『時の流れに』アフターストーリー

それもまた平穏な日々

 

 

 

 

木星と地球、この両者で行われた不毛な戦争は一人の英雄の活躍によって終結を迎えた。      

 

 

…其の名は、テンカワ・アキト。またの名を『漆黒の戦神』…。  

あの戦いから20年、世界は基本的に平和だった・・・。

(この話しは『ハーリー列伝』の続きです)  

 

・・・。  

 

現在、連合軍最強にして唯一の実働兵力といわれる一隻の戦艦がある。  

その名はナデシコ。

 

ナデシコH  

 

その名の通りのナデシコ級の最新鋭艦である。  

艦長はマキビ・ハリ中将  

ワンマンオペレーション艦であり、その為かその他のクルーは数えるほどしか居ない。  

 

現在、ピースランドに向けて航海中の船内。ハーリーは自室で眠っていた。  

 

・・・ダダダダダダダダダダッ  

 

…ドゴッ!  

 

「起きろ!ハーリー!!」  

 

ドアを蹴破り部屋に飛び込んでくる人影。

…辰斗だ。  

 

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〇天川 香織(辰斗)  

アキトと北斗(厳密に言うと枝織)の間に生まれた女の子。

普段は『辰斗』を名乗り男として暮らしている。

…但し、これはただ単に不器用なだけで、母の片割れのように『精神的には男』では無い。

・・・イメージ的にはリョーコのような人物である。

何故かハーリーに惚れている。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−  

 

辰斗はずかずかとハーリーの寝ている布団に近づくとハーリーの頭を金槌で叩いた。

…それも全力で。  

 

「ハーリー、朝だぞ。」  

 

…普通、金槌で叩かれたら気絶すると思うが・・・。  

辰斗の手には砕かれた金槌が・・・。  

 

「起きないか?」  

 

そう言うとハーリーの上に馬乗りとなりボコスカ殴る。

…手からは朱金の昂気が舞い上がっていたりするが・・・。  

 

・・・。  

 

「なんだよ・・・。もう朝?」  

 

ハーリー覚醒。

・・・不死身度が上がっている…。  

 

「当たり前だ…飯は出来てる。」  

 

…どうやら料理は出来るようだ。  

 

「じゃ、起きるかなァアアアあっ?」  

 

ハーリー叫ぶ。

…何故なら自分の横に少女が一人寝息を立てていたからだ。  

 

「くー、くー。……ん・・・あ、ハリ様。おはよう御座います…。」  

 

騒ぎで起き出した少女はメノウ。オペレーターである。

 

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〇メノウ・T・ピースランド  

アキトとルリの間に出来た少女。

気に入ったものに対して抱き着いてしまう癖がある。

…が、アキト譲りなのか力が異常に強く、抱きついたものを壊してしまう。(無意識に昂気使用)

小さい頃、『親善大使の白熊』に抱きついた際、殺してしまう。

死因は…圧迫による内臓破裂であった。(ヲイ)

これにより、周りの者が近寄らなくなったため寂しい思いをしていた所、ルリからハーリーを紹介される。

…以後、何しても死なないハーリーが気に入り、側に居るうちに惚れ込んでしまった。

ルリは二人の仲を認めている。

…と、言うかそうなるのを希望している。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−  

 

「何故、お前がそこに居る?(激怒)」  

 

辰斗が一睨みで百人は殺せそうな眼光でメノウを睨む。  

 

「ハリ様がつれ込んだんじゃ無いんですか?」  

 

いきなり爆弾発言。  

 

「知らないよ−−!」  

 

ハーリー絶叫!・・・まあ、そりゃそうだろうが。  

 

『映像スタート』  

 

オモイカネが突然現れ、何かを映し出した・・・。  

 

・・・。  

 

数時間前・・・船内をパジャマ姿で枕を持って移動中のメノウ。目が虚ろだ。  

 

「寝苦しいです・・・。困りました。」  

 

とてとてと歩いていたが、ハーリーの部屋の前までくると暫く停止。

その後何かを持ってハーリーの部屋に侵入した。  

ベッドの前まで来る。

…突然ハーリーを掴むと風呂場に持ち込んだ!

…持ち込んだのだ、連れ込んだんじゃなくて・・・。(冷や汗)  

そうして持ってきた荷物から大量のドライアイスを風呂桶に満たすと、おもむろにハーリーを投げ込んだ!  

…それでも寝ているハーリー。

…死んでるのかもしれないが。  

数分置きにドライアイスを補給しながら、ハーリーが良い具合に冷えたのを確認し、取り出すとベッドに置く。

(置くって…)  

そのまま自分もベッドにもぐり込むとハーリーを抱き枕にして眠りに落ちる。  

 

「冷たくて良い感じです。…愛しいハリ様…オヤスミナサイ…くー。」  

 

冷凍マグロ状態のハーリーに抱き着いてメノウが眠る・・・。  

 

このシーンでVTRは終了した。  

 

・・・。  

 

唖然とするハーリー。  

 

「つ、ついさっきまで冷凍されてたの?」  

『それでも寝返りは打ってたけどね』  

「ハーリー、化けもん。」  

 

・・・。  

 

「え…と、寝ぼけてたみたいですね…。(苦笑)」  

 

そう言うメノウに対し、辰斗は  

 

ズガッ  

 

飛び蹴りで答えた・・・。  

 

「さ、こいつはほおって置いて飯にしようぜ。」  

 

床にめり込んで停止しているメノウを無視しつつハーリーを食堂に誘う辰斗。  

・・・そこには結構な料理が並んでいた。  

 

「流石はテンカワさんの娘だな・・・。」  

「…言っとくけど俺はキョーダイの中でも料理が上手い方なんだぞ。」  

 

…中には母親の特性を継いでしまった子も居ると言う事だ。  

 

「じゃ、食べようか。」  

 

と、いって席につくハーリー。

 

・・・だが、  

 

グルグルグルグル・・・。  

 

何故かロープで縛り上げられる。  

 

「オイ!」  

「…こないだ見た漫画でやってたのを試してみたいんだ♪」  

 

そう言うや否や香織は箸を掴むと料理に手を出した。  

 

「…んー我ながら良い出来だ!」  

 

そう言いながらパク付いていく。   (・・・おあずけ?)

 

ガーン・・・と擬音を上げるハーリーを尻目に香織は全部平らげてしまった。  

 

・・・。  

 

・・・。(しばし硬直)  

 

「アアアアアア−−−−−−−−−−!」  

 

露骨にしまったと言う顔をした後、香織は何か考えていたようだが、

スッと立ちあがると何かをハーリーの前に置いた。  (ドッグフード!?)  

香織はそれを箸で一粒掴むと  

 

「ほ、ほらハーリー・・・あーん。」

 

・・・これで素直に喜べる男はそうそう居ないだろう。

・・・例え相手が大真面目だったとしても・・・。  

 

「冗談じゃない!(怒)」  

 

怒るハーリー。  

 

「う・・・。」  

「僕を馬鹿にしてるだろ!」  

 

・・・。  

 

「う、グス・・・ふぇーーーん」  

 

泣き出す香織ちゃん。・・・可哀想に。  

 

「嘘泣きしても分かるよ(ため息)」  

「チッ、…ばれてた?」  

「伊達や酔狂で赤ん坊の頃から面倒押しつけられて来た訳じゃない。」  

 

押しつけられって・・・オイ。  

「北斗さんも『親は無くとも子は育つ』なんて言っちゃってさ、幾らなんでも赤ん坊には無理なのに…

 普通、生後1週間の赤ちゃんを放置しておくか?」  

 

なんかその場面が容易に想像できるんですが・・・。(ゾゾッ)  

 

・・・。  

 

「そこまで言うか・・・なら、最終作戦を決行する。」  

 

香織はそう言い放つといきなりドッグフードを口に入れる。  

 

「な、何を?」  

 

ムチュ・・・。  

 

「!!!!!!!!!!!!!!!」  

 

口移しですか!

・・・これなら例えドッグフードでも美味しく食べられる・・・ってそれはまずいだろ(別な意味で)それは!  

 

・・・。  

 

「…う、美味かったか?(真っ赤)」  

 

真っ赤な顔でコクコクと首を縦に振るハーリー。・・・ま、当然だろう。  

 

が、  

 

ムンズ・・・。  

 

ハーリーの首根っこが掴まれる。  

 

「…ハリ様ァッ・・・!!!!!!!!(涙目での超絶大激怒スペシャル)」  

 

メノウだ!・・・来て見ていきなりコレじゃあ怒るだろう、普通。  

ボロボロ涙をこぼしながら青筋を浮かべ、歩いてくる、その目は虚ろで焦点が合わない。

その上・・・扉が真っ二つに折れ曲がっている!      

 

グワーーーン!バギィ!!!グィオーーーン!!      

 

ハーリーをそのまま降りまわす・・・部屋のあちこちに大穴が空く…宇宙戦艦の壁を良くもまあこんなに・・・って位。  

・・・君、ホントにお姫様?  

そのままハーリーは光と共に消え去る。  

 

「ハリ様のォ・・・うわきものぉぉぉぉぉぉおおおお!!!!」  

 

そう叫び、メノウはオモイカネに向かい命令する!  

 

「相転移エンジン!出力最大!・・・爆発するまで動かしなさい!」  

 

完全にイってしまっているメノウには何を言っても無駄だとわかっている為、オモイカネは命令に従う事にした・・・。

 

ヴヴヴヴヴヴヴヴヴ・・・・・・・・・・・・・!!  

 

唸るエンジン!  

 

「・・・お、俺、爺ちゃんと組手(一方的な撲殺)してくる・・・。」  

 

・・・ジャンプして逃げ出す辰斗。  

 

・・・。  

 

「ハリ様!まだ反省なさらないのですか!」  

 

相転移エンジンに向かい奇声をあげるメノウ・・・。  

 

「時間をあげます。さあ・・・。・・・謝る気も無いんですか!?(殺)」  

 

数秒しか経過してない!!  

 

「酷いです!非道いです!!!」  

 

騒ぎ立てるメノウ。  

そのまま、ハーリーを前方の宇宙空間にジャンプさせるメノウ。  

そして宇宙空間を生身でさ迷うハーリー・・・。  

 

「相転移砲・・・発射。」  

 

キレ過ぎたのか、かえって静かに命を下す。  

 

『り、了解。・・・艦長、長い間お疲れ様です。・・・安らかに・・・。』  

 

そして、相転移砲が発射された・・・。      

 

・・・。      

 

「・・・あ、・・・あ、ああ・・・ハリ様?」  

「・・・。」  

「・・・い・・・嫌アアアアァァァァァァァアアアアアアアア!!」  

 

正気に戻り、自分のした事に絶望するメノウ。  

 

が、  

 

ブシュウ・・・。  

 

「ぷはあ・・・酷い目に会ったなあ。」  

 

ハーリー帰還。・・・エアロックから。  

 

「は、ハリ様?」  

「まったく、メノウ…相転移エンジンに人を投げ込んじゃ駄目じゃないか。・・・僕じゃなかったら死んでたよ。」  

「・・・は・・・はい、ゴメンナサイ。ハリ様・・・。」  

「それと、相転移砲の無断発射!

 ・・・火星の後継者・・・南雲さんの反乱艦隊を巻き添えで叩けたから良かったけど、

 今度から勝手に使っちゃ駄目だからね。・・・あー目がしみる。」  

 

それだけ言うとハーリーは歩いていってしまった・・・。  

 

「あんな酷い事されても怒らない・・・。さすがはハリ様です。(ポッ)」  

 

…メノウはそう言い、無理をさせた相転移エンジンのチェックに向かった。  

 

・・・。  

 

艦内を歩くハーリーにオモイカネが話しかける。  

 

『・・・しかし、ハーリー艦長。・・・化け物?』  

「ふふ、慣れだよ慣れ。」  

 

・・・何時もこんな風だけど・・・それでも・・・それもまた平穏な日々。  

 

−−−一方−−−  

 

ここはピースランド謁見の間。  

 

「アカツキ、久しぶりだな。」  

「テンカワ君。やつれたねえ。」  

 

何とアキトの体重は40kgまで減っていた・・・。  

 

「はい、お土産。良く効くシップだよ・・・。」  

 

持病はギックリ腰。(慢性)  

 

「あの頃が懐かしくすら思える・・・。」  

 

・・・。  

 

「過酷なスケジュールだよねえ。・・・僕より酷いや。」  

 

スケジュールには分刻みのスケジュールが刻まれている・・・。

…一時間後には日本へ…いや先ずはユリカ・・・次はメグミ・・・。  

 

「・・・寝る時間が書いてないけど?」  

「移動中・・・ブローディアの中。」  

「・・・!(真っ青)」  

 

・・・かっちっ、こっちっ・・・。  

 

時計の音だけが響く室内に突然足音が響いた!  

 

「アカツキ会長!」  

「如何した!」  

「レインお嬢様が、5階から飛び降り自殺を!」  

 

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

〇レイン・アカツキ  

アカツキとアクアの子(ヲイ)

・・・クリムゾンの併合時に条件として政略結婚。

夫婦仲は余り宜しくない(アカツキが寄りつかない)が、関係は円満。

アクア曰く「ああ、政略結婚と冷たい夫…悲劇的だわ。」

…悲劇のヒロイン的にはこれで良かったらしい・・・。

因みにレインには無意味に自殺を図る悪癖がある・・・。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−  

 

「いつもの事だ、ほおって置け。」  

「はい!」  

 

・・・。  

 

「苦労してるな・・・アカツキ。」  

「お互いに…ね。」  

 

・・・彼等の前途に幸あれ!  

 

::::後書き::::  

BA−2です。

どうでしょうか?20年後のハーリー達の日常は(これがか?)

・・・BA−2の思い描くのはこんな感じです。

では、宜しければ応援宜しくお願いします!

 

 

管理人の感想

 

 

BA-2さんからの投稿です!!

ハーリーにはもしかすると物理法則が適応されないのかもしれませんね。

もはや人じゃないでしょ、人じゃ(笑)

きっと本体が別次元にあって、身体は瞬時に復元可能なんだ。

もしくはATFを張れるとか?(苦笑)

それにしても、どうしてドッグフードなんだろう?

 

ではBA-2さん、投稿有り難う御座いました!!

次の投稿を楽しみに待ってますね!!

 

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