−ヒロシゲ−
あの後、俺達はすぐに艦長に通信を入れた。
「艦長、ちょっとユートピアコロニーの場所に寄らしてくれねえか?」
『え?何で?』
「・・・墓参りだよ」
・・・ここに来るのは最後になるかも知れん。
だから、わざわざ頼んだ。
火星の大地に降りると、俺達はまだ動きつづけている人工太陽の光に照らされながら冷たい風に少し顔をしかめる。
パイロット・スーツは確かに寒暖差に強く作られてるし、宇宙で使う以上、密封も万全だ。
だが、さすがに顔は寒い。
いちいちヘルメットするのもカッコ悪いし・・・何より自分が住んでた場所でそういう事をするのは少し気恥ずかしかった。
「くしゅんっ」
「大丈夫か?」
「・・・はい。
でもヒロシゲさんはここに住んでたんですよね?」
「ああ、一年中こういう気候だった」
適当な場所に来ると、座り込んで呟いた。
「親父達、すまねえな。
花はないんだが・・・今来ないと多分二度とこれないだろうから来たぜ」
「ヒロシゲさんはここで生まれたんですね」
「・・・ああ。
そして、全部無くした場所だ。
全部無くさなきゃお前には会えなかった・・・。
親父達よ、多分・・・俺はコイツと一生を過ごすと思う。
・・・あんまりつりあってるようには思えねえだろうが・・・ま、それなりにうまくやってるぜ。
・・・もう、名前も思い出せねえけど・・・やっぱ・・・」
「・・・ヒロシゲさん」
・・・いけね、泣いちまったか。
あの時の出来事は凄く鮮明に覚えてる。
特に、妹が死んだ時の事は。
あの時、俺は一人でずっと泣いてた。
それを思い出すと・・・。
けど、シーラは・・。
「あ、ああ・・すまねえ。
お前は・・・家族に裏切られて・・・」
そうだ。
ある意味、一番残酷な親との別れを経験したんだ。
俺は一番悲しい別れだったと思う。
シーラは一番信じたくない別れだったと思う。
「終わりよければ全て良し、ですよ・・」
それでも、シーラは寂しそうだけど、笑おうと試みる。
・・・・それが、妙に俺の胸に温かさをくれる。
「・・・そうだな」
俺は少しはにかみながらシーラを見つめた。
・・・シーラは違う意味で俺よりも辛い目を見た。
そういう意味では凄く強い奴なのかもな。
お前のそういう所に惚れこんだのかもしれねえ。
「じゃ・・・またこれたら来るぜ。
・・・めぐり巡って、また、どこかで会おうぜ」
「・・・あの、どういう意味ですか?」
「・・・俺は宗教家でもないのに結構信心深いんでな。
生まれ変わるとか、迷信とか信じちゃうほうなんだよ。
・・・シーラ、お前はそういうの・・・信じるか?」
「・・・死ぬ事は終わりでしかないと思ってます」
こいつは死を見つづけた。
俺は一人だったから・・・そう思って楽になろうとしてた。
けど・・・よ。
「・・・確かに、な。
でも、そうとでも考えねえと死ぬのがすげえ怖くなっちまうからさ・・・」
「・・・そうですね、もし死んでも・・・生まれ変われたら」
「次があるって思わないほうが良いとは思うけどよ。
・・・それでも、なにか欲しい・・・何もないと考えるのは・・・」
「・・・生きましょう、命尽きるまで」
「・・・ああ」
俺達は10分もしないうちにエステに乗り込んで帰還した。
俺達はスタートラインを踏み出した。
後戻りは出来ないし、しない。
「・・・・さあ、行こうぜ」
第2話・Aパート「New day」
−ライザ−
・・・私は今、どこにいるのだろう?
シーラちゃんに出会って、私は考える時間を作る事が出来た。
そう、あのテツヤに従っていた・・・尽くしていた、そう言ってもよかったのかもしれない。
私はテツヤに助けられた・・・いえ、助けてもらったんじゃないわ。
単純に、気まぐれもいいところだった。
私を見ていたことなんて全然ないし、抱いてくれたことも一度しかなかった。
それは、私が汚れているから。
そう思っていた。
事実、6歳くらいで売り飛ばされた私は・・・そんなに前の話は覚えていない。
正確には覚えて居たくなかった。
幼い頃に処女は失い、犯されていた。
こっちは苦痛でしかなかった。
快感を感じる事など、一度もなかった。
16の時、テツヤに抱かれたときでさえ・・・。
ただ、満足感はあった。
それだけ大切にされたと思い込んでいた。
けど、それは多分、間違っていた。
私は、ただの便利な女。
クリムゾンについてからはテツヤの右腕として働いた。
・・・そう、文字通り右腕。
私は・・・それこそ体の一部、命令される事はあっても優しい言葉をかけられた事はなかった。
それは分かってるつもりだった。
けど、そんな男でも一緒に居れば特別な感情が生まれてくるのだろうか、
21・・・私は、テツヤが死んだと知らされた時、泣いていた。
テツヤは私のなんだったのか。
私はテツヤのなんだったのか。
その答えを知りたくて、ちょろちょろと動き回っていた。
クリムゾンがそんな時に、テツヤの仇討ちを頼み込んできた。
・・・正直、ここで終わりにしたかった。
テツヤは私を縛っていた。
間違いなく私は心のどこかでテツヤに恋をしていた。
私を一つの場所から引っ張り出したあの男が。
日本女性なんかにいる「尽くすタイプ」ってやつかしら?
そんな自分が妙におかしくて・・・でも、私はそれから逃れてみたかった。
死んででも、離れてみたくなった。
自分を縛る、あの男の面影から。
死んででも、知りたかった。
自分が何故、テツヤに恋をして、そして、何故それに縛られてるのかを。
・・・それでも、良かった。
でも。
私は、出会った。
「シーラ・カシス」
彼女は私のもう一つの可能性だった。
非常に境遇が似ていた・・・そう、それこそ運命を感じさせてくれそうなくらい。
私は親に売られ、彼女は親に殺されそうになった。
その後、私はテツヤに。彼女はヒロシゲに拾われた。
そして・・・出会った。
私は、テツヤから離れる為に。
彼女は、ヒロシゲの最後の言葉を頼りに自分の明日を捜すために。
・・・似ている境遇でも、彼女ほどアクティブになれる人物は稀じゃないかって思うわ。
ただ・・・私は全てが最悪だった。彼女はどこかに希望を見出せた。
それが、私を惹き付けたのかも知れない。
私に光を見せてくれた。
明日へ、歩き出させてくれた。
それは私にとって・・・人生最大の幸運だったのかもしれない。
本当の意味で、テツヤと決別させてくれた。
私は、歩いている。
明るい、真っ白い光が射しつづける、暖かくて幸せな道を。
そして私は目覚めた。
暗い夢の中で一人ぽつんと座っていた私に、眩暈がするほどに眩しく、気持ちいい日差しが射していた。
ひたすらに網膜を刺激して、私の脳は起きろと命令を下す。
けど、急かされている筈なのに、全然不快感は感じない。
・・・何て気持ちいいんだろう。
生まれた時からナデシコを降りるまで暗い寝床で目覚めていた。
そんな私にはこの光を浴びられるだけでも贅沢をしているように感じる。
温かい光と、清潔なベットで私は目覚められて、綺麗な朝日を見て、思わず泣いていた。
こんなに胸一杯になって目覚めた日が、いままであっただろうか?
普通の人間なら朝日が昇って、それが目に入って目覚めるなんて事、当然でしょう?
感動なんて出来ないし、むしろ日の光がうっとうしいと感じてしまうだろう。
でも、私は当然じゃなかった。
私にとって、これは二番目に欲していた物。
一番に欲していた物は・・・家族、だった。
そして、私は、それも手に入れた。
一緒に眠っている、白い髪の女の子、シーラちゃん。
可愛いこの子が、私を変えた。
私はナデシコを降りて元の姿に戻ったが、それでもシーラちゃんと一緒に眠っている。
それが、とても嬉しかった。
汚れている私を、姉のように慕ってくれた。
私は恥ずかしいと言ったのだけど、シーラちゃんは首を横に振った。
シーラちゃんが、
「いいじゃないですか、ずっと一緒に寝てたんですから。
それに一緒に眠るとすっごいあったかくて気持ちいいじゃないですか」
ってニコニコしながら言っていた。
・・・やっぱり、シーラちゃんも寂しいという気持ちがあったのかもしれない。
私はそんなシーラちゃんを見て、思わず頷いてしまった。
そして、寝る時になって、嬉しさを感じた。
母親に抱かれて眠った記憶があまり無い私は、人の温もりを求めたのだと思う。
だから、私はシーラちゃんが一緒に眠ってくれると、安心できる。
まだ小さくされていた時の感覚が残ってるのかもしれない。
母親だと、錯覚しているのかもしれない。
でも、私はどちらにせよシーラちゃんと暮らす事で『生きる』事の喜びを感じるようになった。
一緒に居る事で、私は学べる。
シーラちゃんに、生きる意味を、学べる。
私がシーラちゃんを起こすと、軽い朝食を取ってからネルガルに向かった。
地球でマンションに住み始めてすぐに出勤というのは厳しいかと思ったけど、シーラちゃんは気にしていない。
歩きながら駅に向かう途中、シーラちゃんが話しかけた。
「ライザさん、良く眠れました?」
「明るい場所での初めての朝だったけど、良く眠れたよ」
「そうですか、それは良かったですね」
ウンウンとシーラちゃんは深く何度か頷いた。
私も、空を見上げて言い返した。
「・・・それにね。
私、暗い場所でしか生活した事が無いから、朝日が射した時、凄く感動したの。
温かくて、綺麗で・・・」
太陽が昇り始めた空が、青々として綺麗。
見ていて心が洗われる。
今まで感じた事の無い感触。
風が吹く。
私の髪を優しく撫でて去っていく。
ああ。
改めて見たこの世界は、何でこんなに綺麗で優しいんだろう。
光が、どうしてこんなに嬉しいんだろう。
「本当は太陽の光って、あんなに気持ちいいものなんだね」
私は、純粋にそう思った。
そう思わずには居られなかった。
これを見ると、この世界に私が置かれていた闇が存在するという事実が嘘のように思えた。
隣に居るシーラちゃんが、息を思い切り吸い込んで、空気を肺に取り込んで、
味を噛み締めるように何秒か止めてから、吐き出した。
そして言った。
「私もコロニー育ちなんで本物の青空って結構圧巻なんですよねー。
雲の動きとか、こういう風に風と一緒に感じるのは気持ちいです」
ビルがそびえていても、本物の空というのは広い。
シーラちゃんの顔はそう物語っていた。
「そういえばシーラちゃん。
仕事を手伝って欲しいって言ってたけど、何をするの?」
「う〜〜ん。
私も呼ばれただけなんでちょっと分かりません」
そう言うとシーラちゃんは照れくさそうに額を指で掻いた。
すると、後からひょっこりと、上背の高い男が現われた。
「あ・・・ヒロシゲさん!」
「おう、おはよう」
「どうしたんですか?
いつもはもっと遅いのに」
「いやー何か地球って初めてだから興奮して眠れなかった」
ヒロシゲも私達と同じで、地球の空を感慨深そうに眺めた。
だが、その目の下には隈が出来ていて、本当に一睡もしていない事が分かった。
「・・・なんかよ、地球の太陽って死ぬほど眩しいな。
人工太陽もちゃんと眩しいって感じたけどな」
「そうですね」
訝しげな顔をしながら、ヒロシゲは空を見つめた。
そして、目を細めて静かに呟いた。
「・・・ちょっと俺も今度から早起きするかな。
こんな空が見れるなら、わざわざ眠ってるのも勿体ねえな」
「・・・ええ」
私も、思わず頷いた。
私達はしばらく並んで空を見つめていた。
街は静かなのに、私達の心は生き生きと弾んでいた。
−シーラ−
そして、私達は呼ばれた会長室に来た。
何でわざわざ会長室に来るのかは分からなかったけど、それだけ重要な事なのだと理解した。
部屋に入ると、何故か見慣れた顔があった。
「あ、アカツキさん?」
「やあ」
「アカツキさんが何で?」
「あれ?知らなかったのかな、僕が会長だったって」
「えー?」
・・・知らなかった。
「みんな割と知ってたから君も知ってるのかと思ってたよ」
「いいえ・・・ライザさんとヒロシゲさんは?」
「知ってたけど?」
「ああ」
「ええ〜?」
・・・何で〜?
「はっはっは、驚いてくれる人が居たとはね。
ま、それはこの際置いておこう。
今日呼んだ理由、なんだけどね」
「あ、はい」
「実は、君が開発した相転移エンジンなんだけど」
アカツキさんは用件を掻い摘んで説明してくれた。
それをさらに掻い摘んで言うと−私の相転移エンジンは、ネルガルの製品でしか使っていない、
だから社会に売り込める方法を探って欲しい、という事だった。
最初は何で?という感触だったけど、話を聞かされるうちに納得した。
元のサイズの3倍・・・相転移エンジン関係、つまりナデシコの基礎を成す部分は正直言って、高い。
従来の戦艦とナデシコを比べて見ると、総合的には同程度だけど、それはナデシコが、
『グラビティブラストという最強の矛とディストーションフィールドという最強の盾』
と、多少の武器・・・レーザー、ミサイル、ディストーションブレードだけがあることを前提としている。
グラビティブラストの連射が効かない地上では武装が心許無いのがマイナス。
そのためのエステバリス・・・とはいえ、元から戦艦一隻で戦闘できるはずはないし、
ナデシコがここまで戦えたのは性格に問題があっても一流、超一流のクルーを揃えればこそ。
他の連合軍の人が扱うにしても、ナデシコの性能では不安は尽きない。
元々、戦艦には戦闘機がついている必要があるし、ナデシコは一撃の火力では勝るけど、
それ以外の迎撃機能では結構脆い点が無い事は無い。
普通の相転移エンジンがこの扱いでは、私の相転移エンジンは高くて扱いづらい事この上ない。
けど、それによってブローディアはより高い完成度になったって聞いた。
これでも他の会社に売り込む事は出来るのかもしれないけど、ブローディアはあまりそういう事を公開してはいけない事になってる。
事実、コロニーをたった二機のエステバリスと砲台で崩壊させる破壊力を持っていた。
あの時はうまく地球から離れた距離で破壊できたし、衛星にも引っかからないで済んだけど、
これが連合軍に知られたらあの二人の扱いがどうなっていたか・・・考えただけでゾッとする。
・・・それに完全トップシークレットだけど、本来、ブローディア自身、単体でコロニーを落とすだけの火力を秘めている。
アキトさん達の技を見れば、それが不可能じゃないって事は分かる。
・・・だからこそ、売り込む以上、危険性を見せるわけには行かない。使う分には便利なだけで済む。
危険な物は、制御しきれない物は、世の中では使われなくなる運命にある。
でも、これは絶対にこの世の中に役に立つ。
一人二人が危険に使えるだけで、使う分には危険じゃない。核パルスエンジンだってそうだ。
だからみんなに使って欲しいって思ってる。
それに、私という人間はどこまでも・・・技術屋根性が染み付いてるのか、
自分の技術に誇りを持って仕事をしたい。誰かに認めて欲しい。そう思ってる。
これから私が何か成す為にも、技術を磨く為にもお金は必要だし、一石二鳥、いや、三鳥かな。
それと宣伝部に任せなかったのは、性能の利便性を一番知っているのは私だったからなんだって。
勿論、私は二つ返事でOKした。
とはいえ、私達がそれほど宣伝という行為に詳しいわけじゃないから作業は難航した。
考えている内に五日ほどが経過していた。
「うーん、どうしましょう?」
「・・・・そうだな。
普通にコマーシャルとか使って宣伝するって言うのは問題外だよな」
・・・それはそうだ。
エンジンをCM使って宣伝するなんて聞いた事が無い。
「餅屋は餅屋で宣伝部に任せた方が良かったかもね」
「でも、自信作なんですよ?
自分で売り込みたいじゃないですか」
ライザさんのいう事はもっともだけど、私達だから出来る奇抜な発想もあると思う。
単純に、私のわがままの方が大きいけど、そっちの方が面白い。
なんて考えていると、お茶を汲みに行っていたセレスが口を挟んだ。
「そうですよ、どっちにしてもお母さんは対・火星の後継者向けの機体の開発も頼まれているんですから」
・・・実はそうなんだ。
ウリバタケさんと私で新型のエステバリスの開発を進める事になっている。
だから、あまりこっちに時間をかけすぎる事も出来ない。
溜まってた有給を使ってるけど、ウリバタケさんはこうしている内にも開発に苦心しているはず。
私も手伝いたい・・・けど、こっちもしたい・・・。
どうしよう・・・・。
「おい、シーラ、良いアイディアが浮かんだぜ」
考えている私の前にパソコンを向けてヒロシゲさんはニヤリと笑った。
「お前が好きそうな方法だ」
「あ・・・・・!!」
私は、目の前に映っていた画面を見て、ヒロシゲさんの言いたいことが分かった。
そして、私の事を良く分かってくれているヒロシゲさんに、思わず、嬉しくなった。
−一ヵ月後−
「うおおおおおぉぉぉーー!!
衝撃の・・・ファーストブリットォォーー!!」
どすん・・・。
セレスが回転して放った拳が、大体4・5メートルはある、ボディが黒光りするロボットに叩き込まれた。
ロボットは大きくよろめいて、その巨大な体を地面に叩きつけた。
『キマッたああああぁぁ!!
文句なしのKOです!!
勝者、Bullets of Heart!!」
「やったぁ!」
「おっしゃぁ!」
ぱちん。
私とヒロシゲさんがお互いの左手を叩き合わせる。
ライザさんは隣で深く頷いていた。
セレスが部隊に背を向け、こっちに向かって歩いてくる。
体を温める間もなく、KOしたようだ。
「お疲れ様、セレス」
「勝ちましたよ」
セレスが言うのを見て、私は思わず頭を撫でた。
運動会で子供を褒める親のような心境だ。
「頑張ったね。
よしよし」
「所要時間、24秒。
さすがね、セレスちゃん」
「この調子なら、優勝できそうですね」
・・・・そう、私達は大会に出場していた。
『ロボットバトル世界一決定戦』という大会に。
起源は20世紀から、当時は小型のロボットを戦わせていた。
けど、22世紀末の今、それは違っていた。
全長10メートルまでのロボットを、100メートル立方のステージで戦わせる。
制御方法はAI、操縦。
ただし、パイロットの搭乗は不可。
武器は爆発物・ビームの使用は不可、ただしそれ以外なら全てOK。
これが基本ルールだ。
無論、エステバリス・・・例えば、AI搭載のブローディアでも出場は可能。
でも、小回りが効かないし、何より、相転移エンジンを搭載しているロボットの出場は私達以外はほとんど居ない。
・・・その相転移エンジン使用をしているのがクリムゾンのチームが参加しているというのが気がかりだけど、
エステバリスに必要な重力波ビームはないし、バッテリーは持つだろうけど、実際に使うチームはない。
自分のオリジナルのロボットに情熱を注いでいるというのが本道で、みんなそれを暗黙の了解としていた。
何故、この大会に出場しているか、分かるよね?
ヒロシゲさんの提案というのは、相転移エンジンの性能を見てもらう為にこの大会に出場する事だった。
この大会では3〜5メートル級のロボットが多い。
その中で互角以上に渡り合えるだけの性能を示す事で、小型相転移エンジンを売り込もう、という作戦。
これならば、強力殺戮兵器の可能性よりも、単に性能の良いエンジンという事を示せると思えた。
事実、この大会ではグラビティブラストの類も使用禁止だから、性能の良さに目が行く。
元々相転移エンジンの用途はグラビティブラストとディストーションフィールド、そして航行動力。
だからこの大会ならそういう用途で使う意味で小型・高性能という事を示せる、と考えたわけ。
危険性と利便性は比例する事は承知済みだから。
「よし、飯食いに行くぞ!」
「はぁーい!」
「どこに行く?」
ライザさんの問いにほとんど迷う事無くヒロシゲさんは振り向いて応えた。
「今日は蕎麦でいいか?」
「いいですよ」
私は、のんびりと日々を過ごしている事に幸せを感じていた。
昔と同じ、一般的な日常からは離れているけど、平凡で穏やかな日々。
自分のやりたいことをやって、一緒に居たい人と一緒に居る、自分達だけの時間を過ごせる幸せ。
こんな毎日が・・・ずっとずっと続くのだ、と私は思い込んでいた。
考えているのは、明日セレスが勝てるかどうか位で、何も考えては居なかった。
けど、私に平凡な生活が続くはずは無かった。
知っていたはずなのに。
あの男が死なない限り続くはずがないと。
知っていたはずなのに−。
作者から一言。
あー、最近ちょっとアイディアが発生した時に限って書けない事が多い・・・。
しかもこれから受験とかで時間がなくなるし・・・。
でも、一ヶ月一本のペースをほぼ崩さずに行ければいいからいいかなぁとか。
時間が無かった故に中途半端さが目立つのでそのうち書き直すかもしれません。
すいません、ちょっと短くなりました。
では、次回へ。
最近のネタ。
「くそっ!やっぱり準備が整っていても倒せない敵は居るのか!?」
僕は焦っていた。
あの敵だけは撃破しなきゃいけない。
自分の為にも、何よりも戦っている仲間たちの為にも!
ばぎゃっ。
「・・・・っ!またか!」
ぷつん。
すぐさまコントローラーのRL、スタート、セレクトのボタンを同時押しする。
「・・・くそぉ、奴は落ちないのか!!」
やはり、どんなに準備が揃っても落とすのが難しい敵は存在する。
「もう一度、もう一度だ!」
『倍がえしだぁー!』
『ザクだからって舐めるな!』
どごん。
「よし、来たぁー!」
・・・こうしてV−upユニットを入手。
これで仲間達は強くなるはず。
・・・もっとも、今のメンバーは既にどんな敵にも負けないという自信はある。フル改造だし。
・・・・・・以上、逆行並にずるいかもしれないプロアクションリプレイなるもので、スパロボIMPACTに挑む図でした。
注1。
プロアクションリプレイ・・・ゲームの改造ツール。資金MAXは当たり前、アイテム。
時間をかける余裕が無いので使用している・・・割にはアイテム入手の為に時間を費やしている。
ここでは資金MAXのみでゲームを進めている(体験版だから)。
・・・邪道かもしれないけどこれくらいしないとマジンガーですら装甲が薄く感じる・・・(泣)。
個人的には第4次くらいのバランスが好みです。
注2。
皆さん台詞でお分かりかもしれませんが、この戦闘の時に使用していたのはEZ−8とザク改です。
知っての通り、IMPACTにおいては弱いユニットの方が武器フル強化した時、強くなります。
その為、奇襲を使えるバーニィのザク改と、破壊力4750の全段発射を持つシロー+EZ−8を使いました。
ちなみにショウの専用機はボチューン(ハイパーオーラ斬り中威力最強、気力120)になってます。
・・・・うわー。
何言っちゃってんだろ、僕。
代理人の感想
では、合意と見てよろしいですねっ!?
・・・・え、違うの?
>一番利便性を知っているのが私だから
と、言うのは口実で、単にアカツキが何か企んでいたか思うところがあったかなのかなぁ。
製作者を宣伝に一枚かませるにしても広報のプロを付けないってことはないだろうし。
まぁアカツキだから「あの道楽会長が・・・」ですむんでしょうがw