機動戦艦ナデシコ アナザーストーリー
世紀を超えて
第4話 似て非なる物
月の植民地の独立運動に端を発する動乱は、
独立派の生き残りが逃げ込んだ火星に連合軍が核ミサイルを打ち込んだ事によって終結した。
全滅させたと思った連合軍が引き上げた後、生き残った者達は木星に逃亡。
そこでプラントを発見し、生き延びた
…。
…これが、皆が良く知る木連の始まりである。
だが、ここに一人の男が介入した事で…歴史は修正不可能なほどに破壊されようとしていた…。
テンカワ・アキト…彼は一体いかなる行動を取るのであろう…。
・・・。
「…これだけの量があれば、暫くは大丈夫だな…。」
アキト達は廃棄シャトルの集積所の中にいた。
「でも…ここの連中随分急いで出ていったみたいだね。何もかも置きっぱなしで出て行っちゃってるんだもん。」
ナツメと名乗る女は言った。
…まだ、あどけなさの残る少女だ。
「…。俺は1度船に戻ろうと思う。」
「でも、見に行ったら瓦礫の山だったよ?」
…彼女達は落ちてきたユーチャリスを調べにここまで来ていた
…もしかしたらすでに歴史は既に書きかえられているのかもしれない…。
「使えるものはあるさ。…それに、ラピスの着替えを取りに行かないとな。」
そこにラピスから声が掛かる。
「アキト…このシャトル、直せば使えるヨ。」
「何…?」
「ええっ…ホント!?」
ラピスの見つけたシャトルは横に大穴が空いていたが、それ以外は新品同様だった。
…確かに修理は出来そうだ。
「…ラピスちゃん、キミ…お手柄だよ!」
「…。」
誉められたのが嬉しいのか、ほんの少し赤くなるラピス。
「…じゃあ、アキト!アタシはここの事とキミ達の事、皆に説明しとく!
…その間に船まで帰って忘れ物取って来といて!」
…そう言ってナツメは走り出す。
「待て…車を使え。」
…アキトが呼びとめる。
「え、良いの?キミはどうするのさ…アタシなら歩きでも往復1週間でOKなんだけど…。」
「…身体能力には自信がある。」
「ラピスちゃんは…アタシが連れていく?」
「…ここで修理をさせておく。」
連合軍は一週間も待ってくれないだろう。
…アキトはジャンプですぐ帰れるし、ラピスの危機はリンクのお陰ですぐ分かる。
なにより人見知りの激しいラピスを知らない人ばかりのところへ置いてはおけなかった…。
…で、ナツメは行ってしまった。
「アキト…。」
心配そうなラピス。
「すぐ戻るさ。…何をするにも船は必要だ。修理を手伝わせて…もしもの時はこれを奪って逃げるぞ。」
「わかった。」
アキトの言葉に頷くラピス。
「…ただ、相手の戦力が分からん。
もしもの時の為に…積荷に使えそうなものが有ったから…この時代じゃ有るはずが無い部品を外して持ってくる。
…さびしいかも知れないが…。」
「アキト…大丈夫。」
そしてアキトは跳んでいった。
・・・。
・・・・・・。
それから数十時間後…。
火星付近に展開する地球連合軍艦隊。
「…発射用意。」
艦隊司令の声が聞こえる。
…。
「…ここまでやる意味があるのでしょうか?」
一人の士官が呟く。
「中尉…。不服かね。」
司令が声を掛ける。
…だが、どこか敬意を払っているようにも見える。
「ま…しょうがないわね。艦長…中尉は実戦…始めてよね?」
「はっ、その通りであります。提督。」
…ちなみに提督はこう見えて男である。
「…いい、戦争は遊びじゃないのよ。猫がネズミを噛む事も有るわ。」
…『窮鼠猫を噛む』…と言いたいらしい。
「しかし…彼らの中には有能な技術者等も混ざっています!」
「…ふう。お嬢様には刺激が強すぎるかも知れないわね。…ミスマル中佐!」
「はっ。」
「アオイ中尉はお疲れのようだから、自室へ連れていってあげなさい。」
「…!」
「…さ、いくぞ。アオイ君。」
「ま、待ってください!提督!ムネタケ提督!!」
中尉と呼ばれた女性は頑強そうな男性仕官に連れられていった。
・・・。
「さて。…ゴミ屑どもを掃除するわよ!…うふふ。一回撃って見たかったのよね…核ミサイルって。」
「…では、行きましょうか?提督。」
まだ30半ばだろうに頭の真っ白な艦長が喋った。
「…面白みに欠けるわね。…あ、そうだ…敵に勧告してあげなさい。」
「分かりました…助かるチャンスを与えるのですな。」
「…まさか!…右往左往してるのを楽しむのよ。」
・・・。
「…降伏してきたものがいます。」
「…基地の場所は?」
「…あの、コロニーの建設現場のようです。」
「じゃ、発射。」
「は?」
「…腐ったミカンは取り除かないと。…見た目が悪いわ。」
見た目云々より、むしろ問題なのは周りを腐らす事だと思うが・・・。
「…はっ…。」
こんな会話を長年続けてきたので艦長は慣れていたりする。
・・・。
そして
ミサイルが投下された・・・。
「綺麗ね。…これで私は反乱を鎮圧した功で…晴れて元帥様ね。」
…そうと決まった訳ではない。
第一、…この男は少将だ。
・・・。
・・・・・・。
その頃、あのシャトル集積所では・・・。
「今入った情報では…三班が全滅したそうだ。」
「…困りましたね。代表を失った上に核攻撃ですか?」
「どうにもならないと思うよ。…三班は降伏するって信号を出したけど…。」
「…それでもって訳?…酷いなあ。」
到着した独立派のメンバーが、現状を分析している。はかばかしくは無い。
ラピスはその異様な雰囲気に押されてビクビクしている。
「…あ、ラピスちゃん。…おーい皆、注目!」
ナツメが皆を集めた。
「この子がさっき言ってたラピスちゃん。…もうじきアキトも来ると思う。」
紹介されたが、ラピスはシャトルの陰に隠れたまんまだ。
「ほら、怖くないよー。出ておいでー。」
技師風の男がラピスに近づく。
…その途端…ラピスは奥の方に逃げ出した。
「…嫌われたな、ヤマサキ。」
「あんな風にまくし立てたらそれは逃げますよ。」
仲間の言葉にシュンとする青年。
…だが、悪いのは彼ではない。彼の顔だ…彼はあのヤマサキに瓜二つだった。
「…嫌われちゃったか。…それにしてもすごいな、もうここまで修理するとはねえ…もう、飛べるんじゃない?」
ゴン
スパナがヤマサキの頭に当たる…ラピスだ。
「酷いよぉ。(泣)」
…どうやら、良い人のようだ。
・・・・・・。
場面はまた連合艦隊に戻る。
「…廃棄シャトルの集積所?」
「はい。そこで彼らはシャトルを修理しているようです。」
「逃がすわけには行かないわ。」
「それに、あそこで…先日処刑した独立運動のクサカベ代表…の娘が目撃されています。」
「ナツメがいるんですか?」
「…中尉。」
「…お友達の事は心配でしょうが、あの子は反乱分子なのよ。」
「しかし!」
「中佐!」
「はっ・・・。」
ズルズルズル…。
「静かになったわね。…じゃ、逃がさないうちに殲滅しなさい。」
「…はっ。(まったくこの人は…)」
・・・。
…ここは戦艦の廊下…なんだか騒がしい。
「何故ですか中佐!軍本部からの命令では全員捕らえろと…!」
「…アオイ君。方針が変わったのだよ。…どうしても降伏しないなら殲滅もやむをえんと…ね。」
「でも、先日の人達は降伏してきたんです!」
「…撃破数が多い方が勲功は大きいからね。」
「…提督に抗議して来ます!!」
…そのまま走り出す。
「駄目だ!!」
余りの大声に、辺りの人間は皆すくみ上がる。
「良いかね、アオイ中尉。…この艦隊の中では提督が法だ。
逆らったら幾ら名門アオイ家の息女とはいえただでは済まん。
…文句は地球に帰ってからだ。」
・・・。
「でも…ナツメは?」
中佐は大きくため息をつくと、
「諦めるんだ。」
そう、一言だけ言った…。
続く
−−−その頃アキトは−−−
「…これも駄目だな。…グチャグチャだ…。」
「…駄目だ!使えん…これじゃあエステじゃない…。」
チラリとサレナを見る。
「やはりコイツを…駄目だ!この化け物をこの時代に持ちこむわけには!」
アキトは運んできたエステの部品から一台組み立てている最中だった…。
::::後書き::::
BA‐2です。
ようやく本編部分に入りました。…思ったより掛かったなあ。
…100年前のオフィシャル設定って有るのかな?有ったらだれか教えてください。
オリキャラ随分出したなあ・・・。
質問があったらメール下さい。
…設定に間違いが有ったら教えていただけると有りがたいですね…って何時も言ってるな…これ。
では、よろしければ応援よろしく!
管理人の感想
BA-2さんからの連載投稿です!!
次々と明らかにされるオリキャラ・・・
しかし、誰かの先祖というパターンが多いですね〜
一番意外だったのが山崎の先祖(爆)
良い人だったんですね〜
・・・キノコはキノコみたいだけど(苦笑)
ではBA-2さん、投稿有り難う御座いました!!
次の投稿を楽しみに待ってますね!!
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