「・・・・・・・・・・・・
私も・・・同じなんですね・・・」
ブロスとディアの正しいアキト君の育て方
第三話 act2 資格
「私も・・・二回目のときの私と重ねてしまうから・・・
アキトさんは・・・私のそばにいる資格は・・・ない、
そう・・・考えてるんですね?
でも・・・それって自分勝手です。
アキトさんにとって・・・私は、二回目の私と重ねてしまうから、
そばにいられないのかもしれません。
でも・・・私にとって・・・アキトさんはアキトさんなんです。
久しぶりに会って、その間に・・・いろいろな経験をしていた、ただそれだけで・・・
私にとっては、変わらないんです。
それは・・・アキトさんの気持ちもわかります・・・
そんなこと・・・いわれるまで気づきませんでしたけど・・・
今ならわかります。
私も・・・ユリカさんやミナトさんのことを考えると・・・
なんか・・・こう・・・むなしくなります・・・
でも、でも・・・
・・・・・・・・・・・・
私に・・・二回目の事を・・・教えてください・・・
二回目と・・・完全に同じになれなくても・・・
近くはなれるはずです。
アキトさんが幸せになる手伝いがしたいって言うのは・・・今も変わりません。
教えてください・・・二回目って・・・結局どうなったんですか?
何で・・・またジャンプすることになったんですか?
二回目の私は・・・アキトさんに何を言ったんですか?何をしたんですか?
アキトさんは二回目の私に・・・何を言ったんですか?何をしたんですか?
お願いです・・・」
「・・・・・・・・・・・・
二回目のルリちゃんは・・・」
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
「そう・・・ですか・・・
なんか・・・変な気分ですね・・・
ずっと・・・隠していた気持ちを・・・自分が先に言っていた・・・なんて・・・
でも・・・それが・・・私の気持ちです・・・
ちょっと・・・ストレートすぎる気もしますけど・・・
ごめんなさい、アキトさんに・・・ひどいことしちゃいましたね」
「いや・・・いいよ、ここのルリちゃんのやったことじゃないんだ・・・」
「わかってます・・・でも・・・謝りたいんです・・・
アキトさん・・・好きです・・・だから・・・二回目の私も・・・私にしたいんです・・・
そうすれば・・・私と・・・二回目の私がひとつになれば・・・
アキトさんは・・・私のそばにいる資格が得られるんでしょう?
なら・・・がんばります・・・二回目の私と・・・同じことは・・・まだできません。
アキトさんは・・・二回目の・・・最初のころの私と・・・最後のころの私・・・
どっちが好きですか?
もし・・・最初のころの私が好きなら・・・今のままでいるように・・・努力します。
最後のころの私が好きなら・・・そうなれるようにがんばります。
答えてください、お願いです。」
「・・・・・・・・・・・・
わからないよ・・・
ここのルリちゃんは・・・ここのルリちゃんだ、
どうやっても・・・二回目のルリちゃんにはなれないんだ」
「わかってます、でも・・・同じになろうと・・・努力することはできるはずです・・・
さっきも言いましたけど、アキトさんの気持ちはわかります。
でも・・・だからといってすべてを切り捨てる必要はないはずです。
私は・・・アキトさんが好きだから・・・
アキトさんに・・・認めてもらえるようにがんばりたいんです。
ユリカさんより・・・私のほうが・・・一回目の私と今の私が同じ分・・・
アキトさんがそばにいてくれる資格はあるはずです。
それに・・・アキトさんの気持ちもわかります。
だから・・・アキトさんを支えたいんです。
二人で・・・がんばりましょう。
ここは・・・
ここにいたら・・・
ここでみんなに会うのは・・・
苦しいかもしれません。
苦しかったら・・・泣いてもいいです。
私は、わかりますから・・・
私に甘えてください。
つらいからって言って・・・私を捨てないでください。
アキトさんには、幸せになる義務があるんです」
「・・・・・・・・・・・・
わかってる。俺は・・・自分の幸せを捨てるつもりはないよ。
でも・・・ごめん、まだ・・・気持ちの整理がつかない・・・
本当は・・・ルリちゃんにこの話をするつもりはなかった。
二回目のときも・・・ユリカが・・・近くにくると・・・二つの感情がぶつかり合った。
不思議に思わないか?
確かに・・・二回目のはじめのうちは・・・
自分は消える必要があるって思ってた。でも・・・
俺の二回目の世界での最後の言葉って、なんだと思う?
俺の居場所はナデシコだ、絶対に戻ってくる。
そんな台詞だったよ。
途中から自分も幸せになりたいって思い始めたんだ。
なら・・・なぜユリカに告白しなかったんだ?
俺も・・・この世界でディアに言われるまで気づかなかった・・・
でも・・・二回目のルリちゃんは・・・そんなこと気にしちゃいなかった・・・
ミナトさんとも・・・いい関係を作っていた。
二回目の経験から・・・計画にはルリちゃんの協力が必要不可欠なのはわかってた。
でも、二回目と同じ事をするつもりだった・・・
ディアは・・・話すべきだって言ってたけどね。
でも・・・この話を聞いたら・・・ルリちゃんもこのことを意識せざるを得なくなる・・・
それが・・・いやだった。俺の幸せは・・・それは手に入れたい。
この話をしたら・・・それはルリちゃんは俺の気持ちを理解してくれるだろう。
それは・・・俺の幸せにつながる・・・
でも・・・ルリちゃんの不幸につながってたら・・・意味がないんだ」
「・・・・・・・・・・・・
私は・・・幸せですよ。
アキトさんが・・・私を苦しめるかもしれないのに、この話をしてくれた。
私に・・・甘えてくれた。
さっきから、何回も言ってるじゃないですか
私は・・・アキトさんが幸せになる手伝いがしたいって
それができたんです。だから・・・幸せです」
「・・・・・・・・・・・・
そういうと思った。だから・・・いうつもりがなかったんだ。
だけど・・・ルリちゃんに会ったら・・・
すまない、この話は終わりだ。少し・・・時間をくれ」
「わかりました。
それじゃあ、後で新型機の設計図を見せてください。
私の覚えているデータも役に立つかもしれません。」
「あ、ああ俺はラピスにも頼むつもりだけど・・・」
「ラピスも戻ってきてるんですか?」
「ああ、出航する日には、戻ってくるはずだ」
「となると、サブロウタさんやハーリー君も帰ってきてるんですか?」
「ああ、具体的な日付はわからないけど・・・
ハーリー君はナデシコの出航までには帰ってきてた。
俺たちはナデシコに乗るから、地球での作業を引き継いでもらいたいんだが・・・」
「わかりました。一応、私もハーリー君について調べてみます。
詳しいことはその後考えましょう。
じゃあ私はオモイカネの調整があるので」
「ああ、部屋か食堂にいるから」
「はい」
〔なあ、本当にこれでいいのか?〕
『大丈夫大丈夫、万事うまくいってるって』
〔でも本当にルリちゃんに話してよかったのか?〕
『大丈夫、ルリ姉も言ってたでしょ、幸せだって。何も心配要らないって』
〔本当にそうなのか?本当にこれでみんな幸せになるんだろうな?〕
『私がうそ言ったことある?』
〔あったと思うが・・・〕
『あっはっはー』
〔あっはっはー、じゃないだろう。
それより・・・俺はどうすればいい?
ルリちゃんの気持ちは・・・正直言って本当にうれしい・・・だけど・・・〕
『前も言ったけど・・・私は、ルリ姉の気持ちにこたえるべきだと思うよ』
〔そうか・・・そうだったな〕
『ま、結局は、アキト兄の問題だしね』
(俺は・・・どうすればいいんだ?)
第四話に続く
あとがき・・・・・・・・・・・・ま、なんて呼ぶかはその人の自由だけどね。(by.ホシノ・ルリ)
というわけで「育て方」の第三話act2です。
とりあえず「どうしても書きたかった会話その1part2(被逆行者編)」を書くことができました。
人が、自分を通してもう一人の自分を見ていることに気づいた場合はどうでしょう?
ユリカは気にするでしょうか?
「ううん、ぜんぜん気にしないよ、アキトはアキトだもん」
・・・目に浮かぶようです。
しかし、
「ミスマル家の長女でもなく、お父様の娘でもない・・・
私が、私らしくいられる場所はナデシコしかないの」
という台詞を考えると、意外と気にするかもしれません。
メグミちゃんとラピス、リョーコさんは気にしそうですが・・・
あとの方は・・・どうでしょうね?
ルリ君に関しては、気にするような気もしますが・・・
この話の場合、彼女は逆行者の気持ちと被逆行者の気持ちの両方がわかっていますから・・・
なかなか微妙なところです。
ちなみにこの話では
ディアは経済学や人間関係などの政治的分野など文系に強く、
ブロスは技術や理論などのハイテク関係など理系に強いという設定になっています。
まぁ、ジャンプの際に遺跡から情報が逆流したということで。
次回はやっとナデシコが出航する予定です。
では皆さん、今後ともよろしくお願いいたします。
代理人の感想
つまり「恋人が自分に昔の恋人の面影を重ねていたと知ったら?」ということ、
一言で言うなら
「俺は昔の男の代わりなのかよ!」
「私は彼女じゃないわ!」
と言うなんですね。
別に男女の仲でなくても兄の影に悩む某鳳龍の女侍とか
北斗の影に悩む枝織(時ナデ十九話参照)を思い浮かべていただければわかりやすいかと。
まぁ大抵の人は気にするんじゃないでしょうか・・・・・と、言うか普通は怒るでしょう。
向けられていた好意は自分に対しての物ではなく、
誰か見も知らない人間に対しての物だった、と知れば。
それは無論裏切りに対する怒りと言うのはあるでしょうが
もっと根深いところでの問題・・・・自分ではなく他の誰かに価値を認めていたと言うこと、
即ち「自分」と言うものの否定、つまりアイデンティティの危機にも繋がります。
「自己保存」という生物としての本能を脅かされる訳ですから怒って当然でしょう。
つまり、この場合の怒ると言う行為は実は防衛本能の現れな訳ですね。
もっとも修羅場の後で人間関係が破綻するか修復するかは本人たち次第でしょうが。
・・・・しかし、始まった時はもっと軽い話と思ってましたけどね〜(笑)。