機動戦艦ナデシコ アナザーストーリー
世紀を超えて
第20話 これで良いのか連合軍
ブラックカイザーが火星の空を舞う・・・。
研究所に戻り,先行者との戦いを終わらせたアキトは、
一路、仲間の元に戻るべく行動を開始していた。
しかし・・・、
ガクン…
「…バッテリー切れだと!?」
ズズ…ズザザザアーーーーッ
何とか軟着陸には成功したものの、最早バッテリーは予備の分しか残っていない…。
「糞…こんなときに限って。」
辺りを見まわして,アキトはマーズガンガー輸送用のトレーラーを見つけた。
戦闘中には邪魔なので逃がしたようだ。
・・・。
「テンカワさん…皆を宜しく!」
「分かった…行くぞ!」
トレーラーからバッテリーの補給を受け、アキトは戦場に向かう。
…だが、このタイムロスはいかなる結果を生み出すのだろうか…?
・・・。
一方、白鳥・月臣が率いる戦車隊。
丘の後ろに隠れ、万全の態勢で敵部隊を待ち構えていた。
だが、敵は多い…。圧倒的に不利な事は間違いが無かった…。
月臣が白鳥に通信をいれる。
「…来たぞ…多いな、全軍をあげての攻撃のようだ。」
「で、どのくらいなんだ?…弦悟郎。」
白鳥は意外と落ちついていた。
「…俺をその名で…まあ良い、戦車が50台、随伴歩兵が1000名だ。
「この間の戦闘で随分数を減らしてやったからな…。」
「こちらは30台…勝てない数字では無い。」
「こうなると問題は…。」
「…歩兵の方だな…。」
…確かに陣取っている場所が良いお陰で戦車同士のぶつかり合いなら勝ち目は有る。
だが、1000名もの歩兵を戦車砲のみで全滅させるのは難しいだろう。
二人は深い思考の海に沈み込んでいく…。
だが…、
「うをーーーい!聞こえてるかぁーーーーーッ!!」
大声が二人を現実に引き戻した!
ヤマダ大尉だ!
驚いて敵の方を見た二人だが、今度は驚愕の海に沈み込む事となる。
故ならヤマダは・・・。
ガンタンクに乗っていた・・・。
いや、それはガンタンクに失礼と言う物。
…ザクタンクに訂正。
(因みにザクタンクとは戦車のシャシーに古くなったザクの上半身を乗せた物で、
土木作業等に使われていたリサイクル製品らしい)
恐らくこちらが人型の兵器を使っているため、自分でも乗ってみたくなったのだろう。
戦車のシャシーの上にはドラム缶のようなボディが乗っかっていて、
頭部はカメラにヘルメットを乗せたような感じ。
腕部には工業用マニピュレーターを採用し、
肩?に巨大なキャノン砲を積んでいる。
…上手い例えが見つからないが、しいて言うなら・・・、
殺虫剤の缶にキャタピラと腕を付け、大砲をくっつけた感じ。
腹に毛筆で書かれた『浪漫』の文字が,この機体の全てを物語っている。
「なんだアレ?」
「さあ・・・?」
白鳥・月臣の両名の台詞にも頷けると言う物だ。
「フハハ…原子力ロボ・鉄人(てつにん)2号[式だ!」
ヤマダ…嬉しそうだな。(汗)
だが、その名は例のロボットを冒涜する物では?
「では行くぞっ!…照準合わせ…発射!」
ドコーン!
しまらない風貌はともかく、キャノンの威力は物凄い。
数台を隠れていた丘ごと爆殺したのだ!
白鳥以下戦車隊は焦る!
「…トータス小隊が全滅した!…総員一時撤収!!」
慌てて離脱態勢を取る。
が、
「ウワーーーーッ!逃げろ!!!!」
「ひいいぃぃっ…助けてーーーーッ!」
なぜか連合軍も逃げ出した。
その横では・・・。
バチバチバチ・・・。
鉄人2号[式が…ぶっ倒れていた。
キャノン砲の衝撃で後ろむきにひっくり返った所為らしい。
…背ばかり高くした為、重心が高くなった弊害である。
ん?
「フハハ…原子力ロボ・鉄人(てつにん)2号[式だ!」
あ・・・。
チュドーーーン!!!
…キノコ雲が上がった(苦笑)・・・。
・・・。
「こ、これは一体?」
アキトが駆けつけた時…周囲に戦えそうな兵器の姿は無かった…。
周囲には焼け野原が広がるばかり。
「おーい、テンカワさーーーん。」
下で白鳥、いやマーズガンガーが手を振っている。
・・・。
「で…生き残ったのは?」
「ええ、それが…。」
「…20名だ。」
焼け野原から少し(と、言っても数キロ)離れた丘の上…。
アキト・白鳥・月臣の3名は作戦会議を開いていた。
部隊の消耗は激しく、使える戦車は数台しか残っていない。
…不幸中の幸いは連合軍側も殆どの地上戦力を失ったと言う事だろう…。
だが、既に火星軌道上に待機している敵増援の事を考えると、非常にまずいと言わざるを得ない。
…そして、3人が出した結論は…。
「兎に角、帰りますか…。」
「そうだな。」」
だった。(オイオイ)
因みに第2次兄弟対決は白鳥の勝ち!(ヤマダの自爆により)
・・・。
生き残った者が基地に帰りつく。
その表情は決して明るい物ではなかった…。
当然だろう。始めて犠牲者が出たのだ。
…何か忘れている気がするが、全員例の男の顔を記憶から追いやっている。
そして、帰りついた研究所の方も,重苦しい雰囲気に包まれていた。
…敵の降伏勧告。
近づいてくる敵の旗艦…。
…そして、アキト達が司令塔に入ると敵からの通信の真っ最中だった…。
『未来の火星の指導者ムネタケ少将よ!…反乱軍に告ぐわ。命令よ…降伏しなさい。』
…いきなりコレかい。(汗)
『…ああ、私への気持ち(賄賂)も忘れないように。』
…オイオイ。
『ホーッホッホッ…私は寛大な男だから、』
…。
『私の為に馬車馬のように働くなら命だけは助けてやっても良いわ。』
待て…コラ。
『…感謝しなさい。』
出来るか!
『ああ、全てはムネタケ王国建設の為!』
…!!
『…刻限は明日10時。よい返事を待ってるわ。』
…。
『…そうそう,逆らっても無駄よ。この私の戦艦…。』
…そこに鎮座するのはヤマトモドキの宇宙戦艦…。
『ヤマトナデシコ(ヲイ)にかなう者など…』
ガチャーーーン!!
刹那…突然画面に机が投げつけられた!
アキトが…怒っている!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…
一瞬、昂気と見間違える程の闇のオーラを纏い、アキトはそこに居た…。
「…ナデシコを…汚すな…。」
うつむき加減でブツブツと呟くその姿は…はっきり言って怖い。
・・・。
「そろそろ終わりましたか…ヒッ!?」
捕まっていると言う事になっているため、今まで隠れていたアムが入ってきたが、アキトの迫力に怯える。
ズン…ズン…ズン…
そして、アキトは固まる一堂を尻目に部屋を後にしたのだった…。
・・・。
そして、五分後。
「来ます…早い!!」
ドゴォーーーン!!
「…煙突型ミサイル発射装置、大破っ!!」
「…何なのよ!一体!!」
…アキトは怒っていた…洒落にならない程。
…第3艦橋がもぎ取られる!
…主砲がひん曲げられる!
エアロックをこじ開けた後、ライフルを艦内に撃ち込む!!
艦の正面に空いた穴に蹴りを入れ、そのまま艦内をかき回す!!
更にエンジンに大岩を放り込んだ!!
…そして、とどめだと言わんばかりにブリッジに拳を叩き込んだところで攻撃は終了した。
・・・。
「…ようやく終わったみたいね…。」
すっかりアフロになったキノコが呟く。
「…全兵装、使用不可です。」
大きなたんこぶをさすりつつ、マスミが報告。
「提督、どうするんですかぁ?」
割れた風防から入ってくる風で涼みつつ、カズミが聞いた。
・・・。
そしてキノコは…。
「バカメ…と言っておやりなさい!」
ゴン!・・・バタ・・・
「…提督は敵の猛攻により名誉の負傷をなされた!」
ミスマル艦長の手には何故か鉄パイプが…。(汗)
「よって、少将の復帰まで私が司令を代行する!」
わあぁーーーーっ・・・。
何故か歓声が上がる…。
・・・。
そして、連合軍は帰っていった。
なお…戦車隊で生き残ったのはヤマダ・エドの両名だけであった…。
「…遠隔操縦にしてて良かったですね。」
「ああ、ホントは乗って戦いたかったがな…。」
…生き残った両名のコメントである…。
続く
−−−火星軌道上−−−
「勝負、ありましたわね。…あら?」
どこか妖艶な雰囲気をかもし出す美女が傍らの男に声を掛けた。
だが、男は既にそこには居なかった。
『…テンカワ・リューマ大佐だ!』
艦内放送が入る。
「あそこは…格納庫。…ああ、そう言う事。」
女は理解した…遂に動く時が来たのだ。
『先遣部隊のムネタケ少将は無謀な指揮により自軍の敗退を招いた!』
…更に軍の私物化をしていると言う報告も入っている。』
『連合軍本部は既に少将の更迭を決めた…。』
…。
『だが、見捨てても良いと言う事にはなるまい!』
そこで…ついでにここで敵に我等の実力を見せておこうと思う!』
『…俺は味方の撤収の援護を行う!』
『他の者はムネタケの息の掛かった基地を順次占拠せよ!』
『…奴の身柄はその後に確保する!』
…そこまで言って一息ついたあと、大佐は続けた。
『…君達は今までモルモットとして虐げられてきた。』
『だが、ここで結果を出せれば境遇は変わる。』
皆の奮闘を期待する!!…以上!』
・・・。
「テンカワ・リューマ。ゼニスレヴ…出るぞ!!」
…そして、降下用のパラシュートを付けた大佐の機動兵器が降下していく。
に、別な方向に降下していく機動兵器の群れも…。
しかし…この部隊…何か訳ありの様子だが・・・?
…。
その時、アキトは目の前を無様に逃げようとしている戦艦に留めを刺すべく、ライフルを構えようとしていた。
その時、自分の思いでを汚されたような気がしていたアキトに加減など望むべくも無い。
ピピ…
その時…通信が入る。
『アムです。…アキトさん、何があったんですか!?』
「君には関係無い。」
アキト、にべも無い返事。
『アキトさん…おかしいですよ?』
「…切るぞ。」
『…ま、まって下さい!軌道上から降下してくる機体が!!』
「何ッ!?」
してアキトが上を見上げると、既に敵は視認可能な距離まで近づいている。
…パラシュートを外し、身軽になって舞い降りてきた!
ブワッ…ガシャン
上手くスラスターをふかして軟着陸…かなりの腕前なのは間違い無い。
・・。
「…お前は一体?」
アキトの問いに大佐が答える。
「連合軍、テンカワ・リューマ大佐だ。初顔合わせになるな、黒帝!」
::::後書き::::
BA−2です。この連載もとうとう20話か…。
遂にアキトがご先祖と出会ってしまいました。この出会いは歴史をどう変えるのか?
更に更迭されたキノコの運命は!?(誰も気にしないだろうが)
…こんな駄文で良ければ応援宜しくお願いします!
では!!
管理人の感想
BA-2さんからの連載投稿です!!
趣味に走ってますね〜(苦笑)
それにしても、あっちのヤマトじゃなかったんだ。
う〜ん、そりゃあアキトも怒るよな(笑)
でも・・・本当に勝てると思っていたのか、キノコ?
ヤマダも暴走気味だし・・・
ではBA-2さん、投稿有り難う御座いました!!
次の投稿を楽しみに待ってますね!!
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