機動戦艦ナデシコ

遺失文明乱入？

第6話

「男の敵、テンカワアキトに天誅を！！」



「「「おおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ！！！！」」」




いきなりだが、ウリバタケを筆頭に、整備員達が雄たけびをあげていた。

さらに言えば、全身に殺気を纏っていた。

まあ理由は言わなくてもわかっているだろう。




「アキトさんに危害を加える人達に天罰を！！」



「「「はい！！！！」」」




それに対抗するは、嫉妬の妖精ホシノルリ率いる某同盟である。

こちらも殺る気満々である。







サツキミドリをから火星に向かい始めて約一ヶ月・・・。

火星圏までは、特にする事もなく、暇な某同盟と某組織は、幾度となく聖戦を繰り返した。

まあ、結果は某同盟の圧勝ではあったが・・・。


しかし毎回、毎回、ぼろぼろにされても某組織は諦めずに、
何度も某同盟に立ち向かっていった。

上の文だけなら、かっこいいのだが、
理由がもてる奴に対する嫉妬なので、無様である。
　



「みなのものよ！某同盟を退け、テンカワアキトを討つのだ！！」



「みなさん！某組織を完膚なきまで叩き潰しましょう！！」




２人の掛け声と共に、十数回目の聖戦はきっておとされた。

「おや？またですか・・・。」




ブリッジでプロスがため息をついた。




「ホント、ルリルリ達も、ウリバタケさん達も飽きないわねえ・・。」




同じように、ミナトもため息をついた。




「どうせ今回も某同盟の勝ちだろう？セイヤさん達もよくやるよな・・。」



たまたまブリッジに来ていた、ケインがあきれながら呟いた。




「むう・・・何度負けても、立ち向かう精神。

　神の戦士にふさわしいな。

　やつらを勧誘してみるか・・・。」




某組織の実力を評価し、

神の戦士ゴートが、信者を増やそうとしていた。



もし某組織全員が、ゴートにようになってしまったら、

余裕で某同盟に勝てると思うのは、私だけだろうか？










「あっ、そういえばケイン君。どうしてブリッジにいるの？

　何か特別な事がない限り、ここには来ないでしょ？」




ふと何かを思い出したように、ミナトがケインにたずねた。



「ん、ここにいる理由か？

　理由は簡単。キャナルが部屋で、例のものを作ってたから、

　それの被害を受けないうちに、ここに来たってわけだ。」



「何、その例のものって？」



「ケーキだよ。・・・いや、あれをケーキといっていいものかどうか・・・」



「どういう意味なの？」



「いやな、そのケーキ、俺は『ミステリーケーキ』って呼んでるんだが、

　見た目は普通のケーキと変わらないんだけど、

　その味が・・・何というか・・・言葉では表せないものなんだ。」




少し青ざめながら話すケイン。




「そう・・・でも、

　キャナルちゃんって料理得意じゃなかったっけ？」




「ああ。確かに得意だよ。しかしある人に出会って以来、

　なぜかその『ミステリーケーキ』を作るようになったんだ。」




「ある人って？」




「後が怖いから詳しい事はいえない。

　まあ、あえて言えば、『オレンジ色の悪夢』と『了承』を使いこなす人だ。」




「(汗)・・・なんなのその人？」




「・・・頼む・・・これ以上は聞かないでくれ。

　あの人の話はあまりしたくないんだ。(怖いから)」




ケインは何かを思い出し、気分が悪くなった。

その様子を見たミナトは、これ以上『あの人』の事を詮索するのを止めた。




「わかったわ。

　でもなんでキャナルちゃんは、その『ミステリーケーキ』を作るの？」




「なんでもキャナルに言わせれば、その辺のケーキより美味いそうだ。」




少しげんなりした声で答えるケイン。




「はあ・・・ほんっと、あのケーキだけは勘弁してほしいな。」




焦燥した顔でうなだれる。




「ケインさんもいろいろ苦労しているのですねえ。」




しみじみとプロスが呟く。

それを聞いたケインは幅涙を流しながら、




「わかってくれるか、プロスさん！(泣)」




と言い、プロスのかたを掴んだ。




「ええ。私も極楽トンボの会長のおかげで、苦労していますからね。」



「・・・そうかプロスさんもか・・・」

「はっ・・班長・・・俺達はもうだめです・・・・

　あとは・・・・・頼みます。」
　



聖戦が始まって僅か５分。

たったそれだけの時間で、某組織のメンバーは、ウリバタケを残して全滅した。

ただ１人残ったウリバタケも、ぼろぼろであった。





「さて、ウリバタケさん。残りはあなただけです。覚悟はいいですか？

　まあ今後一切、アキトさんに危害を加えようとしなければ、許してあげない事もないですが。」




嫉妬の妖精が、恐ろしい微笑をうかべながら問う。

それに対するウリバタケの返事は、




「それは出来ないな。俺達は男としてテンカワアキトに、天誅を下さねばならぬのだ。

　テンカワに天誅を与えるまで、俺達は何度でも立ち上がる！」




であった。




「そうですか。ならその度に、叩き潰してあげましょう。

　では、覚悟して下さいね。」






























「ぎゃあああああああっ！！！！！」

「おっ、どうやら聖戦が終わったみたいだな。」



「そのようですな。ならテンカワさんが、

　例の部屋に連れて行かれるのも、時間の問題でしょうな。」



「あら、どうして？」



《今回の聖戦の理由が、アキトとイツキがヴァーチャルルームで、

　デートしていたからだよね。》




ミナトの質問にオモイカネが答える。




「オモイカネの言うとおりだ。某組織を叩き潰した今、

　某同盟がアキトを狙う事は、当然の事だな。」




「アキト君がお仕置き受けるの、これで何回目になるのかしら・・・」




《聖戦の度に、お仕置きを受けているわけじゃないみたいだからね。

　だから今回で、だいたい５、６回目くらいかな。》



「しかし、火星までもう少し、木星蜥蜴がいつ襲って来ても不思議でない今、

　テンカワさんが動けなくなるのは、困りますなあ。」



「だったら、俺とキャナルでどうにかしようか？」



「お願いできますか？」



「ああ、まかせときな。」



「だったら、よろしくお願いします。」



「それじゃあ、すぐにでも行くとするか。

　急がないと、アキトが危ないからな。」




そう言うと、ケインは走ってブリッジを出て行った。

ケインが出て行った後のブリッジでは、

ミナトが不安な顔をしていた。




「ねえプロスさん、ケイン君とキャナルちゃんに任せて大丈夫なの？」



「あの２人なら大丈夫ですよ。『ロスト』の方々は、

　言った事はちゃんと守る人たちですから。

　ただ・・・・・」



「ただ？」



「逆に某同盟の方々が、動けなくなるかもしれませんなあ。」

ブリッジを出たケインは、自室の前にいた。




「おおーい、キャナルいるか？」




「あらケイン、ちょうどよかったわ。

　ついさっきケーキを作ったんだけど、「折角だが遠慮する。」



「むぅー・・まだ何も言ってないじゃない。」




セリフを遮られて拗ねるキャナル。




「それよりアキトを助けにいくぞ。」



「へっ？なんで。」



「もう少しで火星だからな。アキトが呆けていたらまずいだろ。」



「うーん・・・確かにそうね。」




そう言うとなにやら考え出すキャナル。




「わかったなら、さっさと行くぞキャナル。」




「あっ、ちょっと待って。」




そういってケインを呼び止めるキャナル。




「なんだ？急がないと間に合わないぞ。」




キャナルを急かすケイン。




「わかってるわよ。それよりアキトのほうは私に任せて、

　ケインは格納庫にいってくれないかしら。」



「それは別にかまわないが、どうするつもりだ？」



「それは秘密(＾＾)」



「・・・・わかったよ。あまり無茶な事はするなよ。」




どうやらケインは、これからキャナルがしようとすることに気付いてるようだ。




「ウィ、了解。」




「だったら、次の戦闘は俺１人で出るからな。んじゃ。」



「がんばってねえー・・・」




格納庫に向かうケインに手をふるキャナル。

ケインの姿が見えなくなると、部屋に入り先ほど作った物を手に取った。




「うふふふ・・・・折角作ったんだから、誰かに食べてもらわないとねえ。」




その時の笑顔は、恐ろしいほど怖かったと書いておこう。

ところ変わって、ここはお仕置き部屋。

この部屋で、今まさにアキトがお仕置きを受けようとしているところだった。




「だから俺がいったい何をしたって言うんだあーー！！！」



「おとなしくして下さいアキトさん。手元が狂ったら大変じゃないですか。」




「手元が狂ったらって、いったい何をしようとしてるんだ！？」



「ふふふそれは言えません。

　それではみなさん始めましょうか。」



「「「「「おぉー！！！！」



「いやだあーーー！！！！誰か助けてえーーー！！！！」




その声が聞こえたのか、某同盟以外、

無断で入る事が出来ないこの部屋に、誰かが入ってきた。




「ハイハイ〜、お邪魔させてもらうわよ。」



と、言いながら入ってきたのは、キャナルであった。

その表情は笑顔で、左手に小さな箱を抱えていた。




「なっ！どうやってこの部屋に！？」



「まっ、いいじゃないそんな些細な事は。

　それよりもアキトを借りていくわよ。」




「それはだめです。」




「どうしても？」



「どうしてもです！」



「・・・そうなら仕方がないわね。

　大人しく渡してくれたら酷い目にあわなくてすんだのに・・・」




そう呟くと、持ってきた箱を開いた。

箱から取り出したのは、何の変哲もないただのケーキだった。



ヒュンッ



そのケーキを手に取った瞬間、キャナルの姿が掻き消えた。








「「「「「「うっっ！！！」」」」」」




キャナルが消えてから数秒後、

某同盟のメンバーはいきなり倒れた。

よく見ると、その口には先ほどのケーキがつっこまれていた。




「うん、今回のはいい出来ね。

　でもまだまだあの人の物には遠いなあ。

　これからも改良を加えないとね♪」




結果に満足したようで、ご機嫌のキャナル。




「あっ、ありがとうキャナルちゃん。おかげで助かったよ。」



「いいっていいって、仲間じゃない♪

　それより早く格納庫に向かいなさい。そろそろ蜥蜴が襲ってくるわよ。」



「ああ、わかった。でもキャナルちゃんはどうするんだい？」



「私は、今回はパス。する事があるからね。」



「そうか、わかったよ。」




ズガァァァァァン！！！！




「ほら言ってるそばからきたみたいよ。」



「わかってる。それじゃあ。」




アキトは軽く礼をすると、急いで格納庫に向かった。




「ようやく火星か・・・・

　これからどうなるかしらね。」

つづく

後書き

ＡＲＸ−７：どうも作者のＡＲＸ−７です。

？？？：・・・・どうも。

ＡＲＸ−７：おや君は、私のオリキャラの１人ではないか。

？？？：はい・・・こんにちは、みなさん。

ＡＲＸ−７：キャナルはどうした？

？？？：・・・あなたの後書きに付き合うのに疲れたそうです・・・

ＡＲＸ−７：むっ、そうか・・・まあいい。それよりなにか聞きたい事は？

？？？：・・・『あの人』は出てくるの？

ＡＲＸ−７：短編のほうで出そうと思っています。他の方々も。

？？？：そう・・・・それじゃあ、いつ『あの人』と出会ったの？

ＡＲＸ−７：ナデシコに乗る９ヶ月前くらいかな。

？？？：・・・わかった・・・最後に・・・私はいつ出てくるの？

ＡＲＸ−７：そのうちにだします。

？？？：そう・・・じゃあ・・・とりあえずこれ食べてです・・・

ＡＲＸ−７：なっ、これは『オレンジ色の悪(邪)夢』！なぜこんなものがここに！？

？？？：・・・あの人に持っていけって頼まれたからです・・・

ＡＲＸ−７：・・・食べなければいけないのですか？

？？？：・・・だめです・・・

ＡＲＸ−７：・・・・・・・了解・・・・・・・・


ぱくっ

ＡＲＸ−７：うっ！！！これが『オレンジ色の悪(邪)夢』・・・・

ばたっ

？？？：あ・・・・

ＡＲＸ−７：・・・・・・・・・・・

？？？：・・・作者が倒れたので今日はここまでです・・・

代理人の感想

・・・・何の為に作ってるんだ、ミステリーケーキ(汗)。

もしかして毒殺料理なのか(爆)！？