「ルリちゃん」

「何ですかアキトさん?」

「サツキミドリのエマージェンシーコールを鳴らすウイルスを作ってくれないか?」





ブロスとディアの正しいアキト君の育て方
 第八話 女心





「・・・なるほど、それは二回目と同じ方法ですね?」

「・・・まあな」

?アキトさん・・・何か不機嫌ですね。私・・・何かまずい事を言いましたっけ?

「なら・・・作れることはわかってるんでしょう?」

「ああ」

やっぱり不機嫌です。はじめは普通でしたよね?なら一体・・・

やっぱり・・・二回目の最後みたいにならないと・・・

でもアキトさんは今の私の方が良いって・・・

・・・でも・・・こんなことアキトさんに聞くわけにはいかない・・・

アキトさんは苦しんでる・・・私がしっかり支えないと・・・

アキトさんの苦しみがわかるのは私だけ・・・

アキトさんは私を頼ってくれてる、甘えてくれてる・・・

でも・・・こんなこと聞いたらきっと・・・

でも・・・このままでも・・・

私は・・・私はどうすれば・・・

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・

「・・・ちゃん?

 ルリちゃん?」

「え?は、はい!な、なんでしょうか、アキトさん」

「どうしたの、ルリちゃん?ボーとして?

 風邪?熱でもあるんじゃない?

 疲れたんなら休んでていいよ?ここは俺がやっとくから・・・」

「い、いえ。ウイルスも作らないといけませんし、

 それにほら、ぜんぜん何でもありませんから」

「・・・そう?ルリちゃんも大変なんだろ?

 俺にできることがあったら何でも言ってよ。

 やっぱり・・・最初のときと違っていろいろやってもらってるし・・・

 俺のせいかなぁって思ったから・・・」

・・・今は普通ですよね?考えすぎだったんでしょうか?

・・・そんなこと無いですよね・・・やっぱり・・・

「・・・なら・・・」

「ん?何かあるの?」

「・・・いえ、何でもありません」

やっぱり聞けません。

「そう?この間から思ってたけど・・・ルリちゃん無理してない?」

「そ、そんなことありませんよ?」

「そう?なんか・・・最初の時みたいって言うか・・・

 感情を押し隠してるって言うか・・・

 一緒に屋台引いてたときは、なんかもっとこう・・・普通・・って言うか・・・

 のびのびしてる・・・って言うか・・・とにかくもっと楽しそうだったよ?

 もっと気楽に行こうよ」

そう・・・ですか?

・・・それはそうかも知れませんが・・・それじゃアキトさんを支えられ無いじゃないですか・・・

それじゃ・・・意味が無いんです。

「大丈夫ですよ、確かにちょっと疲れているのかもしれませんけど、

 平気ですから」

「そう?でも、気をつけてね?」

「はい、アキトさんも気をつけてくださいね?」





その後、二回目と同じくエマージェンシーコールにより緊急避難するサツキミドリの人達と、ナデシコはすれ違った。

やはりこのエマージェンシーコールは木星蜥蜴の奇襲によるものと判断された。





「確信犯」

「必要悪っていってくれないかなぁ?」

「危険ですよ、その考え方は」

「仕方ないよ、他に方法が無かったんだ。

 それに・・・俺が確信犯だとしたら、ルリちゃんは共犯だよ」

「・・・その辺が確信犯なんですよ」

ルリちゃん・・・今は特に無理してる様子じゃないな、

・・・考えすぎだったのか?



『基本的に二回目にそって話が進んでるね、今のところ』

〔ああ、そのほうが良いだろ、予定外のことが起こりにくい〕

『でも二回目と同じじゃいけないよ、結局ムネタケも逃げちゃったし・・・』

『何とかして助ける方法を考えないとね?』

〔そういえばそうだったな、ジュンの説得とかで忘れてた〕

『・・・アキト兄らしいね』

『そのために私たちがいるんじゃない』

〔ははは、頼むよ〕





「はじめまして!!新人パイロットのアマノ ヒカルで〜す!!」

結局二回目と同じくサツキミドリの避難組からパイロット三人娘を引き取った。

俺の行動の及ぶところでないから当然だが、やはり0G戦フレームをひとつ置いてきたらしい。

今回の嘘は逆にネルガルが隠しているからばれることはないだろう、

少なくともプロスさんたちがネルガルの本社に行くまではばれることはあるまい。

となると、ここは俺が行動するより、リョーコちゃんたちに任せてみるのもひとつの方法かな?

いや、今回はガイの奴が怪我してないから頭部ユニットもそのままにしといたほうが良いな、

一応今回は俺がやって、リョーコちゃんたちは鍛えてからってことにするか。



ベベベン・・・



う、この音は、

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

ピシッ



備えあれば憂いなし・・・だな。

「イズミさんの話を聞いていた乗組員全員が、意識不明です。

 ・・・どうしますかアキトさん?」

「ま、俺とルリちゃんがいれば落ちることはないだろ」

そういえばディアたちにも時間が停止する・・・とか、

思い出すことを本能が拒否するって感覚はあるのだろうか?

〔おい、ディア、ブロス、大丈夫か?〕

『『・・・・・・・・・・・・』』

どうやらあるらしいな、そういえばあの後オモイカネにアクセスしたらあのときのデータだけきれいに消えてたしな・・・

恐るべし、イズミさんの精神攻撃!!





その後やはり今後の作戦を話し合うためブリッジに主要メンバーが集まったのだが・・・

「ねえねえ!!この船に乗ってる二人のパイロットってだれなんですか?」

二回目と同じようにヒカルちゃん・・・おっとこう言ったせいであのあとルリちゃんにお仕置きされたんだっけ?

アマノさん・・・言いにくいな、後であっちからヒカルでいいって言うように誘導しないと・・・

そんなこと俺にできるわけ無いな、ディアにでも頼むか。

とにかくアマノさんが質問している。

さて、今回はどうなるかな? 「え〜と、一人は・・・」

「俺がこのナデシコのパイロット、ダイゴウジ ガイだ〜〜〜〜!!!!」

「というわけでこの方が一人目のパイロットのヤマダ・・・」

「ダイゴウジ ガイ!!」

「魂の名がダイゴウジ ガイで、戸籍上の名前はヤマダ ジロウだそうだ」

いいかげん話が進まないので俺が一気に言った。

「魂の名?変なの」

「下らんこと言わねーでヤマダで良いじゃねーかよ、ヤマダで」

「魂の名・・・たましいのな・・・(諸事情により削除)」

三者三様の反応を示す三人、ちなみに二回目ともなれば耐性ができたのか、

こうなることを予想してたのかイズミさんの精神攻撃の被害を受けた人はいなかった。

結構なことだ。

「・・・で、この人が我がナデシコの誇るエースパイロットのテンカワ アキトです!!

 そして私の王(モガッ!!)」

「・・・艦長、今はそんなことを言っている場合じゃないでしょう?

 サツキミドリに残された、0G戦フレームの回収の話を先決させて下さい」

・・・やっぱり基本は二回目と同じか・・・

まだ成長してないな・・・当然か。早いとこ成長してくれるとうれしいんだが・・・

「御免ね〜艦長、プロスさん怒ると恐いんだもん」

「・・・で、結局は回収に向かうんだろ?」

「ええ、それは是非ともお願いいたしますよ。」

「・・・でも0G戦フレームは4つしかありませんよ。

 だれが・・・」

「俺は重装フレームで良い、あれでも一応活動できるんでしょう?」

「ええ、理論上は・・・

 しかし、あれではほとんど機動戦以前にバランスをとること自体不可能ですよ?

 私としてはテンカワさんには0G戦フレームで・・・」

「俺以外じゃ無理ですよ、重装フレームで宇宙空間での機動戦は・・・」

「しかし・・・」

「誰も残る気が無いんでしょう?ならこれ以外に手はありませんよ?」

「ですが経済的に・・・」

「いいじゃねーか、テンカワ・・・だっけ?がそれでいいって言ってんだから」

「大丈夫ですよ、傷がついたら修理費は俺の給料から引いていいですから」

「はぁ・・・ならいいでしょう」

・・・プロスさん相変わらず現金な・・・

結局今回もユリカは作戦会議に参加しなかった。

ユリカ・・・確りしてくれ・・・

「クスン・・・ルリちゃん、皆が私を苛めるの・・・

 この間も皆私を無視してたし・・・私、艦長さんなのに・・・

 ねぇ、私って・・・何?」

「わかりません、私、少女ですから。

 でも・・・その答えは自分で探さないと意味がないじゃないんですか?」

艦長の何たるか、か

最初の時は悩んでたけど、二回目はここでは悩まなかったな・・・

まぁ、二回目よりは成長してるって事か?



サツキミドリに向かう俺たち、今回はガイも一緒だ。

やはり今回も途中でリョー・・・スバルさん(言いにくい!!)から通信が入った。

ピッ!

「そういえばテンカワ、お前本当に凄腕のパイロットだな!!

 地球圏脱出の戦闘記録見せてもらったぜ!!

 それにその重装フレームでよくバランス取れるな。

 機体制御用のバーニア使うにしても、

 宇宙で使うことなんか考えてねーからオートバランサーきかねーだろ?

 どうやってんだ?まさかフルマニュアルか?」

「ああ、時間があれば、オートバランサーのデータもできたんだけどな」

「し、信じられねー奴だな・・・」

ピッ!

「そうだよね〜、とても人間業とは思えない腕前よね」

「・・・同感」

・・・今回もウインドウの開く音がしなかったな・・・

まぁ、予想してたから良いが、心臓に悪いぞ。

「誉めても何も出てこないよ、スバルさん、アマノさん、イズミさん・・・でいいんだよね?」

「ああ、俺のことはリョーコでいいぜ、

 同じパイロット同士で仲間だからな、他人行儀は苦手だしな」

「了解」

「私もヒカルでいいからね、アキト君!!」

「はいはい了解しました、それより見えてきたぞ」

これで普通に呼べるな、全く疲れる・・・

「じゃあ俺が・・・」

「俺が先頭だぁーー!!俺につづけぇぇーーー!!」

「お、おい、ガイ!」

・・・仕方ないか、あのデビルエステバリスがそう簡単に落ちるとも思えんしな。





「デビルエステバリスだー!!!」

そういえばラピスも同じようなこと言ってたな。

何か元ネタでもあるのか?

まぁ、考えても仕方ないか、

前と同じく中々の素早さでデビルエステバリスがコロニー内を飛び回る。

「くそ、なんて速さで動くんだよ!!」

「見掛けは重そうなくせに!!」

「おい、男だったらちょこまか動いてないで正々堂々と勝負しろ!!」

ガイ・・・無人兵器に男も女もないと思うぞ・・・

まぁいいが・・・

さて、いつまでも遊んでるわけにも行かないし・・・

今回は頭部ユニットも残さないと・・・

取り敢えずライフルで狙って・・・

ドンドンドドドン!!

エステバリスを操っている無人兵器を直撃弾と跳弾によってすべて破壊する。

二回目と同じくちょっとした隠し芸を披露した気分だ。

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・

・・・なんだこの「間」は、二回目より難しいことをしたのは確かだが・・・

「種も仕掛けも御座いませんってな」

と、取り敢えず間を埋めないと・・・

「・・・う、嘘?」

「跳弾も全部計算済みってわけかよ」

「信じられない・・・とか言う次元じゃないわね、これは」

「俺の見せ場を奪いやがって・・・」

珍しくガイの声に力がない・・・

あはは、これは・・・やりすぎたかな?



「ふう・・・」

ナデシコの格納庫に帰還をし、一息つく。

確かこの後ルリちゃんから通信が入ったな・・・

・・・こっちから通信入れてみるかな?

ピッ!

「!!」

ちょうど通信を入れようとしたところらしく慌てている。

・・・面白い。

「ア、アキトさん、お帰りなさい。

 もう手加減無用で倒してるみたいですけど、良いんですか?」

「ああ、組織で一番って大見得を切った以上成果を出さないと・・・

 それに、俺が役に立つ所を見せておかないと、プロスさんは俺を警戒してるしね」

「・・・そうなんですか。

私はリョーコさん達に、自分の実力をアピールされているのかと思ってました」

・・・今回は戦闘前の会話にも気をつけたはずなんだが・・・

そういえばディアは『大して意味ないよ』って言ってたが・・・その通りになったな・・・なんで?

「あ、ああ。

 リョーコちゃんたちも鍛えとかないとこの先どうなるかわかんないからね。

 少なくとも二回目は一回目より激しい戦いだったから・・・

 俺の実力を見せないと、あのリョーコちゃんがおとなしく俺の指導を受けると思うかい?」

「そんな事言ってるから・・・過去と同じ状態になるんです!!」

どうしても二回目と同じ流れになるな・・・

〔ディア、どういうことだ?〕

『・・・はぁ、つまり客観的にはアキト兄は、リョーコさんに自分のかっこいいところを見せつけた、

 ってことになるの、わかった?』

・・・なるほど、そういうことか・・・

「仕方ないだろ?他にどうすればよかったんだよ?」

「知りません!!」

ピッ!

んな逆切れされたって困るんだが・・・

〔なぁディア、この場合どうすればよかったんだ?〕

『うーん、結局アキト兄の選択がベストではないにしろベター・・・

 少なくとも長期的にみれば、選べる選択肢の中ではベストなんだけど・・・

 まぁ、そうと解っていても割り切れないことってあるでしょ?』

〔・・・まぁ、な〕

『ルリ姉の気持ちもわかってあげてよ』

〔・・・つまり俺がリョ−コちゃんと仲良くなるのが気に入らない・・・って事か?〕

『アキト兄としては上出来だね』

〔・・・違うのか?〕

『100点じゃないね。でもそれだけ解ってれば十分だって、後はフォローを確りすれば』

・・・どこに問題があるんだ?

まぁいいが・・・

って最近こればっかだな、

とにかく後でチキンライスでも持っていくか・・・





あとがき

というわけで、「育て方」の第八話です。

うーん、「代理人の感想」じゃありませんけど、ユリカが虐げられています。

まぁ、ルリ君が単なるオペレーターでも今の状態のユリカはそれ以下ですから・・・

艦長には少なくとも、明確な活動目的をもっていてほしいと思うのです。

どこに流されていくか解らない、流木のような艦長について行く者などそうそういないでしょうから・・・

仮に薄幸の美少女風のキャラで、強いカリスマ性でもあれば、

この艦長を守ってやろう!!という気持ちでついて行く人もかなりいるでしょうが・・・

少なくとも、今のユリカについて行く人はジュン君ぐらいのものでしょう。

少なくともユリカのレベルがひとつ上がるまでは、ユリカの扱いはこのような形になります。



追記

この話は、人の精神的成長がメインテーマなので仕方ないのかもしれませんが、

どうも私の言いたいことが伝わらないようなので、今回から「私的キャラの精神分析」

つまり「育て方」の世界でのキャラの説明をはじめさせていただきます。

記念すべき第一回は、本作品のヒロイン「ルリ君(「育て方」以前〜第八話編)」です。

私は、彼女は非常に責任感の強いキャラだと思います。

イメージ的には「フルメタ」の、テレサ テスタロッサ大佐や

「エヴァ」の、惣流 アスカ ラングレーの精神状態に近いと思います。

特にアスカは、「エヴァ」が人の内面についてを描いた作品ですので、

解りやすいでしょうか?

彼女は、生まれたときから「モルモット」として生きてきました。

「モルモット」とは、いい結果を得られないのであれば捨てられる存在ですから、

彼女は幼いころから「結果」を出すことを強要されていたであろう事は間違いないと思います。

さらにナデシコに乗ってからは、若干11才ながらオペレーターという、

艦長にも劣らぬ重要職に、しかもサブオペレーターもいない状態で置かれました。

仮にサブオペレーターがいれば、彼女の負担はかなり減ったでしょうが、

彼女は一人だったので、年中無休、正規労働時間以外にも二十四時間準待機状態という

少女にはかなり過酷な生活を強要されます。

ナデシコを降りてからは、少しは余裕ができたでしょうが、アキト君たちの「死亡」を機に

宇宙軍に入ってからは、成功例のマシンチャイルド、最強戦艦ナデシコの元クルー、

電子の妖精、宇宙軍最年少の少佐、最強戦艦の後続機[ナデシコB]の艦長、

として[勝って当然、負けることなど罷り為らぬ]という空気の中にいたのです。

普通の少女なら絶えられないと思うのですが、彼女はこれを正面から受け止めたのだと思います。

常に人の[期待]を集めていた彼女は[期待に応えねば]という意識が非常に強いのでしょう。

アキト君を追ったのも、[アキトさんが好きだから・・・]よりも「アキトさんとユリカさんの家族として・・・」

の責任感のほうが強かったものと思います。

アキト君とユリカと自分が、元のようになるという考え以外なら、なんとでもなったはずですから。

また、ハーリーに対する彼女の気持ちも複雑です。

おそらく第一にあるのは[艦長としての責任]でしょう。

これは、「フルメタ」の台詞の受け売りですが、

艦長が一人を特別扱いすると、他の者の士気にかかわる

というような意味の台詞がありました。

彼女は艦長として彼の気持ちに応えるわけにはいかなかったのです。

しかし、はっきり断ってしまっては、艦長とオペレーターの間がギクシャクするのは目に見えていますし、

現状維持以外の策がなかったのでしょう。

第二にあるのは「姉としての責任」だと思います。

姉として、彼の淡い恋心を無残に砕くわけにはいかなかったのでしょう。

第三にあるのは「マシンチャイルドの先輩としての責任」でしょう。

マシンチャイルドの先輩として、彼を一人前のオペレ−ターにしなくてはならないため、

失恋という重荷を背負わせるのがためらわれたものと思います。

第四にあるのは「自分と重ねている」という気持ちではないでしょうか?

同じマシンチャイルドとして、自分を特別扱いしない、自分と同類の女性に好意を抱く・・・

彼の気持ちは、痛いほど理解できたものと思います。

これに自分を特別扱いせず、初めて一人の女性として扱ってくれたアキト君を好きになり、

結局結ばれることができなかった自分を重ねてしまい、どうしても断りきれなかったものと思います。

第五に、「はじめて自分を異性として好きになってくれた異性としての気持ち」でしょう。

自分を異性として意識してくれるというのは、相手がストーカーであるとか、

一線を超えてしまったマニアであるとか言わない限り、相手が好きなタイプであろうがなかろうが、

相手を異性として見られようがみれまいが、やはりうれしいものです。

彼女はおそらく彼がはじめて自分を好きになってくれた異性なのでしょう。

少なくとも、彼女が気づいた中では初めてだろうと思います。

どう扱って良いか解らなかったのではないでしょうか?

小学生同士のカップルなんてえてしてあのようなものですから・・・

以上が「育て方以前」におけるルリ君のハーリーに対する感情です。

彼女が責任感の異常に強いタイプでなければ、おそらくハーリーは簡単に玉砕して、

確かに一時的に落ち込むでしょうが、そのうち吹っ切れてもう少し大人ななるでしょう。

このあたりにも出ていますが、ルリ君は責任感が強すぎるあまり、視野が極端に狭くなっています。

このことは、「育て方」におけるアキト君との関係にも現れており、

彼女が、短絡的に「アキトさんのため」と思ってやっていることが、逆に彼を苦しめているのです。

彼女は、艦長としては準一流でしょうし、オペレーターとしては超一流ですが、

人間としては三流もいいところで、アキト君と根本的なところで同じタイプなのだと思います。

「時の流れに」におけるアキト君の真意、

つまりすべてが終わった後自分が消えようという考えを受け入れることができず、

支えることができずに、その責任感に押しつぶされてしまったのが、

「時の流れに」におけるルリ君なのではないでしょうか?

他の話や、「時の流れに」本編ではどうか知りませんが、少なくとも「育て方」では、

この設定にしたがって、彼女を成長させていくつもりです。

因みによほどやむを得ぬ事情がない限り壊しません。

 

 

代理人の感想

 

・・・ホウメイさんとの会話とその後のフォローの仕方を見る限り、

単に理解してなかったとしか思えないんですが(爆)。

ハーリー君が自分を好きだという事実、「データ」そのものじゃなくて

それがどう影響を及ぼすかという「心の機微」、

それに対してどう対処してやるべきかって言うことの「必要性」と「ノウハウ」を、です。

つまりこれが彼女の人間としての未熟であり艦長としての未熟です。

揚げ足を取るようでなんですが、「人間として三流」というのは

ほぼイコールで「人の上に立つものとして三流」と言えます。

人間はコンピューターでもなければプログラムでもないわけですから。

 

また「人間として三流」と言うのは「世界にアキトしかいない」ラピスほどではありませんが

彼女にとっての「世界」が極めて狭いと言うのも一因かと思われます。

極端な話、家族友人など「大切な人間」が幸せならそれ以外はどうでもいい

と思っている節がありますから。

「私」の義があって「公」の義がない・・・・これって、非常に少女漫画的な世界観だよなぁ(爆)。

 

私がルリを「単なるオペレーター」と断言するのはそのあたりの事情がひとつと、

第六話のユリカのような、「大切な人間を見殺しにしてでも艦を助ける」決断ができるかどうか心許ない、

というのがもう一つですね。

ユリカのあの決断がある限り、今のユリカであってもルリやアキトよりは上と考えます。

・・・極めて微妙なラインですが(笑)。

 

 

 

追伸

小学生を「女の子」として扱うことはあっても

「女」として扱うのはごく少数派の趣味の持ち主に限られるではないのでしょうか(爆)。

 

ま〜、アキトがそのごく少数派の趣味の持ち主ではないという気は余りありませんが(超爆)