機動戦艦ナデシコ  アナザーストーリー


世紀を超えて

第74話 始まりが再び(前編)




…ホォ…ホォ…


草木も眠る丑三つ時…午前2時ごろ。

…とあるマンションの一室で、彼女は目覚めた…。


「…眠れません。」


…ホシノ・ルリ。

かつて…マシンチャイルドとしてネルガルの研究に使われていた彼女…そして今、ごく普通の生活?

…を、謳歌している少女…。


だが…彼女について説明するにはそれだけでは足りまい…。


何故なら…彼女は既に、唯のホシノルリではない。

逆行した自分の意識を取り込み、不幸な未来を変えるべく奔走している…。


筈だった。(ヲイ)


だが…予想を遥かに上回る現状は…彼女から使命感を奪ってしまっていた…。

…そう、ある意味において…身動きが取れないのだ…。(汗)


…。


…今も彼女は自分の部屋にいる…。

そして…、


「…困りましたね…。」


…そう言って、ベッドの上で暫くうつむいているルリであったが…。


「…みっしょん、すた〜と。(ぽっ)」


おもむろに枕を抱えると、すたっと立ち上がる。

その後…ゆっくりと…物音を立てないように廊下を進んでいく…。


…てってってってって…。


「…失礼します。(赤)」


ガチャ…


そして…とある部屋に移動すると、何の迷いも無くベッドに潜り込む。


「…アキトさん♪…眠れないんで一緒に寝てても良いですか?」

「ん…ルリか…ああ…。」


ニヤリ…


(そろそろ…ネルガルに対して何らかの措置でもしなければならないんでしょうけど…もうどーでもいです♪…あー、アキトさん暖かい…。)


…そして…夜は更けていく…。(汗)

今日も無駄に時間を使い…ルリの一年は過ぎ去ろうとしていたのである…。


…。


そして…朝。


チュン…チュンチュン…


「お兄様!…それにルリまで(汗)…朝ですよ、起きてください。」


「ん…ヒスイか…。」

「あ、ヒスイ…おはよう御座います。(ぺこり)」


…何時まで経っても兄離れできない妹に冷や汗かきながら、ホシノ・ヒスイは朝ごはんの準備が出来た事を伝えた。

なお、彼女は現在…チェックのエプロンとおたまを装備している。(爆)


「…ん…ルリも行くぞ…って何でここにいる!?

「え、一緒に寝て良いって…。(ぽっ)」


「はぁ…全く何時まで経っても甘えん坊だな…。(汗)」

「…はい!」


…断言すべき所ではない。

アキトとしても、何処で育て方を間違えたのか判断に迷う所であった…。(笑)


…。

で…食卓。なお、余談であるが…今日のメニューは白菜のおひたしと芋の煮っ転がしであった…。

ヒスイに作らせると、何故か和食ばかりなのだが、何故かは不明である。



「ほら、ルリってば…ほっぺたにご飯粒が…。(呆れ)」

「アキトさん、取って下さい。(はーと)」


「…ったく…しょうがないな…。(汗)」


「お兄ちゃん、サフィーもなの。」

「…はいはい…。」


…そこには…ほのぼのとした家族の食卓があった。

無論…義理の…であり、フェイクである事は誰しもが判っているだろうが…。


だが、その日は少し違っていた。物語が…動き出した…。


…。


「お兄様、ルリ、サフィー…お元気で。」

「ああ、しかしヒスイ…何もお前の齢で就職しなくてもな…。」


ヒスイは…明日香インダストリーの制服を着てアキトの前に立っていた。

…就職が決まり…彼女はアキトの元から独立しようとしていたのである…。



「いえ…もはや大学院まで飛び級で卒業してしまいましたからね…。」

「そうだな…まあ、明日香は大企業だ…いい選択だよ。…きっとな。」


「ふふ…寂しいですか?」

「ああ、勿論だ…。」


「でも、直ぐに会う事になるかも知れませんよ?」

「…そうだな…お前も前線に赴く事になるんだろうし…。」


…別れを惜しむ兄と妹の会話…そして、


「あの…ヒスイは一体どうしたのでしょうか?」

「…ヒスイお姉ちゃん…どこ…いくの?」


…会話についていけてない美少女二人。(笑)


「ひ…ヒスイの就職の事…まさかルリまで知らなかったのか?(汗)」


「私はアキトさんに関すること以外には興味ないですから。」

「…サフィーは子供だからわかんないの。」


…幼女であるサフィーはともかく…ルリさん…アンタねぇ…。(汗)

…間違いなく、たれルリ(たれパンダの亜種)と化しているよ…。


「ふふ、ルリらしいですね…暫く会えなくなるけど…元気でね。」


「はい、お元気で。」

「ふぇ…ヒスイお姉ちゃん…どっか行っちゃうの?……ふえ…ぇん…。(泣)」


「はいはい、サフィー泣かないの。…ルリは少し見習いなさい。」


…なお、ルリはその時既にアキトの元に走り寄っていた。(苦笑)


「…アキトさん…これからは…何だか新婚さんみたいですね!

「あは、は…もう良いわ。…全く『お兄様至上主義者』なんですから…。(はぁ)」


…そうして…ヒスイは苦笑を浮かべながら旅立っていった…。

…。


「あう…いっちゃったの…。(半泣き)」

「ええ、しかし急でしたね…。」


「うん、明日香でな…ネルガルから試作艦を買い取って改造したんだそうだが…オペレーターを必要としていたらしくてな…。」


「え…ヒスイはMCじゃないですよ?」

「…何でも…マーベリック社で開発された新技術を使うそうだ…。」


「…新技術?(はて…そんな物ありましたっけ?)

電子転換(リアクト)…とか言ったな。…それがあれば、MC程じゃないが勤まるんだそうだ。」


「おぁ…お姉ちゃん頑張るの?」

「ああ…そうだよサフィー。…そういや、ネルガルはどうするつもりなんだろうな…。


…ピキッ!


…その時…ルリは背筋が凍る音を確かに聞いた。(笑)
そう、今までサボっていた"つけ"が一度に襲ってきたのだ…!



(そう言えば…私は既にネルガルから籍を抜いてますよね…。)

「…ルリお姉ちゃん?」


(…何か…嫌な予感がします…。)

「ルリ…何を固まっている?」


…。


「…ああーーーーーっ!!」

「どあっ!?」
「ふあっ!?」


…てってってって…


ルリは全力でカレンダーの前に立ちふさがる!…そして…がくりと膝をついた…。


「…ナデシコ出航まで…後一週間切ってます---っ!?」


…なお、これはつまり…前回はすでに彼女が乗り込んでいた時期であることを示している。

…つまり…今回はオファー無し!!(爆)


(ど、ど…どうしましょう…乗り込めないんじゃ…話が始まりません!!)


…それ以前にナデシコが出航できるか判らない気もする。(汗)

プロジェクト自体が廃案になっている可能性も否定できないし…。


…そして…彼女は一計を案じた。(爆)

その日の夜…彼女は一通の垂れ込みメールをプロスあてに送ったのだ…。


『貴公らネルガルから失われたMCの居所を知っている…もし知りたいならば、指定口座に1億振り込んでおく事…。』


…無論、指定口座など架空のものだ。

彼女の目的は見つけてもらう事なのだから…。



だが…これの所為で一騒動起きる事を、彼女は知る由も無かった…。

自分の名前が持つ意味を…彼女はまだ良く理解していなかったのである…。

続く


::::後書き::::

BA−2です、世紀を超えても74話…そして、物語はとうとうTV版の部分までやってくる運びとなりました。

…書き足りなかった部分は、後で回想シーンのような形で入れる事にしましょうかね。

…しかし、今回は短いですね。(苦笑)


こんなのですが応援していただけると嬉しいです。

では!

 

 

代理人の感想

TV版の部分って・・・・・・・・・どこらへんが(核爆)?

まぁ、TV版や劇場版や時ナデ版より垂れてる方が見てて面白いですけど(爆散)。

 

 

話は変わりますが「電子変換(リアクト)」というのは

「操縦者の運動神経や五感を完全に機動兵器とシンクロさせるシステム」だったはず。

(「操作」するだけのIFSとは違い、自身の体の感覚は消失して完全に兵器と一体化する)

それを戦艦で電子変換するとどんな感じになるんでしょうかね・・・・・?

昔、「『足』を動かすと方向舵が動き、『腹』に力を入れるとエンジンがフル稼動する」とか言った

一体化型宇宙船操縦法が出てくるSF読んだけど、そんな感じかな・・・?