『時の流れに』アフターストーリー

彼が不死身な理由(前編)

 

 

 

 

 

 

木星と地球、この両者で行われた不毛な戦争は一人の英雄の活躍によって終結を迎えた。

 

 

……其の名は、テンカワ・アキト。またの名を『漆黒の戦神』…。

 

後に木連戦争や火星大戦の名で呼ばれる事となる動乱は過ぎ去りし日の事となり、既に3年ほどの時が流れていた。

 

・・・。

 

マキビ家、応接間

 

「ハーリー君、元気そうで何よりです。」

 

ルリちゃんだ。

 

「は、はい!ルリさんもお元気そうで。…お忙しいでしょうによく来てくれました!!」

 

突然の来訪に緊張しまくりのハーリー。

 

ルリは現在ピースランド王家の人間としての帝王学を学ぶ傍ら、

連合軍での仕事も続けるというハードスケジュールをこなしている。

 

…そんな多忙な彼女が突然ハーリーの前に現れた。

 

何故だろうか。

 

「それにしても、ルリさん。何のご用ですか?」

 

ハーリーも怪訝そうだ。

 

「はい。ハーリー君にお願いが有るんです。」

 

心なしか頬を赤く染めながら切り出すルリ。

 

「は…はい!!何なりと!!!!」

 

瞬時に答えるハーリー…下心は全開だ。

 

 

・・・。

 

 

少しばかり迷ったような、困ったようなそぶりを見せた後、ルリはとんでもない事を口にした。

 

「ハーリー君。旅行に行く気は有りませんか?」

 

「…はい?」

 

「ええ、私も一緒のシャトルに乗りますし。」

 

「ええっ!?」

 

「ちょっと訳有りで、暫くアキトさんから離れないといけないんです。」

 

「…。(チャ−−ンス!!)」

 

「急な話で申し訳ないですけど明日、出発です。」

 

「…本当に急ですね。」

 

「…それと、今晩は泊めて下さい。明日は早いんで。」

 

「それはもう願っても無い!

 

「ハーリー君?」

 

「…いえ、何でも無いです。」

 

…かくして、ハーリーはルリと旅行に行くこととなった。

 

(それにしても、急に何故だろう?)

 

ハーリーの自問自答。

 

(…テンカワさんがまた浮気でもしたかな?)

 

(うん、そうに違いない。)

 

(…て、事はルリさんも腹いせに浮気でもするつもりか?)

 

…!!衝撃が走る!!。

 

(ま、まさか相手は僕!?

 

(…こう言うのは誰でも良いってのが相場だから…可能性は有るよね?)

 

…激しく違う上に、何処と無く卑屈な論理を展開するハーリー。

 

(よーし!…頑張るぞ!!

 

…何を?というツッコミも無視して、自分の世界を突っ走る。

 

 

・・・。

 

 

そして…運命の朝を迎えた。

 

…ここはシャトルの中。

 

「ハーリー君、すいません。…こんな事に付き合せてしまって。」

 

心底申し訳なさそうにルリが謝ってきた。

 

「いえ、良いんです。」

 

心底嬉しそうにハーリーが応じる。

 

「この埋め合わせは必ずしますから。」

 

だが…ルリの表情は晴れない。

 

「大丈夫ですよ。ルリさんの為なら、例え火の中水の中ってね。」

 

ハーリーがそう言う。

 

「有難う。ハーリー君…。」

 

そう言うと、ルリは席を立ち、化粧室に向かった。

 

「…今日のルリさんは何故かしおらしいな?…嬉しいけど。」

 

そんな感じで上機嫌なハーリー。

 

だが・・・。

 

「あれ?」

 

ハーリーが窓から外を眺めていると、突然パラシュートが降下して行った。

 

「…ルリさん?」

 

ルリは心底申し訳なさそうに、

 

ペコリ

 

とお辞儀をするとそのまま降りていった。

 

ハーリー、放心。

 

「な、何なんだよ?これは…。」

 

憮然とした。

 

ぽむ

 

突然、肩に手が置かれる。

 

後ろを振り向くと…。

 

・・・爬虫類のような男が居た。

 

「…人形は感づいて逃げ出したか。」

 

(はいぃぃ?)

 

「まあ、これでも居ないよりはマシか。

 

(ほ…北辰!?)

 

「我等の大儀の為…。」

 

「共に来てもらうぞ、マキビ・ハリ!」

 

「えぇっ!!?」

 

・・・。

 

網笠が近づいてきた。

 

「連れていけ。」

 

北辰はそう言うと、行ってしまった。

 

ハーリーは網笠に抱えられて連れて行かれる…。

 

「…同情する。」

 

そんな網笠の言葉と共に。

 

「ルリさん!!怨みますよぉぉぉぉっ!!」

 

この日、ハーリーは始めてルリを怨んだ。

 

・・・。

 

時が流れた・・・。

 

ハーリーは自分がアキトの身代わりになった事を理解した上で、ゴートやプロスペクタ−の救出を待っていた。

 

・・・半年・・・1年・・・。

 

誰も来やしない!!

 

…その頃、ルリは?

 

「ねえ、ルリ…。」

 

ラピスがルリに話しかける。

 

「如何しました、ラピス。」

 

「…最近、ハーリー見ないね。」

 

「ええ、如何したんでしょうか。」

 

…何か大切な事忘れてるような気がしながらも、ルリはそう答えていた。

 

「ヤマダだけじゃあ遊び足りないよぉ。

 

「…ゴートさんでも使ったらどうです?」

 

「あ、そうだね。(笑)」

 

忘れ去られるハーリー。…ネルガルにも忘れられている事だろう。

 

…彼の苦難はまだ終わらない。

 

・・・後編に続く・・・

 

 

::::後書き::::

BA−2です。今回は趣向を変えて、前後編にしてみます。

歴史の修正力に敢然と挑むルリちゃんの話のはずだったんですが、何故かハーリー受難物になってしまいました…。

後編では、強化型ハーリーダッシュを披露するつもりです。

…こんな駄文ですが、どうか応援よろしく。

では!

 

 

 

管理人の感想

 

 

BA-2さんからの投稿です!!

・・・まあ、今のアキトを北辰が誘拐できるかどうかは別にして(苦笑)

見事に罠に飛び込んでるな〜、ハーリー君。

まあ、あそこまで誤解をしてたのなら、彼が断るはずもないか(笑)

それにしても、そのまま山崎ラボに直行か・・・

次回、どんな苦難が彼に襲い掛かるのでしょうか?

 

ではBA-2さん、投稿有り難う御座いました!!

次の投稿を楽しみに待ってますね!!

 

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