機動戦艦ナデシコ
ORIGINAL GENERATION






第4話

みんなで逢おう『同窓会







ユーチャリスが地球へ向けて出航してからしばらくして

此処、連合宇宙軍基地の総司令室

そこには総司令たるミスマル・コウイチロウと秋山源八郎

そこに呼び出されたルリ、サブロウタ、ハーリーの計5人がいた

何やら深刻の話をしている



サブロウタ「ナデシコしぃ!?」


コウイチロウ「そう、三代目のナデシコ。A、B、CのC」



コウイチロウとルリの間に幾つかのウインドウが開く

そこには新しいナデシコが建造されている様子が映し出されていた

それはほとんど完成しているように見える



コウイチロウ「現在、ネルガルの月ドックにおいて、最終チェック中だ」


秋山「君たちは、独立ナデシコ部隊として遺跡奪還の極秘任務にあたってほしい」


ルリ「じゃあ正規の軍人さんは使わない方がいいですね」



ルリは会話の内容から全ての事態を把握した

軍の上層部は火星の後継者と繋がっている可能性が極めて高いし

連合宇宙軍は肩身が狭く、そこにネルガルが絡んできたら、統合軍の上層部が黙っちゃいないだろう

何だかんだと理由を付け、無理矢理統合軍の軍人を加えられ、そこに内通者が紛れているかもしれないからだ

ルリの洞察力や理解力、判断力は、とても16歳の少女とは思えないくらいに素晴らしい



秋山「その通り!」



なぜか力説する秋山

もっとも、正規の軍人が使えないとなると、一つ問題が出てくる



サブロウタ「でも、艦を動かす人員はどうするンすか?」



誰もが思う疑問を問う

すると・・・・・・



???????「アッハッハッ、お任せください」


「「え?」」



何処からともなく声が聞こえてきた

サブロウタとハーリーはそれに驚き、周囲を見回してみるが

やはり誰も見当たらない

すると、水槽の裏側から一人の男が現れた



プロスペクター「♪水の中から、こんにちわ―――ッ」














あれから4人は基地近くの公園へと移動していた

自販機で缶ジュースを買い、近くのベンチに腰掛ける

一息吐いたところでプロスペクターは一枚の名刺を差し出した



プロスペクター「という訳で、わたくしどもがお手伝いすることになりました」



サブロウタとハーリーは、差し出された名刺とプロスペクターを見比べる

疑問に満ちた瞳で質問をしてみる



サブロウタ「プロスペクター・・・・・・」


ハーリー「本名ですか?」



それを聞いたプロスペクターは笑いながら答える



プロスペクター「いやいや、ペンネームみたいなもので・・・・・・」



それから一つのメモ帳を取り出す

そこに何が記入されているか気になるのだが、あくまで追求しない



プロスペクター「それでは各人手分けして、人集めといきましょうか
          歴史はまた繰り返す。ま、ちょっとした同窓会みたいなもんですかな・・・・・・」


ルリ「はい」



まだ事を理解してないサブロウタとハーリーを尻目に笑みを浮べる

それは本当に嬉しそうだ



プロスペクター「まー、それにしてもルリさん、久しぶりですねー」


ルリ「ええ、ホントウに・・・・・・」



懐かしい人との会話に和んでいたところに、何やらコミュニケにメールが届いた

ルリのアドレスを知っている人間は極僅かに限られている

それを他の連中に見られないようにメールを開く



ルリ「!?」



開かれたメール、それはカケルからのメールだった

あれから何度も連絡を取ろうとしたが、連絡先が分からなかったが

幸いカケルはルリのアドレスを知っていたのでメールを送ってきたのだ




こんにちはルリちゃん


連絡が遅れてゴメンね


あれから俺も義兄さんも、何とか無事にアマテラスを脱出できたよ


もっとも、すぐに分かれちゃったけどね


そんなわけで、2人とも無事だから


その事だけは、どうしても伝えておきたかったんだ


今はまだ無理だけど、近いうちに会いに行くよ


それじゃ、ルリちゃんもがんばって




ルリはメールを読み終え、それを閉じる

安堵と喜びの為か、誰にも気づかれないように静かに笑みを浮べた

それからプロスペクターと別れ

それぞれ担当の場所へと向かうのだった














その頃

カケルとラピスは一件の家の前にやって来ていた

その家の表札にはウリバタケと記されていた



ラピス「こんどは此処なの?」


カケル「そうだよ」



ちなみに、なぜカケルとラピスが一緒にウリバタケの家を訪ねているかというと

それは前日に遡る

アキトは火星の後継者との戦いの為に、ネルガルの特別施設で検査を受ける事になっていた

それでその間、カケルにラピスを預ける事にしたのだ

理由としてはまず、ラピスはカケルに懐いている

それに戦闘能力も高いので、万一敵に発見されても守り抜くだろう

ネルガルのシークレットサービスに囲まれて時を過ごすよりずっと安全だ

カケルと一緒にナデシコの元クルーと接触すれば、感性も豊かになるだろうと考えたからだ

そんな訳で、二人は一緒に行動している



カケル「さてと・・・・・・」



カケルは一歩踏み出してインターホンを鳴らす

だが、鳴らしてしばらくしても誰も出てこなかった

以前訪ねた時には大変なお出迎いがあったのだが



ラピス「出てこないね」


カケル「う〜ん・・・・・・留守なのかな・・・・・・」



もう一度インターホンを鳴らすが、やはり反応がない

仕方がないので出直そうと、その場を後にしようとしたとき

玄関のドアが開き、中から一人の妊婦が顔を出した

ウリバタケ・セイヤの妻、ウリバタケ・オリエだ



オリエ「あの、どちら様でしょうか?」



ラピスは初対面なのだが、カケルとは面識があるはずなのだが

どうやら完璧に忘れてしまっているようだ



カケル「カケルです。一度屋台の件で会ってるんですけど、覚えていませんか?」



それを聞き、オリエはカケルとラピスを"マジマジ"と見つめる

すると、何かを思い出したらしい



オリエ「ああ、あなたは確か、テンカワさんのところの」


カケル「はい。あの説はお世話になりました」



丁寧にお辞儀をするカケル

だが、二人は多少の苦笑を浮べていた

あのときの出来事を思い出したからだ














あれは3年前

カケルが家族4人でウリバタケ家を訪れたときである

4人が玄関の前に差し掛かると



ウリバタケ「うぎゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



突然ウリバタケの叫び声が聞こえてきた

その声に紛れて、物やガラスの割れる音や、子供の泣き声が聞こえてくる



ルリ「戦闘中みたいですね」


アキト「そう・・・・・・みたいだね」



アキトが恐る恐る玄関を開けようとしたとき

突然何かが飛び出してきた



アキト「うわッ!?」



それはアキトの横を突き抜けると、地面に転がる

カケルは落ちた物に近づいて、それを確認する

それを見て顔が少し青褪めてしまった



カケル「これ・・・・・・包丁だ」


ユリカ「ええッ!?」



これには超天然娘のユリカもビックリだ

よく見ると、刃先に赤い液体が付着している



ルリ「ウリバタケさんのモノでしょうか?」


カケル「分からない。中に入って確認しようか?」


アキト「そ、そうだな。ごめんください」



アキトが先頭を切り、中に入ると

そこにはオリエにタワーブリッジをかけられたウリバタケの姿があった

ロ○ンマスクやケビ○マスク顔負けの、見事なタワーブリッジだった



ルリ「完璧に決まってますね」


カケル「うん。あれを抜け出すのはウリバタケさんには不可能だよ」



最初から冷静なルリと、冷静さを取り戻したカケル

二人は冷静に状況を判断して見守っている

その間にもウリバタケは泡を吐いていた



アキト「セイヤさん!」



アキトが慌てて止めに入ろうとした瞬間



オリエ「ふんッ!!」



オリエは気合と共にさらに力を込める

すると"バキッ"という音がした



ウリバタケ「ぎゃあ――――!ロープ、ロープ・・・・・・ロープって言ってんだろ!!



言うまでもなく、当然ロープなど何処にもない

それからしばらくウリバタケの地獄は続き、一段落ぢたのか、ようやく解放された

かなり疲れた様子だったが、アキトの顔を見て立ち上がる



ウリバタケ「よく来たな、待ってたぜ」



まるで何事もなかったように話し掛けてくる

それはそれで凄い事なのだが

アキトはそれより、なぜあんな状態だったのかが気になった



アキト「あの・・・・・・何があったんですか?」



その言葉に反応したオリエが号泣する

それから一番近くにいたカケルの肩を掴んだ

これにはカケルを含め、アキトたち3人も驚いた



オリエ「あんたたち、聞いてよ」



カケルの肩を掴む手にさらに力が入る



オリエ「この人ったら、家に帰ってきても模型ばかり作って、ロクに仕事もしないのよ
     たまに仕事が来ても、気に入らないとか言って追い返しちゃうし・・・・・・」


ウリバタケ「ばかやろう、俺は仕事を選ぶんだよ!この俺にしか出来ない仕事をよ!!
       俺を必要としてくれる仲間のために、この腕はあるのさ!」



それを聞いて、オリエの手にさらに力が入り

カケルの肩の骨の軋む音が聞こえてくるようだ



カケル「あ、あの・・・・・・痛いんですけど」



もはや1000万パワーの超人並みの力で握り締めるオリエ

カケルの声も聞こえてない


骨の軋む音がどんどん大きくなる



オリエ「だったらアレは何なのよ!!」



オリエが指差した方向にある物

それを見たアキトが声を上げる



アキト「あ、あれは?」


ウリバタケ「屋台だ」



確かに屋台に見えなくもない

だが、異状なまでにハイテク化された屋台だった

こんなのを好き好んで使う物好きがいるとはとても思えない

気が付くと、オリエはカケルの肩から手を放して泣き崩れていた



オリエ「これから、上の子が幼稚園に上がるんで、お金を貯めてたのに・・・・・・
    それがこんな物に変わって・・・・・・うわァ―――――!!


ルリ「典型的な家庭崩壊図ですね」



血も涙もない事を言うルリ


カケル「義兄さんと義姉さんの末路もああなるのかな」



カケルはカケルで不吉な事を言う


ちなにみ肩を握り潰されそうになった事を根に持っているわけではない


思ったことを正直に口に出しただけである



アキト「あの、奥さんが泣いてますけど」


ウリバタケ「ええい、気にするな。俺はなお前に連絡をもらって、すごく嬉しかったぜ
       仲間のためになら女房やガキ供を質に入れてでも、用立ててやるぜ」



恐ろしい事を誇らしげに言うウリバタケ

それを聞いてルリは思った



ルリ(もし私が結婚するとしても、絶対にウリバタケさんのような人とはしたくありませんね
   アキトさんやカケルさんなら、そんな心配なく幸せに・・・・・・いけません、何を考えてるんでしょうか
   不謹慎ですね、私・・・・・・)



かつての淡い恋と、新しく始まりそうな恋

その二つの恋の間に揺れていた


当の一人であるカケルは何かを思ったかのように



カケル「あのさ、この騒ぎの元凶って義兄さんだったりする?」



それを聞いてアキトが硬直する

当たらずとも遠からずな発言だったからだ

そこにユリカがオリエに声を掛ける



ユリカ「奥様のご恩は決して忘れません。この屋台を使って、アキトがラーメン屋を始めた時
     お金は利子を付けてお返しいたします。それまでは私たちを信じて下さい」



その言葉を聞いて、何とかオリエは落ち着いた

そんなオリエをを無視して、ウリバタケは語る



ウリバタケ「これは全天候型自走式耐熱耐寒スペシャル屋台だ。車輪にはエステバリスの駆動システムを採用し
       ディストーションフィールドで暑さ寒さもなんのその。もってけ泥棒、お客さん!!」


アキト「なんか屋台って気が全然しないな・・・・・・やっぱ雨の日は休みたいし」


カケル(義兄さん、これは雨や休み以前の問題だろ)



などと思っているが、あえて口に出さない

ふと見てみると、ウリバタケがアキトに迫っていた



ウリバタケ「俺の仕事に文句あるのか?」



こんなふうに迫られると、アキトは反論できない

このままではこの怪しい屋台を渡されてしまうだろう

そんなとき



「「はっきり言って、使えない」」



カケルとルリのセリフが見事にハモった

二人にしてみれば当たり前の言葉だったのだが

その言葉はオリエにショックを与えるには充分な代物だった



オリエ「ううっ、うわあ―――――ッ!!



そんなオリエをユリカが再び慰めるが、その顔は引き攣っていた

そんな二人を他所に、非難の声は終わらず続き



カケル「義兄さん、どう考えてもこの屋台は使えないよ」


ルリ「そうですね。お客さんには逃げられて、警察に捕まるのがオチでしょう」


アキト「う〜ん、そうだな」



とうとうアキトもサジを投げた

元々こんな如何わしい屋台が存在すること事態が間違いなのだ

だが、それでめげるウリバタケではなかった



ウリバタケ「よーし、こうなったら俺も男だ。男の仕事にケチつけられちゃあ、黙っちゃいねえ
       裏に行ってみな、そこにお前らの望む普通の屋台がある」


アキト「ほんとに?」



それを聞いてアキトが裏に出て行った

そこには・・・・・・確かに普通の屋台があった



アキト「普通の屋台だ!さすがウリバタケさん」


ウリバタケ「まあ、こんな事もあろうかと!あッ、こんな事もあろうかと!!そっちも準備しておいたのさ!」



屋台を見て喜ぶアキト

それとは反対に、オリエはまた泣き出しそうだ



オリエ「あんた、なにもそこまで・・・・・・」


ユリカ「あ、あの〜・・・・・・」



必死にオリエを慰めるための言葉を捜すが、ココまで来てはどうしようもない

そこにルリが追い討ちを掛けるように



ルリ「最初からこれだけ作ってればよかったんじゃないですか?」


オリエ「ううう、うわァ――――――――!!



ルリの言葉に泣き崩れるオリエ

もはやユリカも掛ける言葉がなかった

ここまで来れば、どのみち何を言っても立ち直るのは不可能だろう



アキト「と、とにかく、これでラーメン屋台を始められる」


ウリバタケ「うんうん、やっぱり仕事をやり終えた後ってのは気持ち良いもんだねぇ〜。はっはっは」



周りの空気も読めずに高笑いするウリバタケ

その後、天国と地獄の絵図はしばらく続いた














カケル「あの時は・・・・・・悲惨でしたね」


オリエ「はい。あの時・・・本当に済みませんでした」



オリエは済まなそうに謝る

あのときの状況を思い出したら当然かもしれない


もっとも、そんな事は全然気にしていないのだが



カケル「いえ、それよりウリバタケさんはちゃんと仕事はしてますか?」



それを聞いたオリエの目に涙が浮かぶ

どうやら触れてはならない話題に触れてしまったようだ

再びあの時の惨劇が繰り返される予感がした



オリエ「聞いておくれよ。あの人ったら、相変わらず仕事にも就かずに毎日毎日模型作り
     借金の借用書も溜まる一方なのよ」



そこまで聞けば、ウリバタケ家の現状は痛いほど分かる

これなら話もしやすい



カケル「そうですか、それは大変ですね。だったらウリバタケさんがしたくなる仕事を紹介しましょうか?」


オリエ「本当ですか!?」



心の底から嬉しそうな顔をする

話を聞いた限りでは、本当に生活に困っているようだ

それなら内容を話しても大丈夫だろう



カケル「昔のようにナデシコに乗ってもらいたいんですよ
     短い期間だと思いますけど、その分給料は弾みますから」


オリエ「ナデシコ・・・・・・ですか・・・・・・」



ナデシコの名でオリエの表情が変わった

これは軽率だったと思ったが、それは間違いだった

オリエは急ぎ家に入り、出て来たと思ったら通帳と印鑑を出す



オリエ「あの、給料は全てこちらの口座に入れてください」


カケル「え?」


オリエ「あの人の事です。絶対に給料が入った瞬間、よからぬ物を造るのにつぎ込むに決まってます!
     ですから、そうならないようにお願いします!!」



どうやらウリバタケの信頼性は皆無にまで落胆していたようだ

もはや心配すらしてもらえないこの状況

それどころか、命より金の話が優先されてしまっている



カケル「それは構いませんよ。それじゃウリバタケさんは?」


オリエ「今は出かけています。帰ってくるのは夕方くらいになると思いますから
     首に鎖を繋いででも連れて行ってください」



どうやらオリエは随分と逞しくなったものだ

あっさりと話が付いてしまった

しかし、ここまでイってしまっていては同情の余地すらない



カケル「だったらこの契約書にサインを」



カケルは一枚の契約書を差し出した

オリエはその内容など確認せず、あっさりとサインした

すると、さっきまで"キョトン"としていたラピスがカケルの服の袖を引っ張る



ラピス「ねえ、終わった?」



随分静かでおかしいと思っていたら、どうやら退屈していたらしい

まあ、話の内容が内容なだけに、それはしかたないだろう



オリエ「ごめんなさいね。それにしても、確かホシノさんでしたっけ?髪の色を変えたんですか?」



オリエはラピスをルリだと勘違いしているようだ

似ているといえば似ているので無理もない

容姿もそうだが、何より雰囲気が似ているのだ



カケル「違います。似てるかもしれませんけど、別人ですよ」



カケルはラピスの事を簡単、かつ詳しい事には一切触れずに説明した

それで納得してもらい、ラピスを紹介しようとしたのだが、いかせん人見知りが超激しい

やはりカケルとアキト以外はまったく受け付けないようだ

これ以上長居してもしょうがない

ここはもう帰る事にした



カケル「それじゃ俺たちはこの辺で失礼します」


オリエ「はい。あの人の事、よろしくお願いします」



何だかんだ言っても旦那の事は心配なのだろう

軽く頭を下げてカケルとラピスはウリバタケ家を後にした














ココはオオイソシティにある私立の高等学校

夏休みだというのに、グランドには野球やサッカーなどの部活動をしている生徒が賑わっていた

さらに教室には、ワザワザ学校まで来て学業に精を出している生徒も多数いた

これには一学期の期末テストで成績のかんばしくない人間と、学業に勤しむ人間の2種類がいる

教卓の前には教師であるハルカ・ミナトが手元の時計を見ていた

時刻がちょうど12:00を示し、昼に差し掛かったところだ



ミナト「さて、時間になったので今日はここまでにします」



その一言で教室全体の空気がゆくっりと弛緩する



ケンジ「終わった終わったぁー。メシに行こうぜ」


タケシ「おう。何処に食いに行く?」


マナブ「僕は勉強がありますので、今回は遠慮させてもらいます」


マナミ「それより来週の夏祭りはどうする?」


アイナ「彼氏でもいれば一緒に行きたいなぁ〜」



反応は人によってそれぞれだ

みんな午後やこれからの予定で盛り上がっている

一部勉強しか頭にない連中も混じっているが、あくまで一部だ

そんな騒がしい生徒たちにミナトがクギを刺す



ミナト「コラコラ〜、後ろの席の人はさっさとプリントを集めて提出しなさい
    それと、補習組は来週までにこの課題を提出してね」


「「「「「「「「「「ええ〜〜〜〜〜〜〜!!」」」」」」」」」」



補習組の絶叫が木魂する

その机にはかなりの量のプリントが置かれていた

どう考えても補習組に選ばれた連中が来週までにできる量ではない

それでも補習組はプリントを受け取ると、渋々とカバンにしまう



ミチル「じゃーね、ハルカ先生。また明日ね〜」


ミナト「はい、じゃあね。寄り道しないで帰るのよ」


ミチル「は〜い」



"あっ"という間に教室から生徒たちの姿が消える

勉強に対しても、これぐらい純粋に取り組んでくれたらと思いながらプリントを整理する

窓から外を眺めると、夏の日差しが差し伸べていた



ミナト「ふう〜、今日もいい天気ね〜」



軽く背伸びをし、プリントを持って教室を出る

廊下をゆっくりと歩き、階段を下りて職員室へと向かう

職員室の入口の前には一組の男女が立っていた

学校の生徒なら、注意するなり何なりして終わりなのだが

男の方はミナトの知った、それでいて以外な人物だった



ミナト「カ、カケル・・・・・・くん?」



我が目を疑い、プリントを"バサバサ"と落とす














3人は高校から少し離れた繁華街のファミレスに来ていた

現在ランチタイムの真っ最中なので、学生や親子連れの客で賑わっていた

カケルとラピス、テーブルを境にして反対側にミナトが座っている

カケルの前にはコーラが、ミナトの前にはアイスコーヒーのグラスが置かれている

ラピスにはオレンジジュースとイチゴのショートケーキが置かれていた

ちなみに、ラピスのジュースとケーキはカケルが注文したものである

なにせラピスは、ファミレスはもちろんの事、外食などしたことがないからだ



ミナト「それで、今日はどういった用件で私の所に来たのかしら
    まさか、私に会いに来たってだけじゃないんでしょ?」



流石に鋭い

この人が相手だと下手な小細工は通用しない



カケル「ネルガルの人から連絡が入ってると思うんですけど・・・・・・」



話を持ちかけた瞬間

ミナトの表情が真剣なものへと変わる



ミナト「一応ね。またナデシコに乗って欲しいんでしょ」


カケル「はい」


ミナト「まさかと思うけど、その話、ユキナにもしたの?」


カケル「いいえ」


ミナト「そう、それはよかったわ。それが心配だったんだけど、安心したわ
    だったら言うまでもないでしょ。プロスさんにも伝えたけど、私、乗るつもりはないから」


カケル「そうですか・・・・・・」



思っていた通りの答えだった

今さら戦争だの軍だのに関わりたくはないだろう

それに今はユキナも一緒に暮らしているのだ

ユキナが今回の事を知ったら、絶対に!間違いなく!どんな手を使ってでも首を突っ込んでくるに違いない

そんなことになれば確実に被害が及んでしまうだろう

それに関してはカケルも理解しているし、無理強いをするつもりもない



カケル「仕方ないですね。それじゃあ一つだけお願いがあります
     せめて彼女に、ルリちゃんに一目だけでも会ってあげてくれませんか?」


ミナト「ルリルリに?」


カケル「はい。今度の件に対してかなり無理をしていると思います
     でも、それを表に出したりはしないでしょうから、だから・・・・・・」



カケルの言葉は最後まで続かなかった

ミナトが思いっきりテーブルを"バン!"と叩く

ラピスを初め、周囲の客や店員の視線が集まる



ミナト「勝手な事言わないで!!それならあなたが側に居てあげるべきでしょ!!
    それとも何、まさかルリルリからその娘に乗り換えたって言うの!?」



"ビシッ"とラピスに向かって指を指す

当のラピスは話が飲み込めないが、ミナトの剣幕に脅え振るえている

そんなラピスの肩に手を添え、優しく抱き寄せる

それに安心したのか、体の震えが次第に引いていく



カケル「別に乗り換えたりはしていませんよ」


ミナト「だったらなぜ一緒にいるの?」


カケル「ネルガルに護衛を頼まれたんです」



本当ではないが、嘘でもない

ネルガルではないが、アキトに護衛を頼まれたのは真実だ

それを聞いたミナトは軽く溜め息を吐くが、表情は険しいままだった



ミナト「でも、ただ護衛してるだけじゃないんでしょ?」



本当に鋭い人だ

これ以上問いただされるとボロが出てしまう可能性がある

そんなカケルの心境を知る事もなく、ミナトの激昂は続く



ミナト「だいたいね、あの娘が無理をするようになったのは・・・・・・」


カケル「俺に責任があるんでしょ」



さっきまで笑っていたカケルの表情が変わった



カケル「義兄さんと義姉さんの事故での心の傷が癒えかけた矢先、俺もあんなふうに意識を失ってしまった
     それを自分のせいだと思い込んでるんでしょ」



カケルの言葉に"カッ"ときたのか、ミナトは思いっきり頬に平手打ちをした

"パーン"という音が店内に響き渡る

またしても周囲の視線を一同に浴びる事になった

普通なら簡単に避わせるのだが、贖罪の為か、ワザとそれをうけた

叩かれた頬は真っ赤になっている



ミナト「そこまで分かっているなら、どうして会ってあげないの!!
    あの娘はね、あなたの意識が戻るのをずっと待っていたのよ!!」



そんな事は言われるまでもなく分かっていた



カケル「分かってますよ」



決して痛みがない訳じゃない

気の入ってない状態では普通の人間と変わらないので、かなりの痛みが走るが

それでもカケルの表情は変わらず、その眼はミナトを見続けていた

その瞳には一点の曇りもなく、3年前のそのものだった

そんな瞳の輝きを信じたのか



ミナト「・・・・・・分かったわ。ルリルリに会ってあげる」



ミナトがルリに会う事を承認した

それが本当に嬉しく、自然に笑みが零れる



ミナト「でも、その為には一つ条件があるわ」


カケル「条件?」


ミナト「あなたが一度、ルリルリに面と向かって会うこと。それが条件よ」



カケルは考える

ミナトは知らないが、アマテラスで面と向かって会ってたりするが

それを話すとまた話が拗れそうな気がするので、ここは黙っておく事にする

それを考慮した上で答えを出す



カケル「その条件、飲みます」



交渉は成立した

それからラピスに食事を勧める

一口食したら、まるで子供のように食べ始めた

それは見ていて和むものがある

ラピスが食事を終えると、3人は席を立って外に出た



カケル「それじゃ、そちらの都合に合わせて向かいへ行きますけど、待ち合わせなどは何処にしますか?」



ミナト「そうね、あなたはまだ一度も顔を出してない場所があるでしょ
    場所はそこにしましょう。いえ、そこにするわよ」



まだ一度も行っていない場所

それはアキトとユリカの埋葬されている(されてないけど)テンカワ家の墓だ

カケルは一度としてそこを訪れた事はなかった

二人の死を信じられず、受け止められず、現実から逃げ続けて、眼を背けていた

そんなカケルが、現実を受け止めていたルリを支えていたのだから世の中分からない

昔だったら断ったかもしれないけど、今は現実を見つめる事ができる



カケル(俺も大人になったな〜)



精神年齢はそんなに変わらないはずだが、色々な現実を見過ぎて成長したのだ

今なら何だって受け止められそうな気がするくらいだ

生きている人間の墓に行くくらい何てことはない



カケル「分かりました。日時などが決まりましたら、このナンバーにメールを送ってください」



ナンバーアドレスをミナトに渡す

ミナトはそれを折り曲げてカバンにしまった



カケル「それじゃ、俺たちはこれで失礼します」



"ぺコリ"と頭を下げ、その場かた立ち去ろうとしたとき



ミナト「最後に一つ聞かせて。あなたのルリルリに対する気持ちを」



突然の質問を投げられた

ミナトはラピスがカケルに対する気持ちを気づいている

信頼以上の好意を寄せていることに

それでありながらの質問なのだ



カケル「俺の気持ちは昔と変わってませんよ。ルリちゃんの事は好きだし、必ず守ってみせます
     たとえ近くにいられなくてもね。これが答えです」



そう言って再び足を進める

ミナトは3年前と変わらないカケルの背中を見ながら一言



ミナト「ホントに・・・・・・バカなんだから」



その言葉はカケルの耳には届かず、風となって消え行く














現ナデシコのクルー

ルリ、ハーリー、サブロウタの3人は、私服で街中を歩いていた

そんな中で、一人ハーリーだけが何やら騒がしい



ハーリー「ボクらがいるじゃないですか。ボクら三人なら敵なんて・・・・・・勝てますよ!!」



どうやらハーリーは今回の件が気に入らないようだ

そんなハーリーは無視して、旧ナデシコのクルーの一人が住むアパートを訪ねた

インターホンを鳴らすと、中から一人の女性が現れた



ルリ「ごめんください」


ヒカル「うわあ〜、久し振りだネ、ルリルリ♪」



目は充血し、その下にはクマまで作りながらも笑顔で迎える

三人は誘われるようにヒカルの部屋へと案内された

そこにはヒカルの書いているマンガの原稿が置いてあった



「 「おお――――ッ!!おおおお―――――ッ♪」 」



その原稿を食い込むように眺める



サブロウタ「ナマだぁ―――、マンガの生原稿だぁ―――


ハーリー「プロの線ってスゴイですねー」


サブロウタ「うう―――ん」


ハーリー「おおおー」



勝手に盛り上がっている二人をよそに、ルリはヒカルに事の事情を話す



ヒカル「ナデシコしぃ?」


ルリ「今度の作戦は極秘任務なので、正規の軍人は使えなくて、それで・・・・・・」


ヒカル「ふ―――ん。うん、いいよ」



ヒカルは少し考えただけで、あっさりOKを出した

それにハーリーとサブロウタは驚く



ハーリー「いともあっさり」


ルリ「でも、連載あるんですよネ?」



ルリはヒカルのあっさりした性格に慣れている

それでも一応素朴な疑問をしてみた

すると、ヒカルは怪しい笑みを浮かべ、涙しながら、ガッシリとルリの手を握る



ヒカル「ふふ。ふふふふふふふ・・・・・・
    ホント丁度よかった。明日締め切りなのに
    アシの子が急病やらお見合いやらで困ってたのよネ―――


ルリ「はぁ、それは」














それからヒカルを中心にルリはサブロウタがアシを担当する

ただ一人、ハーリーだけ姿が見えない

それというのも、ハーリーは子供の特権を利用した電話番をさせられていた



ハーリー「ボク、小さいから難しい事はわかんな〜い」


編集者「え!?先生!?先生!?」



何やら目に黒線が入った人のウインドウが叫んでいるが、それを無視して切る

その後で溜め息を漏らす



ハーリー「は〜、自己嫌悪・・・・・・」



ハーリーは自分が軍人である事に誇りを持っている

さらに自分が子供扱いされるのを嫌っている

それが子供の特権を翳しまくっているのだから、それは自己嫌悪もするだろう

そんなハーリーの心境など誰も気づかない



ヒカル「は〜いOK、OK、その調子〜」



左団扇を仰ぎながら褒め称える

それから部屋へ戻り、ルリとサブロウタに指示を出す



ヒカル「ルリルリ、そこ61でカゲパイルね」


ルリ「はい」



ルリは以前にも何度か手伝った事があるので、流石に手馴れていた

下手なアシよりよほど優れている



ヒカル「サブちゃん、点描そこラブリーにネ」


サブロウタ「うぃーっス」



黙々と背景を書いていくサブロウタ

以外に器用な手付きだったりする



ヒカル「ハーリーくん、カレーは超辛で」


ハーリー「はぁ〜い」



泣きながらカレーを煮詰めるハーリー

もう完全に投げやり状態だ

そんな様子を見ながら、ヒカルは物思いに浸っていた



ヒカル「いや〜、歴史は繰り返されるって言うけど、ホントだよね〜
    1人で無理でも4人なら何とかなる!!あの時も何とかなった
    さ―――っあと12ページ、昔みたいに頑張ろ―――ッ!!」



そう、かつてヒカルが漫画家になる転機が訪れた

少女漫画誌に何度も投稿するが、見事なまでに落ちまくっていた

そこにアキトが熱血物の少年誌を提案した

その意見を取り入れ、思いきって少年誌に転向することにした

時間が足りなくて、カケルとルリも電話で呼び出された

ユリカは幸い(?)にも軍の会議に呼び出されていた

それから数日間の徹夜が続き、半分死にかけながらも〆切りギリギリに完成させた原稿

それが見事に入選してしまい、今では連載を迎えるほどに売れていた



ルリ(本当に、懐かしいですね)



それから4人は徹夜で原稿を仕上げる事になった

徹夜が一日だけなので3年前よりはまだマシだったそうな・・・・・・














ココはとある歓楽街

その中にある一つのBAR『花目子』

そこのママは、旧ナデシコクルーのマキ・イズミがしている

イズミはウクレレを弾きながら歌っていた



イズミ「♪一歩二歩三歩・・・・・・散歩のときは連れてって・・・・・・ダメよポチは犬だから〜」



中々独特的な歌だ

分かる人には分かるのだろうが、普通の人には分からないだろう

その歌を聴きながら、プロスペクターはカウンターでグラスを傾けていた



バーテン「・・・・・・ママの知り合いで?」


プロスペクター「戦友です」



カウンター横のコルクボードには、ナデシコ時代の写真が幾つも貼りつけられている



イズミ「歩けば棒に当てられる・・・・・・棒の当たり局、そりゃバット・・・・・・ブラに入れる、そりゃパット・・・・・・
    パッと儲けて、パッと使え・・・・・・パッと儲けて、パッと使え・・・・・・金は天下の回りもの・・・・・・
    生きてるうちが花だからァ〜・・・・・・・・・」














深夜、日付も次の日へと変わろうとしていた時間帯

街外れをカケルとラピスが手を組んで歩いていた

昼と違って少し雰囲気が重い気がした



カケル(やっぱり気にしてるのかな、あのとき言ったこと・・・・・・)



そう、ラピスの気が重くなったのは、ファミレスでミナトと別れてからだ

何も聞いてこないが、やはり自分以外の女性との関係が気になるのだろうか

あれからまったく会話がなかった

こんな雰囲気は好きじゃないが、どうして良いか分からない

そんなとき、ふとラピスの口が開いた



ラピス「ねえ、カケル・・・・・・」


カケル「なに?」


ラピス「カケルは・・・・・・ルリが好きなの?」



意外と言えば以外、当然と言えば当然の質問がきた

いつか来る、それよりファミレスに居たときに聞かれると思ってたくらいだ

だから特に焦ることもなく、平然として答えられる



カケル「うん。ミナトさんにも答えたけど、好きだよ
     ルリちゃんの事、本当に好きだから、だから会えないんだけどね」


ラピス「なら・・・・・・」



"私は?"と聞こうとしたが、言葉が出なかった

何とも思われてないような答えが返ってくるのが怖かったからだ

ラピス自信、気づかないうちに、目に涙を溜めていた

それに気づいたカケルは、そっと涙を拭ってあげた



ラピス「あッ・・・・・・」



カケルの取った行動に内心驚くラピス

ふと顔を上げてカケルを見上げてみると、そこにはいつもと変わらない優しい笑顔があった



カケル「俺はラピスちゃんのことも大切に思ってる。むしろ好きだよ
     その言葉に嘘はない。だから泣かないで、笑顔でいてほしいな」



それを聞いて、ラピスの表情に微かな笑顔が浮かぶ

嬉しさのあまり、カケルの胸に飛び込んで抱きつくと

カケルも優しくラピスを抱きしめた

すると、そんな二人の前に、ゴロツキと思われる連中が現れ、そのまま取り囲んだ



ゴロツキA「見せつけてくれるね〜」


ゴロツキB「なぁ、そこのカワイイお嬢ちゃん。そんなひ弱そうな小僧より、俺らと遊ぼうぜ」


ゴロツキC「そうそう、大人のアダルト〜な世界を教えてあげるからさ」



確かにラピスは誰が見てもカワイイ

それにカケルも第一印象で判断すれば、ケンカとはまるで縁のない素直そうな外見だ

そんな組み合わせは、こんな時間のこんな場所ではカモもいいところだ

だが、二人はまったく動じていない。まあ、それも当然といえば当然なのだが



カケル「すみません。知人と待ち合わせの時間に遅れるので、通してくれませんか?」



あくまで穏便に話しをしようとしたのだが

ゴロツキの男たちは大声で笑い出す



ゴロツキD「オイ、聞いたか?ココを通してくれだってさ。笑わせんなよな
       さっきまでイチャついてたのに知人と待ち合わせだと。おもしろい冗談だ」


カケル(イチャついてたともりはないんだけど・・・・・・)


ゴロツキE「コイツ状況が分かってんのか?」


ゴロツキF「お嬢ちゃん、このなバカはほっといて、俺たちと遊ぼうぜ」



一人の男がラピスの腕を掴もうとしたが、ラピスはその腕を払った



ラピス「イヤ!」



そのままカケルの後ろに隠れる

カケルはそんなラピスの頭を軽く撫でてやる

だが、そんな行動がゴロツキたちの怒りを爆発させた



ゴロツキE「このガキ!こっちが優しくしてれば!!


ゴロツキB「てめぇもカッコつけてんじゃねえぞォッ!!


ゴロツキA「男は殺せ!!女は犯せ!!



品のない言葉を吐きながら突っ込んでくるゴロツキたち

それを見て溜め息を一つ



カケル「やれやれ、ラピスちゃん、ちょっと待っててね」


ラピス「うん」



カケルは一歩前に出て、ゆっくりと体を揺らす

左右にフラフラと揺れたと思った次の瞬間

カケルの姿はゴロツキたちの視界から完全に消えてしまった

消えたというのは間違いで、正確には速過ぎて見えないのだ

あっという間に後ろに回りこむと、首筋に手刀を叩き込む



「「「「「「「「「ガッ!!」」」」」」」」」



ゴロツキたちは一瞬硬直すると、一斉に倒れた



カケル「ま、こんなもんか・・・・・・」



回りを軽く見渡し、ラピスの方へ戻って行く

ゴロツキの男たちは完全に気を失っているが、そのうち眼を覚ますだろう

カケルはラピスの手を握り、ゆっくりと裏路地を歩いて行く

そんな二人の様子をビルの屋上から見下ろしている者たちがいた

北辰、そして、部下の北辰衆たちである



北辰衆C「ようやく桃色の妖精を見つけたと思ったら、よりによってお守りが翼とは・・・・・・」


北辰衆F「隊長ならどうにか戦える相手かもしれませんが、我々では分かりかねます
      正直申して、我らとでは次元が違います」



さきほどのカケルの動き

北辰衆の連中は目で追うのがやっとなほどのスピードだったのだ

一度アマテラス内部で北辰衆たちが戦ったときよりも速い

あの動きとスピードで攻められていたら確実にやられていただろう



北辰「そうだな。やり合えば全滅するか、良くて相討ちといったところだろう
    人数を増やしたところで結果は変わらぬだろうな」



火星の後継者の中には北辰たちと同レベルの身体能力を持った者はいない

下手に仕掛けても返り討ちにされて終わりだろう



北辰「・・・・・・だが、どんな強者にも必ず、弱点というものが存在するものだ・・・・・・」



北辰の視線はカケルからラピスの方へと移される

さらに、脳裏にルリの姿を思い浮かべて薄気味悪い笑みを浮べる



北辰「上手く事を運べば全てが手に入る。最後のA級ジャンパー、二人の妖精、そして、太古の遺産たる翼
    閣下の望む新たなる秩序に必要な素材全てがな。ふふ・・・・・・ふはははははは



狂気に彩られた高笑いが闇に響き渡る

全ては草壁春樹のため、新たなる秩序のため

北辰の狂気は止まらない

それは全てを飲み込む闇の化身の如く・・・・・・・・・






















〜〜〜あとがき〜〜〜




え〜、あけましておめでとうございます

年を越してようやく書き上げました

ファミレスの内容についてですが

実は実体験を元に書いてしまいました

もちろん、本人は笑いながら了承してくれたので、書いてしまいました

それで話は変わりますが、次回は戦闘をしたいと思います

それでは新年もよろしくお願いします








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管理人の感想

アテムさんからの投稿です。

ストーリーの流れとしては、殆ど劇場版そのままでしたねぇ

ま、ミナトが頬をはつったのが、アキトじゃなくてカケルでしたが(苦笑)

それにしても、オリエさんは随分とアグレッシブになってましたねぇ。

劇場版の通りだと、今は妊娠中のはずですがね、この世界のオリエさんはどうなんでしょうか?

 

では、次回は戦闘シーンが入るそうですが、やはり墓場の戦闘なのですかね?