機動戦艦ナデシコ アナザーストーリー

 

世紀を超えて

第19話 奇想兵器

 

 

 

 

遂にその全勢力をもって攻撃を開始した連合軍。

アキト達が敵影を確認したとき、既に敵の第一陣は研究所まで後、

数キロを残すところまで接近していたのである…。

 

・・・。

 

研究所・司令室

 

「敵、機動部隊…接近中…ボク達のデータにはありません!」

 

すっかりオペレータが板に付いたアム。…見事に仕事をこなしていた。

 

「…戦車部隊で迎撃して。アキトと白鳥君は先に行って!」

 

一方のナツメ。股肱の臣である北方を失ったものの、責任感がついたのか、司令官として命令を下す。

…多少の悲壮感が感じられるのが可哀想でならない。

 

「…テンカワ・アキト…B・カイザー出るぞ!」

「同じく白鳥五十六っ…M・ガンガー!」

 

既にアキトも慣れてしまったらしい。

…声がまだ震えているが。

 

ゴォォォォッ!!

 

アキトが空高く舞い上がる!

その手には狙撃用の大型ライフルが握られている。

この数ヶ月の内に山崎が開発した物だ。

 

ブゥゥゥ・・・ン・・・。

 

一方の白鳥は機体をトレーラーで運んでもらっている。

因みにこのトレーラーは戦闘の際、予備バッテリーや弾薬等の補給も行う。

 

…。

 

因みに後ろでは戦車部隊も行動を開始している。

時間が空いたのが幸いして、戦車隊は今では10個小隊30台まで増加していた。

 

…。

 

「行っちゃったわね。」

「はい。」

「アタシ達…生き残れるのかなぁ?」

 

…最近、ナツメが弱気の姿勢を見せることが増えた。

北方が居なくなったから?そんな風にアムは感じる。

 

「ボクの知っているナツメさんは弱音なんて吐きませんよ?」

 

だから、そんな風に言える。

 

「…アムちゃんなら分かってくれると思ったんだけど。」

「…え?」

 

…だが、事実は違う。

司令官とは孤独だ。…人の命を預かり、死んで来いと命令する。

だから…当然、嫌われる…。

 

…今、同性で一番ナツメに近いのは間違い無くアム。

彼女の前くらいでは愚痴の一つも言いたいのだ…。

 

友達だと…思っているから。

 

一番の友人は敵。

一番の理解者は墓の下。

 

…今、ナツメは孤独と戦っていた。

目の前に迫る敵の前に、自らの心を何とかしなくてはならない…。

 

…そして、少女はそれに気づいた。

 

「…ま、ボクで良ければ愚痴くらいは聞きますよ?」

 

…少女は微笑んでそう言う。

 

「…。」

 

返事はない。…だが、アムは確かに見た。

 

ナツメの笑顔と一滴の涙を。

 

…。

 

暫しの時…嵐の前の静けさ。

 

・・・。

 

…そして、それは破られた。

 

「・・・。」

「ナツメさん・・・。」

「・・・。」

「あの・・・。」

「…プ・・・。」

「…あ。」

 

 

「「なに?アレ!?」」

 

ガッチャ・・・ガッチャ・・・ガッチャ・・・ガッチャ・・・ガッチャ・・・ガッチャ・・・ガッチャ・・・ガッチャ・・・ガッチャ・・・ガッチャ・・・ガッチャ・・・ガッチャ・・・ガッチャ・・・ガッチャ・・・ガッチャ・・・ガッチャ・・・ガッチャ・・・ガッチャ・・・ガッチャ・・・ガッチャ・・・ガッチャ・・・ガッチャ・・・ガッチャ・・・ガッチャ・・・ガッチャ・・・ガッチャ・・・ガッチャ・・・ガッチャ・・・ガッチャ・・・ガッチャ・・・ガッチャ・・・ガッチャ・・・ガッチャ・・・ガッチャ・・・ガッチャ・・・ガッチャ・・・ガッチャ・・・ガッチャ・・・ガッチャ・・・ガッチャ・・・ガッチャ・・・ガッチャ

 

鉄板に積み木細工で作ったような顔(センサ等は付いてない様子)

関節の曲がらない手

装甲など一切無い、骨組み、配線が丸出しのボディ

そのくせ軽快な動き(怪しさ大爆発)

 

…そして腰の大型キャノン!!

 

そんな連中が数十台、群れをなして迫ってくる!

 

土煙がもうもうとたち込め

キャノン砲はユッサユッサと揺れる…。(嘔吐)

 

嗚呼、遂にやって来た!

 

『先行者』

 

・・・その腰の怪しい銃口が遂にアキト達を捕らえた…。

本来なら目がキラーンと光るところだが…

こいつ等のセンサはキャノンの先に付いているようだ。

 

当然キャノンの先が鈍く光る。

 

キュピーン

 

嗚呼…嫌過ぎる…。

 

「…嫌ァ…。」

 

両手で顔を覆い、本当に見ない様にしているアム。

 

…この辺が普通の少女と違う所。

 

「…立派な大砲。」

 

逆に関心すらしているナツメ。

 

…。

 

…勇気を振り絞ってアムが仕事を再開したのは数分後だった…。

 

「…ヒィ…敵エネルギーチャージ、開始しま…嫌ァアアアアッ!!」

 

ガッチャ・・・ガッチャ・・・ガッチャ・・・

ガッチャ・・・ガッチャ・・・ガッチャ・・・

ガッチャ・・・ガッチャ・・・ガッチャ・・・

ガッチャ・・・ガッチャ・・・ガッチャ・・・

ガッチャ・・・ガッチャ・・・ガッチャ・・・

ガッチャ・・・ガッチャ・・・ガッチャ・・・

ガッチャ・・・ガッチャ・・・ガッチャ・・・

ガッチャ・・・ガッチャ・・・ガッチャ・・・

ガッチャ・・・ガッチャ・・・ガッチャ・・・

ガッチャ・・・ガッチャ・・・ガッチャ・・・

ガッチャ・・・ガッチャ・・・ガッチャ・・・

ガッチャ・・・ガッチャ・・・ガッチャ・・・

ガッチャ・・・ガッチャ・・・ガッチャ・・・

ガッチャ・・・ガッチャ・・・ガッチャ

 

…腰を上下させてエネルギーをキャノンに装填する先行者達。

 

俗に言うコマネチと言う奴だ。

 

・・・。

 

所でお気づきだろうか?

 

何故、今までアキト達戦闘部隊の描写が無かったのか?

 

それは…。

 

総員…放心していたから。

 

…。

 

「お・・・うおぉぉぉおおおおおおお!!」

 

いち早く復活したのはなんと白鳥だった!

 

兎に角敵陣に跳び込んで我武者羅に殴りかかる!

 

ドゴ!

 

最初の一撃は目の前の一体を吹き飛ばす!

 

ボカッ!!

 

第二撃で殴り飛ばされた奴がぶつかって、数台がドミノ倒しになる!

 

だが!

 

シビビビビビビビビビビビビ…

 

なんと腰のキャノンはビームキャノンだった!

 

…ビームは直進する。

目の前の敵を白鳥が倒したお陰で、研究所は無事だ!

…一歩間違っていたら、全滅するところだった事に気づいた他の連中も我にかえり攻撃を開始した!

 

…こうなると先行者達に勝ち目など無かった。

 

先行者には腰のキャノン以外兵装が無いのだ。

 

本来、戦車隊の援護の元で行われるはずだったこの攻撃。

…現場の気持ちを理解できない上官の作戦ミスだと言える。

 

つまりキノコの所為(断言)

 

激戦が続く!

白鳥がチャージ中の敵をなぎ倒す!

戦車隊の一斉掃射で数台が吹き飛ぶ!

アキトが敵を上空まで吊り上げられ、地面に叩きつける!!

 

・・・?

 

あ、なんか一方的。

 

…。

 

「…これなら楽勝ですな!テンカワさん!」

 

一息ついた白鳥が通信を入れる。

 

「今回ばかりは助かった。しかし…あんな戦い方があるとは。」

 

アキトも今回は脱帽のようだ。

 

ピピピ!!

 

「!こちらM・ガンガー!」

 

「…研究所です!…生き残った一体がこっちに!!」

 

衝撃が走る!

 

「クッ!」

 

グワォン!!

 

アキトが真っ先に飛んで行った!

 

「自分たちもすぐ行きます!」

 

白鳥も言うが…。

 

「駄目です…敵の主力部隊が接近中!!」

 

アムの声には余裕が無い!

 

「…解りました。こちらで何とかします!」

 

そして、白鳥は戦車隊と共に丘の後ろに陣取った。

 

・・・。

 

「…テンカワさんが来るまでここで持ちこたえろ!」

「「「おおーーっ!!」」」

 

主力戦車隊を率いるのはヤマダ大尉。

…そして、第2次兄弟決戦へ…。

 

・・・。

 

…一方のアキト。

 

「間に合え!!」

 

フルスピードで研究所に舞い戻るアキト。

だが、このままでは敵が辿り着く方が先だ。

 

…実は先ほどの戦いでアキトはキャノンの故障した一体をあと回しにした。

そのツケがここに出ている。

幾らキャノンが使えなくとも、人を踏み潰す位は出来るだろう。

…完全な作戦ミス。

 

本来、研究所の防衛構想は、連合軍の基地だった時から変わっていない。

膨大な対空砲で空中を、戦車隊が陸上の敵を叩く。

 

今回は戦車が出払っている。

陸からの攻撃には余りに脆い…。

 

・・・。

 

事実、最後の先行者は砲撃を避けつつ施設に肉薄しつつあった。

 

「…アムちゃん。」

「…ナツメさん。」

 

二人の目に迷いは無い。

何時かこうなる事はわかっていたから…。

 

 

…迫る敵、無人兵器。

 

否、彼女達の視界からすると…。

 

迫る腰部キャノン砲

 

…嗚呼…。

 

「ハイ…ぽちっとな。」

 

ぽち・・・。

 

アムが何かのスイッチを入れた!

 

 

・・・。

 

シャワーーーーーッ

 

…屋上から噴水のごとく水柱が上がる…。

 

なんの真似だと言う暇も無く、地上からは何かが放出された。

 

ピキ…パキ・・・・・・。

 

水が凄い勢いで凍り付いていく…。液体窒素だ!

 

・・・。

 

そして、遂に氷は研究所を覆う。

 

光って割れる某〇子力研究所風バリア…完成!

 

 

分厚い氷が物理的な攻撃を受け止める!

無論熱もシャットアウト!

レーザー対策として撒かれた水には細かい鉄片(のような物)を混ぜてあり、乱反射により威力を低減する。

この際、厚い氷なのでレーザーを屈折させる事も期待できる。

…無論衝撃を受けすぎたりすると割れたりもする。

 

…良くこんな馬鹿げた物考えついたものだ。

 

・・・。

 

だが、先行者は非力。

…ポコポコとチョップして居る内にアキトが追いついてしまう。

 

「食らえ!」

 

アキトはとび蹴りを見舞うが、流石にヒョイと避けられた!

 

…睨み合う二台。

 

但しエステ先行者の組み合わせだ。

締まらない事この上ない。

 

そして、先行者は有ろう事かキャノンを接近戦武器として使う!

 

ぶ〜らり・・・ぶらり・・・ブン!

 

突然キャノンを横薙ぎに振るう!

…ただし、端から見ると腰を振りながら戦っているようにしか見えない(汗)

 

グワッ!!

 

そして、そのまま飛びかかる!!

 

ガシィ!!

 

アキトが先行者を捕まえた!!

 

バキィッ!!

 

バキ?

 

・・・・・・。

 

「…あ・・・ああああ・あああ・・・。」

 

 

アキトは自らの持っている物に気づいて驚愕した。

その横では先行者は暫くのた打ち回っていたが、

数分後…遂に動かなくなった…。(汗)

…その最後は余りにむごい…。

 

「…黙祷!」

 

 

アキトは思わず叫んでいた…哀れさに目に涙が浮かぶ…。

そして、アキトは動かなくなった最後の先行者の横に、

折り取ってしまった腰部キャノンを置いてやったのだった…。

 

続く

 

−−−連合軍ムネタケ艦隊旗艦〇〇〇〇〇〇〇−−−

 

「私の船は世界最強よー!」

心底嬉しそうなキノコ。

 

ず・・・ずーーーん

 

それに反比例してクルーは沈みまくっていた・・・。

「…カズミ。」

「駄目。何も考えたら駄目…いい、マスミ。」

「・・・うん。」

「それにしても・・・あのネーミング・・・。」

「〇〇〇〇〇〇〇だっけ?…余りに酷くない?」

「「はあ・・・。」」

…キノコ…一体どんな名を付けた?

 

 

::::後書き::::

BA−2です。

連載第19話。…至上の問題作かも。

まあ、自分自身でもツッコミ入れたい部分が有りますからねえ…。

ま、楽しんでいただければ良いんですが。

因みに…最後の艦名は伏字です。

では!!

 

 

 

 

管理人の感想

 

 

BA-2さんからの連載投稿です!!

予想通りの戦果を上げてますね〜(笑)

しかし・・・現実でアレに出会ったら・・・恐いよな(爆笑)

アムちゃんの心に深い傷が残らない事を祈ります(苦笑)

 

ではBA-2さん、投稿有り難う御座いました!!

次の投稿を楽しみに待ってますね!!

 

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