「醤油ラーメン6つ」
「味噌8つ」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・」
ブロスとディアの正しいアキト君の育て方
第一話 工作
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
忙しい。
とてつもなく忙しい。
〔なぁ、いくらプロスさんと知り合うためでも、もう少しましな方法はなかったのか?〕
『え?でも他に方法思いつかなかったし、それに実際プロスさんとも知り合えたし・・・』
〔だけどこう忙しいと話もできんぞ〕
『あはは』
〔あはは、じゃない〕
俺はいま屋台をやっているのだが繰り返すがとんでもなく忙しい。
それというのもディアが、
『プロスさんと知り合いたいなら、やたらと安くすればいいんじゃない』
などといってほとんど利益を無視した値段をつけたからだ。
ちなみにここは、サセボドックのすぐそば
多少うぬぼれてもいいのなら味は一流、
その上やたらと安いとなれば、ドックで働いている人が押しかけないわけがない。
まぁ確かにプロスさんも
「非常に経済的です」
とか言ってほとんど毎日来てはいるが・・・
「ふぅ、やっと落ち着いた」
『お疲れ様』
「まったく、誰のせいだ」
『僕じゃないよ』
『二人で考えたんでしょ、確かに直接思いついたのは、私だけど』
『そうかもしれないけど』
「あはは」
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
なんかいいな、この雰囲気。
こういうのんびりした気分になったのは何年ぶりだ?
二回目ナデシコに乗ったときはずっと騒々しかったし、
ユーチャリスに乗っていたときはそんな余裕なかったし、
ヤマサキに改造されていたときは言うまでもないし、
ユリカとルリちゃんと屋台を引いていたときも、
毎日のように旧ナデシコのクルーが来て騒いでいたし、
一回目ナデシコに乗ったときも騒がしかったし、
地球ではバッタにおびえてばかりだったから・・・
火星から跳んで以来か?
という事は・・・7年、いや俺にとっては6年ぶりか。
今度はみんなを守れるだろうか・・・
守りきれるのなら、できれば俺はこの雰囲気を手に入れたいな。
「すいません、醤油1つ」
「あ、いらっしゃい、プロスさん」
ピークが過ぎて(もう少ししたらまた増えるのだが・・・)
一息入れているとプロスさんがやってきた。
これはチャンスだろう。
「しかしテンカワさんは記憶力がいいですな、
客一人一人の顔と名前をすべて暗記されているとか」
「いえそんな」
実際はディアたちに手伝ってもらっているのだが・・・
500人近い人が一斉に押しかけてくるのに、いちいち覚えているわけがない。
『アキト兄、ここでプロスさんに仕事でも聞いて自分を売り込まないと』
〔あ、ああ〕
「そういえばプロスさん」
「はい?」
「えーっとー」
『作業員には見えないけど仕事はとか何とかあるでしょ』
〔サンキュ、ディア、ブロス〕
「プロスさんってここの作業員じゃないですよね」
「ええ、私はネルガルに勤めておりますが、それが何か?」
「ネルガルというとあの」
「ええ」
「そこで何を?」
「まぁ、人事部みたいなものです」
「そうですか、では何かいい職場知りません?」
「この屋台たたむのですか?」
『ナデシコ造ってる人を当てにしてここにいる』
「いやここで何か造っているらしくって、
それを当てにしてここに屋台出してるんですけど、
近々完成するって聞いて、他の所探そうかなって」
「ふむ、でしたらうちに来ませんか?
ちょうどコックも探していたのですよ」
よし、かかった。
『とりあえずホウメイさんにも乗ってもらう必要があるから、
ラーメンしか作れないことにして』
〔あ、ああ、わかった〕
「でも俺ラーメン以外自信ないっすよ」
「そうですか・・・まぁ問題ないでしょう」
『主導権握りたいから、怪しまれない程度に突っ込んで聞いて』
「でも・・・なんでネルガルがコックなんか探してるんすか?」
「それは・・・」
「企業秘密・・・ですか」
「ええ、まぁ」
『確かに、スキャパレリ・プロジェクトについて話すわけにはいかないもんね』
『仕方ないから守秘契約でも結んで』
「うーん、俺もよくわかんないとこにいくのは・・・
そうだ、一応守秘契約だけでも結びましょう。」
(これで主導権を握れるかな?)
「ほう、それはいいお考えですな、では・・・
これから話す一切のことを、ネルガルの許可なく他者に話してはならない・・・
期間は?」
「ネルガルと本契約を結ぶまで」
「結構ですな、ではサインを・・・・・・結構です。では・・・
実はここでは今ネルガルが戦艦を造っていましてな、
そこで働いてほしいのですよ」
「戦艦・・・俺に軍人になれと?」
「いえ、あくまでネルガルの所属です。軍がお嫌いなのですか?」
「ええ、まぁ」
「ではだめですかな・・・」
「いやいいですよ。ほかにいく当てもありませんから」
「そうですか・・・ではこちらにサインを・・・」
「・・・常に持ち歩いてるんですか・・・」
「いや、備えあれば・・・とも申しますし」
「そうですか」
『アキト兄、ちゃんと読んで変な項目に同意しちゃだめだよ』
『そうそう、艦内での恋愛禁止とか、葬式がある場合暇な人は出席しなければならないとか・・・』
〔わかってるって〕
「すいません、ここは・・・」
「おや、気づかれましたか、はい、ではこのように、はい」
「もしかして最初から気づかれたら変えるつもりだったんですか?」
「ええ、まぁ。こちらとしてはその通りにしていただきたいのですが、
多少無茶な部分ですし・・」
『あとルリ姉にも戻ってきてから契約結んでほしいから、
ルリ姉が帰ってくる日に約束入れて』
〔ハイハイ、わかりました。ルリちゃんが戻ってきたのって出発の1週間前だよね〕
『うん』
「あと、こっちもいろいろ都合があって出発の1週間前には乗りたいんで
プロスさんにはいてほしいんですけど・・・」
「うーん、出発一週間前というと、間前というと、来週の・・・
(まあルリさんは逃げませんし一日位でしたらおいといても問題ないでしょうから・・・)
ええ、結構ですよ」
「そうですかでは、サインを・・・これでいいですか?」
「はい、では私はこれで、ごちそうさま」
「毎度どうも」
『うまくいったね』
〔ああ、しかしぎりぎりだったな、
もし二人で話す機会がなければどうするつもりだったんだ?〕
『『もちろんトランクにぶつかってもらう!』』
〔おい!〕
第二話へ続く
あとがき・・・だと、私が信じているもの
皆さん今日は、アリア=ミリディールです。
というわけで「育て方」の第一話をお届けさせていただきました。
わかるとは思いますが『』および〔〕はアキト君とディア、ブロスの会話で
三人にしか聞こえないものと認識してください。
ちなみに早めに乗せたのは、ヒロインがルリ君だからです。
ほかの人では、早めに乗せる意味がありませんから・・・
それからprologue1でアキト君をIFS強化体質にしたのは、
恋愛シミュレーションの主人公はやたらと多才でなければならない、
と友人が力説していたからです。
あと、ルリ君とラピス以外の人をヒロインとした場合、
オモイカネにアクセスできたほうがやりやすそうだからです。
一応第一話が終わりました。
今後の予定ですが、個人的にジュン君が好きなのでひいきしていく予定です。
また、アキト君とディアたちがムネタケさんに悪意を持っているとは思えませんし、
わたしも意外と好きなので助ける予定です。
ちなみにこの話は、この話のように、アキト君とディアたちの漫才風の会話と、
アキト君が多々突っ込まれつつ本編を進めるというものの、二部構成となっております。
代理人の感想
ん〜、時ナデアフターのアキトだったらキノコにも敵意は持ってないでしょうね。
嫌悪や敵意よりは憐憫や同情が先に来るでしょう。
まぁ、死ぬ直前までのキノコはガイを殺していなくても
個人的には余り好きになれるキャラクターではなかったのですが。