機動戦艦ナデシコ アナザーストーリー
世紀を超えて
第61話 愉快な北辰一家
時は2195年…ナデシコ出航のおよそ一年前…。
…木連標準時にて朝の4時…。
「萌えーっ」
「もえもえーっ!!」「カヲルーっ!」
「せとはやー!!」「たまんねーっす!」
「くっはー…!!」
腐れた雄叫びが居住区に響き渡る…。(汗)
見ると、窓を開けたり屋根に上がったりした見目麗しい女性達が目を血走らせつつ叫んでいた…。
無論、徹夜明けの同人作家ご一同である。(爆)
…木連で、生き物をペットにすると言うのは、一部の特権階級だけの贅沢である。
普通…一般では武装を取り除かれたバッタとか、メカタマとか言う機械の亀(爆)等を飼う。
故に…野良犬と言う存在が無いため…既に『これ』がその代わりとなっているのである…。
「ワオーン」の代わりが「もえーっ」か…嫌だな…何処と無く。(汗)
因みに…男どもはこの時間帯、耳をふさいで時の過ぎるのを唯ひたすらに待っていると言う。
…もし、家族や恋人が…とか考えると、夜も眠れないとか…。(涙)
…。
「ふむ…朝か…。」
そして…その音で目を覚ます外道が一人…。
そう、北辰だ!
「…今日は…これにするか。」
かちっ
…ジャージに着替えた北辰は、表札を取り替えた。
「影護」を外し、「北方」を取り付ける。
暗殺者の家系の為、敵から狙われるのを警戒しての事だ。
その為に、彼の家は幾つもの苗字を持っていたりもする…。
ただし…こいつの家は、5000坪以上の面積があり、
このドーム型コロニーで、一番大きかったりするが…。(爆)
…意味ないじゃんとか言ってはいけない。…殺されるから。(笑)
そして…外道は日課のジョギングに出かけた…。
…。
「ふっ…ふっ…ふ、健全な肉体には健全な魂が宿る…と言うが…。」
そして、北辰はニヤリとする。
「我がそんな迷信…打ち砕いてくれるわっ!!」
…とんでもない理由で日課を作っている。(汗)
これが外道の外道たる所以だが…。
…。
そして…おもむろに牛乳と新聞を掴む。
…無論、人の家の物だ。(爆)
そして、ングングと一気飲みすると、ビンを地面に叩き付け、新聞を破り捨てる!!
「うむ、今日も快調!…やはり他人の家からかすめ取った牛乳は美味い。」
…外道め!…新聞に至っては、読んですら居ないぞ…。(汗)
…そして…北辰は家路へと着いた…。
…。
ガラガラッ
…勢い良く戸を開くと、そこには黒髪の美人が三つ指ついて待っていた。(爆)
「お父様…おはよう御座います。…朝食の準備は出来ておりますが…。」
「…真琴(まこと)か。…いつもご苦労な事だ。」
…彼女こそ『北方真琴』…北辰の長女である!!(驚愕)
腰まで届く、艶やかな黒髪と黒曜石のような黒い瞳が特徴で、穏やかそうな物腰…。
歳は20代半ば…そして何時もニコニコとしている…。
…この人…本当にあんたの子なのか…北辰!?(汗)
…因みに、北辰の娘たちは、全員好きな苗字を名乗っていたりする…。
…。
「…出来ているなら直ぐに飯にする。」
「はい。」
…そして、北辰は台所まで歩いていこうとするが…真琴はその場から動かない…。
「…またか…。(汗)」
そして、北辰は疲れたように力なく元の道を戻ると、ゆさゆさと娘の肩をゆすった…。
「おい。…真琴…起きるのだ!」
「…はっ!…お父様!?」
「また…寝ておったぞ…。(汗)」
「はぁ…実はまた、夢の中でもう一人の私としての人生を…。」
彼女…目を開けたまま寝ていた上、何処かから妙な電波を受信していたようだ…。(汗)
…しかも…何時でも何処でも突然寝てしまうことがあると言う…。
北方真琴…やはり北辰の子だけある。…只者ではない…。(汗)
「…電波の話は良い。…いいから行くぞ…。」
「…はい…♪」
…そうして二人は台所に向かった…。
…。
そして…二人が台所に辿り着くとそこは…戦場だった…!!(爆)
「にくまん…にくまん…にくまーーーん!!」
5歳ほどの幼児が、皿に盛られた肉まん(残り一個)に向かって、
音速すら超えたスピードで手を伸ばした!!
「やかましい!…お前はもう3つも食っただろう!!」
こっちは…北斗だ!!
バシッ!!と、向かってくる腕を払うと、箸を投げつけて牽制し、そのまま肉まんに向かう!!
目を血走らせたその姿は、まさしく獲物を目の前にした肉食獣のそれだ…!
「ふたつめ頂きぃーっ!!」
…ばしぃ!
その時…突然背後から飛んできたコブシが、北斗を弾き飛ばした!!
「おごっ!?」
情けない声をあげた北斗は…2〜3枚壁を突き破り、庭に小さなクレーターを作る。
…無論、直ぐに戻ってきたが…。
「…北斗…小金(こがね)?…肉まんはお父様が二つで、私達は一個づつでしょう?」
「あぅ…マコ姉…。(滝汗)」
「が、ガハッ…肋骨が…肋骨が…。はっ…姉貴っ!?(驚)」
…何故か怯える少女が二人…ま、にこやかに凄まれる…と言う状況下では仕方ないかも…。
そして…恐ろしい事に、これがこの家の日常なのであった…。
…。
…さて…ここらで北辰一家の三姉妹、その末っ子の説明をさせて頂く。
彼女は『影護小金』…通称コガネちゃんである。
この時点での年齢は4歳。(ナデシコ出航時には5歳)
背丈はちっちゃく、長女と同じく腰までの長い髪。…前髪の二房が、触覚のように突き出ている。
そして、くりくりおめめには、名前の由来でもある金色の瞳を持つ…。
…ちっちゃくて(小)、金色の瞳(金)…だから小金なのだ…。
マシンチャイルドらしい…のだが、コンピュータ関係の才能はまったく無いと思われている。
以前試験してみた所、VBで足し算のプログラムを作ることすら出来なかったようだ…。
≪VB(ビジュアル・ベーシック)…プログラミング言語のひとつ≫
但し、身体能力は反則気味に高く、この時点で既に三羽烏を超えている…。
趣味は悪戯。…いつも軍に忍び込んでは、洒落にならない悪戯を繰り返していると言う…。
そして…更に恐ろしい事にサイコ系電波受信者らしい…。(爆)
…。
さて…食事も終わり、北辰は破れた壁の補修をしている。
その横では…北斗が追われていた。(爆)
「ま、待て…姉貴…コガネ…。」
ジーパンにTシャツ姿の北斗は…冷や汗だらだら…だ。
「北姉?…やっぱり…木連女子たるもの…オシトヤカじゃないと…ね?」
「コガネ…貴様が言うか?(泣)」
「北斗…良く聞きなさい。…良いですか、木連では女性が不足しています。それなのにいい歳をしてキャリアウーマンを気取ってなど居るのは許されない事です。…それで…云々…。」
「…姉貴も独身だろうがっ!!」
「私には秋人閣下が居ますから。…さ、着替えなさい。」
…そうして真琴さんが取り出したものは…。
白のブラウスと青いスカート!
ユキナ等が着ていた、木連女子御用達のあの格好だ!!(笑)
「駄目だーっ!!…『真紅の羅刹』の名が泣くっ!!」
「…昂氣も使えない分際で何を言っているの?…さあ…我侭はよしなさいね?」
「うあぁ…。(泣)」
…泣きが入る北斗…滝の様な涙が頬を伝う…。だが、それだけでは終わらない!!
「俺は…俺は北斗!!…そんな軟弱な格好はせん!!」
ヒュン!………つつーっ…
真琴さんの持っていたフライパンが北斗の眼前を横切った。(笑顔のまま)
その刹那…北斗の頬が切れ…血が一筋流れ出す…。
「…おねーさん?…どーしてフライパンで切れるのかな?(汗)」
「北斗…口答えは強くなってから。(キュピーン)」
「…は…い…。(滂沱)」
…北斗…完敗。(笑)
そして数分後…木連らしい格好になった北斗(?)が現れた…。
「ううぅ…これでいいのか?(滂沱)」
「うんうん…いい感じ。…これで北斗も『黒帝の花嫁』候補として恥ずかしく無くなったわね。」
「黒帝の花嫁」。それは、その名の通り黒帝…アキトの花嫁候補の事である。
…2196年、再び降臨すると言われている黒帝の為に、見目麗しい女性が何人も候補になっている。
…黒帝の力は既に伝説…更に血縁者には強い力が宿る…となってはこうなるのも仕方ない所か…。
(ナノメタルシステムとS級ジャンパーの資質は血脈に宿る)
…。
「…言っとくけど…俺は黒帝の物になる気など無いからな!」
「え…頼んでもなりたいと言うのが普通でしょう?」
「……だって…。」
…ん?…北斗の様子がおかしい…。
「…だって枝織はアー君のお嫁さんになるんだもん!!」
「…な!…って…枝織?」
「それでね、一杯…いーっぱい甘えて暮らすんだっ!(はーと)」
「…そう…好きな人が居たの…。」
「でね、でね……と、言うことで俺はそう言うのはパスだ。」
…何気に二人…混じってないかい!?(汗)
なお、真琴さんは…男勝りの上、2重人格で結婚できるか心配していた妹が、きちんと成長していたと言う事実に感動していた…。
「なら…私も応援するわ。…この際相手の気持ちは無視!(行き遅れ回避の為)」
「…姉貴!!……枝織、頑張るからね!!」
…何気に熱い真琴お姉さんであった…。
それにしても…完全に混じってるよ…。(汗)
「ええ、小金…貴方も応援するで…あら。」
「あ、コガネ…電波受信してるよ…。(枝織モード)」
…見ると、お子様はぺたんと床に座り、無表情になっていた。
更に、触覚のような二房の前髪が逆立って揺れている…。(汗)
…ガバッ!!
…コガネちゃんがいきなり立ち上がった!!
「…火星から電波がっ!!」
「…何時もの事だよねぇ…おねぇちゃん。」
「そうね、枝織…。…くぅ…。」
「あ、寝ちゃった…また別な人生のほうに行ってるのかな?(汗)」
…何気に困った三姉妹である。
天然・多重人格・電波受信…もう、怖い物など何処にもあるまい!!(爆)
「枝織姉…電波が言ってた!!」
「ふうん……で、何用だと?」
「…北姉のスカートをめくれだって!!」
「…はっ!?(呆)」
「電波の名の元に…かくごぉーっ!!」
「…じ、冗談じゃないぞーっ!!」
ドタバタ…バタバタ…!!
…二人が暴れ回るたび…壁が割れ、床が抜ける…。
「貴様らーっ!!…直すのは我なのだぞーっ!!」
…哀れ北辰。…今晩は徹夜だ…。(爆)
…。
「で、私を呼んだと?」
「うむ、あやつらを止められるのはお前しかおらぬ。」
…北辰の家での壮大な追いかけっこが始まってから一時間…。
ここは、北辰宅の応接間である…。
そこに優人部隊指令・東舞歌が呼び付けられて来ていた…。
…無論、この事態を収拾するために。
チュドォォン…
そう言う間にも、何処かの蔵が一つ…粉と化して消えた…。
「うっ…又修理箇所が増えた!!…我は行く、後は頼んだぞっ!!」
「…はぁ…まったく…まあ良いわ。…北斗ーっ、いるーっ!?」
ガバアッ!…突然床が跳ね上がる!!
「ハァ…ハァ…舞歌…助けろ!!」
「はいはい、じゃ…。」
と言って舞歌は北斗を羽交い絞めにする。
「はい?」
「…さっさとめくられちゃえば?…相手は妹なんだし。(邪笑)」
…流石は舞歌さん…凄すぎる…。(汗)
「わー。舞姉、ありがと!」
「うわー…止せーっ!!」
がばっ…。
「…ほほー、成るほど…。」
「…コガネちゃん、北斗がどうかした?」
ニヤリ…と笑い、コガネは北斗に指をビシィッと、突きつける。
「男物のトランクス!!」
「うっ!!(汗)」
…そして…それに反応する二人が居た…。
「はっ!こっちの方が大変そうね……もう、北斗、貴方って娘は…。(怒)」
「これは…矯正が必要ね…真琴?(ニヤリ)」
…そして…舞歌が見守る中、北斗は真琴・コガネに引きずられて奥の部屋に消えていった…。(汗)
…。
「ぐおーっ!…やめっ…やめーっ!!」
「ふはは…これこそ王道イチゴぱんてぃーなのだ!!」「だぁーっ!!」
「…北斗!…先ずは格好からですよ!!」
「嫌だーっ!!脱がすなーっ!!」「にょほほほほ…甘いのだ北姉!!」
「……イヤーっ…アー君助けてーっ!!…枝織…汚されちゃうーっ!!」
「あ、変わった!?」「枝織?…なら問題ないわね?」
「うぐっ…ひっく…離してぇ!…枝織に触れるのはアー君だけなんだからっ!!」
「彼の為にも綺麗にならなくちゃ駄目よ!」「…え?…アー君の為!?」
「…隙ありーっ!!」「今よっ、小金!!」
「…あ、ズル…きゃぁぁああああああ…アーくーんっ!!」
…時折、破壊音や銃声すら轟いたものの、最終的に響いた悲鳴を鑑みるに勝者は明らかだった…。
「…平和ね…。」
出された煎餅をほお張り、煎茶を啜りながら舞歌が言った一言が、
今の事態が日常の一コマである事を如実に表現していた…。
…。
「で、それが北斗?」
「……はぐっ…ひっく…。(泣きじゃくりモード)」
「北姉…泣き虫ー!(笑)」
「…ちょっとやり過ぎたかもしれないわ…。」
…ちょっとじゃ無いってば。(汗)
「…姉貴と小金…の…鬼…。(虚ろ)」
「大丈夫なの?」
「大丈夫よ、心配無いわ…あの子は強い子だから…。」
…その時…コガネちゃんがまた、電波受信モードに入った!
前髪触覚もピンピンとしている!!
「…火星からの電波です!!」
「今度は何?」
「さらし!!」
…つつーっ…と北斗に全員の視線が向かう。
「…な、何だ…!?」
「…北斗。…ちょっとブラウス…はだけさせて見なさい。」
「…こ、断る!!」
…北斗を除く全員が顔を見合わせ、こっくりと頷いた。(汗)
「「「…確かめますか?(邪笑)」」」
「く、来るなぁっ!!……来ないでーっ!!」
ガシイッ!!
虎の胴体すら、へし折る程の怪力を誇る北斗!!
だが、それすらも真琴はあっさりと押さえ込んだ!!(驚愕)
そして、ヒョイとブラウスの中を覗き込む…。
「…さらし…ね。」
「さらしだね…。」
「北斗…いい加減にしましょうね?(怒)」
…真琴さんの背後に炎が!!…でも、顔は笑顔のまま…。
マスクを使ってる訳でもないのに…どういう理屈なのだろう…。(汗)
「まあ、良いでしょう。…小金!!…ブラ取って来なさい!!」
「はいっ!!」
…姉の怒りに触れまいと、裏返った声で敬礼までしてのけるコガネ!!
そして、サッと舞歌の首元から腕を突っ込んだかと思うと…。
…ベージュの『何か』を引き抜いた!!
「はい、ブラジャー!…盗って来たよ!!」
…。(汗)
「ちょーっと待ってね、コガネちゃん?…それ、誰のかなぁ?」
「舞姉のだよ。」
…。(謎の空白)
「このクソガキがぁーっ!!」
「…ひゃ?」
舞歌の鉄拳制裁!!
…ヒョイ…
コガネはひらりと避けた!!
コガネの反撃!!
ドゴォッ…
舞歌の喉元に鋭い蹴りが打ち込まれた!!(容赦無し)
…バタッ
舞歌は倒れた…。(汗)
…。
「あ…がはっ…。(呼吸困難)」
「勝利ーっ!」
…コガネちゃん、舞歌さんまで玩具扱いかっ!?
…なお、その間に容赦なく北斗が着替えさせられていたのは疑う余地など無い。
「…ねぇ、北姉。」
「…。」
「さっき、電波が言ってたんだけど…。」
「なんだ…。」
「これで北姉も立派な『北ちゃん』だね!!」
「…違う…違う…!!(泣)」
「まあまあ…仕方ないじゃない…生まれは誰にも変えられないのよ?」
「……うう…アー君…皆が苛める…。(滂沱)」
逃れ得ぬ宿命…歪められた運命(爆)…それらに抗う北斗の運命やいかに!!
…この時既にアキトと北斗・枝織は出会っていた。
それが彼らの運命にいかなる影響を与えるか…それはこの時点では誰にも判らなかった…。
ついでに言えば、気絶したまま放って置かれた舞歌は次の日風邪を引くのだが…それを予測できた者も誰も居ない…。
更に言えば、『アー君』に過剰反応した北辰の手により、秋山・アララギの両名が、
下水に流されたりもしたが、それには気づいた者すら稀であった…。(爆)
続く
−−− 一方その頃 −−−
一方…その『アー君』…ことアキトはと言うと…。とある連合軍基地に居た。
「ま、待て…ワシは…ワシは雇い主なんだぞ!?」
「黙れ…下衆が。」
ごすっ!!
…アキトの蹴りが、高位の軍人らしい男の腹に突き刺さり、内臓の一部を破裂させた!
「ぎゃひゃっ!?」
「この、『アキト・ラズリ』を騙そうとして…ただで済むと思ったか?」
「ひぃーっ!…騙すって…ワシはただ反乱分子の制圧を…」
べきゃっ!!
踏みつけられた軍人は、足の骨が粉砕される音を聞く羽目となった。
「そうだな…確かにそうだ。…だが…試作機の実戦テストを兼ねて武器を提供した相手じゃあな…。」
「ぎひぃ…ひぃ…ひぃ…いや、アレは盗まれ」
げしっ!!…どごぉっ!!
ヤクザキックでアキトは軍人を壁にたたきつけた!!
「情報を渡し、カギを開けておいたんじゃ…くれてやったのも同じだ!!」
「…はぃーっ!!…すいませーん!!…もうしないから許してくださーい!!」
「ほぉ…では俺の質問に答えろ。」
…そこまで言って、『アキト・ラズリ』は、金色の瞳をギラリと光らす。
「先ず…俺は誰だ?」
「はいぃ…アキト・ラズリ…。『純白の死神』…です…。」
その名の通り、彼は『テンカワ・アキト』とは色違いの白い、似たようなコスチュームをしていた。
「そして…俺の信念は?」
「…裏切り者は…あ…ああ……許さ…な…い。」
「良く出来ました。」
ザシュ!!
腕のバックラーの裏に隠してあったセイバーが、軍人の首を跳ね飛ばした!!
「…やれやれ、参った。…また依頼人を殺してしまったのか…。」
その時…背後から誰かの声がかかる。
アキトはセイバーを投げナイフのように構えたが、直ぐ鞘にしまう…。
「脅かすなよ、カイト。」
「スイマセンね。でもさ…どうするんだ?」
「裏切り者は始末した。」
「…はぁ…ま、仕方ないな。…既に施設中に爆薬をばら撒いてる。…証拠は消しておこう。」
「済まない。…だが、どうしても人が信用できなくてな…。」
「止むをえないさ。…アキトさんの過去を考えると…。」
「ははっ…またタダ働きになっちまったな…。」
「ああ、さっき連絡があって、勝手に引き出しておいたそうだよ。」
それを聞いて、アキトは一安心と言った顔を見せた。
戦争は…金がかかるのだ…。
「…そうか、では『傭兵団アース・ヴァグランツ』…全軍撤退する!!」
「って…今ここに居るのは僕とアキトさんだけなんだけどね…。(苦笑)」
そして…二人はボソンジャンプで消えた…。
更にその刹那、基地も爆風で消えていった…。
…。
傭兵団、アース・ヴァグランツ。
全員が揃う事すら稀な、世界最強の傭兵部隊である…。
その戦力は連合の各方面軍をも上回るが、その実態は少数精鋭であること以外は誰も知らない。
依頼額は仕事が気に入ったかどうかで決め、気に食わなかった場合、法外な額を要求する。
…かと思えば、気まぐれ(だと思われている)で、タダにしたりもしていて行動が読めない…。
彼らを呼ぶ時には…唯一つだけ守らねばならない掟がある。
それは…裏切らない事。
もし、依頼者が裏切り行為を働いた時…彼等はそれを決して許さないであろう。
…彼等は、自分について語ろうとしない。だが…隊長の『アキト・ラズリ』には口癖があった。
「…俺は黒帝が嫌いだ。」
…その言葉の裏にある、例え様も無い悲しみと怒りを知るものは少ない…。
::::後書き::::
BA−2です!…第61話・愉快な北辰一家です!
北斗と舞歌が苛められていると言う空前の問題作!!
BA−2流「北ちゃん」は如何でしたか?…まあ、偽北ちゃんと言っても良いかも知れませんが。
…なにせ枝織と混じってるし…。(汗)
さて、今回のオリキャラ達は如何でしたか?
真琴お姉さんにコガネちゃん。
北斗すら上回るバイタリティーの持ち主です!!…出来れば応援してあげてくださいね。
…そして…黒過ぎるくせに白い装備のアキト・ラズリと、何気なく出てきたカイトも宜しく。
あ、そうそう…何気に酷い目にあっている秋山達も忘れないで頂ければ幸いです。
それと…代理人さん。…お願いだから怒らないでください…。(爆)
では!
代理人の感想
・・・・・・・・・・・ほほぅ。