「大丈夫です、コンピュータを壊したって、
壊す前に計算してほかのコンピュータに送ったデータが、
消えるわけじゃありません。
問題ありません、私が責任持ちます。
艦長命令です、遺跡に侵入して相転移炉を暴走させます。
総員退艦してください、拒否は認めません。
私は暴走する寸前にジャンプで脱出します」
「反対です」
「艦長命令です、拒否は認めません」
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
「これで、戦争も終わる・・・アキトと、一緒に小さなお店で・・・キャ」
ドガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン
機動戦艦ナデシコIF broken relic
巻の壱
「アキトォ、早く逃げないと」
「でも、親父たちが・・・」
「おじさんたちならネルガルの研究所でしょ?
大丈夫だよ、あそこは火星で一番安全だっていつも言ってるじゃない」
「そうか?まあ親父たちも子供じゃないんだ、危ないんなら自分で逃げるだろ」
俺はそう判断して逃げることにした。
「ねぇアキトォ、何なんだろうね、突然避難命令なんて?」
「・・・・・・
おまえなぁ、おまえ一応士官学校の主席なんだろ?
俺より詳しいのが普通だろ」
「え?ねぇねぇほんとに何があったの?」
「おまえな、新聞ぐらい読め、テレビでもうるさいぐらい言ってるだろ?
木星蜥蜴とか言うのが攻めてきたんだよ」
「木星蜥蜴ぇ?」
「木星の方向からきた正体不明のエイリアンだよ。
まあ、お前がニュースなんか見てるはずもないけど、これくらい知っとけ」
まったく、こいつは俺より年上なのに、精神年齢が10歳ぐらいだからな。
「うーん、でも地球に行ってどうしよう?」
こいつは・・・また下らんこと考えてるな。
ユリカ、それはやめろ」
「え?まだ何も言ってないよ」
「俺と一緒に住むつもりだろう、
お前は地球の士官学校に転校するんだろ?
俺はどこかのレストランにでも住み込みで働くつもりだから、
お前を連れて行くわけには行かないし、
どこになるかわからんから学校にいける場所かもわからんぞ?
士官学校なら寮ぐらいあるだろうが。
そうか、お前が手続きなんかやっているわけないか・・・
仕方ないな、俺がやってやるから」
「うーん、仕方ないか・・・じゃあお願いね」
よし、これでこいつと別れられる、
こいつのせいで小さいころからやたらと苦労するし、彼女もできなかったし、
できても邪魔されてすぐに別れることになるし・・・
あえて言おう、こいつは邪魔者であると
「ねぇアキト、住む場所決まったら連絡してね、
お休みの日には遊びに行くから」
「難しいな、食堂は普通土日祝日は忙しいだろう、遊べないと思うぞ」
「ええーーー、ならならぁ、レストランで働くのなんかやめてぇ・・・」
「いやだ」
「うりゅ、うぇーーんアキトォ、アキトがいじめるぅーーー」
・・・なぜ俺にいじめられて俺に泣きつくんだこいつは!
お前はここで待ってろ、チケットを取ってくるから」
「うん、気をつけてね」
気をつけるも何も危険なことは何もないと思うけどな。
「いってらっしゃーーーーい!!!」
「ああ」
恥ずかしいからやめろ、この馬鹿が。
チケットを取りに歩いていると、俺は一人で泣いている女の子を発見した。
「あれ、どうしたんだ?」
「あのねあのね、ママったらひどいんだよ、アイのこと置いてちゃうんだもん」
「そうか、じゃあアイちゃん、お兄ちゃんと一緒にママを探そうか?」
「うん」
この人だかりだ、下手したら二度と会えないからな。
チケットは・・・まだ大丈夫だろ。
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
「あぁーー、ママだぁ、おぉーい、ママァァァ」
「ア、アイどこに行ってたの」
「ママが勝手にどこかにいちゃったんだよ」
「そうね、ごめんね、アイ」
「ううんいいよ、あのねあのね、このお兄ちゃんがママ探すの手伝ってくれたの」
「あら、すいません、ご迷惑おかけして」
「いいですよ、困ったときはお互い様ですから」
「本当にすいません」
「いいですって。
アイちゃん、よかったね、ママが見つかって」
「うん、
あのねあのね、アイね、お礼にね、お兄ちゃんとデートしてあげる」
「まあ、アイったら」
「ははは、それは光栄だね、じゃあ今度会った時・・・」
「だめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
み、耳がっ・・・
「だめだめだめ、ぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇたいにだめ!
アキト、浮気は絶対に許さないんだから」
ユリカ、五歳の子に本気で嫉妬するか普通?
・・・こいつならしかねないな。
「あら?残念ねアイ、お兄ちゃんにはもう恋人がいるんだって」
「別にこいつはそんなんじゃありませんよ」
「もう、アキトったら照れちゃってぇ」
いや本気なんだが・・・
「ええーー、お兄ちゃんもう彼女がいるの?なら・・・アイお兄ちゃんの愛人になる」
「だめ、浮気は絶対に許しま・・・」
ドガッ
「すいません、俺たち急ぎますんで・・・」
「そ、そうですか、ではお気をつけて」
「じゃあね、アイちゃん」
「バイバーイ、お兄ちゃん」
ずるずるずるずる
俺はユリカを引きずりながらアイちゃん親子と別れた。
巻の弐に続く
あとがき
すいません「育て方」を書かずにこんなもの書いてしまいました。
私が悪いのではありません、全部電波が悪いのです。
まあそれは置いておくといたしまして、
みてわかる通りTV版再構成ものです。
あの時ユリカが遺跡を破壊したら・・・
というわけで、この世界にはジャンプがありません。
そのため、ジャンプについてネルガルと争っていませんので、アキト君のご両親も御存命です。
また軍も火星から撤退していませんので、ユリカはずっと火星に住んでいます。
アキト君も本編より遥かに恵まれた環境で料理の修行をしていますので、
若いながら相当な腕のコックという設定です。
また、ユリカに振り回され続けたため、やたらと感が鋭くなっています。
特技は人の行動を先読みすることです。
特にユリカの行動パターンは完全に読んでいます。
ユリカとアキト君の関係は・・・みたまんまですね。
この後の流れとしては、ネルガル(アカツキの父親なんかも生きています)が、
火星にある資材とアキト君の父親など、人材の回収と、
軍に自社製品をPRするためナデシコを作りますので、やはり乗り込んでもらいます。
さすがにイネスさんは出てきませんが、
代わりにアキト君なご両親(母親はイネスさんとそっくりな性格にする予定。父親は・・・考え中)
を火星で回収する予定です。
ジュン君は・・・このあとユリカに出会って一目ぼれしてもらいます。
ではこの話もよろしくお願いいたします。
代理人の感想
ボソンジャンプなし!?
これはまた大胆な・・・・。
しかし、だとすれば木連の侵攻速度も僅かに鈍ることにはなるでしょうし、
ひょっとしたら地球は無傷のままで残るかもしれません。
ボソンジャンプが存在しないということは、つまり無人兵器の基本戦術の一つである
「まずチューリップを送りこみ、大量のバッタやジョロを迅速に投入する」が不可能になるわけで、
艦隊戦はともかく地上戦、局地戦では随分と話が違ってきます。
戦艦クラスをビッグバリアで防ぐことができれば地球本土は完全に防衛できるでしょう。
なんにせよ、展開が大きく変わってくるのは確実ですし
何より、劇場版の話は絶対に起り得なくなると言うのはいい事です(爆)。