「!!!!」

 ハーリー君!! 急いでアンカーを切り離して!!

 ディストーション・フィールド緊急展開!!」



「はい!!艦長!!」



『駄目だ!!ジャンプを開始したよ、アキト!!』



「皆さん、ごめんなさい!」



次の瞬間私の視界は虹色の光に包まれた。





ブロスとディアの正しいアキト君の育て方
第二話 再会





・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・



ここは・・・

確か・・・ユーチャリスの・・・ランダムジャンプに・・・巻き込まれて・・・

ランダムジャンプに巻き込まれて・・・・・・・・・・・・

気を失っていたんでしょうか?

・・・ランダム・・・ジャンプ?

・・・確か・・・ナデシコのクルーで・・・ジャンパー処理を受けていたのは・・・

ごめんなさい・・・皆さん・・・本当に・・・ごめんなさい・・・

・・・そうだ・・・気を・・・失っている場合じゃ・・・ない。

起きなきゃ・・・

私が生きているってことは・・・何人かは生きているはず・

・・ ・・・生き残った人だけでも・・・助けなきゃ・・・

アキトさんと・・・ラピスと協力すれば・・・多分帰れます・・

・ ついでに・・・アキトさんを・・・

・・・頭が・・・重い・・・目の前が・・・くらい・・・何も・・・見えない?

そうだ・・・目を開けなきゃ・・・

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・



ここは・・・ベッドの上?私は確かブリッジに・・・

だれかが運んだんでしょうか?

この部屋は?どこかで・・・見たことがある?

ナデシコの中には・・・こんな部屋はなかったはずです・・・

「ここは・・・アキトさん?オモイカネ?高杉さん?ラピス・・・さん?」

反応がありません・・・

「ハーリー君でもいいです、だれかいないんですか?」

・・・・・・・・・・・・

おかしいですね。

まだ起きてないのでしょうか?なら・・・だれがここに・・・?

仕方がありません、自分で調べましょう。

「きゃっ!!」

ベッドが・・・思ったより高い・・・?いえ、地面が近い・・・背が縮んでいる!?

・・・・・・・・・・・・

間違いありません、背が縮んでいるし・・・胸も・・・

まるで・・・昔の私みたいに・・・

昔!?

そうだ・・・ここは・・・

「人間開発センター・・・」

過去に跳んだのでしょうか・・・ならなぜ体が・・・意識だけ跳んだ?

なら・・・今度は・・・アキトさんとユリカさんを・・・あんなことには・・・

アキトさん!?

もしかしたら・・・アキトさんも・・・

アキトさんも戻ってきているのでしょうか?

なら・・・

・・・・・・・・・・・・

「とりあえず・・・今日がいつかを調べる必要がありますね」

と、言ったところで周りには誰もいないのですが・・・

・・・・・・・・・・・・

!?

この日は・・・確かもうナデシコに乗っていたはず・・・

もしかして・・・私が戻ってきたせいで気を失っていたから・・・

ナデシコに乗れない!?

いえ、ナデシコは・・・さすがにナデシコAといえどオペレーターなしでは動かせません。

なら、ラピスかハーリー君が?

さすがにそれは・・・たぶん明日になったらプロスさんがまたくるでしょう。

もしこなかったら・・・・・・・・・・・・

信じていますよ、プロスさん・・・





「・・・というわけです。

 つきましてはその契約書にサインを・・・」

「はい。

 あの・・・プロスさん、ここは・・・」

「おや、気づきましたか、しかしルリさんと同年代の方は乗っておりませんよ」

「とにかく変えてほしいんですけど・・・」

「はぁ、仕方ありませんな、いいでしょう。では出発しましょうか?」

「はい」

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・



「あの、ルリさん?

 失礼かもしれませんが報告とはずいぶん違いますな」

「どういうことです?」

「報告ではもっとこう・・・無表情というか・・・

 飄々としているというか・・・

 あ、すいません」

「いいですよ、

 あそこでやらされていたことは結局モルモットですからね。

 楽しくしろっていうほうが無理じゃなんじゃないんですか?」

「うーむこれは手厳しい」

今の私は昔の私じゃありませんから。

それに・・・もしかしたら乗れないかもって思っていたナデシコに乗れるんです、

顔ぐらいほころびます。

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・



「どうです、わが社の新造戦艦、ナデシコは」

ナデシコA

私の思い出の場所

私の家族・・・アキトさんとユリカさんに出会った場所

みんなのいる場所

今度は助けたい

ヤマダさんが死んだときの・・・アキトさん

白鳥さんが死んだときの・・・ミナトさん

もう、あんな光景は・・・見たくありません

アキトさんとユリカさん

あの・・・シャトルが爆発する光景

二度と見たくありません

絶対に繰り返させない・・・

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・



「・・・さん?

 ルリさん?」

「!?

 はっはい?

 何ですか、プロスさん」

「いえ、何か考えていらっしゃる様子でしたので・・・

 まぁ、確かに変わった形ではありますが・・・

 それで・・・ナデシコについて考えておられたようですが・・・

 何かわかりましたか?」

「え?そっそんなことありませんよなんでです?」

「いや、べつに参考までにお聞きしたまでです。

 どんな些細なことでも結構ですので」

「そうですね。機動戦艦なのにこんな空気抵抗を無視した形ということは、

 何らかの方法で空気抵抗を軽減しているはずです。

 たぶんバリアでも張っているんじゃないですか?

 バリアの発生装置が中心にあっても意味ありませんから、

 怪しそうなのは上の部分か後ろのノズルか横のブレードでしょうが・・・

 上はブリッジでしょうし後ろはエンジンでしょうから、

 横のブレードですか?」

「!?・・・ほう

 ほかには?」

「え!?そっそうですね

 ブレードだけなら軍の中古の戦艦につければ十分なのに

 わざわざ一から作ったということは・・・

 武装か動力炉にも何かあるんじゃないんですか?」

「なるほど・・・、具体的には?」

「はっはい、えーっと、そうですね、
 ブレードの間に突起がありますが、
 ハッチじゃなさそうなのであれが新武装ですか?
 ミサイルなわけありませんから・・・ビーム砲でしょうか?
 威力的には反粒子ビームがいいのですが、
 空気中で使うわけにいきませんし、
 それはどのフェルミ粒子でも同じですからボース粒子砲、
 光子じゃレーザーですし、
 ウイークボソンやグルオンじゃ射程がないですから重力子砲ですか?
 超対象性粒子、例えばハイパーニュートリノの
 ビーム砲でも可能かもしれませんが、
 超対象性粒子の観測、製造に成功したなんて話聞きませんから」

「ふーむ、その他には?」

「プロスさん、何でそんなに突っ込んで聞いてくるんですか?」

「いや、間違っていてもかまいませんので聞かせてください。

 確か動力機関にも何かあるのでは?と、おしゃってたではないですか?」

「は、はあ。

 (困りましたね、何でも知っているのはおかしいですよね)

 核融合炉より高性能な動力炉といえば・・・

 うーん対消滅炉でしょうか?何らかの方法で反物質を安定、保存できれば

 核融合炉よりはるかに高性能な動力炉になりますから」

「ほうほう、ほとんど正解ですよ、まさか外見からここまで推測するとは・・・

 さすがですな」

「は、はぁ(疲れました)」

「では、中の案内を・・・」

「あっ、ルリちゃん?久しぶり」

そこでプロスさんの声に、聞きなれた声が重なりました。

「えっ、アキトさん?何でこんなところに・・・」





第三話へ続く





あとがき・・・という名目のぼやき

第一話で





ちなみにこの話は、この話のように、アキト君とディアたちの漫才風の会話と、

アキト君が多々突っ込まれつつ本編を進めるというものの、二部構成となっております。



といっていた癖に早速アキト君とディアたちの会話はありません。

まぁ、「基本的に」ということにさせてください。

中には例外もある、ということで・・・

さて今回のメインは、この話のルリ君のテーマ「未来を知るが故の苦悩」

の第一弾「ルリ君焦る」です。

どうもうまくいきませんでしたが・・・

「未来を知っている=うまくいく」といくでしょうか?

パンドラの箱に入っていた中で溢れ出すのを食い止められた

唯一にして最大の不幸は未来つまり予知なのですが・・・

わかっているけど手が打てないという歯がゆさを、

ルリ君には思い知ってもらうつもりですが・・・

私ごときの文才でそこまで書けるでしょうか?

誠心誠意努力させてもらいますので、よろしくお願いいたします。

あとルリ君のビーム砲についてのくだりは受け売りかつうろ覚えなのでなので、

正しい保証はありません。(爆)

次回は「どうしても書きたい会話その1」を入れる予定です。

あまり期待しないで待っていてくださると幸いです。



PS.

控えめに極ダーク

すなわち

午前二時ごろ白い服着て神社でお人形さんと

大工さんごっこをしているようなタイプです(ハートマーク)。

 

 

 

代理人の感想

 

またえらく専門的な言葉が並んでますね。

まぁ、こういうのは「こんなもんか」と聞き流すのがベターとして

一つだけ注釈を入れておくと「ボース粒子」「フェルミ粒子」と言うのは特定の素粒子を指すのではなくて、

「特定の性質を持った素粒子のグループ」を指す言葉です。

ですから「ボース粒子」といっても実は一種類の粒子じゃないんですね。

ウンチクでした。