機動戦艦ナデシコ
ORIGINAL GENERATION






プロローグ?







此処は連合宇宙軍病院の特別個室

病室のネームプレートには、『テンカワ・カケル』と記されていた

そこのベッドには、黒髪の青年が静かに眠っていた

年の頃は17、8くらいだろうか

見た感じでは、特に異常など見当たらないのだが

彼はかれこれ、3年近くも眠り続けているのだ

その病室に、一人の男と医者が入ってきた

男はネルガルの落ち目の会長、『アカツキ・ナガレ』だった



アカツキ「先生、彼の状態はどうなんですか?」



アカツキの質問に、医者は首を横に振る



医者「現代医学では彼の目を覚まさせる事は不可能です」



早い話が、サジを投げられたということだ

この3年間、色々な手を尽くしたが、カケルは目覚めなかった

栄養剤の点滴だけの為、体は随分と衰弱していた



アカツキ「まったく・・・見るに耐えないよ」



アカツキはカケルから目を背ける

そこに一人の青年と一人の一人の少女が部屋に入ってきた

黒装束を纏い、黒のバイザーをした青年『テンカワ・アキト』

桃色の髪、白い肌、そして、金色の目の少女『ラピス・ラズリ』



アキト「・・・これがカケルなのか?」



アキトは自分の義弟の姿を見て、少なからず驚いた

ナノマシンが発光した



ラピス「この人はだれ?」


アキト「俺の義弟だ」


ラピス「アキトのおとうと・・・」



ラピスは物珍しそうな顔で見つめていた

未だに目覚めない青年の顔を



アカツキ「それでテンカワくん、本当に行くのかい?」


アキト「ああ」



アカツキの質問に、アキトは静かに肯定する

静かな声だが、そこには確かな決意がある



アキト「アカツキ、カケルを頼む。行こう、ラピス」


ラピス「うん」



アキトはラピスを連れて部屋を出て行く

アカツキはそれを黙って見送るだけだった

それから再び、カケルに目を向けると、そこには驚くべき光景があった



アカツキ「カケルくん!?」



閉じられた目から涙が零れていた

まるで、これから起きる悲しみを知ったかのように









それから数ヶ月の時が経った

テレビではヒサゴプランのターミナルコロニーが破壊されたとニュースになっていた

アカツキはその事件の真相を知っていた



アカツキ「カケルくん。テンカワくんが行動を起こしたよ
      止められなかった僕を、君は許してはくれないだろうね」



未だに目覚めぬカケルに懺悔するアカツキ

何度もアキトを止めようとしたが、止められなかった自分を責める

机の上に目を向けると、花瓶に花が活けていた



アカツキ「ルリくんが送ってくれた花だよ。彼女は宇宙から動けないからね」



『ホシノ・ルリ』

彼女は連合宇宙軍少佐で、最年少で艦長になった『電子の妖精』だ



アカツキ「さて、僕はそろそろ帰るよ」



アカツキは静かに部屋から出て行く

それからしばらくして、地震で病院全体が揺れる

その振動でカケルはベッドから落ちてしまう

机の引き出しの中から一つのペンダントが転がる

星の形をして、中心に眼が刻まれた黄金のペンダントだ

そのペンダントが一瞬光り、その光がカケルを照らす



カケル「・・・うっ・・・・・・」



カケルの口から声が漏れた

さらに、少しずつ目が開かれる



カケル「・・・此処は・・・俺は・・・生きてる・・・・・・」



自分の手を握り締めようとするが、手に力が入らない

それでも脱力感から、自分が生きてる事を理解できた

ベッドの手摺を掴み、なんとか立ち上がる

すると、扉が開いて、一人の看護婦が入ってきた



看護婦「あ・・・あっ・・・」



カケルを見た看護婦は錯乱している

少し落ち着いたと思ったら、いきなり病室を飛び出した

それからしばらくして、数人の医者が押し寄せてきて、取り押さえられてしまう

自由の利かない体では抵抗などできるはずもなかった

それから色々な検査をされ、半ば無理矢理に食事を取らされたあと

一つの立派な個室に招かれる

少しして、部屋にアカツキが入ってきた



アカツキ「カケルくん!!」


カケル「あっ、アカツキさん。しばらく見ない間に随分と老けましたね
     失敗や心配事続きで、気苦労が絶えないんですか?」


アカツキ「ははは・・・まるで見てきたように言うね」



アカツキは苦笑して答える

実際にカケルがアカツキ達を最後に見たのは3年前だ

そんなふうに思っても不思議ではない



アカツキ「自覚してないようだから説明しとくよ。ちなみに、説明おばさんは出てこないよ」



アカツキはカケルが、あの事件から3年間眠り続けていた間の事を説明した

あくまで"あの事"は伏せていた



カケル「なるほど。まっ、3年も寝てたらこれも納得できる」



全身の筋力の低下

なんとか動く事はできるが、普段どおりとはいかない



アカツキ「しばらくは静養したまえ。それからゆっくりとリハビリすればいい
      ホシノくんには僕から連絡しとくから、体調が良くなったら会いに行けばいいさ」


カケル「そうするよ。早く会いたいから」



カケルはゆっくりと立ち上がった

足取りが危うく、ふらついてバランスを崩しそうになり

アカツキが支えに入るが、それを静止する



カケル「大丈夫だから、あんまり甘やかさないでよ」



それだけ言うと、部屋を出て自分の病室へと戻っていく



アカツキ「やれやれ、ほんと元気だね〜。だから期待しちゃうじゃないか」



どんな時でもバカみたいに必死に前に進む

そんなカケルだからこそ安心と期待を抱いてしまう



アカツキ「テンカワくんを止められるとしたら、それは彼だろうね」



アカツキは雨上がりの青空を見て呟いた





それからさらに月日が流れ

運命の歯車はゆっくりとだが、確実に動き始めていた











星の数ほど、人がいて




星の数ほど、出会いがあり




星の数ほど、別れがある




そして・・・・・・









夢に終わりが無いと感じたのは




いつからだっただろうか




永遠に続く儚い夢




人は見続ける




運命という名の夢を



















〜〜〜あとがき〜〜〜




どうも、初めてSSを書いてみました

友人にも見てもらったのですが

評価は未熟とのことでした

それでも、何処が未熟かは教えてもらえませんでした

ですので、皆さんの意見や感想、疑問点や注意点など

思った事や気づいた事はバンバン言ってください

心の底から歓迎いたします

それらを生かして自分も成長して行きたいと思います

てな訳で、何卒よろしくお願いします


 

管理人の感想

アテムさんからの投稿です。

どうやらオリキャラのカケル君が主人公のようですね。

ストーリーの時間軸は劇場版もしくは、劇場版アフターかな?

ユリカについては何も書かれていないので、その安否が気になります。

どうやらカケル君とルリには何らかの関係があるみたいですが、その辺りの説明は次回ですかね。

それでは、次の作品も頑張って下さいね!!