「──────とまあ、それ以来アキトの奴はちょっと変わったよ。なんでも一人で抱えちまう所は同じでも、なんてゆーのかな・・・・・・ちっとは『生きよう』って気になった。そんな感じだ。」
───そうですか・・・・・・いや確かに、俄には信じられない話ですね。
「だろ?」
───しかし、エリカさんは霊感があるとの噂もありますし、全く有り得ない話でもないですね。
「そうだな・・・・・・後、付け加えるとすれば『サクラの魔力』ってとこか?」
───サクラの魔力、ですか。
「ああ。昔から言うだろ?」
───そうですね。そういう関係の話は、良く聞きます。
「アイツのことが心配で心配でたまらない誰かさんの想いを、あのサクラが受け取って華開かせた・・・・・・なんて考えれば、ロマンチックだろ?」
───はい。いい話です・・・・・・
「・・・・・・そう。そうなんだよな。ここで終わってれば、どっから見たって『良い話』なんだよ。」
───・・・・・・あの?
「それをまったく、あの野郎は・・・・・・」
───あ、あの? もしかして、続きがあるんですか?
「・・・それはだな」
「うひーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」
「アーキートーさーーーーーーーーーん! 待ってくださーーーーーーーーーーーーーーーい!!」
───・・・・・・・・・・・・・・・・
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
───あ・・・・・・あのー、今のひょっとして・・・・・・?
「・・・・・・お察しの通り。」
───も、もしかして何か影響が残ってしまったとか・・・・・・?
「いや。なんでも『波長が合った』らしい。」
───えーっと、それってつまり・・・・・・
「ま、端的に言うとだ。なんにも構えていない『生アキト』に惚れちまったッて〜事だな」
───そ、そうですか。
「まったく、難儀な野郎だよ、アイツは。・・・ま、そこがいいのかもしれんがね。」
───と、とにかく本日はありがとうございました。
※編者注:
この「エリカ・フォンティーヌの場合」は出版されず、流出した記事が一部好事家の間で「幻の外典」と呼ばれていた。
数々の矛盾に満ちたこの物語は、贋作であることが発覚したために中止された、とも言われている。
しかし、今回この本を編纂するにあたり、敢えてこのエピソードもピックアップしてみた。
常識も理論も越えた『漆黒の戦神』の、真の姿に迫る一助になれば幸いである。
◇ ◇ ◇
春。それは出会いの季節。
「アーキートーさんってばーーーーーーーーー!!」
サクラ。それは芽生えの象徴。
「だーーーーーーーーーっ! なんでいっつも俺ばっかりこんな目にーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?」
冷たい冬に割れた心も、いつかはきっと咲くだろう。
「・・・やれやれ。アイツ、やっぱり変わってねえかな?」
見下ろせば。満開のサクラと、何時もの風景。
ひらりひらりと、舞うは生命の万華鏡。
想いを乗せて、咲いて散る。
世は全て、事もなし。
代理人の感想
うむっ。
うむっ。
うむっ!
読め! 泣け! そして笑え!