機動戦艦ナデシコ  アナザーストーリー


世紀を超えて

第88話 タイムリミット




…異変…それは時として何の前触れも無くやってくる物だ。

そしてそれは…大抵最悪のタイミングでやってくる物で…。


その日、木星戦艦艦内では上へ下へと大騒ぎの真っ最中であった。

…突然メインコンピュータが自爆決議を出したのだから当然ではあるが。


その為…敵機接近の報告が入っても、

誰一人としてそれの対処に回っていた者は居なかったのである…。


…。


ウィ−−−ン…ウィ−−−−ン…































「…エマージェンシーを止めろォォォおおおっ!!(泣)」
「うるせええええええええっ!!(激怒)」
「誰か何とかせいやああああああっ!!(混乱)」
「助けてママン!!(謎)」
「…貴様が何とかしろってんだよ!!…聞こえねぇのか!?(怒)」
「嫌だあああっ…死にたくねぇーーーっ!!(恐慌)」
「ぐー…がー………へっ!?(寝起き)」
「おがあちゃあああああああん!!(滝涙)」

「…全員正気に戻ってくれえええええええっ!!(滝汗)」


























…戦艦皐月…木連旗艦として100年前から生き延びてきた戦艦である。

だが…そのブリッジは、今…混乱の最中にあった。(爆)


…泣き叫ぶ者、やたらとコンソールを叩く者、混乱の果てに乱闘に及ぶ者…。

天井を走り回る奴が居たかと思えば窓を割って外に逃げ出そうと石を構える者までいる。


…特に最後の奴。

…正気に戻らんと死ぬぞ?(爆)


…惜しむらくは、まともに対処している者が数名しか居ないと言うことであろうか…。(爆)

そんなこんなでおおわらわの艦内は、まさしく無法地帯と化していたのであった。


…そして…そんな艦内の片隅に、彼女達は居た…。


…。


ズルズルズル…つつーーーっ。


「おいしーね。…枝織姉?」
「…枝織…お子様に負けちゃったよ…。(呆)」

「あぅ…スパゲッティだから…すすらないで食べて欲しいの…。(汗)」


…上からコガネ・枝織・サフィーの順番である。

例の出来事の後…枝織と合流したお子様二人は艦内をうろついていたが、

自爆のカウントダウンは止まる気配を見せない。


…それでも、ブリッジの人たちが何とかしてくれるだろうと勝手に判断した3人は、

腹が減っては戦は出来ぬ…の故事に基づき、取り合えず腹ごしらえをする事にしたらしい。


「…でも…本当に美味しいヨ。」


…あ、四人か。(爆)


…。


「えへへへ…ラピスお姉ちゃんに久しぶりに会えて嬉しいの!」

「有難うネ。…ねぇ…アキトも来てル?」


嬉しそうなサフィーの台詞への応答もそこそこに、ラピスは最大の懸念を口にした。

なお、ラピスとしてはアキトの気配を察して部屋から出てきたのだから、この質問はもっともである。


「…んー、アー君は来てないと思う。…でも、勝手に部屋から出て歩いちゃ駄目だからね?」

「そーだよ!…さっき見つけた時、船から落ちかかってたんだし!(怒)」


…何気にラピスはピンチだったようだ。(汗)

なお最悪の場合、アキト達の横を落ちていったのはラピスだった可能性もあると言う事である。


…その場合を考えると、後が怖いが。(爆)


「それにしても…サフィーちゃんのスパゲティはおいしーね!」

「あぅ…昔、お母さんに連れてって貰ったお店の味を真似てみたの。」

「…もし、あの料理勝負がきちんと最後まで続いてたら、枝織たち危なかったね…。(汗)」


どうやら、例の料理勝負に出す予定だった料理を、タッパに入れて持ち歩いていたようだ。

相変わらず、マイペースな人たちである。


…なお、あの料理たちとの勝負なら…まともに食えさえすればそれだけで勝ちであったろう。(爆)

まあ…それを本人達の目の前で言える勇気ある輩など、この場には一人も居なかったが…。


…。


…そしてそれ以前に。

…この非常時に何やってるんだ君達はぁあああっ!!(汗)


…。


…そんなこんなで、少女達が「まったり」とした空気を形成している頃…、

問題のブリッジは…更なる混乱の極みの中に居た。(汗)


「自爆装置作動まで…後10分です!!」
「…ノォォォォオオオオッ!!」
神様仏様天神様聖霊様…ええい!…この際悪魔だろうが邪神だろうが…何でも良いから助けてくれれええええええええっ!!」


「うろたえるなバカ者ーーーーーっ!!」


…因みに最後で大声出している南雲さんは、今にも血管ぶち切れそうな状況だ。(爆)

そんな状況で大丈夫かとお思いの方も多いかとは思いますが…、


…もう船魂降りてるしねぇ。(爆)


なお、船魂は船の守り神みたいな物(力はそれ程強くないらしい)で、船が沈む航海の前に港に残るのだと言います。

…今回ばかりは流石に予想外だったようですけどね。(ヲイ)


…。


…木星側が、そんな酷い状況を続けていたその時…、

遥かな眼下から、黒い機体がゆっくりと上昇を開始しようとしていた。


「…流石はブラックサレナだ。…いい機動性をしている…。」

『…敵機接近。』


気付けば周囲は無人兵器で囲まれていた。


「…バッタやジョロにこいつが落とせるものか。…タゲテス行くぞ…殲滅する!」

『了解…武装を転送。』


…シュン

一瞬ブラックサレナの両腕がボース粒子に包まれる。

そして…気が付くとその片腕には一本のスピアが握られていたのである…。


「これは…?」

「マスター、それはブレイクスピア。…改造型フィールドランサーですね。」


…細身だが長いその槍は、良く見るとその穂先に電流を帯び、スパークしていた。


「…電流が流れているな。」

「それを突き刺せば、大抵の電子機器はショートしますから。…狙いはそこです。」


「成る程…な!」


…言いながら、アキトは迫ってきたバッタをなぎ払う!!

だが…そこでブレイクスピアは予想外の攻撃力を発揮した。


…バリバリバリバリ!!


「なっ!?」

『放射電撃。…スピア内部の小型相転移エンジンによる大出力ゆえに可能。』


…タゲテスの言う通り、スピアの穂先部分から放射状に電撃が広がっていく。

そしてそれは周囲数十メートルの雑魚をまとめて蹴散らす威力を見せたのだ…!


「…へぇ。…中々の威力だな。」

「はい。…時間をかけた甲斐があったようですねマスター。」


「ああ、いい出来…はっ!?


…その時…宇宙の闇にまぎれて何かが降下してくるのを察したアキトは、咄嗟に回避行動を取る!

その刹那…アキトのいた場所にミサイルが撃ち込まれた!!


「ほう。流石にやるな。」

「…北辰!!」


バッタの残骸にまぎれ降りてきた北辰の夜天光だ!

…そして…それを見たアキトの目つきが変わった!


「…くらえぇっ!!」

「ふん!」


…ショルダーアーマーに付いていた9連装ミサイル×2が一斉に火を噴く!!

そして、夜天光目掛けて一直線に突っ込んでいった…!


「甘いわっ!!」
「…切り払われただと!?」



…北辰は錫杖をぶんぶんと振り回しミサイルを迎撃していく。

が…爆風だけはきっちり食らっているのは…愛嬌だろうか?(爆)


「…今日はまた、随分と調子がよさそうだな…。」

「くくっ…さてな…」


ザザッ…ピー−−…北辰殿ぉぉおおっ…たぁすけてーくださあああ、プツッ!

その時…謎の通信が入ったが、北辰は速攻で通信機の電源を切った。


「…空耳だな。…けして救出活動が面倒なわけではないぞ?

「げ…外道め…。(汗)」


…そして両者は距離を取り、双方近接武器を手に取った。

因みに先程の一幕は完全に無視することに決めたらしい。(ヲイ)


「しかしな…その機体…流石に雛と言えども黒帝よな。」

「…貴様だけは生かして置けない。…早急に消えてもらうぞ…!」


…緊迫した空気。両者共に自分の獲物を手に、相手の出方を伺う…。

その均衡を破った物は…、


とすっ…


間の抜けた音であった…。

…突然背後からした謎の音に、北辰は思わず反応した。


「…ぬ?」

「かかったな北辰!」


…よく見ると、夜天光の背中にワイヤーの付いた銛の穂先のような物が突き刺さっていた。

しかも、そのワイヤーはブラックサレナの背後から伸びているではないか!


「これは…尻尾か?」

「その通り…ま、遠隔操作の出来る外部端末と言う所か。」


…かつて、アマテラスのドアロックを外した時に使ったのがこの尻尾である。

だが…これで何をしようというのか?


「…で、これでなにが出来ぶぶぶぶぶぶぶべべべべべっべららららああああっ!?」

…ヒー〇ロッドを参考に改造してあって、高圧電流が流れる仕掛けだ。」


漫画のように骸骨を浮かび上がらせながら、感電し続ける北辰。

…これは、ひどい。(汗)


「…さて止めだ北辰、長き因縁に終止符を打たせてもらう。なぁ…ユリカ…。

「…ぞんばびうばぶいぶどおぼぶばっ!?」


…アキトはスピアを夜天光のコクピットに会わせる。

だが北辰が痺れたままで、
未だに夜天光ごと痙攣を続けているので何処と無く笑える情景だ。(汗)


「さらばだ北辰!」

「ざぜるがぁばばばばばば…!」


…グサッ!!


スピアが夜天光のコクピットブロックを貫いた!

そして…、


「駄目押しだ!!…放射電撃」
「そうはいかないですよ!」


ズズーーー・・・ン!

…突如、横から突っ込んできた何かにブラックサレナが弾き飛ばされる!


「…ぐわっ!?」


「北辰殿…ご無事で?」

「…あ、東…東八雲か!」


「ええ…だいぶ苦戦されてるようですし…援護に来ました。」

「…ぐ…貴様に借りを作ってしまうとはな…。」


…貫かれたコクピット内でマ〇リックス避けの体勢のまま北辰はそんな事を言う。(笑)

相変わらず愉快なキャラが抜け切らない様子である。


「…穴の空いた機体では満足な働きは出来ないでしょうし…下がって頂きたいですね。」

「…役立たずだとでも言いたげだな…八雲よ。」


憎々しげに北辰が言う。…が、


「はい、ありていに言えばその通りです。(きっぱり)」

「…わ、判った…。」


の表情でそんな事をのたまう八雲さんに対し、

北辰は引きつったままの表情で、艦の方に戻って行かざるを得なかった…。(汗)



…でもいいのか…船は沈みかけてるんだけど…?(汗)



…。


「さて、お待たせしましたね。…黒帝?」

「…貴様…東八雲とか言っていたな。…この俺が接近に気付かないとは…。」


…アキトは眼前に立ちふさがる敵を凝視した。


紫色の夜天光…カスタムタイプだろうか?錫杖の代わりに日本刀らしき物を装備している。

そして…運動性がかなり強化されているようだ…。


だが…それより恐ろしいのは、殆どレーダーに映っていないということ。

原理は不明だが…視認するより他に補足する手は無いように思える…。


「…ロックオン不可能。…これじゃあミサイルすら使えない…か。」

「止まったままとは…随分な余裕ですね…ではこちらから行きます!」


…その刹那…夜天光(紫)はアキトの視界から完全に消え去っていた。

殆どレーダーに映らない以上、見失ったと考えて良いだろう…。


「くっ…何処だ…何処に居る!?」

『敵機…ダミー、チャフを放出した模様』


…夜空のあちこちに、夜天光のフォルムが浮かび上がる。

だが…その大半はダミーバルーンであった…。


「…これは…以前ヤマサキが開発していた…。」

「マスター、100年も時間が経過しています。…完成していて当然でしょう。」


…プラスの言うとおりであった。だが…だとすれば話は更に厄介な事になる。

過去編25話を覚えておいでだろうか…?


…もう忘れてる方が大半だろうけど。(泣)


…。


バタタタタタッ…

ライフルが突如としてサレナを襲う!


「そこかぁっ!!」

『ハンドカノン転送』


…ブラックサレナお得意のハンドカノンが、ボソンジャンプで転送されてくる。

それを確認すると、アキトはそのまま敵機にぶっ放した!


…ドォンドォン…バシュ!


「ちっ…バルーンか!」

『内部にバッタが存在。…これでかく乱と攻撃を行う様子』


「…つまり…全てが攻撃能力をもっていると?」

『内部に機動兵器を仕込んでいる物は50%程と推測』


「…なら…全部破壊しても同じ事か。」

『了解。…ミサイル全弾発射!


業を煮やしたアキトは全てを焼き払う気になったようだ…。

蜘蛛の子を散らすようにミサイルが周囲に広がっていく。


そして…


…ドッゴォォォオオオオオン!!


周囲の全てを薙ぎ倒していった…。


…。


「…もう近くに動いている敵は居ないな…?」


…事実、周囲に存在する機動兵器は完全に破壊し…周囲には動く物とて無い。

夜天光は巻き込まれて落ちたか…もしくは逃げ出した物と思われた。


「よし…ルリちゃん達の方に行かないとな…。」

『了解。…敵勢力殲滅…高速移動モードに移行…。』


敵勢力の反応が消えた事を確認すると、タゲテスは戦闘モードを解く。

が、


「タゲテス!…駄目ッ!」


「何…?!」

『…警告?』


…プラスの警告も一瞬遅かった。

シュルルルルルル…と、何かを巻き取るような音が背後から聞こえてくる。


「…流石に、一筋縄ではいきませんか!」

「…ワイヤー…?…しまった、足に絡み付いていたのか!?」


そう、先程アキトの視界から消えた時、八雲はワイヤーをサレナの足に絡みつかせた。

…そして夜天光はそれに掴まったまま動力を落とし、音無しの構えを見せていたのである。


「しかし…何故ここまで此方の警戒網を突破できる!?…ステルスだけでは説明がつかない!」

「きちんとした理由はありますよ。…ゆっくりお教えします。…木星でね!」


…ドゴォッ!!


「…ぐわっ!?」

「貴方がもし本物の黒帝なら…この程度で死にはしないでしょう…。」


…夜天光は勢い良く拳をサレナのコクピットに叩きつけてきた!

その衝撃は装甲越しにでも伝わり、アキトはコクピットの壁に叩きつけられる!


ごすっ…がすっ…!


「…しかし…何と言う装甲ですか。…これだけやって傷一つつかないとは…。」

「ぐっ…パイロット共々、丈夫さが売りなんでね…。」


…ドガッ!!

間髪居れずにもう一撃!!


「ぐぉっ…これじゃあ反撃する暇も無い!」

「さあ、もう良いですから休んで下さい!…妹さん共々木星にご招待しますよ!」


「…ぐっ…誰がこの程度で…ううっ!?


…くらっ


突然の眩暈…そしてアキトの意識は抵抗する間も無く、深い闇の中に落ちていく。

何故か…等と考える暇も無かった…。


『…原因不明の昏倒、ダメージによる物では有りません。…理解不能。』

「マスター?」


「…どうやら…お休みになられたようですね…。」


静かになったことに気付いた八雲が攻撃を止めた。

…そして…夜天光がブラックサレナを持っていこうと手を伸ばした瞬間…!


ガシィッ…!!


ブラックサレナが突然再起動し、夜天光が伸ばしていた腕を掴んだ!!


「………待てよ。…好き放題してくれたようだな…?」

「まだ動けるんですか?…取り合えず…手を離して頂きましょうか…。」


「断る。」

「…しかししぶとい。…ですが、そうでなければ困るんですよね、此方も。」


…貴様らの都合など知らん。…妹達を帰せ。」

「貴方がこちらに来てくれさえすれば、全ての問題は解決しますよ…。」


…ギロリ

黄金の双眸が紫の機体を睨み付けた。


「俺は誰にも従わない。…俺自身が従うと決めない限り。」

「…。」


「そして…家族を…妹達を貴様らの好きにはさせない!!

「…そうですか。…ならば消えてください。」


…ゆっくりと…夜天光が離れていく。

そして…正眼に刀を構えた…。


「…随分長く気を失っていたようだな。…周囲の風景が一変して居やがる…。」

「ほんの一瞬ですよ。…さて、木連存続のため…貴方には消えていただきます。」



アキトはハンドカノンを無意識の内に捨てた。

そして…サレナの拳をぐっと握る…。



「…はっ…来いと言ったり消えろと言ったり…忙しい事だな?」

「この時点で来て頂かないと…貴方の妹さんに滅ぼされるそうなんで。」


はっ…と、アキトはその言を吐き捨てる。


「下らない予言に遊ばれやがって…人の迷惑を考えろ。

「でも…不安材料は取り除くべきでしょう…万が一と言う事もありますし。」


…。


沈黙の時…それは一瞬の事であったろう。

だが…本人達にとってはその数十倍もの時に感じていたのかも知れない。


「東八雲…行きます!」
「…死ねぇえええええっ!!」


…夜天光は先制してマイクロミサイルを胸部から発射した。

だが…実はあえて避けられるように放っている。


(戦闘とは…結局のところ心理戦になります。…戦う相手が人である限り…。)


…八雲の計算ではそうして敵の行動を誘導していけば、

後…数十手程で手詰まりにさせることが出来るはずだった。


…将棋やチェスと同じ。

敵の行動を予測し、また自分に都合の良いように誘導してやるのが勝利への近道なのである…。


(…誰だって死にたくは無い。…ならばそこを…心の隙を付けば勝てる…。)


…先程のアキトとの戦闘もそうだった。


ダミーなどで自分の位置を隠蔽した後、無人兵器をいやらしい間隔で周囲に配置…、

…業を煮やした敵が大技を使う隙に背後に回りこみ、敵が警戒を解くのを待った…。


…実際まともに戦っていたら夜天光に勝ち目は無かったろう…。


だが…今回は向こうにも時間が無いのは判りきっていた。

…故に行動も読みやすかったのだ…。


(特に…洗練された兵士と言う物は無駄な行動が無い。…それが此方の付け入る隙…。)


…そんな事を思いながら、八雲は次なる攻撃の準備に入る。


…。


3時の方向に、大きなミサイル網の穴がある。

だが…そこを抜けるのは、少なくとも中級者以下であろう。


…罠だと言わんばかりの場所に突っ込むのは愚者の行為である。


…そして…7時の方向にも小さなミサイル網の穴があった。

しかし…エース級ならそこは狙うまい…。


…ガチャ…、


八雲は次なる攻撃をこっそりと1時の方向に向ける。

…実はここのミサイルは少なくしてあった。


…敵が気付いてさえくれれば、意表を突かん…と飛びついて来る筈!


「黒帝…ここで消えて頂きます。
 …貴方さえ居なければこの戦争は起こらなかったかも知れないんですよ!!」

「勝手な事を言うなぁあああっ!!」


「…なっ!?」

「時間が無いんだ!!…消えろ消えろ消えろ消えろぉぉおおおおっ!!


…ブラックサレナが…正面から突っ込んできた!!

勿論、ミサイル攻撃をまともに受けてだ!


「馬鹿な…命が惜しくは無いんですか貴方は!?」

「…うるせぇえええええっ!!」


…ドガッ!!


「うっ!?」

「うぉおおおおおおおっ!!」


…ミサイルの雨の中を突っ切った勢いのまま、サレナは夜天光に殴りかかる!!


(せ、戦術も何も無い…この男…ただ勢いで突っ込んでいるだけ!!)

「…返せ返せ返せ!
 …俺の家族を返せっ!!」



「あ、貴方は一体…何なんですか!?」

「…妹達の事に関して…俺は超人なんだよ!!」














…アキトは
兄馬鹿を極めた。(爆)









だが…戦っている方には笑い事ではない。

心理戦も何も無いのだ…ここに居るのは正に手負いの獣!


(なんて事だ…これが…これが黒帝だと言うのですか!?)

「…ちっ…もう時間が……もう、貴様に構ってる暇など無い!!」


…ゴスッ!!

アキトは夜天光を蹴り飛ばすと急加速で上昇を開始した!!


「じゃあなっ!!」
「あ…!?」


…そしてそのまま…


…ドガシャアアアアアアアン!!!


サレナの巨体で戦艦に体当たりして、内部に侵入するのであった。

…巨艦の真ん中に空いた大穴が惨たらしい…。


…なお、この衝突で数十人が艦から弾き落とされた事を追記しておく。(ヲイ)




…。




さて…その頃のルリ。

…彼女は…ベッドににされて、暗い部屋のど真ん中に置かれていた。(汗)


…えーろーいーむーえっさいむ…えーろーいーむーえっさいむ…


「…こ、ここは何処でしょう…?」

「ここは…まあ、知らない方が良いわ。」


気付くと、ルリの傍に誰かが居る。

…ルリは彼女の方に首だけで向き直った。


「…では、貴方は誰なんです。バニーガールの人?(汗)

「…まあ…これから貴方の先輩になるもの…かしら?」


…バニーガールの格好をした女性は、耳をひくつかせながら心底同情した口調でそう切り出した。

…いや…そのウサ耳は…本物だ。(汗)


「…は?」

「知らない方が良いわ…いえ、一生気付かない方が良いかも…。」


…やいる…かめ〜〜〜〜ん!


「…それと…周囲から聞こえてくる無気味なうめき声は…。(汗)」

「雰囲気を出すためって話よ…。」


ぺた…ぺた…ぺた


「おーい、カタオカ−。…麻酔薬はどこか知らん?」

「…さぁ?」


…。

「い…いまのた〇パンダは…?(汗)」

「私の…いえ、私達の先輩かしらね…。」


…段々と顔が青くなるルリ。


「…えーと、ねえルリさん?」

「は、はい?」


…じーく……じおん!


「…猫は好きかな?(乾いた笑い)」

「は?(汗)」


「じゃあ…カエルは?…そうそう、貴方妖精って呼ばれてるんだってね。…えー、…ところで魔法少女って響きに憧れない?」

「…そ、そ、そ…それが何だって言うんですか!?(半泣)」


ぽむ…

ルリの肩に手が置かれる。


「…頑張って…
生きていきましょうね…。(泣)」

「ど…どう言う意味です!?(叫)」


…バタム!!

逆行の中…誰かのシルエットが部屋の中に入り込んできた…!


「…誰ですか?」

考えない方が幸せよ。…きっと。」


はぁ…と、大きくため息をつくウサギさんの横を通り、その男はやってくる。

…そして人影はルリの傍まで来るとニタッ…と笑って言い放った。


『山崎実験王国へようこそ!!』


…と。(汗)


…。


急げアキト…急げばまだ間に合う!!

…そのタイムリミットは
限りなく厳しい物となりそうだが…。


…戦艦自爆まで…残り10分を切っている。

果たしてアキトは無事に妹達を救出できるのであろうか…?

続く


::::後書き::::

BA−2です。…第88話、如何でしたか?

…色々詰め込みすぎたかも知れませんね…反省。


妹達の救出に向かうアキト。

のんきにご飯食べてるサフィー・ラピス他。


そして…何気に捕まっているルリ…。


…今後の修羅場が予想されますが、温かな眼で見守ってやってくれると嬉しいです。

では!

 

 

代理人の感想

妹たちの為なら超人になるって・・・・

言いきりやがったよオイ(笑)。

 

しかしまぁ・・・策を破るには相手の想定しないことを・・・というのは基本ですが、

ガイならとにかく、まさかアキトがやるとは思わなかった(笑)。

 

 

追伸

・・・もともとたれてたし。(謎爆)