「ニュースです。
昨夜十時から本日正午までのの木星蜥蜴の襲撃地点、
ならびに被害は、以下のとおりです。
また、現在襲撃されている地点は以下のとおりです。
木星蜥蜴の進路上に在住の方は、速やかに避難してください」
機動戦艦ナデシコIF broken relic
巻の弐
戦争が始まって約一年。
戦局は極めて悪い・・・
木星蜥蜴・・・
噂によると、昔何らかの理由で木星に移住した人・・・
(連合に反対した人たちが、木星に逃げ出しただとか、
瞬間移動実験のミスで、木星に飛ばされた人だとか、
無責任な噂が飛び交っているが・・・)
とにかく地球人だという噂もあるが・・・
それはともかく、数で押す連合だったが、
木星軍の兵器は、性能で圧倒的有利を誇っていて、
特に連合軍では、五年前にネルガルが初めて戦艦に装備させることに成功させ、
二年前にネルガルの汎用機動兵器エステバリスにも装備された、
ディストーション・フィールド・・・
同じく四年前に戦艦クラスに装備させることに成功した
グラビティ・ブラスト・・・
この二つを、機動兵器・・・バッタは標準装備しており、
そのどちらもかなりの高出力を誇る・・・
もちろん連合が勝っている部分もあり、
ディストーション・フィールドコントコール技術や、通信・探索技術がそれで、
ディストーション・フィールド接触、電磁気的処理を加えることで、
一時的にフィールドを中和する”フィールドランサー”
ディストーション・フィールドを、任意の方向に収束させる技術は、
強力な盾としてはもちろん、
攻撃に転化も可能で、それを使った兵器、
”DFS”は、使うのにかなりの集中力が必要なものの、
特にコンピュータ関係に優れているネルガルの、
最新のエステバリス装備されているレベルのコンピュータによるサポートがあれば、
これも一瞬だが、戦艦や空母クラスすら、
ディストーション・フィールドごと切断できる光の剣を形成できる。
特に半年前明日香インダストリーが完成させたECSは、
一時的・・・二分程度だが、
レーダーはもとより目視ですら確認できない・・・完全に透明にさせる装置で、
さすがに戦艦並に大きいものを消すことはできないものの、
明日香インダストリー製の機動兵器"エグザバイト"には、標準装備されている。
これが完成してからは、
少なくとも明日香の本社のある極東方面では、かなり有利に事が運んでいる。
とはいっても、配備された数自体少ないし、
戦局に影響を与えるほどの戦果も、
まだあがっていないが・・・
おかげでネルガルの製品はあまり売れないらしい・・・
まぁ、バリアに関してはクリムゾンに分があるし、
ネルガル製の戦艦は、グラビティ・ブラストがあるとは言っても、
バッタに直撃したとか言うのならともかく、
バッタは機動性を活かして回避するし、
戦艦にはたとえ直撃しても、強力なディストーションフィールドのせいで、
まったくといっていいほどダメージを与えられない。
それなら、クリムゾンの戦艦・・・空母に近く、艦載機以外攻撃方法は特にないが、
とにかく強力なバリアに守られたそれに乗っていた方が、よっぽど役に立つ。
エステバリスに関しては、機動性が高いので、
フィールドランサーやDFSを使えば
戦艦相手でも互角以上に戦えるし、
いわゆる"エースパイロット"には愛用者が多いらしいが、
機動性は劣るものの、ECS装備の
エグザバイトの方が一般の兵士には使いやすいらしい。
一応両親ともにネルガルの研究者なので、
俺的にはエステバリスのほうがすきなんだけどな・・・
「お〜い、テンカワ!!
おまえに客だぞ!!」
客?
ユリカは・・・今は三時だから、この時間は軍の・・・
・・・て、何で俺がユリカの一日の予定を覚えていなくてはいけないんだ?
まぁ・・・あいつが毎日その日の出来事と、
明日の予定を延々話すからなんだが・・・
「はい、じゃぁ、この鍋お願いします」
俺は、素性の知れない俺を住み込みで働かせてくれている、
サイゾウさんに、鍋を任せると、その"客"に会うことにした。
「はい、
何ですか、俺に用って?」
俺の前には、ちょび髭にベストを着た男と、見るからに強そうな大男がいた。
ちなみに客はこの二人しか居らず、
しかも二人並んで座っているからには、二人ともその"客"だろう。
「はじめまして、私こういうもので・・・」
ちょび髭の男が名刺を差し出す。
「ネルガルの・・・プロスペクター・・・」
記憶にある。
確か、ネルガルSSの長・・・
数年前まで、火星にいたはずだ。
親父と仲がよかったらしく、突然転勤になったとき、
俺と同じでほとんど酒の飲めない親父が、珍しく飲んでたっけ?
「あなたが・・・はじめまして、
父からよく聞かされました」
「これはお耳汚しを・・・」
「いや、そんな・・・」
「ミスター」
「ああ、そうでした、私どもがきたのは、
テンカワ博士に付いて話すためではありません。
実は、あなたをスカウトにきたわけでして・・・」
「スカウト・・・ですか、スロスペクターさん・・・」
「プロスで結構ですよ、
で・・・いかがですか?」
「いかがですか?と、言われても・・・
もっと詳しく聞かせてくれないと・・・」
「はい、実はこのたびうちで新型の戦艦を製作することとなったのです。
で・・・その戦艦"ナデシコ"のコックとしてあなたを・・・」
戦艦?
限りなく嫌な予感がする・・・
「・・・一ついいですか?」
「はい、何でしょう?」
「何で俺なんですか、
と、言うより、俺を推薦したのは誰ですか?」
「それはミスマル ユリカさんです」
・・・やっぱり。
「俺はまだここで修行していたいんです。
すいませんがお引き取りください」
大方ユリカが"俺を乗せること"でも条件にしたんだろう。
まぁ、ユリカの作戦立案能力は、侮れないものがあるが・・・
あれほど軍人に向いていないやつも珍しいと思うぞ?
「そうですか・・・
しかし・・・」
ネルガルに協力したいのは山々なんだけどな。
「えぇ〜、実はこれは極秘事項なのですが・・・
ナデシコの目的地は火星です」
・・・火星?
「火星・・・ですか」
「はい、逃げ送れた人々と、ついでに資材の回収を・・・」
・・・逃げ遅れたといっても、あれだけ時間があったのだから、
逃げ送れた人はオリンポス研究所の人たちと、
・・・なんかの理由で町から遠く離れていた人ぐらいだろう。
オリンポス研究所は、最寄の空港まで一日はかかるからな。
しかし・・・
「親父たちを・・・」
「ネルガルの裏向きの最重要目的は、
テンカワ博士たちネルガルの研究員の救出でして・・・」
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
「解りました、乗ります」
「そうですか、ではこちらにサインを・・・」
こうして、俺は"ナデシコ"に乗ることとなった。
巻の参に続く
あとがき
うーん・・・
「育て方」と違って、書くのが大変ですね・・・この話は・・・
まぁ、もちろん終わらせます。
しかし、こちらの話の更新ペースは、かなりゆっくりしたものとなる予定です。
少なくとも「育て方」が完結するまでは・・・
「育て方」と比べると短いですが、
まぁ、はじめの数話は短いのがSSの宿命ということで・・・
でも、これを書くのに全部で五時間かかりました(電波乞いの儀式含む)
然し、寄り代の資格無き者の悲しさか、
レベルの高い神を降臨させることができず、
なんとも中途半端な結果に・・・
至高神を宿らせることができれば無敵なんですけどねぇ・・・
至高神大○鉾よ・・・何ゆえわれを見捨てたもうか・・・)
今回の話のメインは・・・状況説明ですね。
"代理人の感想"には、地球は無傷で・・・とありましたが、
木連、ネルガルともに、
ジャンプの研究をしなくてすむ分、技術がかなり進んでいます。
クリムゾンや明日香インダストリーの技術も、その影響で多少高くなっていますが・
・・
ナデシコに関しても、はじめからYユニット装備型ぐらいの能力があります。
ナデシコB位でも良いかも・・・
特に木連の兵器の性能は、かなりのものがあります。
バッタがグラビティ・ブラストを装備しているわけですから・・・
木連の方が、ジャンプ技術は進んでいましたからね・・・
とにかく、そのせいで迅速な艦隊移動こそないものの、
個々の戦闘においては、TV番以上に、
連合軍が負けています。
ナデシコ級の戦艦は特別ですが、
基本的に、ネルガル製の戦艦は攻撃力に
クリムゾン製の戦艦は防御力に、
明日香インダストリー製の戦艦は通信索敵能力に優れています。
追記のキャラ紹介(変更点の有るキャラ・オリキャラのみ)
と言うわけで、第一回はアキト君です。
天川 明人(テンカワ アキト)
年齢 十八(特にジャンプは関係してませんので、当然ですね)
両親は、相転移炉やディストーション・フィールドなどの研究のため、
たびたび極冠遺跡まで研究に行っていたので、
CCの研究をしていたTV番以上に家に居る事が少く、
両親に対する気持ちは複雑なものがある。
両親が暗殺されなかったので、
親と真剣に話し合う機会などもあり、
幼いころはともかく、今では一応認めているが・・・
親に対する感情は一応折り合いをつけているため、
ゲキ・ガンガーにはまったり、何かにつけて人に甘えるような行動をするなどといっ
た、
ピーターパンシンドローム的な部分は、良くも悪くもなくなっている。
と言うより、親に認めてもらいたい一心で、無理して“大人”を演じている・・・
しかし、その一方で、
TV番以上に世間知らずといえる部分があり、
サツキミドリが落とされて、落ち込んでいるメグミちゃんを、
励まして立ち直らせるような部分は、良くも悪くも持ち合わせていない。
また、アイちゃんに関するトラウマも持っていないため、
女性を傷つける事を、異常に恐れたりはしないが・・・
人間的にはともかく、技能的には全般的にTV版初期より上です。
代理人の感想
グラビティブラストを標準装備してるバッタ!(爆笑)
いや、凄いオーバースペック、凄い技術格差(笑)。
後、「ピーターパンシンドローム」と言うのは本質的には「変化しないことを望む」ことであり、
主に「社会生活に適応できない」ことがその症状として上げられるので
単なるガキっぽいのとは微妙に異なることに注意。