〇地球・東京都・テレビ局・記者会見場──ホシノアキト

パシャ!パシャシャッ!

……俺は非常に居心地の悪い中記者会見に応じていた。
こんな記者会見を受けることは少なく、
こういうフラッシュを受けることも少ないんだが…。
今回ばかりは逃げることが出来ず、光を浴び、質問に少しずつ応答している。
昨日のロケハンバトルという特異な企画を大成功させ、視聴率は何と80%を超えたらしい。
これは二十世紀から連綿と続く視聴率ランキングの中でもぶっちぎりで、2位になってしまった。
しゃ…シャレになってない…。
俺、コックの夢はあきらめてないけど…これ芸能界兼業一生続くんじゃないか…うう…。

「えー…。
 アクア社長!どんな映画になるんでしょう!?」

「おほほ、秘密ですわ。
 ただアキト様の魅力を引き出す超大作ということだけは明らかです」

「ホシノアキトさんをよく説得できましたねぇ!
 ドラマも映画も主演は避けたいといつも言っていたんですが」

「よくよく話し合って何とか説得致しました。
 お時間はあまりとれないそうですし、そこの折り合いも何とか。
 
 ……そして契約額ですが、なんと300億円!
 
 アキト様も入用があるそうで、こちらも飲ませていただきました!
 今のところこれだけで集めた額の4分の3は使ってしまいましたわ。
 ですから、まだまだ出資の方を募っております!
 お願いしますね♪」


「「「「おおおおおーーーーーーー!!!」」」」



すごい驚きの喚声の中、俺は…思いっきり苦笑いを続けるしかなかった。
俺たちはここに来るまでに、アクアとかなり話し合ってきたわけだが…。



・・・・・。
・・・・。
・・・。
・・。
・。



俺たちは結局、翌日の昼過ぎまで寝込んでしまった。
ようやく目が覚めたところで、アクアから連絡が来て話し合うことになった。
アクアはブーステッドマン達を治療のために送ったあと、仮眠をとって俺たちのところに来てくれた。
この映画の制作についての話し合いの場に参加したのは、
俺とユリちゃん、ラピス、そして眼上さん。
それに対するはアクアと、その婚約者であり今回の映画の監督、クリス・マリン。
アクアの方はもう一人出席してほしいと思っていたそうだが、
クリムゾン家と縁が切れてしまったので断られたらしい。
…それはいいんだが、ユリちゃんは思いっきりガンつけてるし、ラピスはむくれっつらだ。
この二人を同時に怒らせるっていうのは神をも恐れぬ行為だと思うんだけど…アクアは意に介していない。
おっかないよ…うう…。

「……何か、申し開きはありますか?」

「…こちらの都合で命の取り合いになるようなことをしでかしてしまって、
 本当にごめんなさい」

「当たり前だよ!!
 私とユリを巻き込んで!!
 挙句に映画を撮るの手伝えなんて都合が良すぎ!!」


……俺はアクアの条件をのんでしまったことそのものをかなり怒られた。
人が良すぎだって…い、いや分かるんだけど…うう…。

「ラピスラズリ、事を公にできないのはお互い様でしょう?」

「それはっ…。
 でもそれとこれとは話が別でしょ!!」

「そうですわ。
 …しかし、ブーステッドマンの皆さんを全員一度に仕掛ければ勝てた戦いを、
 なんとかギリギリ勝てるかどうかに調整して、
 私自らが今回の作戦を破棄することを選択したのをお忘れなく」

ユリちゃんとラピスは反論できなかった。
…最初からアクアが全力で俺たちを殺しに来ていたらどうあがいても勝てなかった。
実力が分からないまま、最初からDが本気で来ていたら俺は即死だった。
実際はクリムゾン家に迷惑をかけないために自己責任で始めたと偽装したいからだろうけど、
それを加味してもかなり危ない戦いだったのは間違いない。
この手は二回は使えないし、クリムゾンもブーステッドマンをもう一度戦いに引きずりだせないだろう。
あのレベルの暗殺者がまとまって襲い掛かってきたらと考えるとゾッとする。
そういう意味では今後のためにかなり優位に立てる状況になったともいえるわけで…。
…もっともブーステッドマンを新作されちゃうと意味がないんだけどね。

「…とはいえ、私達も穏便に済ませたいです。
 協力してほしいのもありますが、純粋に謝罪をしたいのもあります。
 せめて慰謝料…という名の映画出演料になりますが、アキト様たちで額を決めていただいて結構です。
 天文学的になると困りますが、可能な限り叶えたいと思います」

ユリちゃんとラピスはむ、と顔を上げて顔を見合わせた。
そしてちょっと相談していいか、と声をかけて後ろを向いた。
俺たち四人は応接コーナーから少し離れて、事務机の椅子を集めて相談した。

「アキト君ったら、面白いことばっかりするんだから」

「…眼上さん、ちょっと不謹慎ですよ」

「あら、ごめんなさいね」

…眼上さんはリアルタイムで見てなかったせいか少し能天気だ。
まあそれはいいとして…。
どうしてユリちゃんとラピスはここで話し合おうと思ったんだ?

「…アキトさん。
 業腹ですがこの際、映画撮影を受けるのは決定でいいです」

「え…?
 二人はどうやっても断るつもりかと思ってたけど」

「アキト、考えても見てよ。
 …結局連合軍の人たちの演習に貸したエステバリス、九台全損なのよ?」

「…あ」

ラピスの言葉で、俺は血の気が引くのが分かった。

…結局、俺たちがブラックサレナと連合軍基地内で戦ったことについてはお咎めなしになった。

今回はブラックサレナを破壊しきらず持ち込んだ俺たちの責任ではあったものの、
連合軍のパイロットは怪我もほとんどなく、基地設備の一部修理代こそ出す必要があったが、
佐世保のチューリップ撃破の一件もあって、穏便に済ませてくれることになった。
外部に情報が漏れてなかったこと一因だが。
もちろん…連合軍に貸し出していた十二台のエステバリスのうち、
全損した九台の修理は連合軍に修理してもらうわけにもいかない。
一台十億円する陸戦エステバリスを九台失うと九十億だが…。
…高価なミサイルを大量に積んだ砲戦エステバリスも含めると、恐らく二百億円以上だ。
で…最後にアカツキと登場したさつきちゃんたちの陸戦エステバリスも小破で修理が必要。
そして基地設備の修理代を含めると…それだけでもどうみても二百五十億円はかかる。
……さすがにこの額になると、俺も稼ぐのにだいぶかかってしまう。
多く見てもかかりきりで一週間五十億円…現実的に最近は週二か週三程度しか出れないので…。
残り二ヶ月くらいしかないので絶対にナデシコに乗るのが間に合わなくなるわけだ。
しかも最近はできる限り芸能活動のギャラを抑えるようにしないと恨みを買うということで、
そこそこ安くなっちゃってるしな。
これまでの蓄えは今後の弾薬代、修理代、そのほか運営費を考えるとそれほど多く出せないし。

「…それとも、この間ピースランドからカードを預かったからって、
 ルリに借りるつもりですか?」

「…こんなことで、しかも妹に借りるって情けなさすぎるよね。
 他の芸能界の人達のためにもギャラをある程度下げるって話になってるし…。
 ここまでのPMCマルスの稼ぎを当てても半分も返せないし…」

「…でしょ。
 だったら迷惑料ついでに、
 せいぜい三百億円くらいふっかけてやらないと」

ラピスは出演料でやり返そうと思ってるみたいだな。
だが…これくらいでへこたれる子だったらまだかわいげがあるよなぁ、アクアも。

「承りましたわ。
 では、契約をお願いします。
 危険な撮影はしませんが、
 色々ご協力をお願いするところもたくさんあるかと思いますので、
 どうぞよしなに」

やっぱり、アクアは二つ返事で頷いた。
これにはラピスも呆気に取られて返事をし損ねた。
ユリちゃんは眉間にしわを寄せてため息をついていた。

「それじゃ、さっそく記者会見に出ましょう。
 打ち合わせは向かいながらにしましょうか。
 眼上マネージャー、記者会見のセッティングをお願いしますわ」

「ええ、構わないわよ。
 …まったく、アキト君たら中々休ませてくれないんだから♪」

…眼上さん、めっちゃうれしそうに言われても困ります。



・・・・・。
・・・・。
・・・。
・・。
・。



そんなわけで俺はほぼ諦めきったひきつった笑みでこの記者会見に参加している。
うう…ホントに勘弁してくれ。
とはいえ、この記者会見も別段答えられることが多いわけではなく、さっさと解散した。
何しろシナリオを組むのはこれからで、俳優集めもそのあと始めないといけない。
俺はここから俳優のトレーニングを始めて合わせないといけない。
…あと二ヶ月しかないっていうのも伝えたが、なるべく早く終わる方法をとるので、と意に介されなかった。
この後はロケハンバトルの件についても話に行かないといけないし…。
なんでこうなった…。




















『機動戦艦ナデシコD』
第四十八話:Dress Rehearsal -本番並みの舞台げいこ&前哨戦-





















〇地球・クリムゾン本社・会長室──テツヤ

俺は会長の愚痴を聞かされに会長室に呼ばれた。
…会長からはその後のアクアの足取りについての報告という題目こそついていたが、
俺からはどう見ても愚痴を話したいだけのように見えた。
はぁ、大概この会長も落ち目だよな。

ま、このエグい人体実験に厳しくなった世間を生きるには向いてねぇやり方ばかりしてきたから、
今になってツケが回ってきちまったわけだがな。
アクア嬢の方が手順が良いって思っちまうくらいだ。
さすがに追い込まれてるようだ。

「どうします、アクア嬢を暗殺なりなんなりしますか」

「…あいつは放っといていい。
 今更私に害のあることなどしまい」

アクア嬢がクリムゾンから追放されたのはかなり大きなニュースになったが、
ホシノアキトの映画を撮るアクアフィルムの社長になったというニュースの方が大きく報じられた。
ついでに売れない映画監督クリスマリンに嫁いだというのもな。
…まあ、暗殺事件が公にならないだけずっとマシなんだが。

「ネタは集めちゃいますが、こっからホシノアキトを堕とす方法がないですね。
 あいつが人を殺したことがないとホラ吹いてるのは気になりますが」

「この際、害のあるアクアとブーステッドマン達を放逐できただけ良しとしよう。
 …次の一手をなんとか打たなければ」

手遅れでしょうがね、と言いかけて口をつぐんだ。
…すでにクリムゾンへの世間からの不信は決定的になりつつあった。
商売としてはまだやっていけるだろうが、軍への関与もアフリカ方面以外は不可能だ。
木星トカゲに対してビッグバリアが役に立たなかったのも、今になって批判が噴き出している。
ディストーションフィールドに比べれば電力ばかり食う、役立たずだったと…。
後出しじゃんけんで言う連中の気楽さには笑っちまうがな。

「望み薄ではありますが、どこかで仕掛けるしかないでしょうね。
 ホシノユリとラピスラズリが奴のアキレス腱であるのは分かりましたし…。
 二人に何かあって『狂えば』あの黒い方のあいつを引き出せる。
 …それだけ分かっただけでも儲けものです」

「…そうだな」

とはいえ、ここからあのホシノアキトの隙をつくのは至難の業だ。
世間まで完全に味方だからな…。
次にいつもどおり仕掛けたら世間も全力で追いかけてくる。
そうなったらさすがに逃げ切れん。
この規模じゃどうしようもないだろう。
…とにかく、ホシノユリかラピスラズリを誘拐するくらいをやらなきゃどうしようもない。
やりがいのある仕事ではあるが…さすがに引っ込んだまま倒せる相手じゃねぇしなぁ…。

ま、できるだけやるか。
















〇地球・佐世保市・PMCマルス本社・ユーチャリス訓練施設・食堂─さつき

私達はアキト様とラピスちゃんの生還祝いで全員疲れ切っているにもかかわらず、
ホウメイさんたちが作ってくれた宴会料理を食べまくって、それで明け方にぶっ倒れて…。
で、目覚めたら映画出演決定の記者会見でアキト様が思いっきり黄昏てるのを見て全員で苦笑していた。
本当に目立ちたくないのに引っ張られてしまう、可哀想なアキト様…。

「ねえねえ!どんな映画になるのかしらね!!」

「…そんなの分かるわけないでしょ?
 ジャンルも何もかもがわからないんだし…アキト様乗り気じゃないんだから」

はしゃいでるレオナと対照的に青葉はぶすっとしていた。
青葉…まだ黒いアキト様のこと引っ張ってるの…。

「青葉ぁ~付き合い悪いわよぅ」

「うっさい。
 ちょっとはアキト様を気の毒に思ってあげなさいよ。
 今回も私達、そんなに役に立てなかったんだし」

「でも~アカツキ会長だって褒めてくれたでしょ~」

「ナンパ目的だったんじゃないの?
 あの人も結構手が早いって有名じゃない」

「そんなこと言っちゃ失礼よぅ」

……そう、今回はちょっとしか戦わなかったけど、重要な役割を得ることができた。
アカツキ会長がフィールドランサーでブラックサレナに奇襲をかけた時、
私達は連合軍のパイロットから訓練用に貸与していたエステバリスを返してもらい、
フィールドが弱ったところでディストーションフィールド発生装置を打ち抜くことに成功した。
これがないとまた泥仕合だったかもしれないって考えると結構役に立てた気はする。
何しろアキト様、アカツキ会長、ナデシコ隊全員疲労困憊状態でどうしようもない状態だったから。

「とにかく、私達もしっかり休んで備えるわよ。
 アキト様達ほどじゃないけど、それなりに緊張して参ってるんだから」

「「はーい」」

…とはいえ、私達パイロットの12名以外はまだまだはしゃいでいる。
何しろ最後の最後までつきあってたわけじゃなくて先に休んでたので体力が有り余っているから。
私達は責任の少ない最初のころはあんな感じだったんだろうと考えるとちょっと頭痛くなってくるわ…。
…はぁ、こんなのでいいのかしら、本当に。






















〇地球・東京都・某ビジネスホテル──クリス・マリン

僕は錆び切った自分の脚本力をもう一度取り戻すためにもと早速メインストーリーを書き始めた。
アクアはどうしているかというと、クリムゾン家から引っ越しのため、一度屋敷に戻っているらしい。
しかし…アクアはすごいことばかり思いつく。行動力もすごい。
巻き込まれる側としては迷惑に思う人も多いだろうけど、しっかり味方につけるとかなり心強いかもしれないな。
このホシノアキトの限界を引き出すためにけしかけた…犯罪行為だったが、エンターテインメントとしてはすごいものだ。
…これを映像作品として超えるものを作れっていうのは結構骨だよ。
スタントもCGもなしであんなことばかりされたら映画業界は廃業しないといけないスタッフが出そうだ。
でも…。

「…この人達、本当に面白い人生を歩んできたんだな」

ブーステッドマン達とのバトルや、資料、そしてアクアの盗聴…。
すべて組み合わせると、波乱万丈な彼らの人生が浮かび上がる。
こんな刺激的な人達が居るなんて、まさに事実は小説より奇なり。こういうと不謹慎だけどね。
同じ名前、同じ顔立ち、同じ性格の人が居て…それをめぐる人生を送るなんて。
そんな鏡合わせの人生……!

思いついた!!これだ!!

「すべてがつながった!!
 書ける!!これで書けるぞーーーーッ!!」


…そして僕は三日三晩、寝ないで脚本を書くことに打ち込んだ。
その後、さらに三日三晩眠り続けてしまったらしい…。
病院で目覚めて、アクアが僕の脚本を何度も何度も読み返していたのに気づいて…。
彼女の瞳が涙にぬれて、顔が真っ赤になって震えてるのを見て、
ついに僕の映画人生が、もう一度動き出したのを確信した…!























〇地球・佐世保市・PCMマルス本社・アキトとユリの部屋──ユリ

私とアキトさんは疲れ切ってしまったので早めに休ませてほしいとみんなに断り、
二人だけの時間をじっくり過ごしていましたが…。
…アキトさんやっぱりちょっと荒れてます。
暴力的とは言いませんが、いつにも増して激しいです。
受ける側の事を考えてほしいです。八つ当たりみたいで嫌ですし。
こういうことを甘やかすと今後のためにならないのでちゃんと叱りました。
身が持ちませんし。
アキトさんはハッとして謝ってくれました。
はぁ、こういうところ気が付かないの相変わらずなんですね。
…エリナさんとの関係はもっとひどかったとは聞いてるので、
そんなに気にしてはいないんですけど、ね。

「…ちょっと乱暴だったね、ごめん」

「…今日は色々ありましたからいいです」

そのあたりの反省はそこそこに、
私達はため息交じりに昨日の出来事を反省し始めました。
今回の事は本当に参りました。
完膚なきまでに負けです。敗北者です。負け犬です。
死なないだけマシだったとしか言いようがありません。
まさかあの死にたがりアーパー女のアクアクリムゾンにここまでしてやられてしまい、
生殺与奪権を握られ、あまつさえその後の事までほとんど言いなりになるしかないなんて。
アクアの言う通り、私達はアクアがその気だったら全滅でした。
このあたりはアキトさんが上手に説得してくれたので良かったんですが…。
アキトさんは『ラピスと戦ってるみたいだった』という感想だったようですが、まさにそれです。
内容がバカバカしいくせに抜け目もなければ、
アフターフォローばっちりなのも、相手の性質を見抜いているのも。
『アキトさんに一緒に死んでほしい』と、
『アキトさんのために死ぬ覚悟』と、
思考の違いはありますけど。

「…まあ、今更なにかこれくらいで変わることもないだろうけど」

「そーですね…」

アキトさんはもう人気がカンストしてます。
全世界に愛されるスターではありますけど、これ以上はたぶんありません。
地球を救うきっかけを作った英雄のほうがついでと言われるくらいの人気です。
これ以上何か起こりようはありません。
何か起こってもせいぜいファンを喜ばすくらいです。

「今回の事で…色々気をもまされたのもちょっと困ったけど…。
 …自分の悪いところを思い出させられたのは辛かったな」

「アキトさん…」

アキトさんは寂しそうにぽつりとつぶやきました。

この世界に来て、過去の事にとらわれなくなったアキトさん。

もしあの、黒いアキトさんのままだったら、
私に笑顔を見せることもなく、再び復讐に向かっていたかもしれない…。
あの時、私に素顔をみせてくれたのは最後のつもりだったからだって分かりますし…。
…嫌です、そんなの。
私、どんなことがあってもアキトさんを支えたいって思っていたのに、
そんなふうにそっぽ向かれたらどうなっちゃってたか…。

「…白状すると、あの時。
 ブラックサレナにとりついてた俺の記憶の方が本体で…。
 俺の方がコピーなんじゃないかって思ってしまうほど、
 あいつはあの頃の俺の心を持っていたんだ」

「そんな…。
 で、でも…」

「大丈夫」

アキトさんは涙をこぼすと、私の頬に手を触れました。
私の目を、じっと見てくれて…。

「…俺はあの時、君にちゃんと頼めば協力してもらえたのに、
 自分一人で罪を持っていく為に、あんな方法で君を呼んだ。
 
 俺は君の恋心すら利用して、ユリカを取り戻そうとしたんだ。
 
 …そんな自分を最低だと、何度も思ったよ。
 事情はどうあれ、人殺しで…そんなことをする奴が君の元に戻ってきちゃいけないって。
 ユリカに顔をみせてはいけないって。
 
 でも二人の言葉で全部吹っ飛んだ。
 …人間にはいい部分も悪い部分もあるし、感情が強ければ善悪どっちにも偏る。
 君とユリカ…義姉さんが言ってくれたことが……。
 俺のすべてを……救ってくれたんだよ…。
 だから、俺は…おれは…」

…私はアキトさんを強く抱きしめました。
もう、この人は大丈夫です。
ようやく…あの『黒い皇子』を乗り越えてくれた…。
二度と、どんなことがあっても…道を間違えません。
ラピスの心配も…きっと杞憂に終わります。
良かった…。



・・・・・。
・・・・。
・・・。
・・。
・。



アキトさんと私は、ただ抱き合って…そのまま深く眠ってしまいました。
翌朝になって…少し仕事をするには早い時間に目覚めてしまったので、
再び一緒にシャワーを浴びながら話し始めましたが…。

「しかし、良くない約束をしちゃったよね…」

「…ごめんなさい」

私はラピスに浮気を一回許すという約束をしてしまったことを今更ながら話して、
しょんぼりと首を垂れることしかできませんでした。
あんまりにも自分のキャラじゃない約束をしてしまったことを反省しました。
…はぁ、これ一個でも妻失格な気がします…。

「…うん、大丈夫。
 なんかもうラピスを止める自信がないから…」

「…それはそれでムッときます。
 自分で言い始めたことですからアキトさんのせいじゃないですけど」

「ごめん。
 …でもラピスとの仲についてもう少し真剣に考えた方がいいと思っているんだけど、どうもね」

「…一人で考えてても始まらないでしょう、今のアキトさんの場合。
 そんな頭良くないでしょう?」

「うぐっ、昔よりバカでごめん…」

「いいです。
 頭悪いくせにくよくよされるよりマシです。
 …しかしラピスは、アキトさんに依存してる事そのものに問題ありますね」

「時間とってしっかり話さないとね…」

とはいえ時間かけたところでうまくいかない気がするのも事実です…。
ああ…ドロドロの三角関係だけは避けたいんですけど、マジで…。




















〇地球・佐世保市・PCMマルス本社・ラピスの部屋──ルリ

私はラピスの部屋に昨日、泊めてもらいました。
というか半分くらい看病のためです。
アクアクリムゾンに文句を言いに行った後、ラピスは軽い熱にかかってしまいました。
ユリ姉さんもユリカさんも看病すると言ったんですが、
ラピス自身が一日無理したせいだからそんなに心配しないでいいと断り、
代わりに何かあったら困るから私に居てほしい、と頼んできました。
最も、ラピスが寝込んでいるそばで情報収集しながらちらちら様子を見たり、
濡れタオルを変えてあげるくらいしかしてなかったんですけどね。
で、今朝は熱も下がって大丈夫そうではあるんですが…。

「ラピス、無理しないでいいんですよ?」

「無理じゃないし、無理だったとしても出ないと。
 …あのままアクアをほっとくとアキトが危ない気がするの」

ラピスは横になったまま私を見ています。
…まあ、あのアーパー爆弾娘にアキト兄さんを任せるのはまずいですしそれはそうでしょう。

「それはそうでしょうけど、IFSとナノマシンの過負荷なんて前例があまりありませんし…。
 大事をとってもいいんじゃ…」

「…うーん、午前休みくらいとろうかな。
 ルリにお説教受けないといけないし」

ラピスは皮肉っぽく笑って、ユリ姉さんに午前休のメッセージを送りました。
…まあ、話をしたかったんでちょうどいいでしょう。
私も休みですし。ナデシコのハッチとエステバリスの修理が全く間に合ってないので、
後一日二日かかる見込みでお休みでしたし。

…その後、ラピスに命を粗末にしないで欲しいと何度も何度も言いました。
そしてアキト兄さんを想うのはいいですが、命を懸けすぎるのは良くないです、と言いました。
しかし…。

「分かってはいるんだけど…。
 …ユリにもこっぴどく怒られたし」

「あたりまえです」

「…アキトは私にとってのすべてなの。
 アキトの居ない世界なんて、何の価値もないもん」

…はぁ。
この辺は変えようがなさそうですね、どうしても。

「エリナにも言われたんだけど、
 良いって思う男の人中々いないじゃない。
 それにアキトはもう世界一の王子様ってあだ名が似合うし」

「…そこんとこのセンスが今一つ分からないですよ。
 私はアキト兄さんのどこが好かれてるか分かりません。
 誠実で能力もありますけど、頭悪いですし」

「それは否定しないけど…じゃあテンカワは?」

「…ちょっといいと思いますけど、微妙です。
 テンカワさん一生懸命ですけど伸び盛りですし」

「あー」

ラピスは微妙に苦笑いして、額を掻きました。
…私はユリ姉さんと妙に近いところがありますけど、
男性の好みはそんなに近くないようにも思いますね…。

「いいじゃないですか、私達まだ子供です」

「それはそーなんだけどねー。
 私達って同世代の男の子とはあまり近くないし、特殊だし。
 出会いの場なんて限られちゃってるんだから。
 そんなこと言ってるとすぐオバサンになっちゃうから、
 早め早めにってね」

…とはいえ、十代前半はちょっと危ないです、ホントに。
あ…そういえば、年齢と言えば…。

「あの、私がピースランドに行く前に、
 ラピスが言ってた疑問、ありました。
 これを言えたら、自分たちの秘密を明かしてくれるっていってた…」

「あ、分かっちゃった?」

「分かりました。
 …でも、聞いちゃいけない気がすることにも気づいたんです。
 ラピス、あなたの意見としては聞いてほしくないんですか?」

「ストレートに来たね」

「ラピスははぐらかすタイプじゃなくストレートです。
 だったら私も最初から直球で行きます」

からめ手は得意な癖に、しかも隠し玉たくさん持ってそうな癖に、
会話は割とストレートが得意です。ユリカさんにもちょっと似てるところです。
クローンだから当たり前ではあるんですけど。

「うん、聞かない方がいいと思うよ」

ラピスの答えは簡潔でした。
事情はどうあれ、聞く必要が今のところはないようですね…。

「分かりました。
 これは時期が来たらでお願いします」

「…うん」

時期が来たら、という言葉に感心したのか、ラピスは驚いた様子です。
…とにかく、このあたりのことはすぐに解くべきことではないようです。
追々知れるでしょう、たぶん。

「あつつ、頭がちょっと痛い」

「ラピス、お水をくんできます」

「ありがとー…。
 二日酔いってこんな感じかな」

「知りません、お酒飲んだことありませんし」

ラピスは両手で頭を押さえると、うめいています。
…ラピスは水を飲み切ると、ほっとしたようにうなずきました。

「…なんか走馬灯見えちゃったし、
 それなりに危なかったのかもね」

「IFS導入時みたいですね」

「それ系だと思うよ、体感時間が妙に長かったし。
 …私の場合アキトの記憶の方も見えちゃうから余計にね」

…それはなんとまあ。
相変わらずちょっと不便な体質してますよね。

「んー…だけどなんか違和感があるの。
 なんだろ…」

「やっぱり病院行きます?」

「ううん、普通の病院じゃダメだし、ネルガルまで行っても分かんないからいいよ。
 IFSの実験してた人達も、ナノマシン治療の専門家じゃないし、
 ルリを育てた人もどっちかっていうと遺伝子のほうが専門でしょ?
 …アキトを見れる、イネスが必要だよ」

「そう、ですか」

アキト兄さんの主治医、なんですねその人。
火星に居るっていう…しかし、間に合うでしょうか…。
間に合うかどうかじゃありません、ベストを尽くさないと…。
…そういえば気になったことがあるんでした。

「…そういえばもう一つ疑問がありました。
 あのヤドカリ…数時間かけたとはいえ、ラピスの組んだプロテクトを突破しましたよね。
 …ヤドカリはたかが機動兵器です。
 のっとりのハッキングにたけているとはいえ、あのサイズの、
 しかも自動化されたハッカーツールごときで、ラピスのプログラムを突破できるとは思えません。
 …妙だと思いませんか?」

「…そう。
 それだけは今回の謎なんだよね」

ラピスはすっと体を起こして、眉間にしわを寄せています。

「あのプロテクト、自信作だったんだよ。
 過去最高傑作だったっていっても過言じゃないの。
 それを壊すこともなくすり抜けるようにしてブラックサレナに侵入して、
 プロテクトは後から侵入した私を、いつも通りブロックしたの。
 普通だったらアンインストールしちゃったほうが楽なプロテクトを…」

私はゾッとしました。
ラピスは私と互角、部分的には私に劣るくらいの能力を持っています。
オモイカネとやり取りするとき、会話でなくプログラムを作って任せる方がいい時も多いです。
そのために私達のプログラミング能力というのは卓越したものがあるんですが…。
攻守ともに、そうそう破られるものではありません。
敵に相当優秀なハッカーが居ると考えるのが妥当ですが…。
敵のプログラムがそこまで高度であるなら、バッタももっと強くていいはずですし、
より強力な制御プログラムを組むことも可能なはず…。
…謎です。そんな人が居ないと考えるのが普通ですけど。
でも一番考えたくないのは…。

「…敵がブラックサレナを、狙って奪いに来たって可能性もあるよね」

そうなんです。
このケースについては対応できないんです。
内通者がいたとか、そういうことも考えられますけど…。
第一容疑者にすべきアクアは無関係と考えるべきです。
ブラックサレナを奪うのも込みだったら、今回のシナリオももう少し変わるはずで…。
ナデシコの足止め用にしては危険すぎる話ですし…。
そもそもブラックサレナという機体を持ち帰るのが目的なら、
戦闘しないでさっさとチューリップに向かうはずです。
じゃあ、なんで高度なプロテクトを乗り越える性能を持っているのか。
それも分かりません。
…色々なことが噛み合いませんね。

「それは、なさそうな気もしますけど…希望的観測です」

「そうだよね。
 なんていうか、敵意があるにしても穴が多すぎて全然わかんない」

そうです。
まるでアキト兄さんたちの秘密みたいで…。
…いえ、何かラピスが深刻な顔をし始めてます。
何か、可能性に気づいたみたいですね。

「…ルリ…ん、あの…。
 えっと…ちょっとアキトとユリと話してくる」

「え?」

「だいじょーぶ、話したら一日休みにしちゃうから。
 やっぱ調子悪いみたいだし。
 じゃあ、またね、ルリ…」

「あ、はい…お大事に…」

…様子が変です。
何か気づいたのと、また別に…。
なんかちょっとしゃべりがおかしいですね。



「過負荷で…脳の言語野に異常でも出たかな?
 単純に疲労とか不調のせいとか…。
 違和感のせいだと思うけど…でも…」



















〇地球・佐世保市・PCMマルス本社・会長室──アキト

俺とユリちゃんとラピスは会長室で合流して話し始めた。
ヤドカリがブラックサレナをハッキングできるわけがない、ということで…。
もしかしたらヤマサキが先んじて手を打ったのかもしれないと疑惑が浮かんだらしい。
俺もその可能性はあるかと思ったが…。

「いや、それだったらもう少しマシな方法があるはずだ。
 そこまで正確にこっちの様子を知れるなら、ネルガルにバッタを突撃させたりするだろう。
 俺たち個人を特定することだってできるはずだ…。
 だがそうなると目的がわからない…」

「…そうですね。
 ブラックサレナの位置や情勢を確認できるくらいなら、
 私達はさっさと殺されてるはずです。
 かといって殺す気がないならないで、おかしいです。
 何より…」

「…ヤマサキはプログラミングには長けてないもんね。
 どう勉強したってどう調整したってヤドカリのプログラムを高度にできないし、
 あのサイズじゃ性能にも限界があるし」

そう、あまりにちぐはぐな状況だった…。
しかも俺の記憶を引き出して仮想的に人格を作り上げるなんていう芸当までやり遂げた。
引っ掛かることばかりだ。

「楽観視はできませんが、過度に心配するべきじゃないでしょう」

「…だといいんだけど」

このあたりを追及できなかったのは痛手だった。
あの状態じゃ仕方ないとはいえ、ルリちゃんがブラックサレナ上のデータを全削除してしまい…。
念のために強力にデリートされてしまったので、復旧のしようがまったくないということだ。
抑え込んで解析してしまうのも手だが、のんきにしていたら逆にやられた可能性もある。
ブラックサレナ状態じゃなくてもリミッター解除して向かってこられたら対抗しきれるか怪しい。
あの時はそうするしかなかったからな…。

「ま、話はそんだけ。
 …私、ちょっと調子おかしいみたいだから一日休んじゃうね」

「そうですね。
 ラピスはアキトさんの次に無茶しましたし、寝ててください。
 せっかく健康なんですから」

「あーい。
 あ、それとユリ。
 アキトがまた芸能界に引っ張られるだろうから、眼上呼んだ方がいいよ。
 ユリも連合軍基地の修理の手続きで時間ないでしょ」

ラピスはユリちゃんに仕事の引継ぎをすると、さっさと自室に戻っていった…。
パジャマにスリッパ姿でかわいらしいが、後ろ姿を見て昔よりずっと背が高くなったことに気づく。
本当に変わったよな、ラピスは…。

「…アキトさん。
 芸能界も長いですし、今更気を付けることもないでしょうけど…。
 あんまりうかつなことしないでくださいよ」

「わ、わかってるよ」

…たぶんラピスの事にくぎを刺しに来たな、ユリちゃん。
とはいえ、俺がラピスに自主的に手を出すなんてことは絶対ないから大丈夫だ。
…しかし、はぁ。
少なくとも一晩、ラピスの夢に付き合ってやる必要が出ちゃったのか…。
…どうしてやるのがいいんだ。
……からかわれるのは分かってるが、アカツキに聞いてみるか。






















〇地球・都内某所・ラジオ局

『え~続きまして…コーナーが変わります!』

『A子と!』

『B子の!』


『『「かしらかしらご存知かしら?のコーナー」でぇ~~~~す!』』



『今日は…ってもう今更説明するまでもないけど、
 三か月以上持ちきりの話題、
 「世界一の王子様」「稀代の英雄」「星の王子様」こと、
 ホシノアキト様についてのお話で~~~す!』

『大変なことになっちゃったわよねー。
 多重人格で、サイボーグと渡り合えるくらい強いって…。
 アキト様本当に人間離れしてるわよ』

『大変なのはそうだけど、あの黒いアキト様の姿で
 ファンが減るかと思ったら新規ファンが急増した上に、
 今度は映画を撮るっていうのが決定しちゃってびっくりよね!』

『そういえばドラマとるのも嫌がってて実際大根役者でファンの間でも通ってるのに、
 意外とライブ得意なのよねー。
 「世紀末の魔術師」ショーの一件もだけど』

『それでは、早速、みんなからのお便りを開きましょう!
 まずは、ラジオネーム『黒い王子様に恋したミツバチ』さんからのお便り!
 
 「こんばんわ、私はホシノアキト様のファンではなかったんですが、
  あの黒い姿をみてから一目ぼれしてしまい、
  このラジオのアーカイブ放送を一昼夜眠らずに聞いて、
  ネット上で共有されてる映像を見ながらこのお便りを書いています。
  元々普通のアイドルと思っていたんですが、
  注目度が上がってて、無理矢理友達と今回のロケハンバトルを見ていましたが、
  いつもの雰囲気と全く違う、影を感じる姿に胸を撃たれました。
  あのアキト様となら破滅的な恋をしてみたいと思ってしまうほどに…」
 
 きゃー!また罪深いわねぇ、アキト様!』

『ホントにねー。
 アキト様は王子様って言われてるけど既婚者よ?
 分かってるのぉ?』

『まだ続きがあるわよ。えー…。
 
 「今度の映画がどんな作品になるのか分かりませんが、
  想像だけで夜も眠れず昼寝している日々です。
  早く予告編が見たくて仕方ありません。
  一年くらい待たされたら私はおかしくなってしまいそうです。
  アキト様、早く!アクアさん、早く!映画を!」
 
 …ってことで結構切羽つまっちゃってる、新アキト様ファンからのお便りでした』

『なるほどぉ。
 このあたりの感想は全世界的に変わらなそうよねぇ。
 …でも便乗してる各業界のたくまし~い皆様も居るので、
 みんな、模倣品、偽物、非ライセンス商品には注意しなさい?』

『そういえば義理の妹のラピスちゃんの開いているホシノアキトファンクラブも、
 ついに全世界で500万人を突破したそうね。
 こちらに参加すると優先的にファングッズが買えるし、
 アキト様のプライベート動画も随時配信しているそうだから、
 ぜひチェックしてみてね!』

『宣伝おつー。
 じゃ、次のお便り行くわよぉ。
 ラジオネーム、『世紀末の魔術師は大変なものを盗んでいきました』さんからのお便りでーす。
 やっぱりハートを盗んでしまわれたのかしら?

 「アキト様の活躍、家族一同で拝見させていただいてます。
  私達兄妹そろってもそうですが、兄に至っては旧知の仲で、
  PMCマルスで働いてます」
 
 おおっと!?これはまた、身内からの情報提供ねぇ!?』

『夢中になってる子が多いと思ったけど、
 すごいわねぇ~」

『続き読むわよ。

 「私達は『世紀末の魔術師』が誕生する瞬間に立ち会ったんですが、
  本当に興奮であの日は眠れなくなっちゃいました。
  それに…ふふふ、間近であの姿を見れちゃった♪
  うらやましいでしょー♪」
 
 まぁっ、自慢しちゃって!』

『…ばれたら後が怖いわよー。
 あんまり言いふらしちゃだめよ、身の危険があるんだから』

『おほん。大丈夫よ。
 何しろPMCマルスのスタッフ関係にはファンから接触しないという不可侵条約が結ばれてるもの。
 アキト様のお言葉とあっては逆らえないものね。
 とにかく、最後まで読むわよ。
 
 「でも、その後、めったに帰ってこなかった両親が、
  初めてアキト様関係の活躍や芸能活動をみて気に入っちゃって、
  今や我が家はアキト様ブームです。
  あ、お母さんは黒アキト様が好きです。渋いです。
  弟と妹の通う小学校の学芸会でも『世紀末の魔術師』は演劇の題目になり、
  私も高校の文化祭ではたくさんアキト様を題材にした出し物が多くありました。
  みんなもご存知とは思いますが、ハロウィンの仮装でも一番数が多かったそうですね。
  私達も少しでも役に立とうと思って、PMCマルスのグッズの内職をしてます。
  みんな買ってね♪」

 あらー、やっぱり大ブーム…ていうか空前絶後のブームよねぇ』
 
『渋谷ってあれでしょ?
 初めてアキト様がエステバリスのお披露目をしたんで聖地だし…。
 ハロウィンも21世紀初頭くらいからの聖地でしょ?
 …相乗効果ですごいことになってたそうよね」

『普段は100万人ちょっとだったんだけど、
 今回は200万人以上来たらしいわ。
 それでアキト様を真似して警察に挑んだバカが50人くらい逮捕されて、
 アキト様も自分のせいじゃないけどちゃんと渋谷警察署まで赴いて謝ってたもの』

『相変わらずとばっちりうけるわよねぇ、アキト様。
 ま、この姿を見ても警察に挑むようなバカは完全に自己責任よ」

『アキト様が政界に打って出たりしたら、政治家のおじさま方、顔面蒼白なんじゃない?
 こんな影響力あるんじゃ」

『でもでもそんなタマじゃないのはファンならだれでもご存知かしら?』

『でもでも勇者様、英雄は自分の思想を超えた解釈で祭り上げられちゃうものよ?
 あなたはそれでも表舞台に立つ覚悟がおありかしら?』



『『かしらかしらご存知かしら~~~~~!』』




















〇地球・佐世保市・喫茶店『侯爵』──ユリカ

私とアキトは喫茶店でお茶をしていた。
あの事件から一週間くらいたってるけど、
ナデシコもあまり止めていられないので出撃しては休み、出撃しては休み、
すこしずつ修理をしながらギリギリ出撃を続けていた。
で、今日も昨日出撃したからお休み。
私達もできることがなくてデートしていたんだけど…。

「…ホシノのやつ、相変わらずよく分からないんだよ」

「うん…そう、だよね…」

…私はあの日、ユリちゃんにアキト君の婚約者が私と同じユリカって名前と聞いた日…。
無理矢理引っ込めた馬鹿げた考えを、もう一度思い出さずにいられなかった

アキト君はもしかしたら未来のアキトなのかもしれないって…。

でもそれなら、いろんなところが食い違う。
アキトに、色々似てるけど…同一人物にはどうも見えないの。
アキトと比べると素直で、子供っぽいところも多くて…でも時々すごく大人っぽくなる。
成長したって感じじゃないの…不器用なところも似てるのに、なんか種類が違うっていうか…。
…それになんかアキト君って能力的には結構器用なところあるし…。

「その…ブラックサレナの意識って…本当にホシノだったのかなって。
 確かにユリさんの言う通り、極端だったように思うし…。
 あいつの場合どうなっても俺たちを傷つけるとは思えなくてさ」

「…うん、それは間違いないと思う。
 アキト君はそういうことをするくらいなら死んだ方がマシって思うだろうし…。
 
 でも…アキト君の考えの一部だったのかもしれないって、思う部分もあるの。
 
 ユリちゃんの言う通り…アキト君はすごく優しいから、
 その分、誰かを憎んだら取り返しがつかないことになっちゃうんんじゃないかって」

「…そういう覚悟があって、そうする可能性があったってことか」

「うん。
 …アキトだったら、どう思う?
 その…アキトにも同じようなことがあったかもしれないし…」

アキトのご両親の件について触れたくなかったけど…。
この場合、アキトに聞くと、アキト君の事が分かるかもしれない気がしたの…。

「……俺も、もし仇が目の前に居て、手に銃があったら…。
 …仮にお前がそうだったとしても撃ってたかもしれない」

「!!」

「…俺、コック以外の夢って持てたことがなかった。
 俺の夢だし、それに向かって生きてきたし、夢を卑下したことはないけどさ…。

 もしかしたら父さんと母さんみたいに科学者になってた道もあったかもしれないんだ。

 ルリちゃんよりも小さい…ハーリー君と同じくらいの年頃に放り出されて…。
 施設では早く一人前になってほしいって急かされて生きてきたし…。
 …俺の人生には選択肢が少なすぎたんだ」

「…アキト」

「人生って平等じゃないって…分かってたけどちょっと辛くてさ。
 何か他にも目標をもてた人生もあったかもしれないって…」

アキトの…人生の寂しさを垣間見た気がする。
…ユリちゃん、アキトの事を話してくれた時、最初すごいパイロットを拒絶してたって言ってた。
そう、だよね…。
だってアキトは私と違って、選べるものがそもそも少なくて…。
…私、選択肢はあった癖に全然見つからなかったし…。

「今だって、パイロットを始めなかったらコックの道すら閉ざされてた…。
 そ、そりゃぁ、今は結構PMCマルスで稼いだから、
 なんなら今から高校いったり大学まで行ったりあるけどさ。
 
 ……もう俺はコックの夢を捨てたくないんだ。
 それくらい料理が好きで、料理で人を喜ばせたいんだ。

 だから…少し前だったらお前でも撃ったかもしれないけど…。
 そんなことは、もうできないよ…」

…でもアキトはその中で、やっぱりコックが自分の夢なんだって、ちゃんと気づいたんだ。
アキト君と自分を比べて、落ち込んでることが多かったけど、
それだけでもすごいよ…だって、私には…。

「…すごいなぁ、アキト。
 ちゃんと自分で道を切り開こうとしてたんだもん。
 私、お父様にどんな道に進んでもいいって言われても、なにもうまくできなくて…。
 結局、自分の才能…お父様譲りの職業しか選べなかったもん…」

「バカ言うなよ、お前もすごいよ。
 ナデシコのみんなもお前が艦長じゃないとって言ってくれてるじゃんか。
 …俺は最初お前が艦長だって聞いて、不安だったけど」

「あー!アキトひどーい!!」


私達はくすくすと笑っちゃった。
…そうだよね、過程の問題じゃないよ。
きっと自分のできることを、できる限りやって…みんなそうして…。
そうやって自分の道を見つけていくんだね…。
……だからそれを奪われたアキト君は…。

「ね、アキト」

「うん?」

「…アキト君ね、大丈夫だと思う。
 でもみんなが思ってるよりは強くないから…。
 アキトも一緒に居てあげないと、ダメになっちゃうよ」

「……ああ」

アキトは確信をもって深く頷いてくれた。
…アキトもやっぱりとびっきり優しいね!
でもそんなことを話していたら、喫茶店に見覚えのある女の子が…。

「お二人さん、お邪魔してよろしいですか?」

「ん?
 あんた確か…ホシノとやりあった、アクア…」

「アクアクリムゾンですわ。
 もっとも、クリムゾン家を追い出されて、
 今はしがない映画制作会社の社長、アクアマリンです」

「アクアマリンって…ゲキガンガーにそんな子がいた気がするけど」

アクアって女の子はすっとアキトの隣に陣取った。
…むぅ、私がハンドバックを置いてたからってアキトの隣に座らなくてもいいのに。

「何の用だよ」

「それが、うふふ…」

…この子、なんかまた企んでる。
でも…悪い予感はしないんだけど、どうするつもりなんだろ。


「お二人とも、アキト様の映画に出て下さいな♪」




























〇東京都・立川市・ミスマル邸──ミスマル提督

…PMCマルス対サイボーグ軍団の戦いから一週間が経過した。
私はアキト君関係の事を色々後から聞いたり状況を調べたりしたものの…。
うーーーむ…これはリアクションに困るな。
どうもネルガルのライバルのクリムゾンが、
実の孫娘を使ってアキト君たちを殺そうとしたようなのは確かなんだが…。
……実行犯のアクアクリムゾンはその失敗の埋め合わせに、
実は映画撮影のロケハンだったと世間に言い、そのうえで被害者たちを映画出演させて、
全部事件を隠そうなどと…どんな思考回路をしていたらそんな風になるんだ?
まあ、あの心根の優しいアキト君は怒るに怒れなかったようだ…。
とはいえ…また疑問が一つできてしまった。
アキト君が殺しを一度もしていないとはさすがに思えなかったんだが…。
このあたりはあの嘘をつけないアキト君本人が胸を張って否定したので、
ひとまず呑み込んでおくことにしたが…。
色んな事情があるとはいえ、いずれ全部聞く必要が出てきそうだな…。

「提督、またアキト君のことですか?」

「む、少佐か…」

「…相変わらず退役しても少佐と呼んでくれて光栄です」

少佐は私の護衛を長年務めてくれた。
かつては陸戦部隊でもトップクラスの実力者だったが…。
今は私のお抱え運転手になってくれている。
今日は私も家にこもるつもりだったので少佐も非番だが、顔を出してくれた。

「いや頼りになる男だが、トラブルが絶えんのでな。
 私も気を揉まねばならんことが多くてな」

「はは、世界一のアイドルもいいところですからな」

…本当に歌と踊りが出来たら毎日いろんなところに駆り出されるだろうな、アキト君は。
そういえば…。

「…テンカワ君の方はどうだ?」

「筋はいいですが…なんとも。
 素質はあるんですがエアガンでも人に向かって撃つとなると一瞬ためらいます」

時々少佐をテンカワ君のところにけしかけて鍛えてはいるが…。
どうも成果が上がってないような感じがするな。
…アキト君並とは言わんでもユリカを守れるくらい強くないなら嫁にだすどころか交際もさせたくない。
まあ…比較対象があまりにすごすぎるから私も厳しくしすぎない方がいいんだが…。
…そうだな、人を撃てないくらい優しい男ならユリカを任せられるかもしれん。
町食堂の店主が亭主ではちょっと不安もあるが、きっとアキト君も助けてくれるだろうからな。
そういう意味ではいいのかもしれん…。
…しかし本当にアキト君はテンカワ君のクローンなのか?
腑に落ちないことがもともと多いが…。


ぴんぽーん。



「む、来客か。
 アポなしとは…」

「私が出ましょう。
 お手伝いさんも今は買い出し中ですし。
 提督に危険があってはなりません」

「すまんな」

少佐は玄関に向かってくれた。
いつもいざという時には前に立ってくれて申し訳ないが助かる。
…だが、連れてきた人物に私はいささか驚いた。

「どうも初めまして♪
 アクアクリムゾン…。
 改めまして、アクアマリンですわ♪」

……私は呆気にとられてしまった。
アキト君を半ば心中をねらって暗殺しようとした張本人が、まさか私を訪ねてくるとは…。

「…提督」

「…分かっている」

少佐は片膝を立てたまま構えている。
いつでも銃を抜けるようにしてくれている。
こんな少女相手に…とは思うが、警戒すべき人物だ。
だが、アクアは私に一礼すると、アキト君への暗殺未遂を謝罪した。
呆気にとられる私達をしり目に、アクアは祖父をだましてアキト君を暗殺しようとしたと告白した。
…この様子だと恐らく嘘だろうが、自分の意志でアキト君を殺そうという部分は事実だろう。
クリムゾンも手を貸さなかったとは言いきれないが…ユリの見立てではあくまでアクアの単独犯のようだ。

「…分かった。
 形だけでもしっかり謝罪してくれたことだし、今回は大目に見る。
 二度と娘たちとアキト君を危険にさらしたりはしないな?」

「ええ、私の命に懸けて誓います。
 決して、アキト様にもミスマル提督の娘さん方にも危害を加えません。
 おじい様に何を言われても、殺される可能性があってもそうしません」

「…ああ」

ひとまず、私も矛を収めることにした。
何より失敗のためアクアはクリムゾン家を追放されてしまったらしいので、
これ以上どうこうしないだろう、と考えた。
…もっとも自分の趣味に走って映画を撮らせるということには問題を感じるが。

「それで、お嬢さんはなんの御用で?」

「単刀直入に申します」

アクアはお茶を飲んでから私を見つめた。

「ミスマル提督。
 アキト様の映画に、ご出演くださいな♪」

「「……はあ!?」」


私と少佐は…呆気にとられるしかなかった。
そしてアクアは私の話を聞いて…さらに呆気にとられた。
アキト君だけではなく…ユリカもユリも、
ラピス君もルリ君、テンカワ君すらも、映画に出させようというのだ。
アキト君は世間も認める大根役者で、感情移入できる俳優・題材なしに映画の成功はあり得ない。
だからこそ、身内の参加を求めるのだと…。
……な、なんでそんなことになった。
とはいえ…我が義理の息子が映画の主演を務め、最愛の娘たちが銀幕に姿を映すのを想像して…。


………お、親バカと分かっていても、見たいと心の底から考えてしまった。


「…ぜひ、協力させてくれ」

「はい♪」

…すまん、アキト君。
私は君のためと言いながら…。
実はユリカ達の姿を永久に残すことが出来るのを喜んでしまった。
……埋め合わせはなにかするから、な。





















〇地球・ピースランド・王室──プレミア国王


「──そんなわけで、ルリ姫の出演がありますし、
 ピースランド王族の皆様にもぜひ映画に出てほしいんです。
 もちろん出演していただけますよね♪
 このお城での撮影もしたいんですけど♪」

…私は突如現れたアクアマリンというこの少女にあっけにとられながらも…状況が分かった。
一応、ルリのペンダント型通信機で本人にも確認をとったが本当らしい。
ルリはアクアに迷惑をかけられたので不本意ではあるらしいがな。

「…それは構いませんが、あなたはルリとどのような関係で?」

「ルリ姫とはあまり面識がありませんわ。
 アキト様と交渉の末、説得したにすぎません。
 でも…ルリ姫が一時でもここでお姫様として振舞う姿、
 あなた様方もご覧になりたいのでは?」

私と王妃はうっ、とよろめいた。
…そう、ルリがこのピースランドに姫として戻ることはあり得ない。
成人しようがどうしようが、この国に住むと決めようが、姫としては絶対に振舞わないだろう。
そんなものを望む人生を、あの子は歩んでいないのだから…。
だったら、せめて…一時でも…。
いや、映画のフィルムにでも永遠にルリが姫として振舞う姿を、焼き付ければ、
ルリを最初からこの国で生きさせることができなかった、私達両親の悔いを慰めてくれる…。
しかしこのアクアという少女…私達の事情をよく知っているな…。

「…あなた、私は構わないですが」

「…うむ、私も異論はない。
 ルリも不満があろうが認めているなら、いいだろう」

「助かりますわ♪」

「それと私達も一億ドルほど、出資させてもらおう。
 …代わりにルリが望まぬ内容をしないという約束をしてもらうぞ」

「もちろんですわ♪」

「あと映画の出来が良かったらライセンス料なしで、
 アトラクションを作るのを永年認めてほしい。
 構わないな?」

「お安い御用です♪」

…今一つ信用が出来ないが、条件は付けられたからいいとしよう。
もっともルリもアキト君も微妙に納得してなさそうなのはあるが…。



仕方ないだろう、仕事だしな。



















〇地球・佐世保市・PMCマルス本社──ホシノアキト

……俺は突如現れたアクアの提案に愕然とした。
何と…普通に演技をするだけだと大根役者な俺に配慮して、
俺に関わる人を全員連れてきて映画に出演させようとしているという。
そうすることで多少不自然さを解消することができると…。
しかも、ドラマ『世紀末の魔術師の弟子』と同様、俺は実名で参加…。

何よりも困惑したのは、その後に手渡されたプロットだった…。

「…アキトさん、アクアに何も情報提供してないですよね」

「するわけないだろ!?」


そのシナリオは…俺の過去を改変して作られたと思しき部分をたくさん含んでいた!!
ブラックサレナとの戦闘すらも見ていたっていうのか、アクアは!?

しかも…これは許されるのか!?大問題にならないか!?

「あ、アクア…これ今から変更できない?」

「できません。
 クリス様が三日三晩徹夜して、三日三晩眠り続けて入院中。
 退院まであと三日かかります。
 …アキト様が一月の頭から芸能活動をお休みするということですし、
 これ以上は時間が取れません。
 ダメならやめてもいいですが、暴動ものですよ?
 私もこの映画には人生を賭けてるんです。
 ちょっとやそっとじゃやめてほしくないですわ」

「う、う、う…」

こんな映画を撮るなんて…思い出とか人生とか切り売りするようなもんじゃないか…。

「……アキト、諦めよ?
 私達、ひょっとしたら死んでたかもしれないんだから。
 これくらい、野良犬にに噛まれたと思って我慢しよ?」

「…ラピス、狂犬病って知ってます?」

「しーらない」

ラピスは映画の内容についても納得しちゃってるところもあるから抵抗する気がない…。
というかお前…なんか妙に俺にユリカの思い出を乗り越えさせようとするよな。
ピースランドの一件といい…。
く、くそう…タチが悪いぞ…アクア…。

「…アキトさん、私もあんまり乗り気じゃありませんけど…。
 問題なくナデシコに乗るには、いい締めになるかもしれませんし、
 今回は我慢しましょうか…。
 芸能活動を引退するって言い張ってもいいころ合いになるかも」

「…ううう~~~。
 そうなってくれるなら…でも…。
 どうして…どうして…」

「アキト様、真面目にドラマに出てたらここまでしないで済んだんですよ?
 私達も別にどうしてもこうしたかったわけじゃありませんし、
 俳優を別の人を呼んでも良かったんですが、
 アキト様の場合はこうしないと短期間ではどうしても…」

……時間が取れないからドラマを断ってきたんだってば、俺は…。



バァーーーーンッ!!




「ホ~~~~~~~~

 シ~~~~~~~~
 
 ノォ~~~~~~~~~~~~ッ!!」
 


「げっ!?
 テンカワ!?」



や、ヤバい!!
あいつ、思ったよりユリカ義姉さんにいれこんでやがる!?
青筋めっちゃ立てて乗り込んで来た…!?


「この……!
 
 バカヤローーーーーッ!!

 
 俺のユリカをーーーーーッ!!」



いつになく、必死に…そして全力で…。
俺がナデシコ時代には見せたことがないレベルの激情で…。
テンカワは俺に襲い掛かってきた。
そりゃ、そうだ…この映画は…。



ユリカ義姉さんとのラブシーンあり、なんだもんなぁ…。





























〇作者あとがき
どうもこんばんわ、武説草です。
今回は閑話ではありますが、アクアまだまだ驀進中で迷惑かけまくってます。
そしてどんどこ外堀を埋めてしまって逃げ場のないアキト!!
さらにはユリカとのラブシーンまで盛り込まれるという映画!!
どんな出来になっちゃうわけぇ!?な展開でした。

ってなわけで次回へ~~~~~~~~!!









〇代理人様への返信
>うーん、残留思念がものっそ気の毒w
>どっちかというと彼の方に感情移入して見てたなあw
>言ってる事が否定できないよw
やっぱりアキトの一部ではあるのでそういう部分もありますね。
この状況に投げ込まれたら混乱でああなっちゃうのは仕方ないなとは思いつつも、
アキト君コピーであるとはいえ、
中身のベースはヤドカリなんでエステバリス攻撃しまくる前提の思考、
しかも断片的にしかアキトの記憶を持ってない、
それにプラスしてアキト君が実際囚われた感情の部分が混ざっているので、
実は本家アキト君以上の攻撃性を持っている感じですねー。
話し合い放棄して戦いを続けてる節があるんでどうやっても救われはしないわけですね…。

ただ、よくよく考えると、

……これ新劇場版エヴァQのシンジ君の状況に近いな。


気付いたらすべてが変わってるし、助けたかった状況の女の子は別人だし、
自分のしてる行動が全否定されてみんなに冷たく見られてるし…。
う~ん、改めて考えるとちょっとかわいそうすぎたかなぁ。
みんなは事情がわからないとはいえボッコボコにしすぎたかも。
アキト君も気にしてはいるけど、消す以外の選択肢取ろうとしなかったし…。
……で、実はなんか一つ遺恨を残していたりするかも?








>そしてアクアと映画を撮るわろすw
>まああれとこれ以上付き合いたくはないねw
あわれアキト君、これから長いことアクアに付き合う羽目になるのが確定。
泥沼ですねい。
さてさて、ここから新たに加速度的にお話が進むかもですw
ここでアクア嬢からコメントがあります。

「ご安心下さい、アクアフィルムの映画は皆様のご期待にお答えしますわっ!」


……不安しかない。















~次回予告~

…ホシノルリです。

なんか知らないけどあのアーパー爆弾女に付き合わなきゃいけなくなったのでブルーです。
意外とラピスの方は乗り気みたいですけど。
私ははっきりいって趣味じゃないのでパスしたいです、ホントに。
はぁ。
でもアキト兄さん、昔を思い出して楽屋でメソメソしてるので、さすがにちょっとかわいそうです。
ユリ姉さんもちょっと落ち込んでることが多いんで、アキト兄さんだけ情けないなんて批難できません。
…でも父と母と弟たちまで乗り気だと、私も逃げられないわけで…。

五十話近くやって、まだナデシコが宇宙にでない!!
どうなってんの系ナデシコ二次創作、

















『機動戦艦ナデシコD』
外伝1:Diamond Princess-ダイヤモンドプリンセス-
















をみんなで見よー…はぁ。


















感想代理人プロフィール

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代理人の感想 
アクアが超有能w
テレビだとただの変人だったのにw

>映画許諾
みんなビンボが悪いんや。
いや悪いのは割とアキトくんですがw

>落ち目の会長
前の世界ではアカツキがそのポジだったのにw





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