機動戦艦ナデシコ アナザーストーリー
世紀を超えて
第52話 決着…そして
…天高く昇った太陽の下、対峙する者達…。
敵は一体。…だが、その存在感はただ事では無い…。(爆)
「どうした?…来んのか…。」
…聖教団教主ホーリ−様…。
既に教団は壊滅状態、だが、その戦意は止まる所を知らない。
…だが、壊滅させたのは他ならぬ彼自身であるが…。
…。
「なら…行くぞぉっ!!」
アキトはあえて挑発に乗った!
…ナイトメアが敵に突っ込んでいく!!
…ガギギギギギギギッ!!
ナイトメアの両腕に仕込まれたチェーンソーがせり出し、
先行者の中華ドリルと、激しくぶつかって火花を散らす!!
「ぬぅぅぅぅうううっ!!」
「グ…おおおおおおっ!!」
…ガキン!!
中華ドリルの刃が使い物にならなくなるのと、チェーンソーが折れるのはほぼ同時だった!
…だが、アキトは両腕の近接武器を失い、先行者の片腕にはビームサーベルが残っている!
「未熟者がぁっ!!」
「なんのぉぉぉっ!!」
…振り下ろされるビームサーベル!!
…ズシャッ!!
だが、アキトはあえて片腕を切られる事により、直撃を回避する!!
「このっ!!」
バギッ!!
…アキトは残った腕で打撃を敢行!…先行者の顔が、三分の一程べこっとへこむ!
が…、
「…猿より愚かなっ!!」
「…ナニッ!?」
…バラタタタタタタ!!
先行者の股間に存在する中華ガトリングが火を吹いた!!
なお、ガトリングの中央に中華キャノンがある。
「うわぁぁぁぁっ!!」
「むう!…先行者の目はキャノンの先と足の脛だ!!」
ナイトメアは腹の部分にガトリングをまともに受け、吹っ飛ばされる!!
…しかし…そう言えば確かに先行者って…顔になんの機能も無い…。(気がする)
…。
敵は強い…理不尽に。
…だが、そんな事でへこたれるアキトでは無い!
…諦めの悪さには定評があるのだ!!(劇場版)
「うおおおおおっ!!」
バタタタタタタタッ!!
アキトのラピッドライフル…ゼロ距離射撃!!
敵のマントを構成する装甲タイルが数枚割れ、弾け飛ぶ!!
「どうだ!!」
「貴様はコレの意味が分かっていない様だな?」
バシッ!!
…間髪入れずの中華チョップで、再度弾き飛ばされるナイトメア!!
…そのまま地面に倒れ込む!!
敵は…まるで、先ほどのダメージを負っていないように見える…!
「うわっ!!」
「元々装甲タイルとは…割れる事により、内部にダメージが及ぶのを避ける物…。」
…タイルが割れた際に衝撃を吸収する。故に内部までダメージは無い…。
…つまり、元から破壊されることを前提とした装備なのだ。
「トドメだ!!」
「…させるかぁーっ!!」
倒れるナイトメア…振り下ろされるビームサーベル!!
だが、その時アキトは…サーベルを持つ、その手を蹴り上げた!!
…ガキィィィン!!
ビームサーベル…その柄が弾き飛ばされる!
…敵の注意が一瞬それた!
「今だっ!!」
…そしてアキトは大空に飛びあがり、戦闘機形態に変形する!!
「…頼んだぞっ!!」
…。
「了解…アキトっ!!」
…その時、その周囲を取り囲んで居たラティフォリウム率いる部隊が、一斉に砲撃体制に入る!
「いきます…砲撃体制に移行…。」
「マスミお姉ちゃん…後は私がやるカラ…そっちは照準ヲ…。」
…ガシャ…ン!!
砲撃主体の戦闘に対応する為、ラティフォリウムは足を太くしてある。
(リモニウムはエステと同様)
…太くした足にはローラーダッシュや予備弾倉がつまっているのだが…
今回は更にそこから固定用のパイルが突き出してきた!!
「…敵…ロックオン完了!!」
「…ミサイルも…準備完了だヨ。」
…。
「…一斉掃射…開始!!」
「所属全機…砲撃を開始しテ!!」
…ドドドドドドドドドドォッ!!
…それは正に鋼鉄の驟雨!
大気を轟かせ、地を揺るがす大音響の中…ありったけの砲弾を撃ち続ける!!
…。
爆音が数分間も続いただろうか?
…全軍、弾を使い果たし…敵の居た場所は既にクレーターとなって居た…。
周囲には濃い煙が立ち込めている…。
「やったの?」
「お姉ちゃん…終わったネ?」
…。
わぁぁぁああああっ!!
…歓声が上がる!
戦いが終わった…そう、連合軍は勝利した…。
…その時…それを疑う物は居なかった…。
だが…。
「駄目だ…!…気を抜くな…敵は!!」
…ビーム・ビーム・ビーム!!
…チュドーーーン!!
「…アキト?」
「あ、アキト…何処行ったノ!?」
…突然、爆心地から放たれたビーム!
それはナイトメアに直撃し、周囲には機体の残骸がふりかかる!!
「…!!」
スタッ!!
ナイトメアがその場に着地した!!
…元々、ナイトメアの戦闘機部分は追加装甲のような物。
装甲解除で中身だけ助かるのも、アキトのお家芸である…。
「しかし…アイツは…まだ…動いてやがる…!」
…そのアキトの言葉通り…先行者は動いて居た!
…ユラリと炎の中から歩み出る!!
既に装甲タイルのマントは無く、通常の先行者に戻っている。
…そして中華ガトリングも失われて居た…。
更に…顔から鼻が取れ(糊付けらしき跡は残っている)てはいるが、それは戦闘に支障無さそうだ…。
だが…熱で溶けた塗装が、まるで涙の様に頬を伝っている所を見ると…やっぱり嫌なのかも知れない。
…相変わらず無表情だが…。(汗)
…。
「…嘘っ…あれだけの火力を投入したのよ…。」
「ダメージは受けてル…叩くなら今しかナイ…。」
…そのラピスの台詞を受け、マスミは突撃を敢行する!!
「残弾を残らず…全弾発射!!」
「…全弾撃ち終わった兵装から、順に排除するヨ!」
…残った砲弾とミサイルを撃ちつづけ、弾幕を張りながら…敵に肉迫するラティフォリウム!
…撃ち終えたキャノン砲・ミサイルランチャーは捨て、身軽になって突き進む!!
「行きます!」
「むう!…女子供は引っ込んでいてもらおう!!」
グワッ!!
中華ドリルが唸りを挙げる!!…いくら刃こぼれしているとはいえ…その威力は絶大だ!
「くっ!!」
「むううう!?」
…ガギィ!!
…リモニウムタイプ特有の、サレナ型ショルダーアーマーが、中華ドリルを見事に防いだ!!
刃がこぼれているとは言え…その防御力は一体!?
「こ、これは!?」
「…片方だけ…肩を分厚いシールドにしておいたノ…。」
「逆側は弾倉だから…もし当たったのがそっちだったら…危なかったけどね…。」
…。
「マスミお姉ちゃん…反撃!」
「解っていますよ…格闘体勢に移行!!」
…ガチャン!!
アルストロメリアのようなアイアンクローが、片腕に装着される!!
…因みにこれで、重量のバランスを取っている様だ…。
「ハァッ!!」
「む!!」
…そして…アイアンクローが敵の背中から生えてきた!!…そう、先行者の体を貫いたのだ!!
だが…しかし!!
「…嘘…。」
「むう…神の加護か…。」
…先行者は、元々軽量、高機動…かつ軽装甲の機体。その為か、ボディには空洞が目立つ。
…そう、あろう事か…東京タワーのような体の…
…何も無い部分を…突いてしまって居たのだ…!!
…。
「…悪運尽きたか…。」
「くっ…一時退避!!」
「させん!」
…ガチィィン!
中華チョップで僅かに弾き飛ばされるラティフォリウム!
「大丈夫…ダメ−ジは軽微ダヨ!」
「…むうううううっ!…甘い甘い!!」
…ガチィィン!…ガチィィン!…ガチィィン!
…連続で放たれる中華チョップ!
それに翻弄され、空中に浮かされたまま…身動きが取れない!!
「ハメ攻撃!?」
「…ダメージが蓄積…このままじゃ危ナイ…。」
…その時…アキトのナイトメアが飛び込んできた!!
…ガチィィィィィン!!
…敵の最終攻撃…中華キャノン…。
それを潰すべく、アキトは機会を窺って居た!!
そして…一瞬のチャンスを逃さず
…飛び蹴りでキャノンを潰す!!
「「「うぁぁぁぁぁ…。」」」
…悶絶する男性陣!(アキト・作者をも含む!!)
…先行者はいち早く回復するも、既にラティフォリウムは射程外に離脱していた…!!
「むう!…なかなかやるな。」
「もうペースは握らせない!…行くぞ…!」
…そして、取っ組み合いになる2機!!
攻防せめぎあいながら、格闘戦を続ける!!
「うおおおっ!!」
「…そこだっ!!」
…ガチィィン!
…バシィィッ!
…片腕のないナイトメアと、チョップ以外の攻撃を封じられた先行者…。
両者共に決め手の無いまま、時だけが過ぎていく…。
…。
そして…1時間近く戦いが続いた時…戦場が動いた!!
「おお!…助けに来たぜぇ!!」
…ヤマダが増援として登場!!
しかも…乗機は…以前火星で動かして居たリモコン・キンチョール戦車!!
『鉄人(てつにん)2号[式』…満を持して再登場!!
…あいかわらず、腹には『浪漫』の二文字!!
何の役にも立たないマニピュレータも健在だ!
しかも…重心が狂っているのが直っていない!!
…。
…それを見たとき…アキトにある案が閃く!!
…善悪まで考える余裕は無かったが…!
「コイツは…俺が抑えておく…ガイ!…ゼロ距離射撃だ!!」
「名前が違う!…でも、なんかカッコイイシチュエーションじゃねぇか!!」
…キュラキュラキュラ…
肉迫する、不恰好な戦車に気づくホーリ−様。
だが、敵は…既に目の前まで迫って居た…。
「む…?」
「おうおう!…何もんか知らないが…コレで終わりだ!!」
…そして…ヤマダの指が発射ボタンに掛かったその時!
「ガイ!…行くぞ!!」
「どわぁぁああっ!!」
ガシッ…ドォッ……ゴガッ!!
突然、アキトはヤマダをコクピットから掴み出すと、バーニア全開で飛び去っていく!!
…見ると、既にラティフォリウム以下、連合軍は誰も居なくなっていた!
「なんだ…?」
…ぐらっ
その時…飛び去る際のアキトに蹴飛ばされた鉄人2号[式がグラリとゆらぎ…。
…ドシィィー−ーン!!
…転んで…。
ドゴォォォオオオオン!!
…原子炉…大爆発!!
そして…クレの空に小さなキノコ曇が上がった…!!
…。
「…やっちまったな…。」
「ああ、でも仕方ねぇさ。」
「大尉が悪い事など一つもありません。」
「そう…アキトは頑張ったヨ?」
…廃墟と化したクレの街…。
市民が自主的に非難を始めていた所為か、まき込まれた犠牲者が出なかったのが唯一の救い…。
だが…アキトは自分を責めて居た…。
(これで…この街は暫く使い物にならないだろうな…。)
…第一、結果的に自分は核を使ってしまった…。それがアキトの心を苛む…。
そんな時である…明るい声が脳内に響き渡ったのは…。
…。
『アキト…ご苦労様!』
「ダッシュか…俺は…遂に核まで使う男になってしまった…。」
『…ま、仕方ないよアキト』
「そうかな?…くっ…俺に何か出来る事は無いのか…!」
『放射線を除去するとか…。』
「…どうやってだ!?」
…その時アキトは…ダッシュがニヤリと笑った様な気がした。
『ナノメタルシステム…アレには放射能除去能力のあるナノマシンが絶対不可欠なんだよ?』
「…じゃ…それを増殖させてばら撒けば…!!」
『そ、万事解決オールOK!』
「…試して見る価値はあるか…。」
…。
…そして…数時間後…。
「ナノメタル…再活性化完了…これで何時でも発動できる。」
…アキトは、眠らせていたナノメタルシステムを再起動させる。
…既に日は暮れて真っ暗。
念の為、周囲の住民には立ち入り禁止令すら発令されていた…。
「…始めるか…。」
…ゴォォォオオッ!!
…アキトは漆黒の鎧を身に纏う。
そして…両腕を広げ、システムをフル稼働させ始める…!
…フワァ………。
アキトの体内から、蛍の如き光が漂い始める。
…そして、それは周囲に広がり…やがて街全体に広がっていった…。
周囲には夜だと言うのに光が溢れ…何処か、神聖さすら感じるような雰囲気が漂う…。
「綺麗…。」
「すげぇな…本当に人間なのか…?」
「…本当に凄いや…テンカワさんって…謎が尽きない人だね…。」
…見ると、周囲では感極まって泣いてる老女がいたり、目を輝かせる子供がいたりする…。
…アキト…なんか…取り返しがつかない事になってるぞ?(苦笑)
…。
そして光は…周囲の放射線を除去し…役割を終え、消えていく…。
…後に残ったのは…静寂のみ…。
「…終わった…のか…?」
…そして、アキトは倒れた。
…なれない為か、体内のエネルギーすら使い果たしてしまったのだ…。
「「アキト?」」
…そして…アキトは運ばれて行く。
だが…その寝顔は…充実感に溢れていたと言う…。
…。
その頃…丘の上でそれを眺める、旅装に身を包んだ大男がいた…。
「…あの男…一体何者だ…?」
…生きてたんですか…。(汗)
「だが、真なる神の啓示を受けた今…あの男に敵対する訳にもいくまい…。」
…そうして彼は去っていった…。
…また何か、変な啓示を受けてしまったようではあるが…。(爆)
追伸:この男が歴史の表舞台に、再び立つ事は無かった…。
…。
それから数日…アキトは目を覚まさない…。
…。
そしてその日は…看病疲れで倒れたラピスを、心配して泊まってくれている大佐に預け、
…マスミがアキトの看病をしていた。
「どうだ…マスミ君…アキトの容態は?」
「大佐?…はい、良い夢を見ている様です。」
「…そうか…では、俺はラピス君に付いている…。君も無理だけはしないようにな…。」
「…大丈夫ですよ。」
…。
そして…それから更に数時間…ふと…アキトが何かを呟く…。
「…ここは…?」
「あ、アキト…目が覚めました?」
…だが、アキトは寝ぼけている様だ。
そして…大きな勘違いをする。
「…ユリカ?」
「え?」
「…ユリカ…助かったのか…?」
「…ちが」
「…ユリカーッ!!」
「え…え…えぇっ…?」
…ガバァッ!!
…。
……………。
………………………。
…。
…そして…それから一年後…。
「貴方が…ミスマル中佐の奥さんですね?」
「はい。…貴方が、夫の死に目に立ちあったのですか?」
「…その通りです…色々あって遅くなりました…。」
…。
…アキトは…ミスマル中佐の奥さんの元に来ていた…。
…そして…あの時の一部始終を話して聞かせたのだ…。
「…俺の知っている事はこれで全部です。」
「そうですか…では、息子にもその事を…。」
「ええ、…向こうの部屋ですね?」
そして…アキトが奥に向かった後…、
そこには今、中佐の奥さんの他に、マスミとラピス…がいる。
「それにしても…アキトの探していたのがミスマルの叔母様だったなんて…。」
「…ふふ…私も驚いていますよ…まさかマスミちゃんの旦那さんが、あの人を看取って居たなんてね。」
ふむ…アキトは責任を取ったようだ。(爆)
「…そうそう…ラピスちゃんは…今年から…。」
「はい、中学に入学しました。」
「ふふ…天才少女と名高いらしいわね?」
「…周囲はそう言います。」
「…しっかりしてるのね…とても13歳とは思えないわ…。」
「えへへ……お姉さん…ですから。」
…ぺロッと舌を出すラピス。
…見ると、ラピスは赤ん坊を抱いていた…。
…アキトとマスミの息子で、名を『アキラ』と言う…。
「そうそう…マスミちゃん…アキト君が軍を辞めたってホント?」
「はい、予備役に編入されました。」
「まあまあ、勿体無い…。」
「…アキトの望みですから仕方ないです。」
「で…これからどうする気?」
「…料理屋を開きたいって言うんです。…気合入ってましたよ?」
…そして…。
「…マスミ…用件は済んだ…俺は先に帰ってるか?」
「んー、私もいきます。」
「了解、じゃ…行こう?…あ、こらアキラ…私はまだおっぱい出ないぞ!?」
そして…並んで帰り道を行く4人。…それは…とても幸せな家族の肖像だった…。
…。
そうして…4人が行ってしまった後…ミスマル婦人はポツリと呟く。
「マスミちゃん…幸せそうね…。」
…何処かさみしそうで…それでもマスミの幸せを願っているのがありありと解る…。
そんな表情で、彼女は…暫く玄関に佇んでいた…。
…。
そして…更に三年。
アキトがこの時代に来てからおよそ五年の月日が流れた…。
その年…歴史が…動き始める。
続く
::::後書き::::
BA−2です!
さて…聖教団編が終結!しかも…一気に時間が進みました!
その上、アキト・再婚!!…しかも…子供まで作って!!
…さて、これからどうなるか…乞うご期待!!(今までのを良く読んでみれば解ると思いますが…。)
では!
代理人の感想
・・・・・・・まあ、マスミが「ユリカに瓜二つ」な以上、いつかこうなるんじゃないかとは思ってましたが・・・
てっきりやり逃げすると思ってました(爆)。
子供ができるのはまだ予想の範疇でしたがまさか結婚までするとはっ(激爆)!
一方でナツメは食い逃げ状態だしアムはほったらかしだし(爆)。
・・・・こうしてみるとアキトってつくづく天然外道だなぁ。
追伸
やっぱり再登場しましたか、鉄人二号八式(爆笑)!