〇地球・佐世保市・コーヒーショップ『公爵』

一日のデートが終わり、アキトとルリは喫茶店でお茶を飲んでいた。
ルリはかなり無理を言って恋人らしい行動を目いっぱいとってもらっていた。
アキトはさすがに少し堪えたが、ルリが楽しんでいるのを見ると、
少しは自分でもやってよかったと思えたようだ。
しかし最後の最後で話し合う話題は、ルリをむくれさせた。

「…アキトさん、やっぱり行ってみるんですか?」

「…うん、行かないと後々困るかなって。
そりゃ確かにひどいことされたけど、お客さんだし…。
断るにしても話をしてからじゃないと」

ルリは小さくため息を吐いた。

「嫌ですけど、いいです。
私も同伴でいいって言ってるなら、行きましょう。
アキトさん一人で放っておくと悪徳商法に引っかかりそうですから」

「ルリちゃん、きついな…」

「相談してくれたからきつい言葉だけで済むんです。
お人よしも、度が過ぎれば悪い人にとってはいいカモですよ」

ルリはあきれながらも、仕方ないと妥協することにした。
アキトがその後に受けた連絡では、
常連さんは話し合いの席を設けると言っていた。
彼女はルリの事も知っており、良ければ連れてくるように、とも伝えていた。

「一応、ネットでその人の経歴や所属についても調べましたが、シロです。
ただやっていることがかなり特殊なので、
注意が必要なタイプではあるようですが…」

「どんな人なの?」

「どうもフリーのプロデューサーをしているとかで…。
業界内・各芸能事務所に太いパイプのある人のようです。
彼女にプロデュースしてほしいタレント・アイドル志望の人が多いとか。
自分でプロデュースしてから事務所を探す…。
普通とは逆の方法をとっているとか」

「…そういえば、書店で名前を見たことがあるかもしれない。
なんでそんな人が俺に?」

「…やっぱり、スカウトじゃないですか?」

二人は、テーブルの真ん中に置いてある常連さんの名前を見た。

『芸能フリープロデューサー 眼上マリア』

マリアという名前に見合わぬ、敏腕プロデューサーということだが…?
















『機動戦艦ナデシコD』
第五話:drillion money -巨額のお金-
















〇地球・佐世保市・喫茶「ノワール」・個室─アキト

俺たちは眼上さんに指定された喫茶店を訪れた。
眼上さんは酒を好んでいるがので、
この間と同じく酒の席を設けたかったそうだが、
俺たち二人が未成年であることからカフェにしてくれた。
気遣いに助かるとは思うが、油断はできないな。
ルリちゃんの調べによると眼上さんは30代後半に見えるが、
実際は52歳と人生経験が豊富だ。
そして20代前半からプロデューサー業一筋で生きてきた人だそうだ。
自分の会社も事務所も持たずに業界内で仕事を続けるというのは想像ができない。
この人が俺を手玉にとるなど、造作もないんだろうな。
そう考えるとこの席を最初から断っても正解といえるんだろう。

「改めまして、
私はフリーの芸能プロデューサー、眼上マリア。
今日はよろしく」

「ど、ども。
アキトです」

「はじめまして。妻のユリです」

俺は少しためらいがちに挨拶したが、
ルリちゃんは妙に自信に満ちた応答をしている。
あんまり堂々と答えるものだから、俺の方が情けなく見えていると思う。
…なんだか元々妹だったのを忘れそうになってるな、最近。

「率直に言わせてもらうわ。

──アキト君、あなた芸能界に入りなさい」


「「お断りします」」

「…取り付く島もないわね」

俺たちが声をそろえて答えたので、眼上さんは苦笑いをした。
だが想定内だったんだろう、すぐに話をつづけた。

「だけど、アキト君は定職にはついていないんでしょう?」

「それは…体の事もあるので」

「ふーん。
だけど…何か別の事を考えているんじゃないの?」

──早速だ。
当り障りのない答えでは納得が得られないようだ。
彼女にとっては、俺がコスプレ喫茶という場所で働いていることそのものが、
不自然に見えているんだろう。
俺は女の子との接触にはいまだ顔が赤くなるし、
演技は下手だし、何より仮にも既婚者だ。
起業を目指しているということが明らかにならないまでも、
別の目的があって勤めているというのがバレバレなのだろう。

「悪いと思ったけど、アキト君のことを少し調べさせてもらったわ。
あなたの過去はほぼ抹消されている。
通信の学校は出ていることになっているけど、怪しいものね。
その姿形に何か関わりのあることだと分かるわ。

…まあ、それについてはどうでもいいの。
私は芸能界で輝ける人を探すのが生き甲斐だし?
芸能界ではスネに傷を持っている人なんて普通だもの。
けど今の生活の方が、なーんか普通じゃないのよね」

この人はどうも芸能界以外の事に興味がないらしいので、
俺の過去について深入りするつもりはないのか。
俺は眼上さんの調査力と洞察力に驚きながらも、すぐに聞き返した。

「…普通じゃないっていうと?」

「ここ数日のあなたの動向を考えると、
何かに備えているようにしか見えないのよ。

朝は公園で熱心にトレーニングを行い、
昼は大食いで大量の食事を体に入れ、
昼過ぎからコスプレ喫茶で働き、
夜になるとジムで再びマシントレーニングに打ち込む。

スポーツマンなら何らかの競技のためにそこまでするのはわかる。
けど食事の取り方がスポーツマンのそれじゃない。
格闘技の訓練はしているようだけど、格闘技の道場やジムに通ってはいない。
動物が冬眠に備えるかのような、何かを蓄えるような食事の仕方といい…。

なんていうか…。

まるであなたは戦士のような…。

生き延びるための戦いに備えるような、力を感じる生活を送っている」

──参ったな。
この人は格闘技については素人のようだが、人を見る目がありすぎる。
こんな人にはやはり隠し事が通用しないだろう。

「…私たちは木星トカゲに対する街の警備を行う会社を作ろうとしています」

「へえ…」

「る…ユリちゃん!?」

俺はルリちゃんを外出中は今の名前で『ユリちゃん』と呼ぶが、
それを一瞬忘れそうになった。
この人の前で、そんな話をするのは危険に思えた。
だがルリちゃんは意に介してはいなかった。

「この際、ちゃんと言ってしまった方がいいです。
芸能界入りを断るにもそうですし、言って困ることじゃないでしょう?」

「それは…そうだけど」

「どんなことをするの?」

「ネルガル製のエステバリスという機動兵器を買い入れて、
連合軍の作戦中に街に被害を及ぼす木星トカゲを迎撃するのが目的です。
専守防衛を基本とし…市街地への被害が出づらい場所まで誘導・撃破するか、
市街地にたどり着く前に撃破をするのが目的です」

「連合軍でも勝てる見込みがないのに、
一般企業では勝てないのでなくて?」

「いえ、駆逐艦、戦艦クラスになれば厳しいですが、
バッタやジョロなどの小型機動兵器には後れを取らないでしょう。
エステバリスはそれほどまでに優れた兵器なんです。
分の悪い賭けにはなりません」

俺を置き去りにして、二人は喧々諤々の討論を行い始めた。
…フォローのしようがないな、女性二人の言い合いには。
俺は自分のコーヒーフロートのアイスをつつきながら、
二人の話をかろうじて聞くことに終始していた。

「いいアイディアだとは思うわ。
でも、その計画には50億円は資金が必要よね?
資金繰りが可能だとはとても思えないけど?」

「──ッ」

やはり、この部分が俺たちの泣き所だ。
エステバリスの3台の価格、そして予備パーツと整備にかかる資金、維持・修理に必要な資金、
そして基地設備などの投資を考えると、それくらいはかかってしまうだろう。
ルリちゃんが反論できないうちに、眼上さんは畳みかけるように話した。

曰く、時給がいくら高かろうが50億にはコスプレ喫茶では老人になるまでやっても届かない。
曰く、銀行の融資を受けるにも額が途方もない状態なので無理がある。信用もない。
曰く、人集めができていない。
曰く、事業計画書の作成すらされていない。
曰く、そんな状態では資金が集まってもどうしようもない。

人生経験と事業にかかわった経験の差が、露呈した。
そしてそれは俺たちを打ちのめした。
俺の手元のコーヒーフロートのアイスも、溶け切ってしまっていた。
眼上さんの言葉にはどこにも嘘がなかったと思えた。
ルリちゃんは、さすがに泣きそうな顔をしていた。
俺も、かなり落ち込んでいた。
ナデシコに乗れない状態が確定してしまう。
それは俺たちの希望を打ち砕くには十分すぎた。

「…と、まあ。
無理な夢だとは分かっただろうけど、どうかしら」

「…なんですか」

ルリちゃんは、諦めつつある顔をしていた。
ぶっきらぼうな彼女の返事を意に介していないように、
眼上さんは笑顔で答えた。

「その50億円は私が集めるわ。
だからアキト君は芸能界にデビューする。
私の責任で芸能人をしてもらうわ。

もちろん事務所には入らないでいい。

会社を始めるなら、自分の会社を所属事務所にすればいいわけだしね。

アキト君が芸能界での失敗しても、
私が資金集めに失敗しても、
私が全部の責任を持つ形になるから、私もリスクは負う形になる。
それくらいの条件なら、どうかしら?」

俺は正直、この条件に飛びつきたかった。
俺達だけの限界が見えた今、これは光明と言っていい。
ただ…条件が俺たちに有利すぎる。不審ではある。
俺たちの計画が砕かれた直後であったのでなおさらだ。
彼女が俺達をいいように扱おうとするために、計画を否定したとすら思える。

「…あなたがそこまでする理由が、わかりません」

ルリちゃんの疑問はもっともだ。
俺も疑問に思う。
自分の目的のためにリスクを背負うのは当然としても
あえて自分で大きなリスクを背負う。
なまじ裏がなさそうにも見えるだけに、不自然だ。

「私はね。
ダイヤの原石をそのまま放っておくのがもったいないって思っているの。
私が見つけるダイヤの原石は、すべて大きいし、色も形も全然違う。

言ったでしょう?
私の生き甲斐は芸能界で輝ける人を探す事よ。
私が磨いた原石が、宝石になる。
そして宝石の放つ輝きを世間に見せつける。
それはそれはとっても楽しいことなのよ」

眼上さんの言っている事は、たぶん嘘ではないんだろう。
彼女はマエノさんに200万円を、話し合いの場を作るためだけに払ったことから、
このプロデュース事業で、恐らく俺たちの想像が及ばないレベルの利益を出しているはずだ。
だがそれ以上に「才能を見抜いて磨く」ということに生き甲斐を見出している。
金銭や名声より、自分の足で探した原石の輝きを見たい。
自分自身が輝くより、原石を磨く砥石でありたい。
輝く宝石を、見つめたい。
その気持ちは分からないでもない。
自分にない輝きを見つめることは、生きる勇気をくれるからな…。

俺がナデシコ時代、ゲキガンガーの輝きに魅せられながらも、
ゲキガンガーのように強くはなりきれなかった時期が長かった。
だが、ゲキガンガーが俺にどれだけ勇気を与えてくれたか分からない…。
そう考えると俺はゲキガンガーなしにあの戦争を生き伸びれなかったかもしれない。

彼女が言う、言葉の重みが分かった。
眼上さんは微笑みをたたえながら話し続ける。

「ホシノアキトはもっと輝ける人間。
コスプレ喫茶で終わらせるなんて、死蔵もいいところよ」

「でも…」

「ユリ、あなたはアキト君をとられるのが心配なんでしょ?」

「ッ」

眼上さんはむくれたルリちゃんの顔を見てまた笑う。
からかうように、というよりは母親のような優しい笑みだ。
ルリちゃんも、その指摘を否定しなかった。
芸能界がその輝きの裏に底知れぬ恐ろしさを持っているのは誰もが知っている。
その中で俺が何か変化してルリちゃんとそりが合わなくなったり、
眼上さんに残りの人生を独占されたりすることは、全くあり得ないことじゃない。
…人間というのは置かれた環境で変わるからな。
俺は特に身に染みている。

「そんな目をしないの。
目的の達成のためには、自分の望まないことだってしないといけないでしょ。
コスプレ喫茶で働くアキト君はそんなふうに見えたんだけど、
間違っていたかしら?」

「…いえ、あってます。
俺も成り行きでこうせざるを得なくなっただけで…」

「だったらいいじゃない?
無理に芸能人をさせるつもりもないわ。
まあ、確かに大変な仕事なのは確かだけど」

「…」

ルリちゃんは、うつむいて何かを考えているようだった。

「…実はいろいろ期限があるんです。
あと1ヶ月で…いえどんなに伸ばしても3ヶ月しか、
アキトさんが動ける時間はありませんし、
それまでにはエステバリスで戦えるようにならないと…」

ルリちゃんは妥協できるラインを探し始めているようだ。
だが、確かにルリちゃんの言う通り、どんなに伸ばしても3ヶ月が限度だ。
すでに5ヶ月使った。
本来は後1ヶ月しか資金繰りに使えないと考えていた。
ナデシコクルースカウトのスタートまではあと5ヶ月。
それまでに資金を集め、エステバリスを手に入れ、
何度か出撃して成果をあげなければいけない。
そういう意味ではここから3ヶ月で資金を集めきって、
2ヶ月で成果をあげるのがギリギリの妥協点だ。
PMCとしての活動期間が短ければ、ナデシコに乗れなくなる可能性が高くなる。

「条件付きってわけね。
…いいわ、あなたを3ヶ月でどんな人より輝かせて見せる。
期限の理由は聞かないでおいてあげるわ。
事情は様々。
期間はどうあれ、やるかやらないかだけが肝心なのよ。
どう?やってくれる?」

「…その期間で、
50億円集めるのが可能であるなら、
考えてもいいです」

「そういうことなら、任せてほしいわ。
PMCマルス、面白そうじゃない。
3ヶ月で50億円、耳をそろえてきっちり揃えてあげようじゃない」

「…そんなこと、できるんですか?」

「私を誰だと思っているの?

人呼んで『芸能界のヴィクトリー・眼上』とは私の事よ。

私が過去、プロデュースして大成しなかった芸能人は居ないわ!
引退後、若くして政治の中枢に食い込んだ者もいれば、
起業して成功した者も数知れない。
…成功した後に転げ落ちていく子も多いけどね。
確かに…3ヶ月以内に50億円というのはやったことがないけどね。

だけど自信はあるわ。

木星トカゲに一泡吹かせたいって人は多いしね。
それに、あなたが芸能界で顔が売れれば可能性は高くなるの。
芸能界の活動実績が、PMCマルスの宣材になる。
あなたの働きによっては分が悪い賭けにはならないかもね。
どう?やってみない?」

眼上さんは自分の胸をとん、とたたくと、自信満々に微笑んだ。
それにしてもヴィクトリー・眼上…読み方は『勝利の女神』というわけか。

「…ちょっと、二人だけで相談話をしていいですか?」

「どうぞどうぞ」

ルリちゃんに促されて、
俺たちは個室の端っこで小声で話し始めた。

「どう思います?」

「…話してることは間違いないと思う。
隠し事があるようには見えないんだけど…。
信頼していいのか、判断がつかない」

「…私も同じです。
アキトさんが芸能界に入ってほしくないというのはあるんですが、
ネルガルにかかわらずにエステバリスを手に入れるには、
これが一番近いかもしれないですが…」

「一か八か…ってところだね」

「…資金集めを諦めて、
ゼロから会社を興すという選択肢もありますが、
エステバリスなしで会社を興すのでは、やはり間に合いません。
どんなにうまくいっても数年はかかってしまいます。
そんな時間は残っていないです」

ルリちゃんの言う通り、選択肢はもう無いに等しい。
もう「ナデシコに乗るのを諦めるか」「芸能界に賭けるか」の二つだけだ。
「アカツキに接触する」という選択肢もあるにはあるが命がけになる。
この段階で命を賭けるのは、望ましくない。
まだ何も始まってもいない段階だ。試す価値はあるかもしれない。

「できるかどうかは分からないけど、
命がけの仕事にはならないだろうから…」

「…確かに失敗しても死ぬわけじゃないですし、
二人でやるなら何とかなるかもしれないです」

「…うん、覚悟を決めよう」

俺たちがPMCで戦うことに比べれば、芸能界はまだ危険が少ない。
心理的抵抗もまったくないわけではないが矢面に立つのは俺だ。
許容した方がいいと結論付けられた。
俺たちは眼上さんに向き合って、うなずいた。

「話はまとまりました。
…お世話になります」

「任せなさい!」

眼上さんは満面の笑顔で俺たちに応えた。
















〇地球・佐世保市・喫茶「ノワール」・個室

その後、三人の間で契約や活動の方向性について話し合いが行われた。
この話し合いは6時間にも及んだ。
契約の上では、PMCマルスが眼上の芸能プロに業務提携を受ける形になった。

ルリも、アキトの向き不向きを考えて様々な条件を提示した。

・週5日を超える仕事を入れないこと

・アキトが既婚者であることは常に明記すること

・スポンサー探しの際、ネルガル・クリムゾン関係の会社は断ること
 ただし、ネルガルについては時期が来たら合図するのでそれ以降は可とすること

・PMCマルスの出撃業務が開始し始めたら、
 逐次芸能活動を減らしていくこと

・他芸能プロ・スポンサーとはCMや番組出演などの形で協力はするが、
 代わりにPMCマルスの業務への直接介入は避けること

・アキトが仕事に対する拒否権を持ち、
 ルリとの協議の末仕事を受けるかを決定すること

・ルリは立場上、マネージャーとなり、
 眼上と協力して仕事の調整を行うこと

・映画やドラマの出演など、収録が長期にわたるもの、
 および専門性が高いものへの出演はできる限り避けること

…以上のような活動方針と契約を結ぶことになった。

眼上はルリの要求を嫌がらずに聞き入れ、
ほぼルリの要求は変化なしで受け入れられた。

眼上は契約書を書き込み、ノートパソコンのキーボードをたたき、
様々な確認をアキトとルリにしてもらうと、ふうっと息を吐いた。

「…とりあえず、手続きはこれで終わり。
初仕事については追々連絡するわ。
デートでもして待ってなさい。
あ、それと仕事の拒否権は現場についてからでも有効だからね。
気軽に声をかけてちょうだい。
最初のうちはついていくつもりだし。
私もプロデュースが終わるまではあなたにかかりきりになるから、
できるかぎりいつでも応える準備ができているわ」

「ありがとうございます。
…でも、本当にいいんですか?」

「任せなさいって。
アキト君の輝きは私が保証するわ。
たった三ヶ月の芸能活動になるかもしれないけど、あなたにはそれをする価値がある。
それにね?PMCマルスが面白そうっていうのも本当なの。
木星トカゲに勝てる見込みがなすぎて、みんな落ち込んでるじゃない?
ちょっとくらいの戦果でも、勝てる見込みがあるなら試すのが道理よ。

それに軍は少なくとも市民の味方ではあっても、
市民の生活の味方ではないわけだしね。

PMCマルスが市民の生活の味方になる。
それはみんなに勇気を与えてくれると思うのよ。
まあ、個人的な恨みもないわけじゃないし。
私も木星トカゲにプロデュースした店を壊されたことが何回かあるし?
別にきれいごとばかりってことじゃないのよ」

アキトとルリは畳みかけられて、
「はあ」と返事をするのが精いっぱいだった。

「それにね、
アキト君の見ているものが…途方もないものに見えるのよ。
なんていうか、木星トカゲの戦争の先になにかが見えているような、
そんな気がするの」

「…そんな大したもの見えていませんよ。
木星トカゲとの戦争を終えて、小さな町食堂を始めるのが夢なんです」

アキトの小さな願いに、眼上はくすっと笑った。

「大した夢じゃないの。
それって木星トカゲとの戦争が終わるって、
信じてるってことじゃない」

アキトは言われてみればそうだな、と納得した。

「それじゃ、また今度。
アキト君、ユリさんを大事にね」

「は…はい」
















〇地球・佐世保市・アパートの一室・ホシノ家─ルリ

すっかり外が暗くなるまで話が続いてしまい、
私たちはアパートに戻って、食事の支度にかかりました。
アキトさんはまだラーメンは作ってくれないようですが、
だんだんと昔の味をとりもどしてきているので、とても嬉しいです。
…ただ芸能界に入ってしまえば、
この進歩も、もしかしたら止まってしまうかもしれない。
そう考えると、辛いことでもあります。
それでもやらなきゃいけないんですよね…はぁ。
アキトさんも、少し苛立っているのか、
いつもの文字通りの山盛りチャーハンが、いつもよりさらにうず高くそびえていました。
それをすごいスピードで咀嚼して…いえ、ほとんど飲んでますねこれ。

「アキトさん、せめて少し噛んでください」

アキトさんは動きをぴたりと止めて、ため息を吐き出しています。

「…はあ、まさか芸能人のまねごとをしなきゃいけないなんて」

「ネルガルの力の強さがよくわかりますね…。
個人のできることなんて限られています」

この世界に来てから自分達の力のなさに打ちひしがれることばかりでしたが、
今回は正直完全に参ってしまいました。
眼上さんの話術と知識、計算のすごさに圧倒されていたのは確かでしたが、
私達が意外と普通の未成年の若者と知識が変わらないのが露呈したのが堪えました。
ナデシコに乗るまでにまだクリアしないといけないことは多いのに…。

「でも芸能人なんてしているとナデシコに乗ってからも、
降りてからも後を引きそうだけど…大丈夫かな」

「仕方ありませんよ…。
現実的にエステバリスを買うための資金は集めづらいですし、
スポンサーなしに行動するのは無理があります」

眼上さんに言われなかったらマネーゲームで破産していたかもしれません。

私がマシンチャイルドであれば、IFS端末を手に入れれば済むことです。
ハッキングして基礎資金を銀行から調達し、
各企業の情報を調べあげ、半ばインサイダー取引のように株取引を行い、
ダミー会社を建てて、さらなる集金を……。

……そこまで考えて、
さすがにそれはやりすぎかと思い始めました。
情報集めのハッキングはともかく、他のはあまりに別の人の人生に介入しすぎます。
下手をすれば倒産による自殺者を出してしまうかもしれません。
確かに芸能人を始めてもPMCを始めても他人の人生に影響を与えます。
しかし、あくまで「どんな生き方をしていても起きる範疇」の事象です。
それくらいは責任は背負える範囲だと思いますが、
過剰に吸い上げれば、誰かが犠牲になる…。
……弱くなって、初めてそこに思い当たりました。

アキトさんとユリカさんが亡くなった後、
マシンチャイルドである自分の身を守るために、
ハッキングで情報の収集を行ったことがあります。
これはある程度は正当防衛と言えたかもしれません。
実際、誘拐の危機を何度も発見できました。

しかしナデシコCでの電子制圧の例から言っても、
ハッキングひとつで加害者になりえる…。
…昔は分かっていたはずなのに、自分の身を守る事と結び付けて、
正しい事のように思ってしまったようです。

マシンチャイルドの能力は、他人の人生を変えてしまう威力がある。

それを自覚しなければ、何人死なせてしまうか分かりません。
ラピスや、この時代のルリにもこれを教えなければ。
特にラピスはアキトさんの為になり振り構わないというのが分かってますから…。

「…ルリちゃん?」

アキトさんが心配そうな顔で私を見つめていました。
どうやら私はチャーハンを半分食べたところで動きが止まってしまったようです。
…長考が過ぎました。

「あ…すみません。
なんていうか…私は子供だったのかなって…」

今日眼上さんの事も含めて、私はこう自分を振り返りました。
アキトさんも小さくうなずいています。

「…さすがに結構堪えたね。
俺は本当だったら24歳で、親になっててもおかしくないのにさ…」

アキトさんもかなり堪えている様子でした。
でも、それは仕方ない気がします。

「仕方ないですよ。
アキトさん、ホシノアキトのせいか昔に比べてもぼうっとしてますもん」

「…うん、ルリちゃんが昔にも増してしっかり者なのもそうなんだろうね」

…どうやら藪蛇みたいですね。
私は首を振って、話題を変える事にしました。

「芸能界に入るのは利点も多いと思います。
何かと注目されていればプロスさんの目に留まるかもしれません」

「まあ、そうだね」

「それにもっともアキトさんと一緒に居られる職場っていうのは、
私は嬉しいですよ。その面は不満がないんです」

「…ルリちゃんって結構現金なとこあるよね」

アキトさんが結構ジト目になっています。
最近は体の年齢が近いせいか、
私達は昔より強く言いあえるようになっています。
言葉の荒さの割にはあったかくて、夫婦っぽくて好きなんですけどね。

「合理的なだけですよ。
芸能界は引退すれば多少マシですし…。
ネルガルに身売りするなんて、絶対嫌です。
それに比べたら芸能界、まだいいじゃないですか」

「…そっか、ルリちゃんはそれで苦しんだんだね…」

アキトさんは、本当に悲しそうに私を見ています。
…義理とはいえ両親に、目の前で売られたのは辛い。辛すぎました。
元々ネルガルもIFS強化体質の研究所にはかなり出資していたので、
あの額でもかなり負けに負けていたんだとは思います。
…あんな事、もう二度と起こってほしくない。見たくなんかない。

「アキトさんもそうなるかもしれないなんて、
嫌です。
大反対です。
今のアキトさんは、

『ちょっと変わった見た目をした、大食らいの、料理を作るのが好きな人』

それでいいじゃないですか」

「…うん、そうだね」

私達は、それっきり黙って食事を咀嚼することに集中しました。
私はアキトさんがが単なる『芸能人』になることで、
色素の薄いマシンチャイルドの見た目が一般化して、
マシンチャイルドの価値そのものが下がってしまえばいいとすら思っています。
そうなったらアキトさんも普通に、平和に生きられるかもしれないって…。
考えてしまっています。

…ただ、この時私は気づいていませんでした。
芸能界での活動が『戦争』と呼ぶにふさわしいほど激しく大変で…。
顔が売れれば売れるほど『平和』とはほど遠い世界になっていくものなのだと…。















〇地球・東京都内─アキト

それから数日─。
俺達は久しぶりに少し羽を伸ばす事が出来た。
当面資金集めの必要がなくなり…というか芸能界で資金繰りをするため、
コスプレ喫茶のシフトを大幅に削ってもらった。
辞めたのではなく削った理由は、眼上さんのアドバイスからだった。

「話題性がある人間が、近場で会える可能性がある。
親しみやすいキャラクターの醸成には不可欠だと思わない?」

…本当によく考えている人だな、と思った。

そんなわけで俺達は芸能界の仕事が始まるまでの数日、
俺はルリちゃんと休暇を楽しんだ。
…俺がキスをためらってかなり落ち込まれた一幕もあったが、
最近はなんだかんだでルリちゃんとはやっていけるような気がしている。
はっきりいって、充実している。
芸能界への不安も、資金集めの不安もぬぐいきれなかったが、
穏やかに過ごせる時間は、本当に心地よかった。
最後の一日は、東京都内を観光して過ごした。
芸能界の仕事は主に関東…首都圏になるそうだから、俺達は慣れるのも兼ねて早乗りした。
…鉄道の複雑さには閉口したが。

そういえば眼上さんは、現在の家を引き払うのは避けるようにも言ってくれたな。

「駆けだしとはいえ仕事場が安定しない以上、
ホテル泊まりの方が助かる事が多いのよ。
ベッドタウンから電車で通うのは有名になった時のリスクがあるし、
終電を気にしながらはちょっと大変。
かといって車でベットタウンまでは遠すぎ。
疲労がたまってしまって仕方ないと思うわ。
都内に居を構えても都内は狭くはない。家賃も高いし、メリットが少ないのよ。
それに帰るべき家がなくなってしまっては、心が休まらないんじゃない?
あなたたち、記憶障害で過去の事が分からないんでしょ?」

一応、俺達は自分たちの事を「記憶障害」であると説明した。
ホシノ夫妻の過去については何もわからない。
IDを調べ直した時に簡単に経歴を知ったくらいしかわからない。
行き場のない俺達には元居た仮住まいですら、重要だった。
東京都に住まいを構えるのも、契約が必要になるので避けたいらしい。
確かに例えウィークリーマンションを借りたところで、
場所を転々とするのが確定しているなら無意味か…。
















〇地球・東京都内・ビジネスホテル─アキト

そんなわけで、芸能界一日目は各所にあいさつ回りに行くことになったので、
眼上さんにビジネスホテルをとってもらった。
…ここをとる前に、最初に提案されたホテルには『多少』問題があったのは内緒だ。

「まあ、キスもまだなのにそのホテルは早いですよね」

ルリちゃんはやれやれ、といった言い方で俺をたしなめた。

「ごめんね…もう少しで吹っ切れそうなんだけど」

「…いいです、別に」

ルリちゃんはすねているようだ。
だがそれ以上突っ込んでもどうしようもないので、俺は話を変えた。

「ルリちゃん。
忙しくて先延ばしてたことを…聞いておきたい」

「なんです?」

「この世界のユリカや…。
テンカワアキトやホシノルリに会ったら、どうするんだい?」

ルリちゃんは、少し考え込むように俯いている。
彼女も普段考えている事がきっとある。
それを聞いておく必要がある。俺とそうは変わらないんだろうが。

「この世界のアキトさんとは会ってみましたけど、
別に大した事はしてませんよ。
でも…そうですね。
出自が分かり次第考える形で良いんじゃないですか?」

ルリちゃんの発した答えは、彼女らしくない行き当たりばったりな発言だった。
俺はいろいろと考えていたつもりだが、この世界の俺達に対するリアクションを考えていた。
ルリちゃんは、俺達のほうに問題があるという考え方をしたのか。
だが、言わんとしていることは分かる。
ホシノという名前のついたマシンチャイルド、ホシノアキト。
俺の今の名前はこの世界のホシノルリに無関係であるとは考えづらい。
その詳細を知ってからでなければ、恐らく問題は起こるだろう。

「それよりアキトさんこそ…。
ユリカさんに会って、大丈夫なんですか?」

「…大丈夫、ではないと思う。
でもこの世界のアキトがユリカと居る姿を見れれば…。
諦めがつくと思っている」

俺は既にテンカワアキトじゃない。
割り切っていかなければ、きっと辛いだろう。

「でも、心配だな…。
アキトは結構泣き虫だから…」

──ルリちゃん?
俺は目を丸くしてルリちゃんを見た。
俺を呼び捨て、泣き虫とまで言っているが心当りなどない。
それだけじゃなく彼女の表情は、
母性に満ちているというか、俺を本当に心配しているというか…。
ルリちゃんが見せたことのない、『少女』ではなく『女性』の表情だった。

ややあって、ルリちゃんは自分の発した言葉の意味に気づいて、
俺を見ながら首を横に振った。

「あっ、いえっ、なんでもないです!!」

「…それは、ルリちゃんじゃなくて…ホシノユリ…の言葉なのかな」

俺達は、少し黙り込んだ。
俺達は精神だけボソンジャンプをしたと思っていたが、
ひょっとしたらこの体の持ち主である、
「ホシノアキト」と「ホシノルリ」の人格は別に消えているわけではないのかもしれない。
それどころか、俺達はこの二人の人生を奪ってしまったのかもしれない。
…まだわからないが、そうだとすると罪深い。

「…分かりません、分からないです。
でも、これだけは言えます」

ルリちゃんは考え込んだ末、俺に言う。

「ホシノユリはホシノアキトを愛していて、
ホシノルリもテンカワアキトを愛しています。
…それくらい分かっていればいいんじゃないですか?」

「…そうだね」

分からないことを考えていても仕方がない。
そもそも事故なのか、この世界の変化なのかが分からない。
そんな事に悩んでも仕方ないし、解決のしようがない。
立ち止まってる場合じゃないんだ。

「明日は早いですし、もう寝ましょう」

「うん、おやすみ」

不安は尽きないが、眠ってしまうことにした。
明日からどうなることやら…。






その日、俺は夢を見た。
ラピスとどこかの研究所で出会う夢だった。

「アキト、私の事忘れてない?
…探してくれないの?」

ラピスはカプセルの中にぷかぷか浮かびながら、むくれて俺に話しかける。
ラピス、そうは言うが俺達だって遊んでるわけじゃないんだ。
ナデシコに乗る準備をしている所なんだから、あんまり困らせないでくれ。
絶対、迎えに行くからさ。

「アカツキに言えば会えるってばぁ!
リンクが切れちゃったし、
意識が戻らないし、
私を起こしに来てよぉ!」

ラピス…お前そんなに感情表現が豊かだったか?
いや、それよりリンクが切れた?
夢だから…だよな?
でもアカツキはこの時代に来ているとは限らないし…。

「くすん、アキトのバカ…。
ルリとばっかり仲良くして…」

分かった、必ず会いに行くから。
準備が整うまで大人しく待っててくれ。

「約束だよ、アキト…」

ああ、約束だ…。
お前も俺の家族に…。






・・・・・。
・・・・。
・・・。
・・。
・。





「なんか、妙に現実感のある夢だったな…」

俺は日も登らないうちに目が覚めてしまった。
身だしなみを整える必要もあるし、シャワーでも浴びるか…。
















〇ネルガル秘匿研究所

「実験体が…笑ったぞ…」

「あ、ああ…」

試験管ようなカプセルの中に眠るラピスが、明らかに微笑んでいる。
研究員たちも慌てて身体データを確認する。
脳波の動きも十分に活発になっており、覚醒状態に近い状態になりつつあった。

「…だが目覚めないのか?」

「…ああ、この状態なら目覚めていいはずなんだが…」

「生まれてから目覚めた事がないとはいえ、
この状態でも教育はうまくいっている。
電気刺激による筋力の成長も、骨の発育にも問題はないし…。
発露していないだけで人格もある程度は育っているはずだ。
だが…笑う?
そんな教育はしたことが…」

しかし、研究員がデータを見ている内に、その脳波の動きが眠りに近づいていく。

「…なんだ?これは?」

「さあ…」

二人の疑問をよそに、ラピスは寝がえりのように体を動かしていた。
















〇地球・東京都内・ビジネスホテル─ルリ

私が目覚めると、アキトさんは既にシャワーを浴びていました。
私もアキトさんも緊張のせいか早めに目が覚めてしまったようですね。

「おはよう、ルリちゃん」

「おはようございます、アキトさん」

シャワー上がりのアキトさんが、下着姿で現れました。
こういうところはもう遠慮がないくらいにはなってきました。
私もそれなりに化粧を…といってもまだ不慣れですが、
ホシノユリが持っていた化粧品を使ってメイクを始めました。
アキトさんは着替えながらテレビを見ているようです。
『木星トカゲの進攻により、横須賀基地周辺の被害は甚大で…』

「…やはり基地周辺か」

アキトさんが呟いているのが聞こえます。
木星トカゲの進攻の地点は軍事基地に近いところが多いのは過去と同じです。
佐世保の周辺でも同様でした。
ただ、チューリップも基準なしに攻撃をするということはありません。
配置が軍事基地に近いのは、訓練やスクランブル発進を捉え次第、
攻撃開始をできるように配置されているからということが大きいです。
実際、地球から脱出するナデシコを追おうとした連合軍の動きを捉え、
宇宙に出るまで直接的な妨害をできた連合軍の部隊はありませんでした。
デルフィニュウム部隊とだけの交戦で済んだのは幸いだったんでしょう。
デルフィニュウムはエステバリスに比べて大きく、
コックピットブロックが頑丈なので当たり所がよほど悪くなければ、
死なないで済みますから…。
あの戦闘で誰かを死なせなかったのは、本当に良かったと思います。

「…ルリちゃん、口紅ずれてるよ」

「へ…ああっ!?」

…失敗でした。
別の事を考えながら慣れてもいないお化粧はできませんね…。

その後、私達は朝食を取りに食堂に向かいました。
…ただバイキング方式だったせいか、アキトさんが多めに食べるのを止められませんでした。

「腹ごしらえ腹ごしらえ!」

「…アキトさん、ほんっとに食事を楽しんでますよね」

まあ、今更いいんですけど。
係員の人と厨房の人、泣いてますよ。
















〇地球・東京都内・テレビ局─ルリ

その後、眼上さんと合流してあいさつ回りに向かったのですが…。
まだ挨拶と名刺交換だけを繰り返しているにも関わらず、私達はグロッキー状態です。
芸能界の人って、パワーが段違いです。
ナデシコのクルーに負けない濃さと、エネルギーを持っている人ばかりで、
私もアキトさんも押されっぱなしな状態です。
テレビ局を転々として、朝の8時からスタートしたというのに、もうすでに午後6時を回っていました。

「さて、そろそろあいさつ回りも終わりにするから。
…で、最後はあなたの得意の領分で闘ってもらうわ」

「アキトさんの得意っていうと…」

「そ、大食いの食レポね」

「よっし!」

アキトさん、渾身のガッツポーズが決まりました。
…結構ストレスだったんですね、今日のあいさつ回り。
私達はテレビ局から出て、眼上さんの車に乗り込もうとしました。
…が。

「…メグちゃん?」

「はい?」

…油断していました。
目の前に、ナデシコで通信士として一緒にブリッジクルーをしていた、メグミさんがいます。
アキトさんが隠し事苦手だったのを、うっかり忘れてました。
メグミ・レイナードさんは声優や教育番組のお姉さんをしていた経験があります。
テレビ局であいさつ回りをしているなら出会ってもおかしくなかったのに…。
アキトさんにうかつに挨拶してはいけないのを、注意するのを忘れていました。

「…アキトさん、出会ったばかりの人を口説かないで下さい」

「え?そんなじゃ…あ」

「…すみません、人違いみたいですので。
失礼します」

私達はそそくさと眼上さんについていきました。
眼上さんは私の前でナンパをするなんて、とアキトさんをからかっていますが、
どうも、遠目に見えるメグミさんはアキトさんに厳しい視線を送っているように見えます。

「メグちゃん、どうしたの?」

「なんか変な人に声をかけられちゃって。
でも私あの人なんか嫌です。派手ですし」

…どうやら、女性受けすると思っていたアキトさんの容姿は、
意外にもメグミさんからは印象が良くないみたいですね。
まあ、いいんですけど…。
















〇地球・東京都内

その後、アキト達の芸能生活は苛烈を極めた。

【大食い日本大会─決勝戦の一幕】

「アキト君、ペース落ちてるわよ!」

「アキトさん、ファイト!」

「ぐ…ぐううううう…」

大食い大会決勝まで進んだアキトも、ホットドッグの早食いでついに命運尽きた。
アキトの大食いチャレンジャーとしての欠点…。
それは常人同様、一日三食の十分な食間が、消化が間に合わない。
つまり、連戦が重なるほど不利になっていく。
加えてアキトの場合、運動後でなければ10人前も食べれば満足してしまう。
運動後であれば20人前でも入ってしまうのだが…。

「ぎ…ギブアップ…」

──結局、アキトは日本で3位の記録を作るところで止まってしまった。






【アスレチック系番組での一幕】

『ホシノアキト、早い早い早い!!』

「うおおおおおおおっ!!!」

アナウンサーのけたたましい叫び声を背負い、
大がかりなアスレチック足場が組まれた場所を、
アキトは鍛えられた身体能力を発揮して突破していく。

(このくらいならいけるっ!)

『さあ続いては、しがみついて降りるスライド丸太だ!』

(これくらいなら、とんでいける!)

だっ!

アキトは一足飛びで、ぶら下がらずに足場を飛び越えた。

『ああ!ホシノアキト、スゴい!
すごいが…。

この競技のルールを理解していない!!
これはルール違反により失格です!!!』

「ええっ!?」

「…バカ」






【雑誌のモデルの仕事の一幕】

アキトはスタジオ内で水着姿になり、撮影を受けていた。
女性向け雑誌のグラビア撮影らしい。
アキトはまだ筋肉が未完成で、ちょうどよく「細マッチョ」だった。

「鍛えられてるねぇ~~~いいねぇ~~~」

「ど、ども…」

カメラマンの賛美と共に、指定されたポーズで写真をとられる。

「…眼上さん、なんであのカメラマン…。

自分まで脱いで撮影するんです?」


「そういうスタイルなのよ。
相手を脱がすんだから自分も脱ぐって」

「…り、理屈は分かるんですけど…」






【クイズ番組での一幕】

『えー問題です。
ただいま再放送で人気沸騰、
再ブームを起こしているゲキガンガー3ですが…。
その敵の幹部の皇子…』

ピンポーン

「はい!はい!アカラ王子!」

ブーッ

『…はアカラ王子ですが、彼の駆る戦闘メカは?』

ピンポーン

「ビックアカラスペシャル!」

アキトは早まってお手付きをしてしまい、
別の回答者に応えられてしまう。
そのほかの問題はアキトには答えづらいクイズだったため、回答できず…。

「全問不正解だ…」

「…バカ」






【佐世保に戻ってコスプレ喫茶「サーフェス」での一幕】

アキトはコスプレ喫茶に戻ってから、
前以上に厨房に立っている時間が長くなった。
その理由は…。

「おおーいホシノさーん!
行列が待ってるから料理早くねー!」

「はいはーい!
…ったく、料理の味で行列できるなら嬉しいけど、
俺を目当てに来なくたって…」

アキトはチャーハンを中華鍋でかき回していた。

「ぼやくなって、アキト。
あの子たちがお前の手料理食べたいって言ってるんだから。
ここんとこお前が居ないってのにずーーーーーっと行列なんだよ。
もうオーナーも浮かれちゃって2号店3号店の話が出始めてるぜ」

「マエノさん…。
はぁ…嬉しくないなぁ…」

「ぼやくなぼやくな。
行列は行列、お客さんはお客さん、だろ」

アキトが将来的に町食堂を開きたい、ということは既に広まりきっており、
コスプレ喫茶の仕事中も、アキトの手料理を食べたいファンが詰めかけていた。
本来は演技や接客で魅せる必要があるが、
アキトがもみくちゃにされてしまうだけで何もできなくなってしまうので、
結局アキトは調理に専念してその姿が見えるようになっている方が、
効率が良いということになってしまっていた。

「アキトさーん!」
「アキトーーーー!」
「アキト様ぁーーーッ!」


アキトは黄色い声援を受けて、ややひきつった笑顔で手を振った。

「「「キャーーーーーッ!!!」」」


「…勘弁してくれ」
















〇地球・佐世保市・アパートの一室・ホシノ家─アキト

その後、2ヶ月にわたって俺達は芸能活動で手一杯な状態が続いた。
最初の契約通り、芸能活動は週5日を超えないように調整をしてもらったが、
それでも週に一度はコスプレ喫茶の勤務に佐世保に戻らなければならない。
つまり休日は週に一日だ。
…だが、一日15時間も仕事で動き続けるという日も少なくなかった。
いくら俺達が若いとは言っても、疲労の溜まり方は尋常ではなかった…。
体力を落とすわけにもいかず、俺はわずかな時間でトレーニングを行い、
週に一度の休みは、ルリちゃんと共に死んだように眠っている。
…申し訳ない気持ちしかない。
そんな死んでるような休日、夜の8時にようやく目が覚めた。

「ん…ルリちゃん、生きてる?」

「…死んでます」

「生きてるね。
なんか食べようか」

布団の上で半目を空けてうなだれているルリちゃんの頭をぽんと叩いて、
俺は起き上がり、何かを作ろうとしたが…。
あまりに長い間家を離れていたせいか、米以外の食品が、完全に全滅状態だった。

「…肉体的に死んでなくても、
人間的には死にかかってるかもな…」

「…店屋物とりましょうか」

俺は食材と食材を作ってくれた人たちに謝りながら、食材をゴミ袋にしまい始めた。
明日がゴミの日で助かった…。

「はぁ…なんか散々なことばっかりだったね…」

「でも…アキトさん結構話題になってるそうですね。
コスプレ喫茶も遠目で見てましたけど、すごいですね」

「…料理であれくらいの行列を作ってみたいけど、
もう、俺は自分の腕で評価されることないんだろうな…」

それだけでも後悔するには十分すぎた。
料理人としての人生も、捨てることになるかもしれないなんて…。

「…アキトさん、一時的なファンなんてそう長くは続きませんよ…。
ブームなんて所詮三年も持ちませんし、
活動が終わってしまえばほとんどのファンは付いてきません。
眼上さんもそれは保障してくれました。
…大丈夫ですよ」

ルリちゃんの慰めが、かえって辛い。
眼上さんの言ってるのは事実なんだろうけど、
逆に言うと芸能人を続けるとこれも続いてしまうって事だからな。

「でも…」

「しょぼくれてないで、
次の仕事にでも備えて下さい」

ルリちゃん、やっぱきつい事いうなぁ。
なんて思ったけど、そういえば、次の仕事って…。

「そっか!そうだね!俺、頑張るよ!」

「はい。今回は私も手伝いますから」

次の仕事は真っ向勝負だ。頑張ろう!
















〇地球・佐世保市・ソフトウェア会社

お昼休み─。
この会社もすっかり業務改善が完全に出来て、
余裕を持って昼休みに突入できる状態になっていた。

「いやーホシノさんが来てくれてよかったよねー」

「私らもう残業なくなったし、スキルアップもできるくらいの時間とれるし。
凄い娘だよね、ホント」

「でも結局社長あれからホシノさんに、
一銭もボーナスあげなかったのって、マジ?」

「マジよマジ。
ドケチなのよねホント」

「しかもしれーっとホシノさんのソフト、
外部にも売り出してるらしいじゃない?
あれってどれくらい値段が付いているの?」

「…関係会社だけに販売しているそうだけど、
確か5社だけで3000万円はもらったそうね」

「うへぇ!?えっぐいわね」

「おい!君らこっちこい!」

OL達が噂話に華を咲かせていると、
お昼のテレビ番組を見ていた課長が、大声で彼女達を呼んだ。

「そのホシノさんが出てるぞ!?」

「「ウッソォ!?」」
















〇地球・東京都・テレビ局・スタジオ─アキト

「さー始まってまいりました。
お昼ごはんの時間にこんにちは、ご飯食べながら見てね!
ご飯食べてない人はごめんなさい!

『どっちの飯でSHOW!』のお時間がやってまいりました!

芸能人料理対決、本日の出演は…。
今を時めく新人マルチタレント、ホシノアキト!そしてそのお嫁さんのホシノユリ!

そして対戦相手は料理番組に乱入する謎の料理人、
『メキシコの風』こと、サンタナだー!」


アナウンサーの実況と共に、俺達にスポットライトが当たる。
拍手と共に俺達が迎えられる。
…やっぱ演出がド派手だなーテレビ番組って。

「アキトさん、大丈夫ですか?」

「うん、ちょっとは取り戻せてきたと思う。
あんまり見世物にされるってのはどうも慣れないけど、
料理では負けたくないんだ」

料理もリハビリが行き届き始めて、何とかなり始めている。
…とはいえ、まだサイゾウさんに認めてもらった味には今一歩足りない。
今の俺の実力を、しっかり評価してくれる人に確認してもらって、
それからまた磨き直す為にも、これはうってつけだった。
この番組、芸能人対決という冗談みたいな形式をとっているが、
その実、審査員はホウメイさんすら認める超一流のシェフばかりだ。
俺にはまだ早いかもしれないが、それでも挑んでみたい。

「調理は私も参加します。
…自信はあんまりありませんが、頑張ります」

ルリちゃんは料理がうまい方ではない。
手伝ってもらっても包丁の扱いが今一つなので、
それ以外を手伝ってもらうほうがいいだろう…。

「それでは…。

クッキングゥウーーーー…。

レディーーーゴーーーーッ!」

カーーーンッ!

ゴングが鳴らされて、俺は下ごしらえの為に包丁とまな板を準備、
材料を切り分け始めた。
ルリちゃんは待機してもらっている。
今回の料理は、天津飯、レバニラ炒め、餃子、そしてたまごスープだ。
スタンダードな日本式中華料理…サイゾウさん直伝の、俺の得意分野だ。
今回は焼き飯系、麺類は避けた。
焼き飯はこういう時大味になりやすいという点から、
麺類は俺が生地から麺を作った事がなく、
どうしても製麺所に頼らざるを得なくなる点から避けた。
今回はコントロールが効きやすいこの四つの料理が望ましい。
30分という時間制限がある以上、料理を冷めさせず、
かつ制限時間に引っかからないようにバランス良く調理することが求められる。

「ユリちゃん、餃子のタネをこねて!
3分ほどしっかり混ぜたら、つつむのもお願い!」

「はいっ!」

俺は言いながら卵スープ用のお湯を沸かして、
卵をかき回し始めた。
天津飯と卵スープで卵がかぶってしまうが、
調理上の手間から考えるとこれが最も効率が良い。
…やるぞ!






・・・・・。
・・・・。
・・・。
・・。
・。





調理がある程度進行し、
ルリちゃんが作った餃子をフライパンに入れ、蓋をして最終段階に入れる。
天津飯と卵スープも完成した。
最後の料理、レバニラ炒めを作る。
材料の下準備ができていたので、時間差がほぼない状態で最後の料理に入れた。

ぼうっ!


炎が俺の鍋をあぶり、レバニラに火を通す。
この炎が揺れる時、やはり汗が吹き出るな!
しばらく調理をしていると、餃子の調理が完了する時間になり、
一度ルリちゃんに鍋を預けて盛り付けなければならない状態になった。

「ユリちゃん、ゴメン。
中華鍋をすこし預かって。
かき混ぜながら15秒持たせてくれればいいから」

「はい!」

だが…。
俺が餃子を盛り付けた時、それは起きた。

じゅわぁ!かぁん!


「ル…ユリちゃん!?」

炎がまたいっそう強く吹きあがり、
ルリちゃんは今までまったく見た事がない鍋の振るい方で、
レバニラ炒めを完成させていく!
なにが起こったんだ!?

「ご、ごめんなさい!
体が勝手に動くんです!」

「み、見事な鍋捌き…。
…ユリちゃん、やっぱりそれ仕上げて!」

「は、はい!」

こんなルリちゃんは見たことがない。
となると…やはりホシノユリのせいなんだろうか。
俺はその時…彼女の鍋使いに、見惚れている事しか出来ずにいた。






〇地球・佐世保市・雪谷食堂

ピークの時間帯にも関わらず、この日、雪谷食堂に客の姿はなかった。
木星トカゲ警報が出ているせいだった。
木星トカゲは時にバッタの編隊で、偵察を行い、
人や兵器の数によっては襲撃を行う。
しかし転じてその編隊を観測、市民が家からでなければ、
ある程度は避難せずに居られる。
それ故に、雪谷食堂はガラガラだった。
だが、それ故にサイゾウとテンカワアキトに、
ホシノ夫妻が、目撃されることになった。

「…あの子あんなに鍋振るえるんだな」

「すっげえ…。
けど、あの子結婚してたんだ…」

「失恋したか?」

「なっ、なにいってんすか!」

「ははは」

「…それにしても、この人、
なんか俺に似ているような」

「ああ、生き別れの兄でもいるのか?」

「居ませんよそんな人…。
火星では一人っ子が多いんす」

「だが、なんだかお前の調理の癖によく似ているな」

「そっすか?」

アキトはテレビモニターに移るホシノアキトをじっくり見た。






〇地球・東京都・大塚駅・日々平穏

ホウメイは乗っていた戦艦が大破した影響で、
一時的にコックの職を失っていた。
そういう時のため、ホウメイは自分の店を持っていたが、
久々に戻ってきた店の中で、片付けに明け暮れていた。
たまたま付けていたテレビで、ホシノ夫婦を見かける。

「おやまぁ。
旦那のほうがメインで呼ばれたのに、
かみさんのほうが中々どうして…。
若いのに大したもんだね」






〇連合軍司令室

連合軍極東支部総司令、ミスマル提督は激務を一段落させ、
食後のお茶をすすっていた。
テレビなどを見ながら。

「ふむ…今日もお茶がおいしい。
む!?あの娘は…!?」






〇ネルガル社長室

「あの姿…やっぱりテンカワ君なのか?」

「…だけど、芸能界に出るようなタマかしら?
それにあそこに居るのがホシノルリだとして…こんな短期間に再婚する?」

「…ないとは言えないけど、
あの堅物のテンカワ君だしねぇ…」

「あの堅物のアキト君だものねぇ…」






〇地球・東京都・テレビ局・スタジオ

ルリの強烈な鍋使いを経て、アキト達の料理が完成した。
アキトの前にルリの仕上げた、見事なレバニラ炒めがある。
アキトは出す前に一口、味見をしてみた。

(…絶妙な火加減が、俺の下準備を生かして、
俺ではまだ不可能なレベルの肉の食感と味。

俺は…猛烈に感動している…!)

「…ユリちゃん」

「はい?」

アキトはルリの手をぎゅっと握り、その瞳をじっと見た。
ほぼ、よどみなく、声を発した。

「…結婚して」

「あ、あの…嬉しいんですけど…。
こんな所で恥ずかしいですよ…」

「「「「「いや結婚してるしてる」」」」」


どっと会場が笑いに湧いた。
──ホシノアキト、状況が読めないがそれ以上に乙女心が読めない男。
そして、本格中華を作れる女性に弱い男だった。

…その後、対戦相手であるサンタナはタコス系の料理で攻めたものの、
繊細な味付けが苦手だった…というのもあるが、
料理番組に乱入しては場をかき乱す存在であったため、元々の評判が悪い。
審査員の番組に乱入した事も多々ある。
…番組プロデューサーのごり押しタレントとのことで、
その影響でほぼ無条件に審査員がアキトに票をいれてしまい、
アキトは頬をひきつらせながら、味気ない勝利を手にした。

(…まあ、いろいろアドバイス聞けたからいっか…)

審査員に番組終了後、自分の料理の短所・長所についてしっかり聞けたのはアキトにとって幸いだった。
だが、もっとも評価が高かったのがルリのレバニラ炒めであったのは、
アキトの心境を複雑にした。

「とほほ…修行が足りないな…」

「コック兼パイロット」から、
「コスプレ喫茶コック兼芸能人」に、
クラスチェンジしたホシノアキトの明日はどっちだ。














〇作者あとがき

どうもこんばんわ、武説草です。
今回も作品をご覧いただきありがとうございました。
というわけで、PMC準備資金繰り編、パート3です。
思わぬところから助け舟が出るものの、もちろんタダというわけにはいかず…?という展開でした。
次回から、ようやく動きがあるかな?という感じです。

大食いについてですが、
あの後、改めて大食いの記事を見たところ日本最強レベルで、
30分でサーロインステーキ250gを17皿(4250g)位まで食べるそうですね。
…フィクション並に食う人ってマジでいますね(痩せてるし)。
それはそれとして、アキトは昔はIFSのせいでパイロットにされてしまいますが、
今回は容姿のせいで芸能人の道に引きづりこまれてしまいました。
アキトはやりたくないことを中途半端にやらされる運命は、未だ健在ッ!
そして眼上という敏腕プロデューサーは資金集めに成功するのか!?
ラピスは覚醒するのか!?
そんなわけで次回へ~~~ッ!





〇代理人様への返信

>戦争は金食い虫
本当に調べるだけで気がめいる世界です。
兵器の驚異的な値段もさることながら、
訓練された人員を失う、その後の人生の保証を行う、
などもろもろ考えると頭が痛くなってきます。
…ナデシコ世界では保険、すごいところまで使えますけど、どうなってんだろ…。


>黒い幽霊ってアイコンを産み出した石ノ森先生は偉大だった。
調べたら結構エグい設定ですね…。
やはり人類の敵は人類か…。






~次回予告~

アキトを再び襲う『半端者』という言葉。
50億円という途方もない額に動かされて、アキトは半端者の自分を認め、走る。
その男の芸能活動の価値、三ヶ月で50億円也。
PMCマルスが背負うは明日への期待か?はたまた木星トカゲへの憎しみか?
マルチタレントと化したホシノアキトは、その命がけの出撃すらも、
エンターテインメントとして消費されてしまうのか?
はたまた、戦士として戦場でまた戦火を交えることになるのか!?
資金繰りと聞いただけで頭が痛くなってくるお金の計算が苦手な作者が送る、
元復讐者のアキトがテレビ版そのままで進行する系ナデシコ二次創作、


『機動戦艦ナデシコD』
第六話:deployment-展開-



をみんなで見よう!























感想代理人プロフィール

戻る 





代理人の感想 

三ヶ月で五十億って無茶にもほどがあるwww
ホントに達成できたら色々な意味で伝説だなw

しかしまあ随分と「混じってる」っていうか・・・。
アキトも誰かと混じってるのかなあ、これは。


>「そういうスタイルなのよ。相手を脱がすんだから自分も脱ぐって」
>「り、理屈は分かるんですけど」

わからねえよ(真顔)






※この感想フォームは感想掲示板への直通投稿フォームです。メールフォームではありませんのでご注意下さい。 

おなまえ
Eメール
作者名
作品名(話数)  
コメント
URL