輝ける未来を
第三話
ブリッジのスクリーンに映されたのはパイロットシートに座っている男性と、彼の膝の上にちょこんと座っている女性・・・アキトと琥珀だった
「・・・何で琥珀さんがそこにいるのですか?」
「気にしないで下さい。」
あきれ声で話しかけてきたプロスに琥珀はあっけらかんと答えた
「アキトさん・・・」
「いちおう止めたのですが・・・ごめんなさい。」
アキトはプロスに話しを振られたが、謝ることしか出来ない。・・・ああ、劇場版のアキトは何処に・・・
「・・・アキトさん(怒)」
ルリの背後には嫉妬の炎が渦巻いていた
(何かルリちゃん、無茶苦茶怒ってるよ・・・何で?)
まさかルリの怒っている原因が自分にあることがまったく分かっていないアキトだった
「やあ、ルリちゃん。・・・久しぶりだね元気だった?(汗)」
「はい。元気すぎて困っているほどに(怒)」
話しかけて帰ってきた答えは底冷えするほど冷たかった
「アキトさん。」
「はっ、はい。」
「聞きたいことがあるのですが。」
「なっ、何かな?」
思わず背筋を伸ばす
「膝の上に乗っているその女狐は誰なのですか(怒)」
「・・・えっと、何と言うべきか、はははは・・・・」
頭の中の知識を総動員して、この場をはぐらかせるような言葉を探した 
だが彼の苦労は次の琥珀の一言で、全て無駄になった
「始めましてルリちゃん。私はアキトさんの妻で琥珀と言います。よろしくね。(ハート)」
この一言でルリの中の何かが崩れる音がした
「・・・アキトさん。」
「はっ、はいーーー。」
今のルリの声は絶対零度だった。今ので確実にブリッジの気温が5℃はさがった
「今から作戦を伝えます。」
「おっ、囮をすればいいんだよね?」
「・・・三分です。」
「はい?」
「三分で地上のザコどもを殲滅してください。」
「ちょっとまって、ルリちゃん。それは・・・・」
「以上です。」
その言葉を最後に一方的に通信を切った。
「・・・ねえ、ルリルリ?」
ミナトさんが勇敢にもルリに話しかける
(何なんですかあの女狐は!!!アキトさんの膝に乗るだけでも許されない暴挙なのに、あのような嘘をつくとは・・・滅殺です。必ずこの世から消し去ってくれます。)
ルリの思考が段々危ない物になっていく
「ふっふっふっふっふっ・・・」
怪しげな笑いがこだまする
「皆さん、聞きたくありませんか?あの二人が何を話しているかを」
「いや、それはいくら何でも・・・いえ、何でもありません。」
彼女の提案を戒めようとしたプロスだが、嫉妬の鬼とかした彼女の前には無力だった
「・・・かまいませんね?艦長。」
「うん、いいよ。」
((((((良くないよ!!!って言うより止めなよ))))))
皆の心は一つになったが、彼らではもう彼女たちを止めることは出来ない事を悟っていた


「ルリちゃん・・・何であんなに怒っていたんだろう?」
やはりアキトは鈍感だった
「さあ、何ででしょうね?(ニヤ)」
彼女は彼女であえて言わないし・・・
「それよりも、どうしてついて来たんだ?危ないだろ。」
今更バッタのような無人兵器の攻撃にあたるつもりはなかったが、いちおう聞いてみる
「私はあなたの妻です。夫の行くところならどこにでもついて行きます。」
「・・・本当のところはどうなんだ」
「・・・お母さんが言ったじゃないですか。私達にサポートをつけるって。」
「そう言えば、そんなことを言っていたような気がするな。」
「私はたぶんですが誰が来るのか予想がつきますからね。ナデシコにいたらおちおち話しをすることが出来ないじゃあないですか。」
そんなことを言っている間に地上についた。周りはバッタやジョロで囲まれていた。
「とりあえずこの子達で遊んでいましょう。すぐに来るでしょうから。」
とりあえず琥珀の意見を採用し、エステを動かし始めた

「すごーーい!!!」
「綺麗ですね。まるで舞っているみたいです!!」
「さすがアキトさんです。」
「・・アキト・・アキト・・アキト・・」
「凄いですね、旦那様。」
「うん、ここまでの腕をしたパイロットは軍でもそうい無いね。」
「いやはや、凄い物ですな。」
「うむ、いい腕だ。」
「・・・・(ズズーー)」
アキトの動きにブリッジでは賞賛の嵐だった。ちなみに上からミナト、メグミ、ルリ、ユリカ、キョウコ、ジュン、プロス、ゴート、フクベ提督の順である
ピンクのエステはバッタの放つミサイルを危なげなく全て回避し、すれ違い様にワイヤード・フィストとイミディエット・ナイフ叩き込み次々に破壊していく。
「あそこまで出来るとは、驚きですな。」
プロスはアキトを正直あてにはしていなかった。が、この状況によりアキトの位は一気に上がっていく。が、その一方で何か言い知れぬ不安もでてきた
その間にも一機、また一機と破壊されていく。
「でも、サポートって一体何の事かしら?」
ミナトが先ほどの不可解の会話について疑問を述べた
「そうですよね。・・・ねえルリちゃん、何か知らない?」
メグミの質問により皆の視線がルリに集まる
「わかりません。でも、必ず聞き出して見せます。」
再びルリの背後で炎が燃え上がる
ヴィー、ヴィー、ヴィー
ブリッジに再び警報が鳴り響く
「何が起こったの、ルリちゃん?」
あいもかわらず緊張感の無い声でユリカが尋ねる
「高速の所属不明機が二機、こっちに向かってきます。」
「所属不明機?」
「はい、映像出します。」
スクリーンに映されたのは白と黒の機体だった


アキトが二機の機体を肉眼で確認したとき、黒い機体にほうに目を奪われた。もっともエステを止めるなどの馬鹿なまねはしなかったが
「まさか・・・あれはブラックサレナ!!!」
「はい。あれは間違い無くあなたの愛機、ブラックサレナです。」
「どうしてあれが?この時にはまだ製造されていないはずだ。」
「そうですよ。まだ製造されてませんよ。」
「・・・どう言うことだ?」
アキトは訳が分からないといった感じだ
「だから、あれはあなたが乗っていた機体です。」
「まさか、あそこにたどり着いた時には無かったぞ?」
「あそこにたどりつけるのは天文学的な数字の運の持ち主しかたどりつけませんから。」
「つまり、別の場所に飛ばされたと言うことか。」
「そう言うことです。たぶん、彼が見つけだしたのでしょう。」
そうこう言っている間に白い機体が動き出した
「それではあなた、逃げましょう。」
「へ?」
間抜けな声を出す
「後は彼に、明さんに任しておけば大丈夫ですから。」
琥珀の言葉が終わると同時に白の機体が空中から、手に持つアサルトライフルを一帯に乱射する
ドドドドドドドド
「どあああーーー」
銃弾の雨あられをかいくぐりながら移動する
「あっ、危ないことを。下にいる人のことも考えろ!!!」
アサルトライフルの銃弾を使いきったとき地上で動いている無人兵器はいなかった
「琥珀。あのパイロットと通信できないか?一言文句言ってやる。」
「あっそれなら心配ないです。あっちから通信来るでしょうから。」
数秒後琥珀の読みがあたり白い機体から通信が来た。もっともサウンドオンリーだったが
「お久しぶり、琥珀ちゃん。元気だった?」
聞こえてきた声は男の声だった
「はい、元気でしたよ。」
「君が明君かい?」
二人の会話にアキトが割ってはいる
「はい。初めましてアキトさん。」
「あっ、うん初めまして・・・って違う!!」
「ごめんなさい。先ほどの戦闘について文句があるでしょうが、戦闘をおわらすのにあれが一番速かったんです。それにあの程度ならアキトさんなら余裕でかわせると思っていましたから。」
確かにあれぐらいなら余裕でかわす事が出来たし、おわらすのも速いし効率も良いだろう。
だが、アキトはそういった効率重視の戦いがあまり好きではなかった
「・・・せめて、一言言って欲しかったな。」
「次から気をつけます。・・・それから、ナデシコに乗りたいのですがお願い出来ますか?
会わせたい人もいますし。」
アキトは頷きナデシコとの通信を開こうとした矢先に悲劇は起きた
「アーーキーートーー」
「ぐあ!!」
「きゃあ!!」
ユリカボイス炸裂。防御していなかったのでアキトは精神が一時的に吹き飛び琥珀にいたっては白目をむき痙攣をしている。ちなみに明はいつのまにか耳栓をしていたので損害は皆無だった
・・それにしても、何時思い出したんだろうか?
「ほんと凄いよアキト、ユリカとっても感激。さすがはユリカの王子様。」
「艦長違います。アキトさんは私の騎士様です。」
ブリッジ内では早くもルリとユリカによるアキト争奪戦が勃発していた。
「琥珀、琥珀しっかりしろ!傷は浅いぞ!!」
揺すっても目を覚まさない琥珀に本気で彼女の頭の中身を心配しはじめた。
でも、こういった場合揺らすことは逆効果であるのだが・・・
「プロスさん、あそこの二機ともども着艦許可を!!!」
「・・・許可しましょう(汗)」
アキトの鬼気迫る迫力に押されながらプロスは答えた
数秒後浮上してきたナデシコに三機は一列に整列して着艦していった。


後書き
お久しぶりです。akiraです。
御免なさい。また話が途中で終わってしまってます。
未熟しすぎて自分でも涙が出ている今日この頃です。
実は本来この場でオリキャラの紹介が入る予定でしたが、次回に回すはめになりました。
・・・と言うわけでまた次回にお会いできるようにがんばります。