、そんなトロトロやっていたら落とされるぞ?」
【もともと、そういう技にプロテクトをかける意味で設けた集束時間だからね】
さも当然、といいたげにブロスがいう。
【秘剣クラスはまだいいよ。奥義クラスになったら一分や二分は軽くかかるよ】
「あのなぁ……、ガイじゃあるまいし、敵陣のど真ん中で技のポーズとって固まってろっていうのかよ?」
【しょうがないよ。エネルギーが足りないんだから】
「ん? どういう意味だ?」
【参照・相転移エンジン】
促されるまま、俺は相転移エンジンの項目を開いた。
「えっと……。
『相転移エンジン稼働率30%』って、おい! これじゃ昔のブローディアどころかブラックサレナの不完全エンジン並みじゃないか!!」
【そうだよ。あの不完全エンジンと同じ出力で今のブローディアは動いている。安定性こそ雲泥の差だけど、発生させるエネルギー量は一緒。
それで性能がまるで違うブローディアを動かそうとすれば、当然……】
「エネルギー不足になる……」
【大正解♪ 商品はナデシコ食堂の食券一週間♪】
なんか嬉しそうだな、ディア。
【充電時間のプロテクトも、半分はこれのあおりを受けてる状態。
リミッターが外れれば、どんどん集束時間も短くなるし、武装も増える】
「待て。ひょっとして全部のプロテクトの大元って……」
【エネルギー不足だね。それ以外にも技術的プロテクトはかけられているけど】
……なんだ、そりゃ。俺は思いっきり肩を落とした。
結局のところ今のブローディア・ゼロは、ブローディアの形をしたブラックサレナということらしい。おまけにDFSの技に規制まで設けられて。
……? でも待てよ?
「そういう割にはさっきの戦闘じゃ違和感はなかったぞ? 昔のブローディアと同じ感じで動いたんだが……」
【運動性、その他に関しては以前より改善されているしね。それに……】
「それに?」
どうも、話には続きがあるらしい。
俺はそのままディアたちの話を聞いた。
【アキト兄、あのときの戦闘時間、覚えている?】
「ん? たしか、三分ほどだったと思ったが……、それがどうかしたのか?」
【その三分が、このブローディア・ゼロの生命線だよ】
「どういうことだ?」
【覚えているでしょ? バーストモードのこと】
「あぁ」
たしか、一時的にフィールドの出力を五倍に引き上げるシテスム……って。
「まさか?」
【そう、バーストモードはこの機体にも搭載されているよ。正確には、バーストモードの亜種だけどね。
フィールドじゃなく、エンジンの出力を現状の五倍、つまり150%まで引き上げて戦うことができる『フルドライブモード』。
リミッターLV5まではこのシステムがついてくるよ】
「LV5まで?」
【うん。LV5が昔のブローディアと同じ状態になるから】
「LV5でブローディアと互角……LV6がどれだけの性能か想像もできないな」
とにかく、一分間だけなら昔のブローディアと同じ状態で戦えるわけか。
現状はブラックサレナと互角。武装もDFSのほかはハンドカノンだけだ。
一応、戦闘には問題はないんだが……。
ナデシコを守れるかどうかは、まさしく俺の腕次第、だな。
《周辺に木星トカゲの軍勢が接近中です。エステバリス隊は発進、ナデシコを護衛してください》
状況の確認が済んだちょうどそのとき、コミュニケにメグミちゃんからの通信がはいる。
「了解。ディア、ブロス、いけるな?」
【もっちろん!】
【整備班の退避も完了。ブローディア、いけるよ!】
「わかった。ブローディア・ゼロ、でるぞ!!」
すでにコックピットの中にいた俺はいち早くブローディアで外に飛び出した。
むこうには、まるでイナゴごとく群がったバッタの大群と、その後ろに控えたカトンボ部隊。そして、すべての大元であるチューリップが見える。
ブローディア・ゼロ、短期戦での戦いは前回の戦いでわかった。だがそれも、新型バーストモード『フルドライブ』のおかげだ。
今回はナデシコが火星を脱出するまで、つまり長期戦になる。
いけるか……? LV2の状態で……。
いや……俺は、俺の全力でナデシコを守るだけだ! 必ず、守り抜いてみせる!!
高度を少しずつ上げていくナデシコを守るべく、次々と出撃するエステバリス隊。
フォーメーションはリョーコちゃんが前衛、イズミさんが後衛のチームと、ガイが前衛、ヒカルちゃんが後衛のチーム。俺とジュンは単独行動だ。
エステバリスと違い、ブラックサレナもブローディアも単独行動を前提に作られているからこっちのほうが力を発揮しやすい。
敵が来るのは上方から二つと下方から三つ。上空のほうにはチューリップも存在する。
ナデシコの進路をふさいでいる上空のチューリップは必然的に俺が担当することになった。
「……行くぞ」
気を引き締め、俺はブローディアを駆る。その手に装備されているのはDFSではなく、ハンドカノン。
ブースターを全開にして、ブローディアはバッタの群れに挑みかかった。
前面に展開しているバッタに狙いを定め、引き金を引く。
青白い弾丸の命中したバッタが、爆音を轟かせて次々と火の玉になって落ちていく。
むろん、バッタもただやられているばかりではない。
編隊を四方に散開。ハンドカノンの弾丸をすり抜け、続けざま、散開した四方からミサイルが放たれる。
ちぃ!
四方から飛来するミサイルを、避け、破壊し、爆煙を利用してミサイルの包囲網を突破する。
反応速度は申し分ない。昔のブローディアと寸分たがわぬ、いや、まだ余力を残すぐらいの反応速度だ。
問題は……。
「ディア、DFS、行くぞ」
【アキト兄……、うん!】
右手に装備したハンドカノンを収納し、DFSを抜き放つ。
一気に集束するイメージをDFSに伝えるが、現れたのは真紅の刃ではなく白い刃だった。
「っ!? どういうことだ!?」
DFSの反応に驚く俺。その隙を突くようにカトンボのレーザーがバッタを巻き込みながらブローディアを狙う。
反射的に俺は、そのレーザーをDFSで斬りつける。
レーザーはDFSによって光の粒に変わり、切り裂いたときの余波を受けて周りのバッタが爆散する。
「白刃だと……? いや、違う」
そういうことかよ……。
俺は右手のDFSの刃を見た。そこには刃先のほうから徐々に赤くなっているDFSがあった。
集束に時間がかかるって、こういうことかよ……。前よりじゃじゃ馬になりやがったな。
集束にかかる時間、DFS自体の使用限界時間。これは思っていたより厄介だぞ……。
白刃が真紅に染まったのは、発生させてから六秒後だった。
とにかく、このまま突っ切る!!
迫り来るバッタをDFSで切り裂き、チューリップに一直線に飛翔する。
当然ながら、護衛のバッタやカトンボがその進路を妨害してくる。
ちぃ! 数ばかりいやがって!! カトンボの大隊に進路を阻まれて、俺は思うように前に進めずにいた。
こうしている間にも使用リミットが近づいているっていのに!!
【残り50秒! アキト兄!!】
「……っ! ディア! 咆竜斬、行くぞ!!」
【それしかないか……、OK!】
ハンドカノンを収納し、DFSと回避行動に神経を集中する。
カトンボのレーザーの雨をかいくぐり、咆竜斬の斜線軸をキープする。
3……2……1!
【来た! アキト兄!!】
「吼えろ! 我が内なる竜よ!! 秘剣! 咆竜斬!!」
DFSをギリギリまで収束し、イメージを固めて一気に放つ!!
漆黒の竜の顎に飲まれて、前方で守っていたカトンボごと、二基のチューリップは爆沈した。その爆発は周囲に生き残っていたバッタやカトンボを巻き込んでいき、被害はどんどん拡大していく。
とりあえず上空の障害はほとんど排除された。
「ふぅ……なんとかなったか、な?」
【でも結構ヒヤヒヤものだったよぉ……】
【DFSは充電時間に入ったよ。今から三分間は使用ができなくなる……】
「残りはジュンたちに任せよう。こっちにはまだ生き残ったバッタがいるんだからな」
【了解、ハンドカノンを出すよ】
ディアの操作でブローディアの装備がハンドカノンに変更される。
しかし、予想以上に技が出しづらくなったな……。実質、今のレベルじゃ秘剣クラスでさえあてにできないとは……。
さて……いきなりだったけど、あれを見たナデシコのみんながどんな反応をするかな……。
俺は最悪畏怖の眼で見られることを覚悟しながら、バッタの掃討とナデシコの護衛を続けるのだった。
〜 ルリ 〜
「チューリップ二基、撃破を確認」
静まり返ったブリッジにハーリーくんの声が響きました。
なんなんですか……今のは……。
「ブローディア、エステバリス隊の援護に入ります。ナデシコ、高度順調に上昇中」
あれが……二度目の歴史をたどって成長したアキトさんの力……。
「……あのぉ。みなさん、いい加減なにか発言しましょうよ」
「ハーリーくんはなにも感じないんですか? あれを見て」
特になんとも思っていないように作業を続けるハーリーくんに、わたしはその言葉を聞かずにはいられませんでした。
それはどうやら他の皆さんも同じようです。みんな視線がハーリーくんに集中しています。
「……べつに。アキトさんのあの技はテスト時代に何度か見たことありますし、あの技はまだ初歩の段階ですから」
「あ、あれで初歩なの!?」
ハーリーくんの言葉を聞いてたまらずメグミさんが驚きの声を上げました。
その中に、何割かの悲鳴を混ぜて。
《非常識もいいところだぜ……》
《ホントだよ……》
通信越しにリョーコさんとヒカルさんの呆然とした声が聞こえてきます。
「……アキトくん、味方、なのよね……」
呆然と外を見ながらミナトさんがつぶやきました。
まるで、みんなの心を代弁するかのように。
「……怖いですか?」
その言葉にハーリーくんが聞き返しました。
「そうでしょうね。あれだけの破壊力をもつ彼が敵にまわれば、間違いなくナデシコは落とされるもの。
心理的に強い力に恐怖を覚えるのは人として当然よ」
いたんですね、イネスさん。
でもイネスさんの言うことも一理あります。
わたしやラピスのようにその力を手に入れた理由を知っている人はともかく、普通の人なら恐怖を抱くのはしかたがないことですから。
「君は、怖くはないのかしら?」
「はい。ぜんぜん」
「……見栄を張っている……わけでもなさそうね」
「えぇ。強い力だからといって怖がるなんてあの人を知らない人のすることですから」
「たしかに、アキトくんが敵になるかどうかは彼次第だものね」
「はい」
そう……アキトさんを信じているなら怖かる必要はないんです。
それはアキトさんが、そんなことをする人ではないと知っているから……。
「そうですよ! アキトはわたしたちの敵になんてなったりしません!」
いままで黙っていたユリカさんが高らかにそう宣言しました。アキトさんのことを信頼しきった、自信に満ちた笑顔で。
それだけなのに、その自信満々な笑みを見ただけなのに、みんなの顔からはアキトさんに対する恐怖が消えていました。
……わたしには、できませんね。さすが、というところですか。ユリカさん。
ユリカさんの人を惹きつける力は前回……アキトさんに言わせると一回目の歴史の時……よりも数段上のように感じます。
これも、内部にいるという『ユリカ』さんの影響なんでしょうか?
まっ、それは後になればわかることです。
それから十分後、敵をすべて撃破したエステバリス隊は帰還。
ナデシコは無事に火星大気圏を突破することに成功したのでした。
ところが……。
「っ! 前方から高速で接近するチューリップ一基! すでにゲートを開いています!!」
大気圏を突破してみんなが安心したその一瞬を狙うかのように、一基のチューリップが自壊を恐れずにこちらにむかって飛来しました。
「まさか、このままナデシコを飲み込む気か!?」
「エステバリス隊の発進は!?」
《無理だ!》
通信に割り込んできたのは格納庫のセイヤさんでした。
《エステバリス隊の空戦フレームはさっきの護衛任務でのダメージが大きいし、なによりエステの武装じゃチューリップには歯が立たんぞ!!》
「テンカワのブローディアやブラックサレナは!?」
《テンカワのブローディアはエステバリスやなんかに道を塞がれてすぐには出られん! ブラックサレナはグラビティカノンの弾がもうないんだぞ!? どうやってチューリップを破壊する!?》
「くっ……なら、ナデシコのグラビティブラストで……」
「無理ね」
ゴートさんの次の意見を否定したのはイネスさんでした。
「今、ナデシコの相転移エンジンは火星引力圏の脱出にそのほとんどのエネルギーをまわしている。いくら大気圏を抜けたとはいえ、まだ完全稼動しきれているとはいえないわ。
そんな状態のグラビティブラストで、あのチューリップが破壊できると思う?」
「ならどうすればいいんだ!?」
「……ディストーションフィールド出力最大! チューリップ内部に突入します!!」
「艦長!?」
「大気圏を突破したばかりのナデシコでは回避は間に合いません……。全員、衝撃などに備えてください……」
ユリカさんの指示を受け、わたしたちはすべてのエネルギーをディストーションフィールドにまわしました。
真空状態になっているから大気中よりはフィールド出力も上がりますし、ナデシコのエンジンもほぼ無傷です。今回もきっと大丈夫でしょう。
そしてナデシコはチューリップに飲み込まれるのでした……。
火星の生き残りを救出し、大気圏を突破したナデシコ。
しかしチューリップに不意をつかれ、歴史どおりいずこかへと飛ばされてしまう。
それは歴史の修正力と呼ばれるものなのか、それとも……。
次にナデシコが現れるのはいずこの時間のいかなる場所か。
すべては次回……。
・ あとがき ・
はい。第七話でした。……ごめんなさい!!
前回、フクベ提督の選択がどうのとあとがきに書いておきながら、選択肢そのものがすでに排除済みだったというオチになってしまいました。
って、あぁーーー!! ジュン、またセリフがない!?
まずいなぁ……、このままだとジュン、主役の座から下ろされるかも……。
……なぁ〜んてことはないので、ジュンファンの方はご安心を。
むしろここからがジュンの出番ですから。アキトのやったイベントをジュンやハーリーに分担させますから。
……ん? そうなると今度はアキトの出番がなくなる?
………………。
いや、ありえないか。なんだかんだで元祖・主人公だし。いろいろ出張ってくるだろうし。ただ、ハーレムは絶対にないが。
ただ、なんか妙に物足りない気がしたな。今回は。派手に戦闘をしたわけでもないし。
もともと正体のバラしとフクベ提督の話がメインだったからそれもしょうがないのかな……(あと少し秘密のバラシもやったけど)
次はもう少し精進してみるか。
と、いうわけで次回は第八話です(当たり前だ)
チューリップの捨て身の奇襲で内部に飲み込まれたナデシコ。行き着いた先は……?
と、あんまり宣伝するとまたボロが出るのでこのぐらいで。では、次回もまたよろしくお願いします。
以上、AKIでした。
・ 修正後 ・
とりあえず修正をしてみました。
ブローディアの主力兵器であるDFSと相転移エンジンにリミッターをかけて、できるだけ強くしないようにしてみたんですが……。
これでもまだ強いでしょうか? う〜ん、自分じゃいまいちよくわかりません。
また感想などをいただけると、とてもありがたいです。
以上、修正後でした。
代理人の感想
うーん・・・・物足りないと思うなら、それは話に盛り上がりがないのが原因でしょうねぇ。
秘密をばらしただけでその後の動きがないし、火星を脱出しようと思ったら「溜め」なしにチューリップに吸い込まれちゃったし。
話の構成上しかたがない部分はありましたが、もうちょっと抵抗するシーンとか、思わぬ苦戦とか。
そう言う物がないと盛り上がりに欠けるのは致し方ないと思います。
感想・改訂後
んー、強いことそれ自体が悪いんじゃなくて、「話が面白くなるかどうか」が問題なわけで。
主人公を絶対無敵にしても面白い作品を書くことは可能(難度は無茶苦茶高いですけど)ですが、
それにしても主人公がピンチに陥ってそれを克服して、という流れは盛り上がりとカタルシスのために外せません。
リミッターをかけつつそう言う路線に持っていくなら、「強い敵が出てきた、力負けするんで技では勝てない→リミッター1段階解除だ!」という展開が王道ですね。