「くそ!!きりがない!!こいつらどれだけいるんだよ!!」

青年が襲い掛かってくる機動兵器を落としつつ嘆く

『現存敵数は約四十五です』

その彼の嘆きに彼の搭乗機のAIが答える

「だあーーーーいちいち律儀に答えるなーーーーー!!急いで出発してくれ!!」

<<こちらの出発準備は整った民間人も収容している、後はエステ部隊だけだ!!>>

青年の目の前にコミュニケが開かれその向こうに戦艦のブリッジが映る

「了解!!といいたいとこだけど・・・・・・俺がここで囮になる、そのうちに逃げてくれ」

<<何をいってるの!!早くあんたも避難しなさい!!>>

キノコ頭でオカマ口調の軍人が青年に向かって叫ぶ

「大佐・・・・今ここで俺が戻ったら艦が沈む可能性が高くなります・・・・・・・」

<<けれど・・・・あの子はどうするのよ!!あんたのフィアンセはどうするのよ!!>>

「ははは・・・・誰も死ぬつもりなんかありませんよ。艦が出た後は俺も逃げますから」

青年の言葉は明らかに嘘だった、地上の軍が敵によって壊滅しているのに

死ぬ気がないものが残るわけがない、彼は囮として死ぬつもりだと彼の通信を聞いた物は感じ取った

<<そう・・・・・・・・・・・あの子に伝えておく言葉はある?>>

「そうですね・・・・・・『約束は必ず守る』そう伝えておいてください」

<<・・・・わかったわ、必ず迎えに来るからそれまで生き延びろよ>>

つい先程までオカマ口調だった男が急にりりしい顔になり威厳のある声を出す

「本気ですね、大佐。・・・・・了解しました、なんとしても生き延びます」

<<その言葉・・・・信じるぞ。コブシ!!離陸せよ!!>>

その言葉と共に戦艦が宇宙へと向かっていく・・・・・・・・

「大佐・・・・・・・・どうかよい旅を・・・・・・・・・・・・・」

それは地球連合によって火星が放棄されてから一ヵ月後の出来事だった・・・・・・・・・・・





機動戦艦ナデシコif
『新たなる刻の歌』
プロローグ『火星陥落』







「さてと・・・・・・現在の敵数は・・・・・・・・」

『現存敵数四十二機、増援の気配はありません』

「敵の援軍がこないのが救いか・・・・・・さてさて・・・こいつで何所まで戦えるかな?」

青年の乗っている機体はネルガル重工の人型兵器『エステバリス』空戦フレーム

正式には青年の乗っている機体は空戦フレームに似ているがどこかちがっていた。

「・・・・・さてと・・・・・モード『ハルバード』!!」

青年の声と共に青年の乗るエステが持っていた黒い剣が黒い斧槍へと姿を変える

「さあ来い・・・・俺の高速戦フレームとこのDFWはそう簡単に倒せはしないぜ!!」

さてここで簡単に説明しておこう、彼が乗っている機体のフレーム名を高速戦フレーム

剣から斧槍へと形状を変えた武器の名前をディストーションフィールドウェポン通称DFWである

「そりゃ!!そりゃ!!どおりゃああああああああああああああああああ!!」

掛け声と共にその斧槍、(名称ディストーションハルバード)が敵を斬り確実にしとめていく

「せいや!!どおりゃあ!!これで・・・おわりだあああああああ!!」

青年の最後の叫びと共に最後の敵、バッタが真っ二つになり爆発する

「はあはあはあ・・・・・・現在の損害状況を」

『右腕部損傷率二十五%を突破、他の箇所も損傷率二十%を越えています』

「武装は・・・・・?後まだエネルギー供給可能な範囲も探ってみてくれ」

『ライフル残弾無し、DFW残耐久率八十五%、ブレード限界です、供給可能範囲を映します』

「くそ・・・思いのほかやられてるな・・・民間人を守らないと・・・一番近いコロニーは何所だ」

『ユートピアコロニーです』

「ちなみに予備バッテリーだけでどれだけもつ?」

『連続起動時間は約二十五分、DFWを使えば十五分以下にまで下がります』

「はあ・・・・・仕方ない・・・できるだけ多めにバッテリーを持っていくか」

青年の乗るエステバリスは基地の倉庫に向かいエステバリス用のバッテリーと予備弾薬を補給した

「さて・・・・・故郷への帰還と行きますか」

青年はそう言うとユートピアコロニーへと向かっていった

「さてと・・・・今のところ反応はないか・・・・・・・・うん?」

彼のエステバリスのレーダーが急に反応を示す

「よかった・・・・・・まだ生き残っていたんだ・・・・・」

彼のエステが拾ったのは約三キロ先の人間の集団の反応だった

「この動きからすると・・・・・目的地はユートピアコロニーなのか?」

『敵機確認、敵数一、敵目標・・・・・・民間人と推定!!』

「なに!!何所に・・・・・・・はっ!!」

敵機・・・・バッタは彼とは全く正反対の方向から民間人の群れへと向かっていた

「くそ!!これ以上やらせるか!!」

彼は全速力でエステを動かし民間人のもとへと向かう。

その結果、彼はバッタが民間人に攻撃する前に自分の攻撃範囲に入れることに成功した

「こんにゃろ!!くらえーーーーーーー!!」

彼のエステバリスがその腕を飛ばしバッタをその手で掴む

「いっけええええええええええええええええ!!」

そのままバッタを上空に投げ上げ体制を整える前にもっていたブレードを投げつける

『ドッゴーーーン』

空にやや小さめな花火があがる

「大丈夫ですか!!」

青年は外部音声出力、平たく言うと外部用のスピーカーで民間人に話し掛ける

「え・・・ええ。その機体・・・・アキト君ね」

「え?・・・・・・その声は・・・・イネスさん!?

その声に応えるように金髪の女性が口を開く

「ええ、おかげで助かったわ。私たちはこれからユートピアコロニーの方に向かうけど、どうする?」

「他に生き残りがいるかもしれません・・・・俺はしばらくこの辺りを調べてみます」

「そう・・・・・わかったわ、くれぐれも気をつけてね」

「イネスさんこそ、気をつけてください」

アキトは会話をおえるとバッタが出てきた方角に向かっていった







「くそ・・・・・予想以上にやられてるな・・・・・・」

彼はかつて住宅街であったところを飛び回り生き残っている人を探している・・・・・

「バッテリーも、後もって十分か・・・・・・・」

『敵性反応!!総数約四十、こちらに向かってきています』

「ちい!!こんな時に!!だけど・・・・・・・・・・・・やるしかないんだ!!」

アキトはそういうと直ぐにライフルを構えて敵に突撃を仕掛ける

「こいつ!!落ちろ!!落ちろ!!落ちろーーーー!!!!」



その突撃によりバッタの多くが花火に変わる、しかし間近でその余波を受けたエステも損害を受けた

『残存敵数約二十、全体損傷率六十五パーセントを突破、これ以上は危険です』

「そんなことはわかってる!!・・・・・くそ・・・・一か八かだ・・DFW起動モード『ソード』」

再びアキトがもっている柄のような物から黒い剣が現れる

『DFW起動。残り活動時間三分です』

「三分か・・・・・・間に合うか!!」

再びアキトの乗るエステバリスがバッタの群れに突撃し多くの花を咲かせる

そして・・・・・三分後



「はあ・・・・はあ・・・・・はあ・・・・・・・・・・勝った」

『バッテリー残量ゼロ、お疲れ様でした』

「仕方ない・・・・・降りるか」

アキトはコックピットから飛び降りると今は片膝を地面についている相棒に敬礼をしその場から立ち去る



アキトが歩き始めて二分がすぎた頃、アキトはいまや廃墟となっているマンションの中に隠れた

「ふう・・・・さてどうするかな、シェルターまで結構距離があるし、かといってこのままいるわけにはいかないし」

アキトがどう生き延びるかを考えている時・・・・・・・・・・・・・

『カッ・・・・・・・・・・・・・・・・』

小さかったが、確かに音がした

「くそ、まさかここにバッタがいるのか?それとも蜥蜴でもいるのか?」

アキトはその手に拳銃を構え音のした方に向かう・・・・・・・そしてそこにいたのは

「お・・・・・・女の子?」

一人の少女だった

「大丈夫かい?一人で怖くなかった?」

アキトは少女を怖がらせないように、優しく問い掛ける

「うん、アイは大丈夫だよ、お兄ちゃん心配してくれてありがと」

「そう、よかった、名前は・・・・・・アイちゃんで良いんだね?」

「うん、お兄ちゃんはなんていうの?」

「俺かい?俺の名前はね・・・・・・・・」

『ドッゴーーーーーーン!!ガラガラガラガラ・・・・・・・・・・・・・』

二人の会話の邪魔をするかのように爆音が響き、崩れた壁からバッタが向かってきていた

「くそ!!こんなとこまでやってくるなよな!!」

アキトは必死にバッタに向かって発砲するが、バッタは怯んだ様子も見せずに少しずつ距離を縮めていく

「お兄ちゃん・・・・・・・怖いよ・・・・・・」

アイはアキトの後ろに隠れ、震えていた

「御免、アイちゃん。巻き込んじゃたね・・・・・・・・・」

弾がもう切れてしまい、そうアキトが嘆きアイの方向を向こうとした瞬間・・・・・・・・・



『ピカァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

アキトがもっていた胸飾りが急に光りだした・・・・・・・・・・・・・・・・

「な・・・・・・・なんだ!!」

「お兄ちゃん!!」

『カァァァァァァァァァァァァ!!』

さらに光が強くなった後・・・・・・・・・その場に二人の姿は消えていた・・・・・・・・・・・

















あとがき

まず皆さんはじめましてB-クレスと名乗っている者です

初投稿の作品を連載物にしようとしているある意味無計画な男です(苦笑)

今回はTV版の第一話の前、タイトルどおり火星陥落の時を書いてみました

ちなみにこのアキトはネルガルの元テストパイロットであり現在は軍人稼業をやっているという設定です

総合的な強さは黒アキトよりやや高め、といったところです

しばらくの間はTV版の再構成に近い形ですが、

『時の流れに』を最終的に混ぜさせてもらう予定です

次回はTV版第一話の再構成の形になると思います

では次回にまたお会いしましょう

(追伸)HTML化は初めてなのですが上手く行きましたでしょうか?失敗ならいってください。





代理人の個人的な感想

17歳でテストパイロットで軍人って・・・・・

両親に戦闘型IFS強化体質の実験体にでもされたんでしょーか(爆)。

で、両親の死後ネルガルに飼われて生きてきたと。

それくらいのバックボーンがあるなら納得もできますね(笑)

(妙なキノコはスルーか、おい?)