機動戦艦ナデシコ アナザーストーリー
世紀を超えて
第70話 戦乱の気配
時に2195年。…地球連合第3艦隊司令部…副指令の個室…
…その日、この部屋の主であるアオイ・スミヤ少将はデスクワークに精を出していた。
まだ20代でありながら異例の将官就任は、コネとカネ…そして血と才能が合わさった結果である…。
そんな彼の元に、その日は珍しく弟が尋ねて来ていた…。
「…失礼します。」
「ん…ジュンか?…どうしたんだい、急に。」
…そして、ジュンは一枚の手紙を取り出した。
「はっ、私の元にネルガルからのスカウトが来ました。…史実どおりです。」
「うん、だがまだ時間はあるんだろう?」
「はっ。」
「…ここにはお前と私しか居ない、敬語をといても構わないよ。」
「…はい。…でも、やっぱり史実どおりのクルー編成になるみたいだね、兄さん。」
「だろうな。…だが、増員が行われているようだね。…一筋縄でいくとはネルガル自身思っていないと言う事だろうな…。」
…その言葉に少しばかりジュンは眉を潜める。
それを見たスミヤは軽く笑うと弟をからかい始めた…。
「ふふっ…ユリカ君を黒帝に取られるのは…辛いのか?」
「なっ!?…いや僕はユリカの事をそんな風に…あ…し、失礼します!!」
…ダダッ!
ジュンは逃げ出した。(笑)
「うーん。…まあいいか…いずれ春は来るよ、ジュン…。」
…まあ、確かに。
「済まない…だが時がくるまで、お前には役割どおりに動いてもらわねばならないからな…。」
…閉まったドアの向こうの弟に対し、スミヤは深く頭をたれた…。
だが、どうせなら教えてやれば良いのに…と思わないでもないが…。(爆)
…ジュン…いと哀れなり。(ヲイ)
…。
さて…その日の夕方…スミヤはまだデスクワークの最中であった。
…そこに、ネルガルに潜入している諜報員から定時連絡が届く…。
『閣下。…『ナデシコ』についてですが、プロトタイプによる信頼性試験が終った模様です。』
「…随分慎重にやっているな…。プロトタイプなどが存在しているとはな…。」
『はっ。…ですが、出航は予定通りに行われるようです。…現在艦体は急ピッチで建造中…。』
「…ま、それはそうだ。…黒帝は偶然乗り込んでくる筈だからね…。」
…そこで…部下は突然、秘匿性の高い通信法に切り替えてきた。
何か…重要な情報でも掴んだのだろう。
『時に、大変な事が…。』
「なんだ?」
『電子の妖精…現在行方不明だそうです…。それも、数年前から…。』
「なっ!?」
『…代わりになるMCは現在…存在しておりません。…ランクを落として…人形に代わりを任せる気のようですが…まず無理でしょう…。』
「…何て事だ。…浚ったのは何処だ?…こちらから圧力を掛けて…」
『…以前クリムゾンが来た時に、行方が判らなくなったとか。…生存は絶望的と見られています…。』
「…判った…。君は引き続き情報を集めてくれたまえ…。」
…そして…通信が切れた後、スミヤはぐったりと椅子に寄りかかった…。
「…史実が書き換わっただって?…この世界はどうなってしまうんだ…。」
それを知る者は何処にも居ない…。
だが…それでも大勢は変わる筈も無く…戦乱はすぐ傍まで迫ってきていた…。
…。
その頃、木星、木連軍総司令部…。
草壁秋人元帥はその場にいる全員を見回して言った。
「…これで、全員揃ったな?」
その日…木連の主だった将達が、司令部に集まってきていた。
…すぐそこに迫った地球側との戦争のためである。
…つい先日、木星は『史実どおり』の要求を地球側に突きつけた。
だが…それが飲まれる事などまずありえない事は、ここに居るほぼ全員が理解している事であった…。
…それ故に…木星では戦争の準備が着々と進められていたのである…。
…。
そして…首脳部の間でも…。
「それでは先ず…東舞歌准将!」
「はっ!」
「貴官を本日付で少将に昇進させる。…異存は無いか?」
「はっ、ありません!」
「…では同時に東の『四方天』の名も継いで貰う。…つまり優人部隊を任せたい。…良いな?」
ざわっ…
周囲はざわめく。…現在の東の四方天は彼女の兄…八雲であるが、彼には功はあっても責など無い。
それなのに…この交代は一体いかなる意味を持つのだろう…?
「あ、あの…閣下、それでは兄…いえ、八雲中将は…?」
「心配は要らない。…八雲についてだが…参謀本部に栄転が決まっている。」
「栄転…ですか?」
「そうだ。…我が側近、東八雲中将には此度…参謀本部長の任について貰う。…故に表立った行動を取れる時間は減るだろう。…それ故、現場からは引いてもらう事にした。」
「そう言う訳ですか。」
「そうだ。…それと副官を一人つける。氷室京也。鍛えてやってくれ。」
「…判りました。鍛えるのですね?(ニヤリ)」
「ああ、アイツも一皮剥けさえすればいい軍人になるだろうからな。…頼むぞ。」
(しかし…なんで舞歌さん、ニヤリなんて笑い方を?)
西沢はそんな風に感じたが…世の中には気づかないほうが幸せな事もあるのだ…。(笑)
そして…話はまだ続く。
「…ついでに義妹(秋人と真琴は婚約中です)の世話も頼む。」
「はい閣下。…北斗殿が付いていてくれるのは心強いですわ。」
…因みに北斗が居なければ、十中八九零夜は動かないと思われる。(ヲイ)
だが、話はそこで終わりではなかった…!!
「因みに…コガネ君の方も頼んだからな。」
「…嫌です!」
…舞歌、即答!(笑)
「…一応軍命なんだがな?」
「あの子だけは例外です。…下着抜かれたり、お菓子ちょろまかされたり…」
「それぐらい…家の前に地雷埋められるよりはマシだろ?」
「それぐらいどうって事ないです!…酷い時なんか、軍の火薬庫で花火を…。」
ドッゴォォォォ…ン!!
「…丁度、今みたいにか?(汗)」
「はい。」
げに恐るべし爆弾娘コガネちゃん!
…間違いなく3人は死んでるぞ!(ヲイ)
「…ははははは…。(滝汗)」
「全く…困った子です。」
…。
「…つーか、子供同士で遊んでれば良いんですけどねー。」
…あ、サブ…居たの?(ヲイ)
…だが、話はそこから大いに脱線する事になる…。(笑)
「高杉…!」
「あ、北斗殿もそう思いません?」
バキィッ!!
北斗の鉄拳制裁!…高杉の顔は陥没した!
「ごふっ!」
「貴様に人の心は無いのかっ!?」
グシャァッ!!
舞歌の踵落とし!…高杉の頭部は粉砕されたっ!
「…がはっ…!」
「言ってはいけない事もあるのよ…?判ってるの高杉君!?」
ドシャァァアアッ!!
南雲の旋風脚!(しかも竜巻)…高杉の胴はくの字に曲がった…!!
「おごぉっ…!?」
「…あの不憫な子に…木連男児の面汚しがぁぁぁっ!!」
メキメキメキメキ…!!
北辰に至ってはワキガ付きヘッドロックだ!!(爆)
「ぐ…くさっ…!」
「秘儀…外道系・悶絶脇(ガ)固め…見て死ねぃ!(注:見れません)」
…む、惨いっ…!!
…更にその上、三羽烏が周囲を取り囲み、サブは袋にされた。(ヲイ)
そしてそのままダストシュートに放り込まれる…。
…。
「ああ、新技の
『西沢ハゲチャビンへっどばっど
〜inみちのくぶらり旅〜』
を試したかったんですけどねー。」
「…なんだそれは。(滝汗)」
…深く考えてはいけない。(笑)
「新技です。…説教系はもう聞かない方もおられますしね。」
「ふん、下らん。…外道に説教など無用!」
『西沢的ばーこーどキャノン
<回って人・間・魚・雷>!』
「なぬ?」
ギュラギュラギュラギュラ…
「はがぁぁあああっ!!」
(ああ…髪の毛がまた薄くなりますね…。)
某熱血硬派の時代劇ゲーム(古い)などでおなじみの人間魚雷
(この場合自分魚雷)が北辰の腹に突き刺さる!
…なお、この騒ぎで会議は延期される事になったことを追記しておく…。
戦乱が近いのにこの態度…これを余裕と見るか馬鹿と見るかは貴方しだいであった…。(ヲイ)
…。
「ま、まだだ…三郎太ハーレム実現の時まで…俺は死ねない…。」
産業廃棄物置き場に転がっているサブの台詞である。…本当にしぶといな、ここのサブ。(ヲイ)
なお…気になる台詞を言っているが、気にしてはいけない。
…なお、後日誰かが助けに来たようだが、それについても言及してはいけない…。
…。
…なお、木星の方が遥かに愉快なのは何故なのかについても言及はしてはいけない事である。
まあ、一言で言うなら…人材の差だろうから。(ヲイ)
続く
:::: 後書き?::::
BA−2です。…早いもので『世紀を超えて』も一周年(多分)と70話を迎える事が出来ました。
…読んでくれている皆様に感謝感謝です。
さて…次は何を書きましょうか…。
このまま本編に戻ってもいいのですが、オリキャラ達の書き分けの為にも今しばらくこの一話完結状態をお許し頂きたい。(コガネちゃんについても、後で詳しく書きます)
…次はラピス・サフィーとのアキトの出会いでも書いて見ましょうかね…。
今現在・ネットに繋げるのが週に一回かそこらなんで…感想のレスが遅れるかも知れませんが、それでも良ければ応援宜しくお願いします!
では!
代理人の感想
プロトタイプか〜。
やっぱり彼女の艦になるんでしょうね〜(笑)。
(わからない人はコミック版ナデシコを参照の事)
それはともかく・・・・・
しっかり先祖のDNAは受継がれてる様で。
いや、安心しました(爆)。
後、ガイとかメグミとかミナトとかがちくと気になる所ですが・・・・
まあそれは後のお楽しみ(笑)。