「次の目的地はクルスク工業地帯、私達が生まれる前には陸戦兵器の生産で盛り上がっていた所よ」
ムネタケが地図のある一点を指差しながらいう
「このクルスク工業地帯を木星蜥蜴が占領したの。
その上奴等は今まで見たこともない新兵器をついでといわんばかりに設置したのよ」
「その新兵器の破壊、並びに木星蜥蜴の軍の殲滅が今回の目的ですね?」
「そうよ、司令部では新兵器をナナフシと呼んでいるわ
今まで軍の特殊部隊が破壊に向かったけど三回とも全滅させられたの・・・」
「なんと不経済な・・・・・」
プロスペクターが何かを計算して、それをゴートとミナトが覗いている
「そこでナデシコの登場!!
グラビティブラストで決まり!!」
「そうか、遠距離射撃か!!」
「その通り!!」
「安全策かな」
「経済的側面からも賛同しますよ」
「エステバリスも危険に晒さずにすみますしね」
「・・・・・提督、敵の射程はわかりますか?」
「さあ・・・残念ながら不明よ」
「そこが唯一の不安ですが・・・・作戦を開始します!!」
「あれ?そう言えばアキトはどうしたんだ?」
「アキトさんは格納庫でセイヤさんとはなしています、映しますか?」
「お願いします!!」×3
ナデシコ格納庫
「はあ・・・・・今回は起動不可能ですか・・」
「仕方ねえだろ、エンジン周りのパーツが消耗してんだ。
このままつかったらどうなるかわかったもんじゃねえんだぞ」
「それはそうですが・・・どうして両機とも同時にやられるんでしょうかね・・・」
「まあアルテミスの方は一応動かせるが・・・アーサーは無理だな、予備と付け替えなきゃいけねえから・・・一日はかかるな」
「はあ・・・エステはまだありますか?」
「ああ、アサルトピットはちゃんと保存してるよ、ま、整備が終わるまではエステで我慢するんだな」
「わかりました、でもどうしてやられたんでしょうかね・・・・」
「たぶん実験が終了した後に付け替えなかったんだろうよ」
「そうですか・・・・後はお願いします」
「おう、任せときな」
ナデシコブリッジ
「今回はアーサーがつかえないか・・・・ちょっときついわね」
「艦長どうします、作戦開始を遅らせますか?」
「いいえ、このまま続行します!!」
「了解」
ユリカの言葉と共に全員各配置に戻っていった
機動戦艦ナデシコif
『新たなる刻の歌』
第十一話 気がつけば『お約束』?
「作戦開始まで後八分三十秒」
「グラビティブラストへのバイパス接続開始」
「エネルギーチャージと共に山陰からでてグラビティブラスト発射!!
どーーんとやっちゃってください!!」
「予定作戦ポイントまで17000」
「相転移エンジン全システム問題なし。
ディストーションフィールド出力13%ダウン
最終セーフティ解除!!」
「予定作戦ポイントまであと1500」
「予定作戦ポイントまで800」
「グラビティブラスト発射用意!!」
「・・・・敵弾発射」
「え?」×ブリッジクルー
『ドギャァァァァン』
「・・・何か・・・当たった?」
「はい、見事に命中です」
『ドゴォォォオォォォォン!!』
「ディストーションフィールド消失!!」
「被害は十二ブロックに及んでいます」
「相転移エンジン停止!!」
「へ?」
「多分ナナフシの正体は重力波レールガンよ、あの砲身で・・・」
「イネスさん、説明ご苦労様です・・・って今はそれどころじゃないんですってば!!」
「操舵不能!!墜落します!!」
「補助エンジン全開!!」
『ズザザザザザァァァァァドーーン』
「威力は凄いけどマイクロブラックホール弾の生成に時間がかかるからしばらくは大丈夫だと思うわ」
「貴重なご意見どうも・・・」
「イネスさん・・・・タフですね」
「さて、これからどうしましょう・・・・」
「やっぱりエステバリスの出番かな?」
「空からはやめたほうがいいわよ、ナデシコクラスのフィールドがあるんなら大丈夫でしょうけど
ここの対空攻撃システムは鉄壁よ、軍はこいつに全滅させられたらしいから」
「うーーーん、空からがだめとなると・・・・」
「ナナフシのマイクロブラックホールの生成予測時間は約12時間
17時に攻撃を受けたから・・・次の攻撃は明朝5時辺りかしら、そして・・」
「はいはい、貴重なご意見ありがとうございました!!」
「それじゃあ陸からかな?」
「そうですね、アーサーもアルテミスも不調のようですし・・・」
「と、いうことで地上からエステバリスで接近、ナナフシの破壊を行う」
ゴートが詳しい侵入経路について説明をする
「作戦開始は一時間後、砲戦を二機、陸戦を三機残りの三人はナデシコの防衛についてもらう」
「妥当な策ですね・・・」
「まず・・・防衛隊はアカツキ、ガイ、イズミの三人、指揮官はアカツキ」
「了解、でもなんでその三人なの?」
「接近、中距離、長距離のバランスを考えてだ」
「なるほど、でも接近戦ならアキト君かリョーコ君のほうがいいんじゃないの?」
「テンカワには突撃部隊の指揮をとってもらう、それに・・性格を考慮してのことだ」
「なるほど・・・彼には潜入作戦は向いてなさそうだからね」
「アーサーが無事ならテンカワに単独で行ってもらいたかったとこだが仕方あるまい
砲戦はテンカワとカザマ・イツキ、陸戦はスバル、アマノ、カザマ・サツキが搭乗してくれ」
「俺は陸戦の方がありがたいんですけど・・・・」
「悪いがお前の射撃の腕はこの五人の中で二番目だ、それに指揮官である以上迂闊に突撃を仕掛けられては困るのでな」
「砲戦は白兵戦にはむいてないからな・・・まあいいでしょう」
ナデシコブリッジ
「敵、ナデシコを包囲」
「ほ・・本当なのルリちゃん!?」
「はい、これは・・・旧時代に使われた戦車です」
「ほえーーーーこれが戦車なんだ、はじめてみた」
「って感心してる場合じゃないよユリカ!!ホシノクン、敵の数は!!」
「ナデシコ周囲に戦車・・・二万五千台です」
「二万五千ーーー!!」
「はい、現在も続々とクルスク工業地帯から増援が来ています
どうやら敵は旧時代の戦車製造プラントをのっとってたみたいです」
「待機中のエステバリス隊は全員出撃!!直ちに戦車を排除してください!!」
「了解!!」
「皆、気をつけろ、フィールドが薄くなってるところに砲弾をくらったらただじゃあすまないぞ!!」
「雑魚とは言っても気を抜くな・・か、量が多い分バッタよりたちが悪いね!!」
「戦車は真下の装甲が比較的薄くなってる!!陸戦の奴は地雷を使ってやれ!!」
「了解、でも私戦車見るのは初めてだよーーー」
「んなこといってる場合か!!とっととやっつけてナナフシにむかわねえと・・・・」
「敵、戦車隊の増援がきます」
「えーーーまだ来るのーーー」
「はい、それはもう雲霞の如く」
作戦ウィンドウに敵の分布図が表示される・・・・・・
敵を示す赤い点はナデシコのディストーションフィールドを囲って層を作っている
「・・ものの見事に囲まれましたな・・・・」
「ナデシコの周囲5Kmは完全に囲まれたか・・・艦長どうする?」
「く・・せめて包囲網の一角でも崩せればテンカワをナナフシに向かわせられるのに・・・」
現状を見てムネタケが悔しそうに嘆く
「・・・包囲網の一角、崩して見ますよ」
アキトからブリッジに通信が入った
「アキト!!・・・・どうやって崩すの!!アーサーは動けないんだよ!!」
「・・・方法はまだある・・・セイヤさん、DFWをお願いします!!」
「了解、ちゃんと受け取れよ!!」
アキトにむけて白い柄が飛んでいき、それを受け取るとアキトは敵の方向を向いた
「イツキ!!リョーコちゃん、突撃準備を!!残りのみんなはナデシコの防衛を頼む!!
バーストモード!!スタート!!」
深紅のディストーションフィールドがアキトのエステバリスを包み込む
「な・・・なにあれ」
「ふっはははははは!!あれぞこんなこともあろうかと作り上げといたバーストモード!!
あのモードは三分しか持続しねえがエステのフィールドを五倍まで引き上げる優れものよ!!
まあその後三十分はジェネレータを冷却しないといけなくなるがな」
「あ、ちなみに私も協力しました」
ルリが片手を挙げる
ブリッジでそんな会話がくりひろげられているころ、DFWから深紅の200mほどの刃が発生し、
そして・・・その高さがだんだんと縮まっていき、ついに漆黒の・・10m程の刃となった
「あら・・・今回はえらく短いわね」
「短いなんてものじゃないわよ!!」
イネスが急にブリッジにコミュニケを開いた
「バーストモードはね、アーサー通常時の約二倍近くまで出力を引き上げるの、
G・Bでも200m程の刃なのよ、それなのに・・どうして今のDFWの刃が10mだと思う?
信じられないことに・・・あの長さの刃の中に圧縮されているのよ!!
空間歪曲バリア・・・つまりディストーションフィールドをあそこまで圧縮すると・・・・・」
「マイクロ・ブラックホール弾が生成されるんですね?」
「その通りよ、ルリルリ、・・・あなたアキトくんが何をしようとしてるか知ってるの?」
「ええ、バーストモードの実験の際試していた技ですから・・・」
「なるほど・・・ということはアキト君はあれを完全に制御できるのね・・」
「ええ、アキトさんの必殺技の一つだそうです」
そのルリの言葉を聞き、ブリッジ全員が呆れた表情をしていた
「・・・わたし・・アキト君のことで驚くのが馬鹿らしくなってきたわ」
「そうですね・・・桁外れ・・・じゃすまないレベルですからね・・・アキトさんは・・」
「アキトは私の王子様だもん!!私のためにはなんだってできるのよ!!」
「・・いやはや・・・アキト君の力はもう戦略級と言っても過言ではありませんな・・・・」
「さて・・・・始まるわよ」
「咆えろ!!我が内なる青竜よ!!秘剣!!青龍咆哮斬!!!」
その叫びと共に頭上に掲げられていた10m程の刃を振り下ろす
『グゥォオオオオオオオオオオオン!!!』
DFWから放たれた漆黒の龍が咆哮をあげ内側からナデシコのフィールドを食い破り・・・・
『ズッギャギャギャギャギャアアアアアアアアア』
その行く道にある大地を抉り取りながら・・・・・・
ドゴォオオオオオ!!、
バゴォオオンンン!!
ドズゥゥゥゥウウンンンン!!
その進路上にいた全ての敵を喰らい尽くし、山を半分以上削り取り・・・上空へと飛んでいった・・・・
「・・・・・・・・・・・・・・」
「敵戦力、二十パーセント消失、ナデシコのディストーションフィールド回復
リョーコ機、イツキ機のバーストモードスタートを確認」
酷く恐ろしいほどの静寂の中、ただ一人、ルリだけは仕事を黙々とこなしていた
しばらくまともに戦う事が不可能なアキトの砲戦はイツキの後ろを走っていた
アキト機への攻撃はリョーコ、イツキの二人が引き受ける形で包囲網を突破し、ナナフシへと向かった
「ほえ?リョーコちゃんとイツキちゃんもバーストモードができるの?」
「はい、普通に戦う分にも実に有利な機能ですから。
他の五人の機体にも装備してありますよ」
「そうね・・・本来バーストモード、並びにアーサーにあるベルセルクモードはこう使うべきなのよね
短時間とはいえ、格段に戦闘能力を上げる事ができるから。
・・・しかし本当にあのマイクロブラックホールを制御して、みせるなんて・・・・
ナナフシほどの威力こそないでしょうけど・・・アキト君の前ではナデシコのフィールドなんて紙くず同然ね」
「いやはや・・・今更ながらとんでもない腕ですな・・・」
「もしテンカワが敵にまわったらと思うと・・・ぞっとするな」
「その心配はありませんよ」
「ほう、どうしてですかな?」
「ナデシコには私がいますからね!!」×ミナト以外の女性ブリッジクルー
「むーーーーー」×ミナト以外の女性ブリッジクルー
「まあそれはおいておいて・・・あと八時間そこらですか・・・間に合うでしょうかね・・」
『プシュー』
「艦長、テンカワ達の様子は・・・・・新手のコスプレかね?」
用事を済ましてブリッジに戻ってきたゴートがユリカを見るなりそう呟いた
「セイヤさんがこれを着たほうが」
「作戦司令部みたいな気分が出るからって」
「コレクションからもってきたそうです」
「ビシッ!!」
ユリカの言葉と共に、メグミ、ミナト、ジュン、ユリカの四人が敬礼をする
「まあ♪」
「・・・こちらの作業は始まっている、ドクターが観測衛星から送られて来るデータを分析中だ」
「そう・・いずれ新しい情報が得られるわけね」
「ビシッ!!」
今度はルリ以外のブリッジクルーが敬礼をした、
グラカーニャ村・・・同日20時10分通過
「当初の予定通りの時間か・・・もう少し急いだ方がいいかもな」
「どうしてだ?時間どおりにいけてるんだから心配ないだろ」
「リョーコ、最悪の事態も想定しないと・・・・」
「その通り、十二時間という予想はあくまで予想でしかないんだからね」
「そうか・・・ちょっととばすか!!」
スベイヌン鉄橋・・・同日20時40分通過
「五分短縮か・・・いい方だな」
「そうね、もう少し短縮できたらいいけどね」
「つっても無茶するわけにはいかねえだろ」
「たしかにね、ここからは着実に行こうか」
カモフ丘・・・同日21時通過
「しっかしアキト、お前よくあのDFW使いながら機動戦ができるな」
「ようはイメージだからね、慣れさえすればリョーコちゃんにもできるさ
DFWの簡易型も完成したみたいだしね」
「ああ、DFS・・・だったかしら、たしかにDFWよりは使いやすいけど・・・まだ私には無理だったわね」
「はははは・・・・まあ訓練をつめば自然と使えるようになるさ。
っと、イールについたな、よっと」
携帯イカダを河に投げ入れ、渡河の準備をする三人
イール・・・同日21時20分通過
「・・・二人共、とまって」
「どうしたのアキト」
「地雷原・・・・か」
「ああ・・・DFWが使えたらいいんだけど・・・どうやら駄目みたいだな
完全にやられてる・・・強度の面で問題がでてきたか・・・・」
「・・・どうする、一度戻るか?」
「いや・・・まだ方法はある、イツキ、一気に突っ切るぞ」
「了解」
「おい!!いくらなんでも無茶だろ!!」
「大丈夫だよ、軍では地雷よけとして砲戦を使ってるのが普通なんだからね」
アキト、イツキが地雷原を先に抜け、その後をリョーコがついていった
モアナ平原・・・同日22時15分通過
「ここらでいったん休憩しよう」
「なにいってんだ!!時間がおしいっていってたのはアキトじゃねえか!!」
「確かにそうだけど、疲れがたまった状態じゃあまともに戦うことも難しくなる
ナナフシはそんな状態で勝てるほど甘い相手じゃないと思うんだ」
「・・・そうね・・・休憩にしましょう」
「・・わかったよ」
「美味い!!」
「ははは・・・そう言ってくれると嬉しいよ」
「本当に・・・アキトの料理の腕っていつも上がってるんだもんな・・・いつまでたっても追いつけないよ」
「さて・・・俺はちょっとばかし仮眠を取らせてもらうぜ」
「ああ、出撃するころにはちゃんと起こしたあげるよ」
「おう・・・頼む」
「ふふふ・・・・アキト・・・ちょっといい?」
ナデシコブリッジ
『ふふふ・・・アキト・・・ちょっといい?』
「ねえルリルリ・・・一体何を聞いているの?」
「・・・聞きたいですか?」
「え・・・・・ええ・・・ちょっと興味があるわね」
「そうですか・・・・オモイカネ、ブリッジに受信した音声を流しちゃってください」
『・・・・了解』
『アキトは・・・どうして今戦っているの?』
「これって・・・アキトさんとイツキちゃんの会話!!」
「はい、エステバリスからのダイレクト通信です」
「あらら・・・ちょっと悪いことしちゃったかな・・・」
自分がブリッジに話を伝える原因となったせいか、ちょっと反省気味の操舵士ミナト
『戦う理由か・・・以前アカツキに聞かれたときに言わなかったか?』
『確かに言ったけど・・・他にも理由があるんじゃない?』
『やれやれ・・・さすが・・だな・・・そうだよ・・今俺が戦っているのは他でもない自分の為さ・・・』
『そう・・・ならいいわ』
『?・・・追求はしないのか?」
『ええ、私も・・・自分の為に戦っているから・・・』
『・・・ま、皆そうだと思うけどな・・・正義だなんだといっても・・結局は自分の為に戦っているんだからな』
『そうよね・・・人助けとかも・・とりようによっては単なる自己満足だものね・・・・』
ブリッジの全員がその言葉を聞き黙り込んでしまった・・・・
『ま、それは置いといて・・・・この戦いが終わったらどうなるんだろうな・・・』
『?・・・ナナフシを落としてもあんまり変わらないと思うわよ』
『そうじゃないよ、この戦争さ・・・』
『・・・さあね・・・アキト・・・戦争が終わったらさ・・・どこかで食堂でも開かない?』
ピクッ!!
イツキの言葉を聞き急激な反応を示すブリッジクルー達(女性限定)
『食堂か・・・それも・・・・・・・いいかもな』
『・・・アキト・・・アキトはまだ自分を赦せないの?』
『急に何を・・・』
『アキトはまだ躊躇っているんでしょう・・・・・・じゃなかったら食堂を開くことに躊躇しないはずよ・・・』
『ふう・・・ああ、まだ俺は戸惑っているよ・・・本当に俺なんかが幸せになっていいのか・・・とね
でも・・・この戦いが終わったら・・・』
『終わったら?』
『何か・・・答えが見つかると思う・・・・時間だ、リョーコちゃんを起こして出発しよう』
『・・・わかったわ、私は・・・いつまでもアキトの側にいるからね・・・』
「通信、途切れました」
「そう・・・アキトは幸せになることを躊躇っているのね・・・私と一緒になることを・・・」
「何をいってるんですか艦長!!アキトさんの幸せは艦長と一緒になることなんかじゃありません!!」
「いいえ、アキトの幸せは私と結婚して家庭を築くこと『ガスッ』・・・きゅう」
「・・・悪いねユリカ、・・・艦長が目覚めるまで僕と提督が指揮をとる」
「わかりました(ジュンさん・・・もしかしてユリカさんに愛想を尽かしたんでしょうか?)」
「艦長・・あら?艦長はどうしたの?」
「ユリカはちょっと疲れていたらしく仮眠を取っています、なんですかドクター」
「そう・・まあいいわ、最悪の知らせよ」
『ドッゴーーン!!』
「ちっ、予想してたとはいえ、なんて量だ!!」
「くっ、無駄弾を使うわけには行かないのに!!」
「イツキ!!アキト!!ここは俺が引き受ける!!お前たちはナナフシに向かえ!!」
「・・・わかった、俺はリョーコちゃんを信じる、必ずナデシコに生きて帰ろう!!」
「あったりめーだ!!無茶はしねえから安心しな」
「リョーコ、帰ったら祝勝会でもあげて貰わない?」
「そうだな、誰も文句はいわねえだろうな!!」
そう言葉を交わすとアキト、イツキはナナフシへ突撃を開始した
「アキト君、悪い知らせよ」
「・・ナナフシですか?」
「そうよ・・・ブラックホール弾の生成を開始したわ、その距離からなら若干余裕はありそうだけど・・・間に合うかしら?」
「間に合わせて見せます!!」
「そう、その言葉、信じさせてもらうわよ」
「アキト、どうする」
「・・リミッターをはずす、ここで無茶をしなきゃ話にならないからな」
「そうね、確実に行って間に合わないんじゃ話しにならないものね」
アキトとイツキが乗る機体は今まで以上の速度を出し、ナナフシへと向かう
「・・・というわけでこのままでは私たちは確実に終わり・・・ってわけ」
イネスはブリッジクルーにマイクロブラックホール弾の危険性などについて話していた
「なるほど・・・ん?テンカワ機とイツキ機の速度が高まってるような・・・・」
「ああ、あいつら砲戦のリミッターを解除したみたいだな」
「・・・そんなことして大丈夫なんですか?」
「仕方ねえだろ、足の遅い砲戦で急ごうと思ったらリミッターを解除するのがいちばん簡単だからな
まあ、あの砲戦はもう使い物にならないだろうけど今回ばかりは仕方ねえだろ」
「そうですな、ナデシコが撃沈されることを考えたら遥かに安いですしな」
「くそ!!よりにもよって改造型かよ!!」
「くっ・・・どうするアキト!!」
「破壊してやりたいとこだが・・・ここは無視する。二手に分かれていくぞ!!」
「了解!!」
アキトとイツキはちょうど戦車の側面を抜けるようにして加速する
「ぬおっ!!・・・くそ、まあいいか、何とかもうしばらくは持ちそうだ!!」
改造戦車はアキトに狙いを定めて猛攻撃を開始した、流石のアキトも回避しきれず被弾した・・・
幸いにも被弾先は装甲で一番厚いところであった為何とか目立った被害はなかった
「アキト!!こっちは全弾撃ちこんだわ、後は私に任せてアキトは残ってる弾薬を全部ナナフシに打ち込んで!!」
先にナナフシに到着していたイツキがアキトに通信を入れる
「了解!!・・もうすこし・・くっ!!」
ナナフシをロックオンしようと少し動きが鈍ったところを攻撃され右足が吹き飛ばされる
「まだ・・片足だけでも跳ぶことは可能だ!!」
アキトはそう言うと体制を崩しながらも跳躍し、ナナフシに向かう
「ロックオン完了!!全弾発射!!」
アキトの砲戦から、ミサイル、カノン砲、バルカン・・全ての武器がナナフシに命中する・・・が
「そんな!!まだ停止しない!!」
「まだだ!!バーストモードスタート!!角度計算・・・いけええええええ!!」
アキトは砲戦のカノン砲の最後の一弾をうち、背中からナナフシに突撃する
「ぬ・・どりゃあ!!」
そして、無理やり体制を変え、正面からナナフシに突撃する形になる、そしてその反動でもう片方の足もちぎれる
「全フィールド前面に展開!!・・つらぬけええええ!!」
そのままアキトはナナフシに向かって、深紅のフィールドと共に突撃した
『グワシャアアアアアア・・・・プシューーー』
ナデシコブリッジ
「ナナフシの停止を確認、戦車部隊も沈黙しました」
「アキトのやつ・・ぶじだろうな」
「?・・・どうしたんですかセイヤさん」
「あいつ最後の方向転換で足のスラスター使っただろ、そしてその足が引きちぎれた・・・」
「そうか!!イメージフィードバック!!」
「そういうことだ・・・なんともなけりゃあいいんだけどな・・・」
「くっ、ナデシコはまだ飛ばせませんか?」
「いや、フィールドの全エネルギーを飛行の方にまわせば何とか短い距離なら飛べるまでにはなった」
「じゃあ急いで飛ばしてください、救護班は待機態勢に」
ジュンの指示の元、ナデシコは浮上し、ナナフシ、アキトのところへと向かった
ナデシコが到着したころには既にアキトは救助されており案の定左足に異常をきたしていた
ナデシコ医務室
「やれやれ・・・とんだ無茶をするわね貴方は」
「ははは・・・・つい夢中になって感覚を切り離すのを忘れてました」
「はあ・・・普段なら何でもないのにね・・・・・よっぽど焦ってたのね」
「ええ、ところで全治するまでどれぐらいですか?」
「そうね・・骨が折れてなかったのは不幸中の幸いね、肉離れだけだけど・・・二週間も安静にしてれば大丈夫でしょうね」
「二週間・・・長いですね」
「ま、いいんじゃない、ナデシコの修理には1週間はかかるそうだし。
提督が軍と話し合った結果今日から三週間近く休みが入るようだしね」
「よく休みがでましたね」
「ナナフシを攻略したことを武器に交渉したそうよ」
「そうですか・・・それじゃあゆっくりと休ませてもらいますか・・・・」
「ええ、ゆっくりと休みなさい」
蛇足
この後、医務室前で四人の女性によりにらみ合いがあり、
そしてたまたま通りがかったガイが余計な一言をいってしまいその女性達に袋叩きにされた・・・
ちなみにガイはその約三十分後に傷一つ無い状態で艦内を歩き回っていたという・・・・・・
あとがき
ナナフシ攻略作戦、アーサー、アルテミスの両機を使用不能にしてみました
それでも・・・まだアキトが強すぎる感じが我ながらしました・・・いっそのことアーサーを壊してみてもよかったかも・・・・
まあそれは置いといて、次回、オモイカネの叛乱ですが・・・誰をラスボスにしようか悩んでおります
アキトかイツキかマルスか・・・いっそのことユリカか・・・
このキャラがいい!!というご意見がありましたらどうかメールにてご連絡ください
代理人の個人的感想
気を付けてください。
時ナデの丸々コピーになりつつあります。
とにかく書くのが楽しい、と言うことはありますが
読者に楽しんでもらおうと思うならば、ときには筆を止めてじっくりと
(読者の立場で)考えてみる事が大事かと思われます。