おはこんばんちわ。
どうも、ルリです。
この三本の映画、あっちへこっちへ世界を往復。
こんな複雑な設定持ち込んで、同じような顔が行ったり来たり。
観客さん、さすがに混乱しちゃうんじゃない?
…やっぱアキト兄さんの顔が出てればなんでもいいのかな?
とはいえ現実に近しい設定でちょっとばかし、やりすぎなんじゃない?
そんなわけで次、行ってみよー。
カウントダウン、よーい、どん。
王城の前には民衆が集まっていた。
今までの一部の民衆がホシノアキト憎しで盛り上がっていたのとは対照的に、
今回は悲痛な叫び声が響き渡っていた。
「…はあ。
今度は早く帰ってほしがってるって…。
現金にもほどがあるわよ…」
暴動寸前の民衆を見ながら、青葉は城の前を警護しながらただつぶやいた。
ここにいる民衆たちは先ほどのホシノアキト排斥運動をしていた連中と違うのは分かってはいるが、
それでもぼやかずにはいられなかった。
「ユリカ団長を失ったと思ったら、
今度はユリ団長、そしてホシノアキト団長も…!
ダイヤモンドランドはどうなるんですか!?」
「ま、まだ死んだと決まったわけじゃありません!
現在調査中ですから、お願いですから一度お帰り下さい!
ここでとどまる方がよほど敵が来た時危ないですよ!?」
民衆たちはしばらくするとエネルギーを使い果たして帰っていった。
だが『百合の騎士団』の面々も同じく泣きたい気持ちでいっぱいだった。
アキトたちはテンカワの証言で一応生存はしていると推測されるが、
それでも『門』を開く方法が分からないため、全員困り果てるしかなかったのだ。
「しかしまぁ…テンカワ君の話を信じたいけど…敵かもしれないのは続行中だからね…」
「困りものよね」
青葉とレオナはため息を吐いた。
明らかに悪人ではないものの、事情が事情であるため、
テンカワたちは敵扱いされて投獄されてしまっていたのだった。
「…テンカワ、黙ってよ。
シャーマニックパワーが貯められないじゃない」
テンカワは牢獄の鉄格子を握りしめて叫んでいたが、
ラピスが座禅を組み、印を結んで瞑想しているのを見ると、すっと黙って座り込んだ。
「…つかまっちゃったね、私達」
「…すみません、私の独断で…」
「さつきちゃんは悪くないよ。
あのままだったらアキトもアキト君も危なかったんだもん」
テンカワ、ユリカ、ラピス、さつきは同じ牢獄に閉じ込められてしょぼくれていた。
さつきも禁を破ってユリカを連れ出したことが災いして、
敵に加担したと考えられてしまっていたのだった。
「…事情聴取がだいぶ伸ばされてしまっていますね。
そろそろ声がかかってもいいころですが…。
恐らく全員動揺しているんでしょう」
さつきは『百合の騎士団』でさえも混乱のさなかにあるのは想像に難くないと思った。
現在団長副団長兵長がすべて不在の中、
副兵長の地龍だけが目を回している事態になっているはずだと。
王族ですらも対応に追われ、『門』に関わる書物がないかを探すしかない状態だった。
「あ…アキト、ラピスちゃん。
事情聴取に入る前に、私達の世界同士の話をしておいた方がいいんじゃない?
ほら、お互いの常識のすり合わせもなしに話を始めると、
誤解を生んじゃいそうでしょ、さつきちゃんと話し合ってまとめとこうよ」
「む、ユリカ、こういうところはさすがだね。
確かにちょっと食い違いで死刑になっちゃ割に合わないもんね」
ラピスは首を横に切るモーションをとって皮肉っぽく笑った。
テンカワは、むすっとしながらもうなずいた。
・・・・・。
・・・・。
・・・。
・・。
・。
テンカワたちは自分たちの世界について話し始めた。
ナデシコという戦艦が生まれた世界では化学が発達し、宇宙に進出し始めていたと。
さつきは宇宙という空間について知らなかったが、夜空の先にある空間だと言われて、たいそう驚いた。
しかし、『門』という並行世界同士をつなげるワームホールによって、
もう一つの大和という世界の侵攻を受け、呪術的な兵器の前にかなりの打撃を受け、
地球がかなり危なかったが、スサノオという男と何とか和解したため、
一時は大丈夫そうな状態に持ってこれた、と説明する。
さつきは話に驚くしかなかったが、端末やコミュニケーターを見せられ、
その宝玉以下の大きさで出来ることの多さにさらに驚いた。
ここでさつきはあることに気が付いた。
「それって、私達が知っている神話の世界によく似ています」
「へ?神話だって?」
さつきはダイヤモンドランドのある世界について話し始めた。
ダイヤモンドランドは7つある大国の一つであり、
かつてはその国の間を行き来することが可能であったが、
大国間の戦争が絶えなかったため七人の神が国の間に壁を作って分断し、一時の平和をもたらした。
しかしその前に、「神話の世界」があったという。
この世界について、夢物語でしかないと考えていたが、それを思い出す世界だと話した。
「かつては大きな鉄の馬車が疾走し、山のように高い建物がそびえ、
大国ももっと人口があり、すべての人々は齟齬のない通信が大国間でできるほどだったと」
「…確かに俺たちの世界によく似てるな」
「…もしかしたら、
私達の魔術、大和の呪術、そしてあなた達の世界の化学というのは…。
案外地続きの、人間の持つ多様な可能性の一つにすぎないのかもしれませんね」
「そう、だね」
テンカワは目をつぶって深く頷いた。
「テンカワさん…?」
「テンカワはね、あのホシノアキトって呼ばれた人に似てる人に出会ってたの。
大和の世界の…スサノオ。
ホシノアキトと同じでユリカを失って…狂ってしまった人。
ユリカの妹のユリを死なせてまで…。
妹のルリを傀儡同然にしてまで、ユリカを蘇らせようとした…独裁者なの」
さつきは絶句した。
隣り合った世界に、似た名前の同じ顔の人間が居るというのは説明されていたが、
自分たちのホシノアキトと同じ顔、そして似た境遇を持つ独裁者、
立場は違えどユリとルリ姫が犠牲にされようとした世界。
そんな世界があるなどと信じたくはなかった。
さつきも、自分たちの世界の情勢を話した。
アイアンリザードという機械帝国との戦争はすでに十数年続いており、
既に成人以上の人間の人口はほぼない状態になってしまっていると。
そしてその戦争の中、甲冑騎士という巨大な魔力を動力とした機械人形を作り上げ、
ついに反転攻勢を仕掛けようとしたそばから、
龍王騎士という最高の甲冑騎士が、敵に寝返ったホシノアキトの養親の作った心臓部に仕込まれた罠、
黒龍という、ホシノアキトの中で育った、もうひとりの自分というべき人工の魂によって奪われた。
乗り込んでいたホシノアキトも体を奪われ、龍王騎士は黒龍王鬼と化したと。
「でも、かなり厳重に封印しておいたんです…。
黒龍も肉体なしには龍王騎士を操れませんし…」
「…だからスサノオを殺して肉体を奪いに来たのか」
テンカワがボソッとつぶやいたことにさつきは揺れた。
自分たちが黒龍王鬼を破壊せずに封印にとどめたせいで別の世界に影響が出たことにうろたえている。
「…すみません。
龍王騎士はもう一度同じものを作れなければ破壊すらもおぼつかないほど強力な甲冑騎士で…」
「いや、別の誰かがその封印を破ったことが原因なんだからしょうがないよ…」
「スサノオという人のせい…ですか」
「違うよ。
あのスサノオだったら必要とあればそうしたかもしれないけど…。
…でもね、さつき。
そのスサノオも…素顔は優しかった。
きっと…テンカワとそんなに変わらないんじゃないかなってくらい」
「…そう、なの」
さつきは少しだけ落ち着いたようにラピスを見つめた。
だが…。
「…そう考えると、全部つながってくるかもしれない。
あの機械の獣たちが…神話を模して造られたと思っていたけど…。
まさに彼らこそが神話の世界からの刺客だったんだ…。
…アキト兵長がアイアンリザードを従える『神機』のことを話してたけど…。
滅びた世界から人間を生み出して再生した、その機械仕掛けの神様が…。
…私達を気に入らなくて滅ぼしにかかってるなんて」
「私も納得したよ。
なんか西欧風の建物やら多いのに、日系人が多いし地形が日本だもん。
ここは世界が滅んだあと、再生された日本なんだ。
だからいろんなもののデザインが一つの国に偏ってるのかもしれない。
再生されたのは人間だけで、
文化はその『神機』が属していた歴史や文化に影響を受けてるんだよ」
「…でもそうなると、私達を分断した相手が気になるよね。
そのアイアンリザードと黒龍が一枚噛んでいるのは間違いないんだけど…。
…あとは大和の方の世界にも誰か協力者がいるのかも」
「…ああ。
スサノオ以外に動いていた連中がいたと考えるのが自然だな」
「たぶんヤマタノオロチの連中だよ。
スサノオが倒した連中の残党」
ユリカとテンカワが皆目見当がつかないとばかりに悩む中、
ラピスはひとりぼそっと断言した。
ラピス以外の三人はラピスの方に振り向く。
「アイアンリザードとヤマタノオロチ、そして黒龍。
この三つに、紅水晶とアクアマリンが関わってる」
「ラピスちゃん、なんでそんなことを」
「ルリに聞いたの。
ヤマタノオロチの残党もたぶん一枚噛んでるって」
「でも、カグヤちゃんはなにも…」
「カグヤにはルリも話さなかったよ。
話を聞いてて私もそれで正解だと思ったの。
攻め込んできたスサノオと同じ危うさがある。
だからカグヤの居ない今、
『門』をどうこうするつもりない三人だから話しとくけど…。
…ルリは、ヒミコっていう大和の世界のユリカに憑依されたことがあるんだ」
「ま、またユリカ団長ですか!?」
「さっき聞いたでしょ?
…で、こっからが本題なの。
ヒミコが言うには…。
世界には特異点がいくつかあって、世界の重要人物や重要な物体がそれにあたるんだって。
…その重要な人や物が死んだり壊れたり…その時点で欠けてはいけないはずのものがなくなると、
『門』は開くんだってさ」
「「「!!」」」
「…しかも特異点の人物が何か願っても『門』が開く可能性があるの。
だから今回『門』が開いた理由は察してるよ。
まず、ホシノアキトはユリカを求めていた。
不意にユリカが消えた理由はこれだよね。
あいつらもこれは想定外だったのかもしれないけど。
でついでにホシノアキトとユリの失踪は…。
…カグヤが、スサノオ恋しさに願った結果、
スサノオと同じ姿、同じような火傷を負ったホシノアキトが呼ばれちゃったわけ。
偶然に偶然が重なって…ううん、必然だったのかも」
必然と言い直したラピスの言葉を、誰もが唐突とは思わなかった。
あまりに関係のある人物同士の願望によって、『門』が開いたと分かったのだから当然だった。
「それで、なんであいつらはそんなことを?」
「アクアマリンと紅水晶は、『門』の不安定化を狙って私達を危機に陥れたんだよ。
…この分断された状態で、別の世界で死んだりすると『門』が不安定になって、
『門』が複数開きやすい状態になって、特異点でないの死でも開くようになって…。
最終的には別次元を巻き込んでそれぞれの世界が消滅する可能性があるってさ」
「…ラピスちゃん、さすがにカグヤちゃんに言わなかったのはまずいんじゃない?」
「ユリカ。
明確に言うけど…カグヤを信用しちゃいけないよ。
…私とルリに起こった事、知らないわけじゃないんでしょ?」
「え…」
「ラピスちゃん、君はともかくルリちゃんは…」
ラピスが発した意外な人物の名前にテンカワとユリカは戸惑った。
ラピスは気づいてなさそうな二人を気遣って言葉を弱めた。
「…知らないならそのままのがいいよ、テンカワ、ユリカ。
ルリの事は…特に。
……確信はないんだけど、スサノオとの戦いの後にもひどいことをしてたみたい。
シャーマンの修行のせいで勘が良くなって軽い予知能力までついてきちゃったみたいで。
参っちゃった、人付き合いも気をつけなきゃいけなくなっちゃったよ」
ラピスの年相応ではない言葉の重みに、二人は黙るしかなかった。
そしてラピスは表情を硬くすると三人を見つめた。
「とにかく、アクアマリンと紅水晶が、
アイアンリザード、ヤマタノオロチの残党、そして黒龍をけしかけた。
ちなみにカグヤの話してくれた大和の情勢なんだけど…。
政治の世界ではカグヤの勢力ともう一つ、スサノオに対抗する左派がぶつかってる。
基本的には両方左派で…右派だったスサノオと敵対する勢力だった。
でもカグヤもスサノオ同様、出征状態で大和に戻れない期間が長すぎて、
もう一つの左派の方に主権を握られつつあるんだって」
「…そうなると、その左派がヤマタノオロチの残党…」
「ぴんぽん。
アクアマリンが大和の世界に居たっていうから…たぶんヤマタノオロチに属してた。
それで、今の政権を支配しつつあるんだろうね。
スサノオが色々粛清しちゃって老練な政治家も指導者も活動家も居なくなっちゃって、
民衆も比較的騙されやすくなっちゃったらしいんだ。
…最悪だよね、大和の人たちからするとさ。
最後の希望だと思った人たちが、自分たちを滅ぼしたがってる連中なんだからさ」
テンカワとユリカは深いため息を吐いた。
状況があまりに切迫して判断力を欠いているのはあるとはいえ、
破滅にまっしぐらな大和の世界、そしてそれに巻き込まれている自分たちの世界に焦りを感じつつも、
落胆する気持ちの方が勝ってため息が出てしまった。
ちなみにさつきはほけっとして何を言ってるか分からないとばかりの状態だった。
彼女が政治の知識がないのが問題なのでなく、
絶対王政、専制政治に頼るダイヤモンドランドの性質上、
右派、左派という派閥はあれど、それは王に対する要望を求める時の派閥にすぎず、
政治に革命や政権交代というものがあると知らないためだった。
この点に関してさつきを責め立てるわけにはいかなかった。
「ずいぶん無様じゃねぇか、ええ?
紅水晶サンよぉ。
『門』の不安定化には失敗するわ、ホシノアキトは逃しちまうわ。
最初のプランではホシノアキトとテンカワアキトが相打ちする筋書きだったろうが、
そっちもご破算だ。
どうしてくれんだぁ?ああ?」
『これくらいは計算のうちですわ、カエンさん。
あなたはホシノアキトを黒焦げにしたかったようですが…。
時間切れまでやってもダメだったのはあなたのせいですし』
「けっ」
「…カエン、抑えろ。
目的が達成できればいいだろう」
「わーってら。
…どんな方法でも、あの平和ボケしてた連中が死ぬ未来がありゃかまわねえよ」
紅水晶とアイアンリザードのホットライン通話が聞こえる。
カエンは作戦の失敗を責め立てるが、紅水晶は涼しい顔をしている。
──彼らの立てた計画は、ひとまず失敗していた。
彼らの計画では、まずテンカワアキトにユリカを追わせ、ホシノアキトと相打ち、
もしくはどちらかの死亡によって『門』の不安定化を狙う作戦だった。
アクアマリンがこの点で狡猾だったのは、黒龍をそそのかしてダイヤモンドランドの世界から抜け出させ、
それと入れ替わる形でクサナギ・エグザバイトをダイヤモンドランドに招いた点だった。
彼女はあえて呪術的な攻撃を無効化する装甲技術を、カグヤに流したのだった。
そうすることで、黒龍王鬼と誤認させ、相打ちに持ち込むという筋書きだった。
しかしその戦いではホシノとテンカワが和解してしまい、
この手段による『門』の不安定化には失敗してしまった。
『黒龍王鬼によるスサノオの殺害で『門』が開いてくれたのは良かったのですが…。
まさかミスマルユリカだけを通すとは想定外でした。
これも特異点の人物のなせる業ということでしょう。
確かにダイヤモンドランドとナデシコのある世界との『門』はすでにひらいては居ましたが…。
彼らも大和もダイヤモンドランドの人間もすべて気づかず、
『門』に関わる研究に一日の長がある私達だけが把握していたのに』
「…しかしこのままでは手の打ちようがないな」
『その点については考えがあります。
言ったでしょう?
このくらいは計画のうちです。
別世界での特異点の死亡を二回同時に起こすことで、
より大きな『門』の不安定化が起こります。
そして私達の世界と、大和のある世界との戦争状態は終わってはいません。
少なくとも大和はスサノオ、ヒミコ、カグヤの三人がそろわないことにはまとまりきりません。
崩しようによっては、さらなる特異点となる人物の発見や死亡も狙えます。
さらにアイアンリザードの皆様方。
この三つの世界をまたぐ、最重要人物をお忘れですか?』
「…ミスマルユリカか」
『その通り。
彼女はどの世界でも特異点となっています。
現に、彼女が死亡したダイヤモンドランドの世界と大和の世界は大きな危機を迎え、
別の世界への『門』も開きやすい状況が生まれています。
…最後の『ユリカ』の死亡は、おそらくこの『門』を完全に暴走させるに足るものを生みます』
「確かにその流れなら、『門』が不安定になろうがなるまいが世界は破滅するだろうな。
紅水晶の世界と大和の世界戦争はヒミコの登場以外では終わらない。
ダイヤモンドランドの世界も、ホシノアキトとユリを欠いていてはどうしようもないだろうぜ。
人類には逆転の目はもう無ェ。
…最後の戦いに打って出ようじゃねぇか!」
カエンの言葉を肯定するかのように、D、ジェイ、イン、エルが頷いた。
──ついにアイアンリザードはその戦力をすべてダイヤモンドランドへと、向けようとしていた。
「あーあ、ラピスちゃんがあっちに行ってから一日くらいだけど…。
すぐに帰ってこれないわけね」
「また危ないことになってないといいんですけど…」
「無理じゃない?
あんなでっかいロボットでお邪魔するんだしぃ」
ミナトとメグミがぼやいている横で、ミスマル提督はついに力尽きたのかこたつに突っ伏していた。
こたつにはフクベ提督とムネタケ副提督、そしてアオイジュンの連合軍組が入っていた。
「うおお…ユリカぁ…」
「ミスマル提督、大丈夫です…たぶん」
「のわっ!?」
ミスマル家持ち前のサウンドウェポンっぷりを発揮されてくらくらするジュンだったが、
他の二提督は涼しい顔をしていた。もはやなれているらしい。
「ミスマル、落ち着け。
お前が叫んだところで事態が好転するわけではなかろう」
「しかしっ!」
ミスマル提督が叫び始めると、また例の相殺音波が発されて声がかき消されてしまう。
もう我関せずとばかりのミナトとメグミだったが…。
「…ねえ、メグミちゃん」
「はい?」
「そういえばラピスちゃん、出払ってるわよね」
「ええ」
「…ナデシコの管理ってラピスちゃんが居ないとできなくなかった?」
「ええ…。
!?」
その場の全員が、自分の顔から血の気が引くのを感じた。
喚いていたミスマル提督も、今度は普通に絶句していた。
「お、お、お、落ち着いて!
戦艦カグヤが居るから!
量産型ナデシコもいるし…」
ナデシコの内部は完全にパニックに陥ってしまった。
敵がすぐに来る可能性は低いが、ゼロではない。
その中、フィールドも張れずにいるナデシコと戦艦カグヤはもはや空飛ぶ的だった。
生活環境、生命維持は滞りなく行われているし、味方に量産型ナデシコも一部は滞留しているものの、
身動きは取れないに等しかった。
もし正式なシャーマニックデバイスを搭載した戦艦や機動兵器が攻め込んで来たら完全にアウトだった。
『はいはーい、ミナサン落ち着いてクダサーイ』
「「「「「は!?」」」」」
『ラピスちゃんに造られ、ナデシコを任された、
オモイカネの相棒、音声入力インターフェイスの「キュッパチ」でーす。ぶい。
ボクはシャーマニックデバイスは使えないけど、会話で戦闘用の命令を受け付けられマス~。
レーダー制御、火器管制と通常のディストーションフィールド管理くらいならできるからマカセテね』
「あらーラピスちゃんずいぶん手回しのいいこと」
ミナトはその情報を聞くとすぐに落ち着いてしまったが、
他のブリッジクルーは気が気じゃなかった。
『おおっと!?
ソンナこと言ってたら、一台の機動兵器の反応がアッタ!
ラピスちゃん帰ってきたカモ!
ソンナ~~~~。
登場一分でオハライバコですかぁ~~~ヨヨヨ…』
「…これ本当にラピスちゃん作なの?
なんか性格が…」
「らしくない、ですよねぇ」
あまりに感情豊かに、かつボケを満載しまくった独立OS、キュッパチに、
ブリッジクルーは先ほどの緊張の反動か、妙に脱力してしまったのだった…。
「くあっ…ここは…!?」
「赤茶けた土地…地獄にでも来たんですか!?」
アキトとユリは『門』を長い間飛行してようやくたどり着いたこの火星の異常な風景に驚いた。
『門』をかろうじて飛行してきたものの、方向感覚が全くつかめず、
重力に引かれるように一方的にこの世界についてしまった。
「待って…あのユリカさんの言葉どおりなら…あれが『門』だよね。
ここがユリカさんとテンカワ君の世界だ…」
「そんな!?
なんでユリカさん達が帰りつかず、私達が!?」
「わ、分からないよ…」
ユリは半ばパニックを起こしていた。
二人にとってダイヤモンドランドの外の世界は初めてだった。
国境である海岸沿いには機械的な結界が存在している。
この結界は甲冑騎士をもってしても超えるのは難しかった。
外の世界を知らない二人が火星の荒れた大地を見て混乱するのは致し方なかった。
「きょ、巨大な…船!?
奇妙な形の船がたくさん…」
「お、おちついて!
大丈夫、龍王騎士にのってるんだからなんとかなるよ!」
慌ててざわつきながら、龍王騎士は動き続けていた。
アキトもそう言いつつも全然落ち着いては居なかった。
『…なあ、こいつテンカワかな』
『そーんな感じするけど機体が違うよねぇ』
『アサルトピットを開いて外部スピーカーで話しかけてみましょう。
…あんな無防備なのが急に襲っちゃこないわよ』
イズミはリョーコとヒカルに前に出るように言いつつ、
自分のエステバリスのアサルトピットを開いて、
龍王騎士に話しかけると、装甲扉の先にあった顔に再び驚くことになった。
「…こ、この人は…」
「スサノオにそっくりだ…!」
格納庫に入らせてもらったアキトとユリはしげしげと興味深そうに格納庫を観察した。
「これは…!」
「鉄でできた船…。
神話で聞いた機械の支配する世界そのものですね…!」
「神話だぁ?
神話ってのは、もっとオカルトで突飛なところがあると思うが…。
ああ!?なんだこりゃ?!
この機体クサナギよりも機械部分がすくねぇじゃねぇか!?
どうやって動いてんだよこいつぁ!?」
ウリバタケは簡易スキャナーで龍王騎士の内部を観察したが、
驚くことにシャーマニックデバイス関係以上に機械部品が少なく、
どちらかと言うと人間の骨格と筋肉が人形にくっつき、それに動力だけがついている状態で、
かつ、その動力がどの駆動系にもくっついていないようにすら見えた。
このでたらめすぎる構成に驚くしかなかったのだ。
「えーと…て、テンカワ君と別れようとしたところで、
なんでか俺たちがこっちに呼ばれちゃったみたいで…」
「…か、カグヤ様」
「ちょっと…席を外させていただけますか…。
ナデシコの人たち、食堂でホシノさん達と事情のすり合わせをするのと、
軽食を持ってきて差し上げて下さい…。
これからもろもろの対策をとりたいと思いますが、
少し頭が痛いので…」
カグヤはジュンに後を引き継ぐと、一人展望室で立ち尽くしていた。
カグヤを追って重子もたどり着いたが、どこか思いつめた様子に話しかけるのを躊躇った。
「あの…どういたしました?」
「…うかつなことを考えていたのを反省していましたわ。
あの人達を呼んだのは…たぶん私なのです」
「は?」
「…ミスマルユリカがアキト様を思う気持ちで『門』を開いてしまったように、
私もスサノオ様を思うあまり、『門』を開いてしまったようなのです」
「え!?」
「考えるだけでここまで影響が出るとは思いませんでした…。
このままではアキト様を呼ぶこともできないでしょう。
スサノオ様の姿が横にある状態で、そこまでアキト様を強く思えるか分かりませんし…」
「ど、どうすれば…」
「いえ…」
カグヤはうろたえていたが、はたとあることに気づいて落ち着きを取り戻した。
落ち着きというよりは、何かを思いついたような危険な表情に見えた。
「…考え方によってはこれは好都合ですわね。
大和との交渉のための用意がムダにならずに済むかもしれません。
スサノオ様と瓜二つのあのホシノアキトさんとユリさんなら…」
「…ほ、本当にあれを使うのですか?」
「使うつもりもないものを、
人道を踏み外してまで準備をしたわけではないのです。
…幸い、成功例のある方法です」
「…スサノオ様に怒られますよ」
「そんなことは織り込み済みです。
…あの人が直々に怒ってくれるのですから、構いません。
私はこの世の全てに反逆しても、
アキヒト様の罪を贖って見せます」
「──おかわりっ!」
「ま、まだ食べるのかホシノアキトは!?」
「これで14回目だぞ!?どんだけ食うんだよ!?」
「いやーこっちの世界の食べ物っておいしいなぁ」
「…アキトさん、遠慮してください」
アキトは火星丼の器を置くとお代わりを宣言した。
みっともないほど食べ続けるアキト相手に、ユリは呆れていた。
事の発端は軽食で持ってきてもらったおにぎりやらを食べたアキトがやたら気に入ってしまい、
それにホウメイが答える形で多種多様な料理を振舞ってしまい、
定食やどんぶりものが次々に繰り出されるのを次々に食べ続けてしまった。
「ホシノ、あんたいい食べっぷりだねぇ。
こっちも作り甲斐があるってもんだよ」
「あなたがこの食堂のシェフですか?!
お願いです!俺にこの料理の作り方を教えてください!
俺、コックになりたいんです!!」
「ははっ、あんたもかい。
テンカワと名前だけじゃなく夢まで一緒とはねぇ」
「…テンカワ君も、なんですか?」
「そうだよ。
あいつは最近ユリカ艦長を助けようとして一生懸命鍛えちゃいるけど、
将来は一人前のコックになるのが夢なんだ。
私の料理の味がしっかりわかるようなら、
テンカワと同じであんたもいいコックになるよ。
…並行世界ってのもあながちうそじゃないみたいだね」
アキトの様子を見に来たホウメイは感心しながら厨房に戻っていった。
アキトは、照れくさそうに頬を掻いていた。
「…アキトさん、良かったですね」
「…うん」
ユリは嬉しそうな顔をしているアキトを見て、笑みがこぼれた。
立場上、アキトはコックの修行を付けてもらうことが出来なかったため、
自分の料理の腕や素質にはかなりの不安があった。
だがホウメイの言葉と、並行世界のテンカワがコックを目指してその腕を磨いていると知り、
戦いが終わった先の事を思う余裕が、久しぶりに戻ってきた。
まだ事態は収束できては居なかったが、それでもこの一瞬だけでも気が緩めたのは嬉しかった。
「ホシノアキトさん、こちらへお願いします」
しかしその空気のゆるみも、カグヤが直後に現れた時に立ち消えてしまった。
カグヤはアキトとユリをブリッジに連れてくると、事情を話した。
ブリッジクルーと提督たちにはこの事情を話す必要があると考えたのだ。
現在のところ門を開くことはできないが、今は大和に向けて移動する『門』が開いたままであると。
そして大和の方の世界の事情を安定させれば、恐らくダイヤモンドランドの世界への『門』が開くと。
確証はないものの、こちらが動けば恐らくは敵であるヤマタノオロチの残党が動き、
そのリアクションを持って反撃を開始するべきではないか、と。
「しかしそれは敵の策にあえてのっかるということでしょう。
危険はないんですか」
「ないとは言い切れません。
とはいえ敵を放置すればダイヤモンドランドの世界も、この世界も、大和も終わりです。
黒龍、ヤマタノオロチの残党、そしてアイアンリザード。
起きた出来事から考えれば、彼らがつながっていたと考えた方が自然なことが多すぎます。
そこで、大和とこの世界との停戦を申し込む必要があるのです。
ヤマタノオロチの残党が力を持っているのは私達の世界が危機的状況だからにすぎません。
打開策を求めて、その先が闇であることに気が付いていないだけなのです。
彼らが力を失えば大和はひとまず一つにまとまります」
「…だけどカグヤさん。
俺たちにそのスサノオのフリを…影武者をやれというのは無理がないか。
ちょっとやそっとの演技じゃ…それに彼が危険な男で、
大和に害を及ぼした独裁者っていうのも…」
アキトとユリはカグヤの言葉に返答を迷った。
確かに言っていることは理解できる。
ナデシコの人間も信用に足る。
テンカワたちの言葉も信じられた。
しかしカグヤが言っている政治的な配慮は二人の決断を躊躇わせた。
結局カグヤの言っていることはカグヤの政治派閥を強くする行動にすぎない。
しかもスサノオという男が独裁者だったという事実。
その男の影武者を務める危険性を分からない二人ではなかった。
利益のために自分たちを生贄に従っているだけの可能性もあるのだ。
「──いえ、ホシノアキト。
あなたは受けざるを得ません。
受ける、受けない、受けたい、受けたくない、という次元の話ではなく。
絶対に受けます」
カグヤの断言に、アキトは驚いた。
ここまでの説得ではまだ断れる要素があるように思えた。
だが、なぜカグヤはここまで了承すると断言するのか分からなかった。
カグヤは、一つの抱えるくらいの大きさのポッドをホシノアキトに持たせた。
「…これは?」
「大事に扱ってください…。
これは降霊術を可能にする装置です。
スサノオとヒミコを呼び出すのに必要になります。
そしてこれを使って…スサノオを呼び出せば、すべてが分かります」
「降霊術って…」
「ラピラピが難しいって言ってた奴よね?
ずいぶん簡単にできちゃうじゃない?」
ミナトはぽややんとコメントするが、カグヤがどこか薄ら笑いをしているのを見ると、
疑問そうにしながらも言葉を引っ込めた。
「…降霊術で降りてきたスサノオから話を聞けば納得できるのか?」
「ええ」
カグヤの返事を聞くと、アキトは黙ってポッドについている肩ひもを肩にかけ、
ポッドのボタンをカグヤが押すと、アキトは急に悶え始めた。
「うっ!?
う…うおおおおっ…!?」
「あ、アキトさん!?」
「ちょ、ちょっと?!大丈夫なの!?」
「大丈夫です。
すぐに良くなります」
アキトは涙を流しながら頭を振り、膝をついていたが、
その顔からすっと怯えと苦悶の表情が消え、変わって怒りと憎悪に染まった顔が見えた。
カグヤの胸倉を掴んで床に倒すと、アキト─スサノオは声を荒げて怒り猛った。
ブリッジクルーはその鬼のような表情に驚いて、固まってしまった。
何も言えずにいる彼らをしり目に、スサノオはカグヤを締め上げようとしていた。
「ぐぅ…あなたに比べれば…ずっとマシなことです…」
「あなたの始めたことです…すべて…っ。
地獄に落ちるくらいじゃ足りない…あの罪を贖うのに…。
これくらいで足りるならっ…安いでしょう…!」
「ユリ…」
「っ…けほっ…けほっ…」
ユリの平手打ちがスサノオの頬に打ち付けられて、ついにスサノオは手を離した。
カグヤはむせ込みながらも、スサノオの方を見るのを止めなかった。
スサノオはユリに平手打ちをされると思っておらず、ただ自分の頬を抑えるしかなかった。
──スサノオからのユリの印象は、自分がどんなひどいことをしてもついてきてくれる存在だった。
スサノオ自身も、相手が自分の世界のユリではないと分かっていても、
動けなくなるほどショックを受けた自分を意外に思った。
「すま…ない…。
君の…言う通りだよ…。
あんなことをしでかしたくせに…。
俺は何も…死んでも変えられないのか…」
「バカは死んだって治りません。
…事情は後で聞かせてください。
一度アキトさんに体を返してもらえますか?」
「あ、ああ…」
スサノオは小さく頷くと、アキトの身体から一時的に抜け出た。
アキトは体が自分で動かせるのを確認して、もう一度涙を流した。
「う…うう…」
「な、何があったんですか!?
このポッドがあれば分かるんですよね?!」
「だ、ダメだよ、ユリちゃん…こんなことを知っちゃダメだ…。
…カグヤさん、分かった。
なんとかしよう…こんなこと、もう終わらせなきゃ…」
アキトの態度の急変に、ナデシコのブリッジクルーも、ユリも驚いていたが、
そんなことはお構いなしに、カグヤは歪んだ笑みを浮かべてアキトを見た。
「そう言ってくれると思いましたわ…あなたなら。
では出撃準備を。
戦艦カグヤで…大和に向かいましょう」
邪馬台国の構成員たち一万人を満載して、戦艦カグヤは単独で門の内部を飛行した。
本来は過剰すぎる人員だったが、艦載機を龍王騎士だけにして、
ギリギリまで詰めて乗船することでかろうじて問題をクリアにした。
しかし廊下も何もかもが人で埋め尽くされており、酸素供給もフル活用しなければいけない状態だった。
この状態で戦闘になってしまえば、下手をすれば何も攻撃されなくても死人が出る可能性がある。
『門』をくぐるまでに三十分、さらに邪馬台国の本拠地までの三十分の航行にすぎないが…。
当然、アキトとユリは龍王騎士に乗り込んだまま、カタパルトの上で待機している。
カタパルトだけは人を置くわけにもいかないので二人は比較的マシな状態だった。
「…アキトさん、何があったんですか」
「…あんまり、話したくない」
アキトは龍王騎士の前方座席で子供のようにうずくまっていた。
その胸に抱えられた小さなポッドを、別の場所に置くでもなく、ただ大事そうに。
「…ひどいことがあったんですね」
「うん…。
合わせ鏡の…俺たちがいたんだ…」
ユリは説明された以上にひどいことがあったのだろうと推察した。
アキトは子供っぽいとぼけたところがあるのは分かっていたが、子供っぽい正直さも持ち合わせている。
ユリとユリカだけには何かを話すことを躊躇うことなど一度もなかった。
そんなアキトが今回に限って話したくないという。
よほど重大なことがあったと考えた。
「…テンカワ君がさ。
全く違う世界なのに俺と同じ名前、同じくらいの強さと、俺と同じ夢を持っていた。
そして同じ『ユリカ』を愛していた。
…もう一つの世界、これから向かう『大和』でもきっと同じ俺が居たんだ」
ユリは息をのんだ。
独裁者と呼ばれたスサノオ、そしてスサノオの影武者を買って出たアキト。
アキトとスサノオが別世界の同一人物であることに疑いはなかった。
だが…。
「…今更、どんなことを聞いたって私は心変わりしません。
それに結局別の世界で起こった出来事です。
気にしないで下さい。
言いたくないなら、別に…」
「ん…」
「?」
ユリはどこからか聞こえた、アキトの声でも通信の声でもない、
誰かの声が聞こえた気がした。
それと同時に、アキトの表情が硬くなるのが見えた。
「あ、赤子の声!?
どこから…そのポッドの中!?」
「…」
アキトはポッドについていたボタンが二つあったうち、先ほど押さなかったほうのボタンを押した。
すると、そのポッドの塗装と思われた部分がゆっくりと消え去り、その中に赤子が見えた。
ユリは愕然としてポッドを見つめた。
「あ…アキトさん…その子は…!?」
「…スサノオと、大和の世界のオトウユリ…俺と君の子供らしい…」
アキトはそのポッドを見つめると、悲しさと愛おしさがないまぜになったような表情を浮かべた。
呆然とするユリをなだめるようにしつつ、アキトはそのポッドを小さく揺らして赤子をあやした。
「…この子は大和の世界の身ごもったユリちゃんが…息絶えるのと同時に死ぬはずだったんだ。
だけどオトウユリは脳死状態になってもかろうじて体は生きていた。この子も…。
降霊術を使えるこの世界のルリ姫が昏睡してしまって…。
スサノオやヒミコさん、ユリさんと交信する手段を失った。
だから、生まれる前の生者と死者の間の世界にいる子供…胎内にいる子供をつかって…。
関係する死者と交信する手段を提供する装置である『橋子』に…。
投薬で臨月の大きさまで成長させられ、
生まれる前に『橋子』にされてしまったんだ。
黄泉の国…俺たちの世界でいうバルハラと、この世をつなぐためのハシゴに…」
「こ…んな…」
ユリは体中を震わせながら、目を覆いたい気持ちでいっぱいだった。
しかし赤子が押し込まれたポッドから目が離せない。
もう一つの世界で生まれた自分とアキトの子供。
しかもその子供は正式に生まれたわけでもなく、もしかしたら『装置』にすぎないのかもしれない。
この戦いが終わったとしても、普通の赤子に戻れる保証はない。
このまま近々死ぬ命かもしれないと思った時、ユリはやり切れない気持ちでいっぱいになった。
「こんなことまでしなきゃいけなかったんですか…!?
他に、方法はなかったんですか…!?」
「…スサノオもカグヤさんに怒ってたけど、
最後は納得するしかなかったんだ。
…大和を今度こそ救うにはこの方法しかなかったって…。
俺も同調したから…よくわかるんだ…」
「…ッ。
貸して…下さい…その子を…」
ユリに頼まれて、アキトはポッドを差し出した。
ユリは肩ひもをかけると、起動のボタンを押した。
流れ込んでくる記憶に…同調するオトウユリの記憶に悶えながらも、しっかりと意識を保って見届けた。
ユリは涙を流しながらポッドを抱きしめて、アキトを見つめた。
「…分かりました。全部。
この子の事は…もう取り返しがつかないかもしれませんけど…。
大和の世界の私達の後悔も…アキトさんが私にこれを教えたくなかったのも全部。
でも、アキトさん。
…忘れちゃってませんか?
この龍王騎士は、私達二人が心を一つにしないと普通の甲冑騎士と変わらないんですよ?
…それに私達夫婦でしょう?
いいことも悪いことも…幸せなことも不幸なことも絶対一緒です。
一人で背負っちゃダメです」
「…ああ」
「生きるも死ぬも一緒です」
「…ごめん」
「こういう時に謝っちゃ嫌です」
「うん…ありがとう…」
「きゃっ♪きゃっ♪」
二人が落ち着くと、ポッド内の赤子も楽しそうに笑い出した。
アキトは照れくさそうに礼を言って、ユリにキスをして前を向いた。
二人はこの世界で起こった大和の世界の自分たちが起こした出来事を受け入れることにした。
彼らの想いを背負いきることも、彼らの宿命を受け継ぐことも、全部は無理だと分かった上で。
カグヤの利益のために戦うことになってしまうかもしれないと分かった上で。
ただ、二人は思った。
大和の世界の二人の立場に自分たちが置かれたとしたら。
ユリカが取り戻せるかもしれないという状況に居たとしたら。
ユリルリとの関係が普通の姉妹関係で離れていないままだったら。
間違いなく同じ行動をとってしまっていただろうと。
同じ後悔を背負ってしまっただろうと。
そう考えた時、二人は大和の世界の自分たちに力と体を貸したいと思ったのだ。
ユリカを失って狂ってしまったこの二人のために。
夫婦になり切れなかったこの二人のために。
──そしてこの子の親になってあげられなかった、この二人のために。
「うげー…早く出してくれー…」
「しゅーん…髪の毛ぼさぼさになっちゃうよー…。
お風呂入りたいよー…」
つかまってから丸一日、テンカワたちは牢獄にとらえられたままだった。
彼らの状態と言えば惨憺たる状態で、
テンカワはあまりに質素なパンと具の少ないスープを食事に出されてその味に落ち込み、
ユリカは入浴が出来ずにへこたれてしまい、
さつきは人生の汚点とばかりに膝を抱えて黙り込んでしまっている。
唯一気にしていないラピスだけが静かに瞑想を続けているだけだった。
ダイヤモンドランドの世界は文明レベルが低く、かつての二十世紀における近代史以前の文明である。
魔術に傾倒したため部分的にはテンカワたちの世界と同じくらいの文明を持つが、
一度人類が滅んだ都合もあって、人道的な人の扱いには慣れてないのだった。
もっとも、幸い王たちの助言もあってかなり扱いはマシな方だが、環境が悪いことには変わりがなかった。
「食事の時間か…」
本来は嬉しいはずの食事の時間も、憂鬱なものだった。
だが刺激の得られない、ひもじい牢獄では唯一の救いだともいえた。
「ルリ姫っ?!」
「お元気ですか」
「これがお元気に見えるならいい根性してるよ、ルリ」
「かまいません、そんなことをしている場合じゃありませんから」
突然現れたルリに、さつきはパニックを起こしそうになるが、
衛兵がラピスに一喝するのを見ると黙り込んでしまった。
ルリは、ラピスが平常心を保って話しながらも瞑想を続けているのを見て、小さく頷いた。
「ラピスラズリ、お話があります。
大人しく事情聴取に応じてくれれば、みんなを出してあげられるかもしれません」
「…お二人とも、げっそりしてるのは分かりますけど落ち着いてください」
落ち着いているラピスと違って、
現代的な生活ができないまま退屈な牢獄に入れられていたテンカワとユリカは檻をがっしり掴んでせまった。
「…テンカワ、ちょっとは強くなったんだからこれくらい我慢しなよ」
「は、はは…ちょっと気が動転しちゃってさ」
そんなことを言いながら、ラピスは厳重に木の板で出来た手錠をされて連れていかれた。
ラピスは手錠を解かれると、再度磔台に拘束された。
ルリは百合の騎士団の団員を十数名、さらに魔導士を二十名ほど前に護衛として置き、
磔にされたラピスを見つめた。
ラピスは周囲を観察すると感心のため息を吐いた。
「へー…拷問器具の類は使わないんだ」
「そんな物騒なものこの国にはありません。
…十数年も機械相手の戦争を続けてたらそんな余裕ありませんし」
「へえ、奇遇だね。
私達は土偶と一年くらいやりあってたんだ」
ルリはラピスの言葉に何かを感じ取りながらも、
話が進まなければ何も始まらないと考えて咳払いした。
「ちょっと厳重で軽蔑するかもしれませんが、
お話を聞かせてもらえますか」
「いや、ちょっと安心したよ。
…いきなり処刑かとひやひやしたんだから」
「言葉次第ですね。
変に嘘をついたら首をはねますよ。
一応言っておきますが、発言の嘘かどうかくらい見抜けます」
ルリは水晶を撫でるとラピスににらみを利かせた。
「そうだろうね。
私のシャーマン技術にもそういうブロック技術はないから。
…でもさ、なんで私なの?
ユリカの方が色々情勢的な話も得意だけど」
「ユリカさんと同じ顔をした人が私たちの世界にもいます。
私はユリ団長とユリカ元団長とは浅からぬ仲です。
…あの人と同じ顔の人を斬る命令は出せません」
「難儀だねぇ、ルリ姫さんは」
ラピスは事情を鑑みても、テンカワやユリカを殺せないのだろうな、と思った。
かといって危険なことがあったとしても子供を殺す命令を王や王妃に出させたくなかったのだろうと。
ラピスはその後、ルリの質問に丁寧に答えていった。
曰く、どこの世界から来たのか。
曰く、ここに来たのは自分たちと戦争する気があってのことか。
曰く、ホシノアキトとユリの行方はどこか。
曰く、アイアンリザードとつながっているのか。
ラピスは捕捉が必要な事項については後回しにしつつ、
全てを答え終わった後、ルリは水晶を見つめながら頷いた。
「ありがとう、ラピスラズリ。
皆の者、一度下がりなさい。
──この者を全面的に信用することにします。
捕らえられたテンカワアキト、ミスマルユリカ、そしてさつきさんをこちらにお連れなさい。
そして地龍、あなただけは護衛に残りなさい」
ルリとラピス、そして地龍を残して人払いが行われ、
地龍はラピスの拘束を解いていった。
「ごめんね、ちっちゃい磔台がなかったから痛かったでしょ」
「へーき。
…でもこんなにあっさり私を信用していいの?」
「嘘は見抜けると言ったでしょう。
…それに私の結界はこの国一番です。
あなた達がここで自爆しようと思っていたとしても無意味です。
ぶっちゃけ甲冑騎士が何台来ようと防げます」
ルリは自分の結界を誇るが、ラピスは自分たちの世界に黒龍王鬼が現れた時の事を思い出して歯噛みした。
大和の世界のルリが重傷を負うきっかけになった出来事と重なってしまったのだ。
「どうしました?」
「…ううん、大丈夫。
じゃ、詳しい話を…ちょっと長くなるけど時間は大丈夫?」
「それは平気です。
でも…お詫びを兼ねて、ティータイムでもしながらにしましょうか。
作戦会議も必要なんでしょう?」
「おっと気づいてたか。
それじゃ最後の晩餐…じゃなくて最後のお茶会になるかもだけど…。
仲良くいこうか、ルリ。
あ、それと…」
「なんです?」
「やっぱ、あんた…。
あのホシノアキトの妹なの?」
「!?」
「あ、ごめんちょっとびっくりしたよね。
このあたりの事も後で話してあげる」
ルリは従者を呼ぶと、テンカワたちと地龍の分までお茶とお茶菓子を持ってくるように告げた。
…だがテンカワたちの到着は少し、遅れた。
ユリカが入浴したがったからだった…。
「…まあ、いいでしょう。
ユリカ団長もマイペースで有名でしたし、
私の前で恰好があまりにひどいのも困ります」
「えへへ、ごめんなさい」
・・・・・。
・・・・。
・・・。
・・。
・。
ルリはテンカワ達とさつきに事情を聞く。
テンカワ達の世界と大和の戦争について話し、世界の違いについて話す。
スサノオというホシノアキトそっくりの男が居たことについても驚いたが、
事情をすべて聞くと納得した。
「…なるほど、アキト兵長と私に関係があると見抜いたのはそのせいなんですか。
それにしても…なんて愚かな戦争を…」
「ま、ぶっちゃけ兵長どまりがいいところなんじゃない、あの顔の人はさ。
人に慕われるタイプだろうけど、それが取り返しのつかないところまで事態を悪化させるわけ。
王家に入ってたら意外とまずかったのかもよ」
「…きついジョークです」
ルリは続いてテンカワの世界の科学の進んだ世界について理解を示した。
理解を示したというよりは、やはり、という顔をしていた。
「…なるほど、王家に伝わる逸話はやはりフィクションではなかったのですね」
「神話にはない部分のところですか…」
「ええ…。
…これは王家の間でも禁忌の部類になります。
私たちの一族は、人類が『神機』に再生されたという歴史を封印してきたのです」
「「「「!!」」」」
「もっとも、あまりに飛躍した話だったので神話の類かと思っていたのですが…。
アキト兵長とユリ団長が聞いた、カエンの話とも合致します。
『神機』の事は私たち王族しか知らないはずなのです。
カエンがあえてそれを私たちに話して挑発して見せたのは…。
アキト兵長とユリ団長が王家の血筋だから揺さぶってみたのでしょう。
本当は王家の中でも、私と弟たちしかしらないのですが…」
「…それはそうだよね。
嫌だよね…自分たちが機械に…。
しかも今は敵になってる相手に、生み出されたなんて知りたくないよね…」
「それに加えて、今、その生み出した親が殺しに来てるなんてもっと嫌だよ。
…はぁ、何考えてんだその神機ってやつは…」
「テンカワ、あんたバカなんだから考えなくていいよ」
「ら、ラピスちゃん…そりゃないよ…」
テンカワは一日ぶりの普通のクッキーの味がやたらしょっぱく感じていた。
「まあテンカワさんのバカさは置いといて…。
…敵が襲ってくる可能性が高くなりました。
敵が戦力を回復するまでにあと一ヶ月は必要だと目算されましたが…。
…アキト兵長とユリ団長が居なくなったと彼らも勘付いていると思うべきでしょう。
今からでもすぐに戦闘配置につきましょう」
「アイアンリザードと『門』を開ける連中が結託してそうだもんね」
「さしあたって…。
その、クサナギ・エグザバイトという甲冑騎士は、
テンカワさんとラピスが居ないと動かないんですね。
では…ユリカだ…いえ、ユリカさんは私たちと共に城に残って下さい。
地龍副兵長を臨時の団長に就任します。
さつきさんは、副団長を勤めて下さい」
「はいっ!」
当然とばかりに余裕の敬礼を見せる地龍と対照的に、さつきはうろたえていた。
「アキト兵長が言っていたんです。
自分が辞めた時は兵長に地龍を、副兵長にさつきさんを、と。
…頼みましたよ」
「はっ、はい!恐縮ですぅっ!」
「では、ルリ姫。
兵士たちに出撃準備をさせてきます。
テンカワさん、ラピスちゃん、ついてきてください」
「お、おうっ!」
「あ、ごめん。
テンカワ、私ちょっと遅れるよ」
「へ?」
「ユリカが先にお風呂行っちゃうんだもん、私だって行きたいよ」
「は、はは…分かった…」
テンカワと地龍、さつきは急いで訓練所の兵士たちを集めに向かった。
そしてラピスは小さくうなずいて、ルリとユリカを見た。
「それじゃ、ユリカ。
ちょっとお願いがあるんだけど…」
「え?」
「どうしたんですか?」
「えへへ、私に任せて」
敵の襲来が今にも起ころうということを知って、訓練所から集まった兵士たちの行動は素早かった。
甲冑騎士をすべて並べるのに十分を必要としなかった。
すでに練度も士気も相当に高く、前回の戦いからの成長は著しかった。
そして彼らは敵が訪れる前だというのに、すぐにでも出撃できる状態になっているのが、地龍にも分かった。
「みんな、この一ヶ月半くらいの間で…見違えたね」
「「「はっ!!」」」
「民を守るための…平和をつかむための戦いもついに最後が迫ってきた。
それにアキト兵長とユリ団長は今、別の世界から戻るためにきっと頑張ってくれてるはずだ。
僕達は二人が帰る場所を守らないといけない。
アイアンリザードを撃滅して…神機を倒して、平和を取り戻すんだ!!」
「そして別世界からの客人、テンカワアキトさんが協力してくれる。
彼も知っての通り、アキト兵長と互角以上の勝負をしてくれた。
アキト兵長の不在を補ってくれるはずだ。
…よろしく」
「よ、よろしく」
「ホントに色以外兵長そっくり…」
「…敵の偽物って思っちゃったわよね」
「…は、はは…歓迎されてんだかされてないんだか」
テンカワは頬を掻きながら、周りの全員を見て苦笑いをしていた。
「敵の襲来はいつになるかわからないが、気を引き締めて──ッ!?」
地龍が兵士たちを全員見ようと思ったが、その場に見えた人物の姿に目を見開いた。
彼だけではない。
集まっていた兵士達全員が、その人物から目を離せなかった。
地龍の隣に立ったその人物は──死んだはずのユリカ団長だった。
服装も、表情も、立ち振る舞いも、失われたはずの彼女がそこに居たのだ。
「みんな、久しぶり。
地龍君、ありがとう。
…みんなをこんなに鍛え直してくれたんだね」
「ゆ、ユリカ団長!?」
「あ、ごめんテンカワ君。
ちょっとだけユリカさんの身体借りるね」
「え、あ、ちょ…?!
はい…!?」
ユリカ団長はコホンと小さく咳ばらいをすると、
声を失っている兵士たちを見た。
「…数奇な運命に引かれてこの地にたどり着いた…。
この素晴らしい盟友の力を借りて…。
私はヴァルハラより一時の帰還を許されました!
『百合の騎士団』元団長、ユリカ!
ユリカ団長の戦線復帰宣言を聞いて、険しい顔をしていた兵士たちに笑顔が戻った。
彼らも方法は分からないが、ユリカ団長がユリカの身体を借りてこの地に戻ってきたことが分かった。
その話し方、立ち振る舞いは二週間逗留したユリカのものではなかった。
かつて見慣れた、ユリカ団長の自分たちを大事に想ってくれているのが分かる、あの声が届いたのだ。
歓声をあげ、涙を流す兵士たちの姿に、ユリカ団長も微笑んでいた。
「う…うああ…」
「ユリカ団長…帰ってきてくれるなんて…!」
「お会いしたかったです…!」
「私も…ごめんね…団長なのに一人で突っ走って…」
「そんな!
ユリカ団長があの時、ああしなければ私たちは…」
場は騒然として、しかし明るい、懐かしい、温かい雰囲気に満たされた。
ユリカ団長が帰ってきただけで、
一人前の兵士に成長した彼女たちは元の年相応の少女たちに戻ってしまった。
この世界に一日前に来たばかりのテンカワにも、
彼女たちにとってユリカ団長が心の支えだったのが良く分かった。
その姿を見て、地龍は微笑んだ。
「こんな奇跡が…」
「奇跡なんかじゃないよ、地龍」
地龍が振り返ると、ラピスが後ろに立っていた。
「感謝してよ、みんな。
私がシャーマンの修行してたおかげで『降霊術』を使えたんだから。
…それにこれで戦いに集中できるでしょ、地龍」
「…ははっ、バレてたか。
僕はどうも指揮とか向いてないんだよね」
地龍は強がっていたのがバレて頭を掻いた。
「兵長は現場指揮が得意でしょ、全体を見る戦術戦略は別分野。
…じゃ、テンカワ。
私たちも気合入れていこう!」
「…ああ!」
『その意気です』
全員の通信用の宝玉に、ルリの声が届いた。
はしゃいでいた空気が一瞬にして張り詰めた。
王族たちが張った感知用の結界に気づけるのは王族だけである。
防衛に関する王族の役目は、この結界による敵の察知。
そしてルリが通信をしてきたということは、敵の来週を示していた。
『やはり準備が無駄にはならなかったようですね…。
敵が来ました。
各員、攻め込んできたアイアンリザードを撃滅!
指揮はユリカ兵長が行ってください!』
「はっ!お任せください!」
「ユリカ…あ、ユリカ、さん。
よ、よろしく…」
「ふふっ…アキト。
いいよ、普通にユリカって呼んでも。
大丈夫、私たち協力し合ってるから一心同体だもん」
「お、おう…」
「テンカワ、ぼさっとしない!
さっさと乗り込むよ!!」
テンカワは調子が狂うとでも言いたそうに突っ立っていたが、
ラピスに引きずられるようにクサナギ・エグザバイトに向かっていった。
「…でも私のアキトとユリちゃんに会えないかもしれないのは残念だなぁ」
「ユリカ!
『門』が閉まらなかったらもっかい戻ってきて、私がまた呼び戻してあげるよ!
そう何度も許せることじゃないけど一日か二日くらいならいいってさ!
ヴァルハラの人達驚いてたけど、結構優しいよね!」
「ら、ラピスちゃん…」
「だからね…あの連中を全部ぶちのめして、
さっさと帰ってきてもらわないとね!
まったく、『降霊術』がこんなところで役に立つと思わなかったよ!」
「…ありがとう」
ユリカ団長のお礼を聞いて、ラピスは二カッと歯を見せて笑って、テンカワと走り出した。
「…アキト、ユリちゃん。
私、二人の分まで頑張る…!
ユリカさんも力を貸してくれてありがとう…!
〇作者あとがき
どうもこんばんわ、武説草です。
混乱を招く設定の元、本来倒すべき敵から離れてすれ違い入れ違いに世界を行き来する主人公たち。
こんな感じだとやっぱり混乱招きそうですね、ホント。
というかテンカワ、さりげなくダブル主演にされてしまったので今後どうなるし。
お前も芸能の道に進むのかぁ!?
途中の赤子入りポッド『橋子』はゲーム『デスストランディング』が元ネタです。というかそのまんま。
カグヤ側のシャーマン技術が邪馬台国より劣ってるのを補う目的で非道を行った設定になりました。
あとこの映画のタイトル、今ちょいちょいニュースで出てくる豪華客船の名前と被ってしまった。
始める前にそういう船があると調べておいたものの、タイミングよ…。
ってなわけで次回へ~~~~~~~~!!
〇代理人様への返信
【外伝6】
>まあ割といつも通りというか・・・(ぉ
自分の作り上げた味はそうそう変えられない!
というか彼らの人生の延長線上の作品ではあるのでどうしてもそうなりますね。
>ホウメイさんは大人なんですよねえ。
>好きなキャラではあるんだけど、それ故にメインは張れないキャラでもありますわな。
ホウメイさんみたいな大人が前に出れる作品になるとたぶん全編重たい話になりそうです。
いや、どっちかっていうと大人すぎて話が転がらなすぎるか…。
何だろう、大人なキャラがわきを固めてるからこそやはり若者が映えるのかな。
【外伝7】
>パラレルワールドでみんな幸せでした、ってのはいいですよねえ。
>そう言う妄想があってもいいじゃないかと。
>ピグマリオなんかで公式のそう言う外伝があったなー。
ハードな作品だとオールハッピーが見たくなるし、
平和な作品だとハードに移行させたくなるのが二次創作者のサガ。
そこんとこ行くとナデシコはどっちに振ることも可能だけど、どこか切なくなりやすい。
TV版以上におちゃらけてるというかナデシコが宇宙に出る前の話でやってるナデシコDは平和すぎる?
でもやっぱちょっと不穏なことがちょいちょい起こるバランス。これもナデシコか。
マイペースにやってきますのでもうちょっとお付き合いくださいませ。
長いけど。
~次回予告~
ユリカです!
なんでか分からないけどユリちゃんを差し置いて、
ルリちゃんみたいに本当にお姫様役じゃないけど、
どこの世界でも呼ばれちゃうお姫様ポジションをもらっちゃった!
ごめんねユリちゃん!
でも…ここまでアキトとラブシーンがほぼゼロなのは残念かなぁ。
やっぱりそっちは現実でやらなきゃだめってことでしょ!?ねえ作者さん!?
ちょっとくらい書いてよぅ!テレビ版じゃ少なすぎるんだもん!
色々考えて作っているけど結局頭が悪い!後編で終わろうとしたらやっぱり終わらない!
でもあと一本でようやっと終わるよ!
ラブコメなのかSFなのか微妙に分からない、いつも通りのナデシコな二次創作、
をみんなで見て下さい!
感想代理人プロフィール
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代理人の感想
そーだよ、映画なんてイケメン俳優が出てれば客は入るし、
青春っぽくて恋愛物なら数字は出るんだよ、ケッ!(なにかあったのか
しかしまあ、本当にややこしいなw
あれがアキトでこれがユリカでルリで・・・ええい、めんどくさい・・・って、まだ続くの!?
このまま完結編2,3と続いたりしないよね・・・(ぉ
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