おいおい、俺は戦神がらみの取材に来たんだぞ
なんなんだ ここは!?
取材を申し込んで俺が通されたのは
・・・・・・・・・神殿?
あの 十字架に貼り付けられてる男の像は誰なんだろう?
ボサボサ髪にバイザーねぇ・・・うん、記憶にない
少なくとも俺の知っている宗教じゃないだろう
っつーか 俺は無事に帰れるんだろな?
取材先で消息を絶つなんて 戦場カメラマンじゃねぇぞ
う〜ん 今回の旅行は危険が一杯だなぁ
色んな意味で
漆黒の戦神アナザー
イリーナ・ガジュマの場合
...本日は取材を受けていただき有難うございました イリーナ・ガジュマさんですね?
ハイ! イリーナ・ガジュマ 16才です よろしくお願いしますね
...え〜っと、本題の前にお聞きしたいのですが ここは一体どういうとこなんでしょ?
ここですか? 神殿です!
...いや、何の神殿なのか聞きたいんですけど
しかも、我が宗派の総本山なんです!
...ですから 何の宗派なんです!?
漆黒戦神教ですっ!
...・・・はい?
ハイ 彼の英雄 漆黒の戦神を崇める宗教なんです
...(戦神め とうとう神話になったのか・・・)
ここの信徒達は 皆 戦神様を慕う者達ばかりなのです!
...私、ここに入ってから男性を見かけないのですが
そうですね、信徒の7割が女性ですから
...残り3割の男性は そっち系・・・?
? どっちですか?
...いえ、なんでもないです 残り3割の男性はどういう方々なのでしょうか?
戦神様が西欧にて活躍されていた頃、助けられた事のある方がほとんどだそうです
...なるほど、当時の西欧の戦況を考えると 彼が神のように見えるかもしれませんね
とは言え、実際に戦神様と面識のある方は ほとんどいないんですけどね
...え゙?
戦神様が救いの手を差し伸べたのは それこそ星の数ですから
面識のない人の方が多いのは当然ですよ
...(それじゃ、俺の仕事が・・・)という事は イリーナさんも彼とは・・・?
いえ、実は私 戦神様にお会いした事があるんです
...おお! では、その時の話をゼヒ!
わかりました!
実は漆黒戦神教は神官戦士達によるナデシコ遊撃隊の側面があるんですけど
私は そこでスカウトをしているんです
...スカウトというと日本で言うところの戦車随伴兵・・・あなたがですか?
私、これでも力持ちなんですよ?
超硬度グレソーで無人兵器をバッタバッタと薙ぎ倒してるんですから
...グレソー、グレートソードですよね? 2m近くある・・・あ、あれを振り回してるんですか?
よく攻撃外してズっこけるんですけどね ははは・・・
...それ、危なくないですか?
正義をするためです! 危ないなんて言ってられません!!
...いや、そうではなく・・・
それに、無人兵器は問答無用に邪悪です! 討たねばなりません!
...いえ、無人兵器ってのは木連ってのがですね
和平したのに攻めてくるのを邪悪と言わずしてなんと言いますか!
...はい、あなたのおっしゃる通りです! ですから 彼との出会いを話してください!
あ、そうでしたね
私が戦神様とお会いしたのは 無人兵器の襲撃を受けたある街でした
無人兵器への攻撃を外してしまいコケてしまった私は窮地に陥ったんです
...読めてきました、そこを彼が助けにきたのですね
よくわかりましたね、スゴイです!
...この仕事続けてると イヤでもわかるようになりますって
『継続は力こぶ』ですね!
...(かなり違うような・・・)それで、助けられた後は 何かありましたか?
え、えーと それは・・・
...(こりゃ 何かあったな)読者は彼の真実の姿を求めております ゼヒ!
じ、実は助けられた時、部隊とはぐれてしまいまして
数日ですが戦神様と行動をともにする事ができたんですが・・・
ガチャリ
その時、扉を開けて部屋に入ってきた
振り返って私は驚いた
部屋に入ってきたのは1人の幼女
しかも、目の前のイリーナ・ガジュマ嬢にうりふたつだ
...え、え〜と あなたはどちらさまでしょう?
あ、チビーナ!
...ご親戚ですか?
え〜と この子は・・・
ママ! 正義をちにいきましょう
...(間違いない 血筋だ)
また 邪悪検定1級の木星トカゲがあらわれまちた!
なんですって? 行きましょう すぐに行きましょう!
正義をしに行かなければ!
・・・あ、申し訳ありませんが状況が状況ですので
...いえいえ、結構ですよ 取材はあなた方の写真を撮って終了という事で
パシャ
すいません では!
崇高な正義をするのでつ!
...こりゃ特ダネだな・・・
『漆黒の戦神 その軌跡 〜特報!戦神に隠し子発覚!〜』より抜粋
ドカァッ!!
「ま、待つんだルリちゃん これは何かの間違いだ!」
壁際に追いつめられるアキト その手に持つは例の本
「って言うか最近忘れてたけど ルリちゃんはそんなバズーカ担ぐようなコじゃないだろ!?」
「アキトさん・・・チビーナちゃん、可愛いですね・・・」
「そりゃ アキトの子だもん当然だよ ルリちゃん」
「アキトくん・・・私とあなたの子ならもっと可愛いと思わない?」
じりじりと迫る某・同盟、全員目が正気ではない
「うわあぁぁぁぁぁぁぁ・・・」
アキトの悲鳴は闇に掻き消された
「・・・で、どう思います 隊長?」
「何がだ?」
「この子供が本当にアキトの子供かどうかですよ」
「カズシ・・・常識でモノ考えたらわかるだろうが」
「そうですよねぇ・・・」
ここは遠く離れたブリッジ
オペレーターのルリ、ラピスがアキトをお仕置しに行き
怒りを煽ろうとしたハーリーがその前に消し炭にされてしまったので
現在のナデシコはオペレーター不在だったりする
「ハーリー、とっとと再生しろ 今 敵が攻めてきたら大ピンチだぞ」
「む、無茶言わないでくださいよ・・・」
とか言いつつ消し炭の状態から徐々にだが確かに復活しつつあるハーリー
人外だ
「それでは この子供は誰なんでしょうなぁ
テンカワさんのお子さんならばお祝いのひとつもしなければなりませんが」
「どうせ、親戚の子供か何かだろう 年齢が合わん」
「それなら臨時の出費も防げますな」
イリーナは この本によれば現在 16才
チビーナの年齢は正確にはわからないが イリーナの実子という事はまず有り得ないだろう
アキトの子供となるとなおさらだ
「でも、艦長やルリちゃんがそれに気付かないなんて」
「恐るべきは嫉妬の炎と言ったところか・・・」
そこまでわかっていて 誰も彼女達を止めに行かないブリッジの面々
そりゃ 誰だってあの渦中に飛び込みたくはない
「ま、自業自得でしょ」
その言葉が全てを表していた
哀れ
「お〜い、マスター 今帰った・・・って マスター!?」
男が行き付けの店に入ると そこにはカウンターに突っ伏したマスターの姿
慌てて駆け寄ると マスターはただ単に疲れて眠っていた事がわかり 男はホっと胸をなで下ろす
「で、一体どうしたんだよ?」
「・・・延々と愚痴を聞かされ続けたらイヤでもこうなるさ」
頭に氷嚢を乗せたマスター、その目の下にはくっきりとクマが浮かんでいる
「愚痴? 誰にだよ?」
「お前が預けていった珍妙な鉢植にだ」
「・・・・・・・・・」
「ずっと泣いてんだぞ? 最近ぜんぜん相手してくれないって」
「いや、仕事が忙しくて・・・」
「いいから、とっとと連れて帰って 話聞いてやれ わかったな?」
「・・・はい」
マスターに説得され 男はしぶしぶ猫のトムと珍妙な鉢植を連れて帰る事にした
「っつーか、なんでマスターはコイツを見ても平然としてるんだ?」
「フン! お前みたいな知り合いがいれば嫌でも慣れる」
「・・・ごもっとも」
おわる?
あとがき
え? とあるライターの名前ですか?
さぁ? 何て名前なんでしょう?
決めてないんでわかりませんね
ちなみに使用許可は きっちりいただいております
んで、本編なんですが
元ネタわかる人はどれくらいいるんでしょうね?
イリーナをヒロインに『漆黒戦神教』を出すのは前々から考えてたのですが
それだけではインパクトが足らないとお蔵入りにしてたのですが
原作の最終巻でチビーナが登場した事により
一気にSS1本分のネタにする事ができました
チビーナの正体については原作のネタバレなんでここでは明かしません
とりあえず イリーナの実子でもアキトの子供でもないとだけ言っておきますね
代理人の感想
ん〜、元ネタですがそこそこはわかるんじゃないでしょうか?
そっち方面に詳しい方もそれなりにいらっしゃるようですし。
具体的にはグループSNEの展開しておりますTRPG「ソード・ワールド」のリプレイ(読み物)の一つ、
「進め! 未来の大英雄」シリーズ(厳密には違うんですがツッコミはしないように)の
・・・・・・・・・・・・ヒロイン?であるイリーナ・フォウリーです。
まぁ、性格はまんまなので詳しい描写は省きますが(笑)。
取合えず「人類最強の筋力を持つ吶喊正義娘」と覚えておいてください(爆)。