『時の流れに』アフターストーリー
受け継がれし物
木星と地球、この両者で行われた不毛な戦争は一人の英雄の活躍によって終結を迎えた。
……其の名は、テンカワ・アキト。またの名を『漆黒の戦神』…。
『大戦』終結から20年。
待つには長く…
…何かを成し遂げるには…ま、充分かな…と言える時間が流れた。
・・・。
変わらぬ事もある。
変わった事もある。
…そして…変えられた事もある…。
…。
ナデシコH…ハーリーが指揮を取るナデシコ級の戦艦である。
…まあ、最新鋭の艦と言う訳ではないが、普通の艦には見られないような、
特徴的な設備を備えた名鑑であった。
…例を挙げれば戦艦のくせに何故か『託児所』がある。
これは、アキト争奪に忙しい某同盟の方々より子供を託される事が多かった為と思われる。
…ハーリーが信頼されての事だ。
…決して押し付けられての事ではない。…多分。
…。
ナデシコH、ブリッジ。
「…本気かい!?メノウ…辰斗。」
…いきなり唖然としているハーリー。
苦労人とはこう言う人種なのだろうか?
「はい。ハリ様…つきましては詳しいデータを頂きたいのです。」
メノウが優雅にお辞儀をする。
「でもねぇ…テンカワさんの誕生日だからって…。(汗)」
冷や汗を掻くハーリー。
何だかとんでもない事に巻き込まれかけているようだ。
「…親父の誕生日のプレゼント、変わったのを用意したいんだ。」
辰斗がニイッと笑う。
…。
「…なんか嫌ーな予感がするんだよなァ…。」
そう言いながらも何やらオモイカネに指示を出すハーリー。
…やはり可愛くて仕方ない様子だ。
「はい…君らのお爺さん達。テンカワ博士の資料だよ…。」
そう言って、データを二人に送信する。
…二人は何をする気なのだろうか!?
「せつめいしま…ムギュ!」
…いきなりジャンプで現れた妹を壁に蹴りつけて黙らせる辰斗。
因みにイネスの娘で名前は『アイ』ちゃんである…。
…アキト。少しは考えろ。
「あーあ、壁にめり込んじゃって…修理が大変だなァ。」
…ハーリーも命のほうを心配してやれ。(汗)
・・・。
「では、行って参ります。」
「…すぐ帰るからな!」
そして…二人はジャンプした。
父親への最高のプレゼントを用意する為…。
…。
…シャトルが飛び立つ…二人はそれをぼおーっと眺めていた。
「なあ、メノウ…アレにユリカ母さんが乗ってんのか?」
「ええ。…らしいですね。」
「あれ、撃ち落したらどうなるかな?」
「…コウタロウ兄様が消えますね…多分。」
「じゃあ、お袋が居なくなったら俺は消えるのか?」
「…試してみます?」
「…やめとく。」
「賢明です。」
…何気に物騒な雑談を交わす美少女二人。
その横を、やる気の無さそうな少年が歩いていった。
「あれが父様ですか!?」
「…ウソだろ!?」
「…でも、親父が行ったって事は…。」
「始まりますね…急ぎましょう!」
…多少のショックを受けるものの、即座に立ち直り当初の予定を開始する。
この辺は母親の血だろうか?
…。
二人は空港に入る…。
ドゴーン!!
…爆発が起きた!
「…やばい…急がないと!」
「こんなに急だったんですね…。」
…そして、目的の人物を見つける。
テロリストに見せかけたネルガルシークレットサービスがテンカワ博士夫妻を襲っていた!
チャキ!
ピストルが二人に向けられる!!
「待ちなさい!!」
「誰だ!?…なんだガキか。」
…多少格好付けてメノウが登場。
「…で、誰なのかなお嬢ちゃんは?」
「悪党に名乗る名前など」
ズガボカドゴバッシーン!!
メノウの能書きの間にも辰斗はテキトーにSSをかたづけていく。
「…香織ちゃん…私の出番は無いんですか?」
「あ、悪い。」
…この修羅場でなんとも『まったり』とした雰囲気をかもし出す二人。
…もっとも、テンカワ夫妻は怯えているが。(笑)
とてとてとて…
スタスタスタ…
怯えるお爺さんとお婆さん(爆笑)に近づくメノウ達。
「…こんにちは。」
「よっ!爺ちゃん、婆ちゃん。」
…辰斗、いきなりNG。(汗)
「「はっ?」」
そして、いきなり爺婆扱いされ、唖然とするテンカワ夫妻。
「た…辰斗!?」
「…い、いや、ち、違うんだ…俺らは30年後から来た訳じゃなくて…。」
辰斗、NGワード二つ目。
「…ち、ちょっと待ってくれ、君達は一体!?」
おじいちゃん(笑)からの追求。
「あ、違うんです!貴方達の孫だなんて事は決して無くて!」
「おい…メノウ!!」
今度はメノウがNG。
「…孫…ねぇ。30年後にはタイムマシンでも完成してるの?」
…何故か冷静なおばあちゃん(爆笑)。
「「ぼ、ボソンジャンプの事だけは聞かないで(下さい)!!」」
メノウ・辰斗、最悪のNG。
…恐らくこれで主要なNGワードが出揃ったと思われる。(汗)
…これで、異母兄弟だと知れたらどうなるやら…。
「ほお・・・。」
「ふう・・・ん。」
…興味深そうに孫達を見るテンカワ博士夫妻。
そして、冷や汗ダラダラの孫コンビは…。
「…。(ちらっ)」
「…。(こくこく)」
…。
…ぼこっ!
…そして、大きなたんこぶを作って気絶するテンカワ博士夫妻。
誤魔化したね…二人とも・・・。
「…すいませんが眠ってて下さい。」
そして、メノウは二人の記憶を封鎖し、地球に送り届ける。
一方、辰斗は背格好の似た男女を見つけ、二人の身代わりを用意した。
・・・。
そして、元の時代へ…。
「…で、成功なのかい?」
ハーリーが尋ねる。
「はい!ハリ様!!」
「『プレゼントはおじいちゃん作戦』…大成功だぜ!(汗)」
…一部の大失態は隠し通そうとする年頃の二人。
「せつめいしましょう!…つまり、アキト父さんの次の誕生日に
お爺ちゃんと、お婆ちゃんを引き合わせて
感動の親子のご対面をさせようと言う狙いなのです!!」
…冒頭の少女、再び。
…説明好きまで遺伝せんでもいいのに…。
…。
…それでもパーティー会場に現れた二人にアキトは大変喜びましたとさ…。
めでたしめでたし。
で、終われば良かったんだけどねぇ…。
−−−後日談−−−
「…アキト…折り入って話がある。」
アキト父がアキトを呼んだのは、感動の再会の次の日だった。
「…私達が記憶を無くしていたのは知っているな?」
「ああ、聞いたけど?」
…実は二人は別々に生活していたのだ。
時が満ちるまで記憶が戻らないようにと言う、メノウの判断である。
…因みに連れてくる前日にメノウが記憶を戻したのだ。
「…あの後、記憶を無くした私は事業を起こし財を成したのだが・・・。」
「…へぇ。凄いじゃないか父さん。」
…一国の王までのし上がった男が何を言うのだろうか?
「実はな…。」
「…皆まで言うな父さん。…兄弟がいるんだろ?異母の。」
「…そうだ。」
…ま、当然そう言う事もありえるだろう。
しかし、何故解る、アキト!?
「…実はすぐそこまで連れてきている。」
「は?」
「会ってくれないか…会いたがってるんでな。」
「…はあ。」
「母さんには内密でな…。」
…当然だろう。(爆)
「窓の外から見えるはずだ…。」
「ど、どれどれ…。」
…女の子だったら同盟(妻達)が煩いだろうな…と、思いつつ窓を覗く。
!!!
「…親父ィ!!…何で…9人も!!?」
しかも美少女ばかり。
「…日本に住んでいる子はアレで全部だ…。」
「…と、言う事は…。(汗)」
「…あと、3人…全員可愛い女の子だぞ…良かったなお兄ちゃん?(汗)」
「な・・・うわあああああああっ!!!」
アキト、崩壊…!
「あ、お兄ちゃん!」
「お兄様!」
「おにいたまだぁ!」
「にいさまぁ!」
…等々。
「…は…はは・・・。」
「…因みに一人だけ私の子じゃないかもしれん。」
「…え?」
「…済まん。アキト…。」
「…はい?」
「全員戦神ファン…ひいてはブラコンだ。…重度の、な。」
「グフッ!」
…アキト、瀕死。
「後は頼んだぞ!」
バサッ!
そして、アキト父は窓からロープを下ろし脱出!
…そのまま隠していたヘリコプターで逃げ出した…。
バタム・・・
「…どうしろって言うんだ…。(滝汗)」
取りあえず窓を閉め、今後の事を危ぶむアキト。
…だが、父を責めるわけにもいかない。
だって同類だし。
「あ、アキト…居たのね。」
アキト母、いきなり登場!
「でぇえええええっ!!」
「アキト?…お話が有るんだけど。」
「あ、な、なに?母さん!?」
…声が裏返るアキト。
「これは内緒だけど…実は私の方は記憶が少し残ってたの。」
「へえ。」
「で、お父さんの行方も解らなかったし、CCの研究を続けてたのよ。」
「ええっ!?」
「…で、すぐにジャンプの装置を開発したんだけど、」
「けど?」
「私はジャンパーじゃ無かったから、装置を暴走させちゃったのよね。」
「…で?」
「着いたのは2195年…で、調べたら貴方、死んでる事になってた。」
「…ああ、あの時は多分…未だ火星のシェルターの中かも。」
「…あの時は…干渉が起こった所為で歴史が変わったと思ったの。」
「…メノウ達がなんかやったそうだね。」
「ええ、で、私は…。」
「過去を忘れる為に再婚…とか?」
「…良くわかったわね。」
「…。」
「…ま、要するに妹を一人紹介したいのよ。」
「またか…。」
「え?」
「…こっちの話。」
…で、入ってきた少女は…白のシャツにジーンズ…。
…アキトには良く似た人物に覚えがあった。
異世界逃亡メンバー中、数少ない女性。
…速水達の言葉を借りれば、彼女は恐らく同一存在!
「お兄ちゃん始めまして!メイって言います!!」
「は、はあ。」
「…この子、大の戦神マニアでねぇ。」
…。
「あの、お兄ちゃんってアキト(明人)って言うんですよね!」
「うん…まあ…ね。」
「じゃあ、二人合わせて『メイズ』って言うのはどうかな!?」
「!!!!」
「あ、今度お友達のミルちゃんも紹介するね!」
「………。(放心)」
…彼女は…何処から見ても爆裂時空な感じだった。
…元ネタが解るなら、彼女の性癖はご存知だろう(爆)。
アキトの運命やいかに!!
−−−後日談U−−−
ここはナデシコH。
「ハーリー!!!!」
「ハリ様ァッ!!!」
凄まじい勢いでハーリーの胸倉を掴む美少女二人。
「せつめいしましょう!…ハーリー叔父ちゃんの口座から、女の人当てに毎月かなりの額が振り込まれているのです!」
「しかも!…オモイカネまでグルで隠し通そうとしてたんです!!」
「更に!!特定多数なのでーす!」
「ついでに言えば、お母さんの『説明』は漢字。アイのは…ひらがななんで、区別できます。」
「…アイちゃん。イネスさん譲りの説明どうも…。」
「ハリ様ぁ!そんな事よりどう言う訳です!!」
「おお!まるで家族への仕送りみたいな額じゃないか!!」
「あははははははははは」
「「誤魔化すなァ!!」」
ぴぴ・・・
「せつめいしますと、これは叔父ちゃん専用の極秘回線の呼び出し。」
「…何で知ってるんだよ!そんな事!!」
がちゃ!!
即座に取るメノウ・香織コンビ。
「こんにちは、叔父様。」
…美少女が画面に映る。二人の怒りゲージが上昇。
「何時も仕送り有難う御座います。」
怒りゲージ上昇中…。
「…お元気ですか?今度遊びに来て下さい。」
…ぶち切れ寸前。
これが、受信オンリーで無かったら既に物騒な台詞が飛び出している頃だ。
「母も喜ぶと思います。」
ピシ…
何かが切れかかる音がする…危険な兆候だ。
「それはそうと、今度、父との会見をセッティングして頂けませんか?」
…?
「アキト父さんに、一度で良いから会いたいんです。」
途端に消滅する怒りゲージ。
但しアキトの娘3人は既に画面に釘付け。
「それと、たまには母さんに連絡いれる様に言っておいてくださいね。」
「…あんまり放って置くと何するか解りませんから。」
シーン・・・。
…先ほどとは違う意味で緊迫した空気が…。
「せ、せつめいしましょお…あの人はどう見てもコウタロウお兄ちゃん…つまり家の長男より年上です…17から19くらい?」
「…俺達兄弟より年上の可能性が有ると言う事だな、アイ。」
「父様が…浮気…嘘です…。」
重い…空気が重い!
「…でもまあ、きちんと仕送りしてくれるだけましか…。」
「…兎に角今月もキチンと届きました。有難う御座います!」
「以上、成瀬川でした!」
…。
「…何処かで聞いたような苗字ですね…。」
「ああ、親父の潜伏時代だ。」
「…こればかりはせつめい不可能だよぉ…。く・や・し・いー!」
…。
「…では、ハーリー叔父ちゃん、『せつめい』宜しく。」
…僕に振らないでくれと言うオーラが出まくりのハーリーだが許してくれそうも無い。
仕方なく説明するハーリー。
「…つまり…ひなた荘潜伏時代の…。」
「お袋達には黙ってろ…か。ま、当然だな。」
「…まだ上にお姉ちゃんが何人も居たなんてぇ…不覚です。」
「…良いね。これがばれたらアキトさんは多分…。」
「「「多分?」」」
「明日の日の目を見れないから…ね。」
「「「…。(こくこく)」」」
滝のような冷や汗を流す少女達。
母達の怖さは誰よりも解っている。(つもり)
要はアキトの代りにハーリーが仕送りの代行をしていたのだ。
…アキト自身が送るとばれるから。
…因みにこのネタはハーリーの最後の命綱でもある。
::::後書き::::
BA−2です!
今回は長い!…本当に…。
…まあ、書きたい事を修飾していった為なんですがね。
…読みづらそうだな…。
…まあ、こんなのでも喜んでいただければ幸いです!
では!
BA-2さんからの投稿です!!
ハーリー・・・相変わらず便利に使われてるな〜
それにしても、アキトも懲りないと言うか、何と言うか(苦笑)
でも、アキトが異次元に逃げ出したのは何時からなんでしょうね?
それがちょっと気掛かり(笑)
・・・結局、親父も同類なわけね(爆)
あ、BA-2さん逃亡シリーズ一本書いていいですか?
ちょっとアイデアが浮かんだんので。
ではBA-2さん、投稿有り難う御座いました!!
次の投稿を楽しみに待ってますね!!
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