輝ける未来を
第四話
アキト達が格納庫に帰ってきた時最初に見たものは整備班総出の出迎えだった
勿論彼らの目的はアキトで無く後ろに続く二機の機動兵器だ
「おおーーーーー!!!」
白い機体を見あげて奇声をあげているのは整備班の主、改造大魔王、
フィギアフェチなど色々な異名を持つウリバタケセイヤだった
「この色!この形!!この装備!!!間違いない!!!!」
トリップしているセイヤを恐ろしく感じつつも果敢にもアキトが話しかける
「ウリバタケさん、この機体見たことあるんですか?」
「整備員なら、いやオールドアニメファンなら一度は見たことがあるはずだ。
五機のガ○ダムに乗る少年達の物語を!」
「・・・・・・?」
どうやらアキトは見たことが無いようだ。
そんなことは気にせずセイヤは熱弁を続ける
「まさしくトー○ギスVに瓜二つではないか!!」
そのトー○ギスVもどきの機体のコクピットが開き長い髪を首の部分で紐で結び
眼鏡をかけたパイロット、明が出てきた
「初めましてアキトさん。俺が明です。」
右手を出し握手を求めた
「ああ・・・うん。」
あんな戦い方をしただけにもう少し荒荒しい奴だと思っていただけに
以外に礼儀正しいのですこしあっけに取られたが、
すぐに先ほど言っていた言葉の謎について聞いた
「・・・俺に会わせたい人って誰?」
そうアキトが言い終わる前にサレナが膝をつきコクピットが開き
男性が一人、女性が一人、そして少女が一人出てきた。
彼達は皆アキトが知っている人達だった
「父さん!母さん!!アイちゃん!!!」
そう、そこにいたのはまさしくテロで死んだはずのアキトの両親と
助けることが出来なくてアキトのトラウマ第一号になった少女だった
「お兄ちゃーーーーん。」
走ってきてそのままアキトに抱きついた
「本当に、本当にアイちゃんなのか?」
今だ信じられないと言った顔でアキトが尋ねる
「そうだよ、お兄ちゃん。」
再びアキトと会えたことで嬉し涙を浮かべながらも笑顔で答えた
「久しぶりだなアキト。」
「父さん。」
「・・・こんなことを言うのも変だけど元気にしてた。」
「母さん。」
アキトがアイとの話しに夢中になっている間に目の前まで来ていた
「・・・本物だよね?」
テンカワ母ことアヤカが優しい笑みを浮かべそっとアキトを抱きしめる
「大丈夫、シズマさんも私もちゃんと生きてるわ。」
その言葉がアキトの心の一部を覆っていた壁を崩した
「・・・うわああああああああああ」
アキトは他人の目をはばかることなく声を出して泣いた
「母さん、母さん・・・。」
「ごめんね、一人ぼっちにして本当にごめんね。」
大声を出して泣きじゃくる息子の頭をそう言って優しく撫で続けた
その姿を見守り続けていた明は向きを変え近くにいたセイヤに2冊のファイルを渡す
「何だこれは?」
「こっちの黒い方はアキトさんの愛機『ブラックサレナ』で、
白い方は俺の愛機『ガ―ベラ』の設計書です。この二機を整備
するならこれをよく読んでからにしてください。」
「こいつら整備させてくれるのか!」
「もちろんです。が、もしこいつらの技術を何処かの企業に売ったときは
それなりの罰を与えるのでそのつもりで。」
軽く殺気を出して忠告すると、セイヤは生唾を飲み首を縦に振る。
その姿に満足したのか、近くに居た琥珀と共にアキト達の元に歩み寄った
その頃にはすでにアキトも泣き止んでおり、近づいてくる二人に視線を向けた
「明君が母さん達を助けてくれたのか?」
「はい。ちなみに俺のことは呼び捨てでかまいません。」
「なら明、こっちもそんな堅苦しい言葉使いしなくても良い」
「これが地なので。・・・それよりもブリッジに行きませんか?
話しはその途中にでも。」
アキトは頷き整備班の人たちに軽くお辞儀をすると明達をブリッジに案内を始めた
一方ブリッジでは・・・
「明さんって、けっこうかっこいいですよね。」
「そうよね、なんか凛々しいって感じだし。」
「アキトさん、良かったですね。」
「感動の再会でしたね。旦那様。」
「・・・うん、思わずもらい泣きしたよ。」
「アキトっアキトっアキト。」
先ほどの格納庫での出来事を覗き見していたブリッジの面々が
ある者は明に見惚れて、又ある者はアキトの再会に涙を流しながら感想を述べている
一人トリップしている人がいるが皆あえて無視している
ただその中には不穏な気配を出す物が約二名いた
「ミスター、どう思う?」
「直接見ないと分かりませんが、おそらく本物のような気がするのですが・・」
「だが・・・」
「ええ、確かに当時のSSの記録では確かに殺害したことに。」
「会長にはどう報告するのだ?」
「・・・事の真偽を確かめてからでも遅くは無いでしょう。」
まだ何か言おうとしたゴートを視線で黙らし彼らを映しているスクリーンに
視線を戻した
そのころ覗き見されているテンカワアキト一同では
「お兄ちゃんの背中、大きいな。」
「・・・・・」
ブリッジに先導しているアキトの背中にはアイがくっつき
左腕には琥珀が無言でひっついている。もちろん、琥珀は自分の胸を腕に押し付けながら
(やっぱり琥珀の胸は気持ち良いな。そう言えば俺達結婚していたよな。
しかも今日の夜は俗に言う新婚初夜と言うやつか!と言うことになれば
あんなことや、こんなことが・・・)
アキトは今妄想の世界に旅立った。一応アキトもお年頃な青年であって
そっちのことに興味があるらしい。
「・・・アキトさん、お楽しみ中申し訳ありませんがこちらの世界に帰ってきてください。」
明の一声で正気に返るアキト
「では、まず俺の事ですね。俺の正式な名前は天河 明。アキトさん、
俺はあなたの・・・」
「「「・・・どうしたの!?」」」
アキト、シズマ、アヤカの三人の声がはもった。
まだ何か言おうとしたが、急に黙り込み、遠くを見つめ続けること数秒後
ため息をついた
「・・・何時まで見ているつもりか知らないが、あまりいい趣味ではないから
すぐにやめることをお勧めする。」
『・・・何時まで見ているつもりか知らないが、あまりいい趣味ではないから
すぐにやめることをお勧めする。』
明の視線があきらかにこちらに向いている
ブリッジはこの一声で静まり返った
『格納庫から見られていることには気付いていた。』
『そうなのか!!!』
アキトが驚きの声をあげる
『もし、これ以上続けるつもりならそれなりの覚悟をしといてくれ。』
「・・・ルリさんすぐに切ってください。」
プロスの緊張した声がブリッジに響く
「・・・わかりました。」
そう答えてルリは映像を切った
「ねえ、今のようなことって本当に出来るの?」
ミナトが誰となくそう質問する
確かにコミュニケ越しの視線を気付くなんて普通では出来る物ではない
だが、彼の視線はこちらをきちんと見据えていた。決して張ったりではなさそうだ
結局彼女の質問に答える者は無く時間が過ぎていった。・・・そして
プシューー
ブリッジのドアが開き彼達が入ってきた
皆の視線が一斉にそちらを向いた先にはアキト達がいた
「アーーキーートーー」←太字、二回り大きく
ユリカが沈黙を破る大声を出し両手を開きアキトに向かって跳びかかる
だが、今まで左腕にくっついていた琥珀が人外の速さでアキトとユリカの間に割り込む
「人の夫に手を出さないで下さい!!!」
そう言いながら繰り出された拳がユリカの鳩尾に決まり吹き飛ばす
その先にいたのは、ルリだった
「アキトさんには指一本触れさせません。」
吹き飛ばされてきたユリカに教本に載せたいぐらい綺麗な回し蹴りが決まり
再び空に弧を描きブリッジ下段の床に顔から激突し気絶した
が、そんなことには目をくれずルリと琥珀は互いに火花を飛ばしている
「初めまして琥珀さん。オペレーターのホシノルリです。」
「こっちこそ初めまして。サブオペレーターでアキトさんの妻のテンカワ琥珀です。」
妻の部分聞いた瞬間ルリが発する殺意が膨れ上がる
「そんな嘘はやめてください。あなたみたいな醜女をアキトさんが選ぶわけ無いです。」
ちなみに世間一般的に見て琥珀は美少女の部類に入る
「あら、調べても無いのに一方的に決めつけるなんて、ルリちゃんって けっこう単細胞なんだね」
ルリに倍返しをする。
「「ふっふっふっふっふっ・・・・」」
「・・・あのさ、もうそろそろ止めにしない?」
「「アキトさん(あなた)は黙っていてください(いて)」」
「・・・はい。」
何とか止めさせようとしたアキトだが、もはや二人には何を言っても無駄だった。
二人とも臨戦体制に入り、まさしく一触即発の状態だ
「二人ともいい加減にしないと、怒るぞ。」
今まで成り行きを見守っていた明が口を挟む
その声には何の感情も込められてなく冷たかった
「今すぐやめるんだ。止めなければ俺が相手になろう。」
その一言により二人は構えを解き距離を取る
明は距離が十分に離れたことを確認すると出していた殺気を消しプロスに向きを変える
「先ほど覗かれていたので自己紹介するのもなんですが、天河 明です。後ろの
お二人はご存知かと。」
「では、博士夫婦は本物ですか?」
「はい。俺はあの時現場にいたんです。撃たれてはいましたが即死は免れていたので
すぐに治療し、回復した後は再び襲われることを考慮しコールドスリープにより、
眠っていたのです。若いのはそのせいです。」
この話しは全て先ほどの間に四人で作った嘘で、現実には二人が撃たれる前に刺客を
全て明が排除したために撃たれるどころか怪我一つしておらず、コールドスリープを
せずにサレナに乗りジャンプによってこちらに来た。が、今ここで真実を話すには時期
が早いと判断したために一芝居うったと言う訳である
「プロスさん。取引しませんか?俺達を雇ってくれたらいいものを差し上げます。」
「ほう、いいものですか?」
明は懐から三枚のディスクを取り出す
その三枚を見た瞬間プロスの眼が怪しく光る
「何ですかそれは?」
「青いのが軍、赤いのがネルガル、白いのがクリムゾンの今までに闇に葬り去ってきた
真実を集めた物です。お好きなのをお一つ差し上げましょう。」
「なんですと!?」
プロスが再び驚愕する
「本物ですか?」
「本物です。疑うのであればルリちゃんに確かめてもらいますか?」
プロスが頷くと、明はルリにそれらを預ける。
足元に置いてあったノートパソコンに読み取らすこと数分、一通り中身を確かめると
明に返す
「間違いなく本物みたいですね。偽造された形跡が見当たりません。」
「・・・決して悪い取引ではないはずです。どうですか?」
沈黙するプロス。確かに悪い取引ではなく、本物と断定された今、どれを取ってもネルガルに有益になる物ばかりだ。そして現在不足しているパイロットも増える。利はあっても害は無い。
ただ、うまい話には裏があることも十分に承知しているのですんなり承託することができない。
「もし、ここでの交渉が決裂した場合あなたはどうするつもりだったのですか?」
「そうですね、とりあえずは報道機関に高値で売りとばすと言ったところでしょう。」
ここまで来ると交渉と言うよりも脅迫である
「・・・わかりました。あなた達を採用します。」
懐から契約書を三枚取り出しそれぞれに手渡す。
明達はその手渡された契約書を丁寧に読み所々を修正していく。
そして修正し終わると契約書と一緒にディスクも差し出す。
「では、お好きなのをどうぞ。」
少し躊躇したがやがて赤いディスクを選んだ。
「部屋なんですが、三部屋とも近くにしてくれませんか?そのほうが動きやすいので。」
「わかりました。それでは案内しますのでついて来て下さい。」
プロスに続きテンカワファミリー(+1)がブリッジを退出する。
残された人々はただ彼たちを見送るばかりだった。
後書き
お久しぶりです。akiraです。
さて、前回の後書きに書いたように今まで登場したオリキャラについて説明さしてもらいます。ちなみに琥珀については1話でだいたい述べたのであえてここでは書きません
天河 明(テンカワ アキラ)
アキトの別の世界の子孫で位置的には玄孫の位にあたる人物です。
基本的にテンカワ家に男子が生まれるともの凄い女難に悩まされます。
彼もその一人で、中学の時に1クラス分の女子に追い掛け回され逃げるために
ランダムジャンプした結果、あの場所にたどり着き、助けてもらう代償に
彼女の手足となり多くの平行世界にいき歴史の改変をしてきました。
多種多芸で何でもこなせます。特に得意なのはやはり料理です。
白兵戦の場合愛刀『光明』で戦い、今までほぼ負けたことはありません。
テンカワ シズマ
まあ、本文を読んでいただけたら分かりますが、アキトの父親です。
テロで死ぬはずでしたが明に助けられサレナに乗ってやってきます。
多分、まともな人です。
テンカワ アヤカ
この人も本文を読んでいただけたら分かりますが、アキトの母親です。
シズマと同様にしてやってきます。
優しいお母さんです。
アオイ キョウコ
ジュンの妻です。(爆)一言で言うなら大和撫子です。
ユリカが地球に来る前からジュンのお隣さんで、一人っ子のジュンのお姉さんを
していました。そのためジュンはユリカではなくキョウコに惚れていました。
ジュンが士官学校を卒業したその日にプロポーズをし、めでたく結婚しました。
だから、ジュンは幸せの極みです。