機動戦艦ナデシコ アナザーストーリー
世紀を超えて
第67話 「北斗異聞・偽伝」
注:取りあえず読んでおいて欲しい事…。
この物語は、「世紀を超えて」における、「北斗異聞」の裏話です。
…なお、「北斗異聞」は鋼の城さんの著作であり、「時の流れに」の正式設定でもあります…。
故に、書いていない部分は、「北斗異聞」と同様の流れがあったと思って頂いて結構です。
…多少の差異はあるでしょうが…。
なおここに書かれている事は基本的に、BA−2の「世紀を超えて」のみに適用するものである…。
…。
…それは…ある月の綺麗な夜の事であった。
その日…人気の無くなった屋敷の奥座敷で、一組の夫婦が酒を飲み交わしている。
だが…それは今生の別れ…。
二度と会う事は出来ぬ、別れの杯であった…。
「さな子…。」
「はい。」
「『里』での検査の結果、…北斗は…陰性だった。」
突然の夫の言葉。…それを聞いて女はほっとする。
…彼女は…伝染性の難病に冒されていた。
だが…正体も病名も不明なその病魔は、あの山崎にすら治療不可能で…。
「そうでしたか…私から伝染っていなくて良かった。…本当に…。」
「しかし…何故お前が流行り病などにかからねばならぬのだ…?」
…そこで、女は悲しそうに目を伏せる。
……この馬鹿亭主が生活費を半年入れ忘れたために、食費に困り野草を食べた所為だとは口が裂けても言えまい。(しかも山崎ラボの近く)
「…私など捨て置けば宜しかったでしょうに…。(怒)」
「…ふん、どうせ継がねばならなかったのだ。…理由が出来ただけ…ましだ。」
そう、北辰は…家業を継ぐ見返りとして、妻の病気を伏せておく事を出したのだ…。
しかし…似合わない事を…。(爆)
「それにしても『北辰』…黒帝に憎まれる事を前提とした名前…なんて恐ろしい…。」
「ふ…まあいい…『外道になれ』つまりは欲望のままに生きてよいと言う事だしな…。」
…よく考えてみれば無茶な要求ではある。(爆)
だがその所為で周辺地域の受けた損失は計算できまい…。
そしてその時…横の襖が開き、編み笠が現れる。
「隊長。…油、撒き終えました。」
「ん…ご苦労、下がれ。」
ざざっ…
…。
「言われんでも分かると思うが…お前の症状は悪化している。」
「はい。」
「このまま放っておけば、病魔はお前を食い尽くした後…このコロニー全体に広がるであろう。」
「ええ。重々承知。」
「何か言い残したい事はあるか…?」
「…北斗に…結果的に騙す事になって御免なさい…と。」
「…うむ。さらばだ…。」
「はい…さようなら…。」
…ズン!!
その刹那である。北辰の持つ短刀が、さな子の喉笛を掻っ切ったのは…。
…。
「さらばだ…。」
そして、屋敷に火を放ち…その場を離れようとする北辰の元に、また編み笠がやって来た。
「隊長!!…大変です。北斗殿が『里』から脱出した模様!!」
「…なに?愚息がか?」
「はっ…如何いたしましょう?」
…そこで…北辰はしばし考察を続けていたが、突然ニヤリと笑う。
「外道らしい策を考え付いた。…追っ手は要らぬぞ。」
「……はっ!」
(ふっ…我も史実の『北辰』らしくなってきたものだ…。)
…。
…『別れの宴』にて、北斗達が犬鍋を振舞われたのはこの前日。
畳には、未だ先日の宴の名残が残ったままであった…。特に零夜の座ってた所に(爆)
…。
そして…北辰は妻の遺体を持って北斗を待ち伏せ…ようとしたのだが、後ろからの気配に気づく。
「ばう!」
「ぬ…犬コロめ。…命が助かっただけでもありがたく思って消えろ。」
そう、北斗の飼い犬、「ケン」である。…どうやら調理されたのは別な犬だったようだ。(笑)
状況証拠だけで判断してはいけないと言う見本である。
「ばうわう!!(怒)」
「ええい、煩い…北斗に貴様の存在がばれたら拙いであろうが!!」
「ばぁう!!」
「ええい…やはりここは本気で黙らせ…」
…ごりぃっ!!
「んごぁう!!」
「…!!!!!!!!(痛くて声も出ない)」
…その時…犬コロの攻撃が北辰の股間を直撃する!!(痛)
ガリッ…と袋を中身ごと直接かじられる痛みは…想像を絶するだろう!!(涙)
…!!(悶絶)
…痛みに耐えかね、北辰は暴れ回る…腕を振り上げた拍子にさな子さんが玄関先に吹っ飛ばされた!!
(なお、北斗が見たのはコレ)
ごりゅっ・・・!!(何かが潰れたような音)
「ぐぉぉおわうっ!!」
「…ぃぃぃぃいいいいいいいっ!!??」
…犬がその牙を北辰に対し、さらに深く突き立てる!!
それは致命的なダメージを彼に与えたかもしれない…。(汗)
クルクルクル…バタン・キュー…ゴチン!!
しかも…痛みに耐えかねて、すっ転んだ先は…庭石!!
北辰は頭部を強打し…倒れる…!!
そして…気絶から再び北辰が立ち上がった時…彼は正真正銘の外道に進化していたのである…。
…頭打って狂った…と、だけは言わないでやって欲しい。(ヲイ)
…。
「用済みといったのを訂正しておこう。
お前は最期にもう一回役に立ってくれたな。
まこと我には過ぎた妻であった事よ。くふふ・・・」
…そして…この台詞を北斗に言い放った時、彼の眼は明後日の方向を向いていたのだが、北斗がそれに気づく事は無かった。
ましてや…北辰の後頭部に巨大なたんこぶが出来ていた事など…。(笑)
…。
更にその時、六人衆は「ケン」を囲んでいた。…凄い殺気で。(ヲイ)
「この犬…。(怒)」
「貴様が山崎の所から逃げ出さねば…!」
「…今日こそは逃がさぬ…。」
「大人しくラボに帰れ。」
「烈風…貴様の敵は取る!!」
「いや…まだ死んでないって…。(瀕死)」
…しかも烈風、全身歯形だらけで死にかけてる!(爆)
つーかこの犬、山崎ラボ出身!?
「ばう!!」
「やかましい…貴様の所為で我らは一年間も休み無しだぞ!?」
…まさか…北辰が一年ぶりの帰郷だったのは…。(汗)
…正に無駄骨…!!
…。
そして…数分後…。
「情けないですね。…貴方ほどの使い手が6人も揃ってこの有様ですか…?」
「あ、いや…東殿。…この犬、ただの犬ではなくて…。」
「緊張が解けた所を背後から近づいて切る。…それだけでしょうに。」
「…そんな事出来るのはアンタだけですってば、東八雲どの…。(汗)」
…血塗れで倒れる六人衆と、
真っ白い優人部隊の制服のままで、気絶した犬を抱える東八雲。
実に好対照な構図である。(笑)
「北辰殿は?」
「今、北斗殿を捕まえてる最中でしょう。」
「…いや、もう捕らえてある。」
その時…後ろドタマにデカイたんこぶ作ったまま、北辰再登場!
北斗の襟首掴んだまま…。
「北辰殿…何をやっているんですか。…舞歌が怒り心頭でしたよ?」
「…ふっ。家庭の事情に口出しは無用に願いたい。」
その時、一緒に来ていた西沢が、ボソッと言う。
「今回の戦闘で一丁目が全壊、2丁目は半壊、町役場が全焼…。」
「分かった、我が悪かった…!!」
その結果…ヘコヘコ頭下げる北辰と言う、珍しいものが見えた。(笑)
だが、話の本質はそこではあるまい。
「…で、北辰殿。…北斗君はどうなさるおつもりですか?」
「貴様…それを聞きに来たのか?」
…途端に緊迫したものに空気が変わる。
…。なにせ、襟首つかまれたままの北斗がチアノーゼで青くなっていると言う事実もあるし…。(ヲイ)
「ええ。舞歌が何しでかすか分からない状況になってきましたから。」
「…そんな事、我の勝手であろう?」
…その時…周囲の空気の流れが変わる!!
見ると…八雲の体から…うっすらと紫色の何かが立ち上っていた…。
「…東忍流、紫雲斎を…敵に回しますか…?」
(くっ…昂氣か!)
にこやかな顔立ちのままで殺気を放つその様は、例え様も無いほど恐ろしい物がある…。
ましてや…使う技は、推定千年を越える時を受け継がれて来た物…。
「東の魂…『十六夜』…その切れ味…貴方自身で試して」
「え、遠慮しておく!…大丈夫、これより北斗は『女らしく』育てる!」
「…本当ですか?」
「うむ、二言は無い。」
「西沢さん?」
「ええ、きっちり証拠のテープは取っておきました。」
…北辰、何気に逃げ場なし。(笑)
やはり…やり手である、八雲さん達は。
(くうっ…こ奴だけは…東八雲だけは用心せねば!…機会があったら消すっ!!)
「…何か?」
ぞくっ…北辰の背筋に冷たい風が…。
(ぐうっ!!…ふ、こ奴を消す時は、我ら以外のものに失脚させられた時に半年ほど間を置いて、事故にでも見せかけなくてはならん…いや、手ぬるい…直撃させる方法…おお、幼子を投げ込めばよいか!)
…何気に味方を消す方法を一瞬で模索し終えてしまう北辰。
やはり…外道は外道だ。
「…で、どのように北斗殿を女性らしく育てるので?」
「う、ま…まあ最初は里で身のこなし等を学ばせて…」
「では…その後は舞歌に任せて下さい。…女らしさは男に教える事が出来ないですよね?」
「な、なぁっ!?」
チャキ…
「駄目なんですか?」
「…あ、は…わ、分かった…では、20年後をメドに…。」
「…。(…ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ)」
「!!…いや、2年!!…にねんだっ!!」
「…それなら…まあ…。」
「いいな…いいんだな!?…じゃ、我はこの辺で!!」
どどどどどどどどどど…
そして…北辰は行ってしまった。
…彼の言う所の『女らしく』の言う意味を掴めていれば…後の悲劇は起こらなかったであろう。
と、西沢や八雲は後に言う。
だが…それに彼らが気づいたとき…全ては手遅れであった。
…。
「私に・・・人殺しの道具を作る手伝いをしろと!?」
「お主なら適任だろう。それとも何もせずにあやつを放っておくか?我はそれでも構わんがな。」
「本当に外道よ・・貴方は。」
「我には最高の誉め言葉よ。では『枝織』の件、期待しているぞ。舞歌よ・・。」
「・・・・・・・・・外道が!」
…。
「では…私にお任せ頂けませんか?」
「だれ!?」
「私は『真琴』…北辰の長女です…。」
「…ええっ!?」
「母が亡くなりまして…遺品の中に父の名があったので尋ねて来たのですが…。」
「…ちょっ…北辰、貴方ッ!!」
思わずハニワ状態で固まる舞歌。(笑)
…以前より、外道らしい行動を心がけて(ヲイ)いた北辰の事である。
身に覚えがあろうがあるまいが、責任を取る事になったのは(本人の意思は度外視)想像に難くない。
最も、本人曰く、「それぐらい…いちいち覚えておらぬ!!(汗)」だ、そうだが…。
…。
…北辰が何故か下水道で流れているのを発見されたのは、そんなやり取りの3日後であった。
…舞歌は、自分が手を出す前に誰がやったのか最後まで判らずじまいで不服そうだったが…。(笑)
続く
::::後書き::::
さて、BA−2です。
BA−2流北斗異聞は如何でしたか?…いや、むしろ裏話状態でしたが。(笑)
なお、家の八雲さんは、最強の暗殺者としての一面を持たせてみました。
…無論、舞歌には内緒。(爆)
元ネタは、PSの某忍者ゲーム。…必殺がいいんですよね…。(ヲイ)
それと…元々シリアスで行くつもりだったのに、
何故かギャグになってしまった事をお詫びしておきます。
では!
代理人の感想
「北斗異聞」をネタにされるのは別人さんに続いて二回目ですが・・・・・・
やっぱり元がアレだからギャグにしたくなるのかなぁ(笑)。
何はともあれ・・・・・北辰よ、成仏せい(死んでない死んでない)。