私がデッキにつくと、ちょうどアキトさんが帰ってきたところでした。

「お疲れ様でした、アキトさん」

「よしてくれ、あの程度の戦闘、今の俺には戦闘の内に入らないさ」

そういって、何かを探すように周りを見回すアキトさん、

もしかしたら、やはりユリカさんに会いたいんでしょうか?

「ふぅ・・・前回は・・・ユリカが来てたっけな、

 まぁ、今は会わせる顔がないから、良いんだけどね」





ブロスとディアの正しいアキト君の育て方
 第五話 反乱





「やはり、ユリカさんには会わないんですか?」

この時期の私と親しかったのは、ミナトさんぐらい。

だから私はまだ平気だけど、アキトさんは違う・・・

アキトさんの苦しみをわかるのは私だけ、私がしっかりしないと・・・

「そうもいかないさ、ずっと会わないことはできないし・・・会わないといけないからね・・・」

そういって弱々しい笑みを浮かべるアキトさん、

「一応わかってはいるみたいで安心しました」

いつか・・・その苦しみから逃れられる日がくるといいのですが・・・





そんなことを話していると、ゴートさんがやってきた。

「取り込み中すまないが、ロボットの無断借用の件で話がある」

「あ、じゃあ私はブリッジにいますんで・・・」

「ああ、あとでな」

ブリッジ、か。ユリカに会うことになるな・・・

「君は・・・ルリ君と知り合いだったのか?」

「ええ、それより、俺はどうなるんですか?」

「問題は山積みだが、ここは軍隊ではない。

 処分はないが、君には臨時パイロットとして働いて・・・」

「思い出した!アキトでしょ!

 カラーコンタクトなんかしてるからわかんなかったけどアキトでしょ?

 アキト!アキト!アキト!アキト!アキトォォォォ!!!」

突然コミュニケが開いてユリカが大声で俺の名前を連呼してきた。

・・・変わってないな、まぁ、昔なんだから、変わってなくて当然か・・・

だからこそ・・・一緒にいることはできないんだよ、ユリカ。

「・・・誰だ?」

「ええぇぇぇぇ、忘れちゃったの?

 あ、そっか、こんなにきれいになってるんだもんね、わからなくて当然か」

ユリカらしい理論と結論だな。

「ほら、火星でお隣に住んでた、ミスマル・ユリカ。覚えてるでしょ」

「ああ、あの俺の後ろにいつも付きまとっていた・・・久しぶりだな」

「あは、アキトたら照れてる?ねえねえ、いつ地球にきたの?

 あれから何度も連絡とろうとしたのに何でか連絡取れないしさ、

 ねえ、何があったの?」

「俺の両親が殺されたからだ、連絡が取れなかったのは」

ユリカと話すには、倒置法が良い、なるほどな、ディアも考えたな。

「えっ、おじさんたち死んじゃったの・・・いつ?なんで?」

「おまえを見送りに言った日に、空港で爆弾テロがあってな

 地球ではニュースにならなかったのか?」

「ええっと・・・ニュースなんて見ないし・・・あはは」

「そうか、だろうな。もう良いだろ、少し休ませてくれ」

「そうだね、さっきまで戦ってたんだからね。じゃあ、またあとでね?」

ふう、疲れた・・・

「おまえは、艦長とも知り合いなのか?」

・・・ゴートさんいたんですか。すっかり忘れてました。

『アキト兄、ユリカさんが艦長だって話聞いてないよ

 だめだよ、ちゃんと一つ一つフラグを立てないと・・・』

〔あ、そうだったな・・・すまん、忘れてた〕

『まあ、良いけどね

 でも両親の殺された話はしたから、「ジュンさん説得イベント」のフラグはたったね』

〔フラグってな、おい〕

『気にしない、気にしない』

〔まぁいいが・・・〕

「艦長って・・・ユリカのことですか?」

「ああ、彼女がこの船の艦長だ」

「大丈夫なんすか?この船?」

大丈夫だって、わかっちゃいるけどね。

「性格にはやや問題はあるものの、能力は一流だ」

「ふーん、あのユリカがね・・・」





〔こんなもんか?〕

『うーん、83.4点』

〔なんだよその端数は?〕

『気にしない、気にしない』

〔するぞ〕





その後、二回目と同じくブリッジにチキンライスを持っていって・・・

ユリカはマスターキーを抜き・・・

舞台は厨房へ移る・・・





「で、どうするんですか?」

私がオレンジジュースを飲みながら聞くと

「うーん、二回目のときは動かなかったらガイが動いて大怪我してたしな・・・」

「それなら、殺されないですみますね」

ならここは待ちの一手でしょうか?

「あのな、“あの”ガイだぞ?重傷でも出撃するに決まってるだろう。止めたほうが良いな」

そういえばそういう人でしたね。

とか話しているとミナトさんが話し掛けてきました。

「あれ〜、ルリちゃんってアキトくんと仲がいいんだ?」

からかっているような顔、しかし・・・ルリちゃん・・・ですか。

アキトさんの気持ちがよくわかります。

「ええ、そうなんです。仲いいんですよ、ミナトさん」

「何せ、一緒に住んでた仲だからな」

アっアキトさん?いったい何を・・・

それは確かにそうですが・・・

「ア、アキト君?それ本当?あなたたちいったいどういう・・・」

「どういうって・・・家主と居候・・・かな?ねぇ、ルリちゃん?」

「・・・・・・そう・・・ですね」

「居候って・・・ああ、そういえばさっきブリッジで艦長が言ってたわね。

 アキト君の両親は小さいときに死んだって、あっ、ごめんなさい。」

「いいですよ、気にしてませんから」

・・・確かにうそはひとつも言ってませんね、アキトさんがこんなこと考えるとは思えませんから・・・

ディアの入れ知恵ですね。

それは対ユリカさんたち用の先制攻撃に使うつもりだったんですが・・・





「さて、いつまでもこんなことしちゃいられないな・・・」

というとアキトさんは目にもとまらぬ動きで兵士を気絶させました。

あれが「昂氣」というものなんでしょうか?

その後は最初のときと同じようなことを言っています、

違うのはアキトさんが戦略指揮をしている点でしょうか?

「・・・ああ、俺はブリッジを制圧するからそっちは・・・

 違うデッキは・・・

 ゴートさんは・・・

 定期連絡は・・・」

良いんですかね?まぁ指示はしっかりしたものですが・・・

「おいアキトォ、何で俺はここで待機なんだぁ!」

「何言ってんだ、重要な役目だぞ。ここに残る非戦闘員を守るという、

 ヒーローにふさわしい役目だろう?」

「そ、そうか、わかった、研究所は俺が守る!」

相変わらず単純な人ですね。





「またマニュアル発進か」

「二回目もそうだったんですか?」

「まあな、今回も飛行ユニットはつけていくか」

「“も”ですか、じゃあヤマダさんは今回も活躍できませんね?」

「・・・だな」

「マニュアル発進、ようい・・・」

・・・・・・

・・・

「ドン」

冗談のつもりか昔みたいにやる気のない声で言われて、

俺のエステは思わずこけかけた。

ま、いいけどね。





「どうしたのルリちゃん、急に笑ったりなんかして」

「ちょっと意地悪をしたんです。

 さっきの仕返しかな」

「さっきって」

「秘密です」

「教えてよ〜ルリちゃん。」

「幾らメグミさんでも、これは絶対秘密です。」

「もう〜、ルリちゃんの意地悪!!」





その後アキトさんがチューリップをあしらっている間にユリカさんが帰ってきて、

グラビティーブラストで決着がつきました。

どうでも良いけどまたジュンさんはおいてきたみたいです。

ま、昔なんだから当然といえば当然ですし、ユリカさんらしいといえばユリカさんらしいですけどね。





第六話に続く





あとがき

うむむむむ、

この話は「時の流れに」そのままでは面白くありませんし、

めんどくさいですし、

かといってネタも思いつかないので省略して、

一気に「ジュン君説得イベント」まで行く予定だったのですが・・・

なぜかこんな話になってしまいました。

しかし、ブロスとディアは書きにくいですね。

一応主役の予定だったのですが・・・

最初の予定では第一話風の話が続く予定だったのです。

ところがなぜかこのようなことに・・・

それにしても、ブロスとディアに比べて、ルリ君一人称は書きやすいですね。

しかし・・・うーん、これは何とかしないといけませんね。

さて・・・これからどうしましょうか・・・

まだユリカも動いてませんし、メグミちゃんもまだまだこれからですから。

あまり期待しないで待っていてください。

次回こそ「ジュン君説得イベント」まで持っていかせてもらいます。

また、話も前回や今回のようにあらすじだけ、なんてことはなくなるはずです。

では、今後ともよろしくお願いいたします。

 

 

代理人の感想

 

う〜ん、アリアさんのが出てきたんでしょうかね〜?

駄目ですよ〜。

猫被るなら最後まで被りとおさなくっちゃ(爆)。

被りきれないで本性を現してしまうとその内「大魔王」とか呼ばれちゃいますからね〜(核爆)。