我々『出歯亀探検隊』は、現在、連合宇宙軍宿舎の大浴場前に来ている。
今回のターゲットは『電子の妖精』・・・・・
彼女が入浴中だという情報を得て、我々は幾多の困難を乗り越えて、ここまでたどりついた。
まずは暖簾の文字を確認し・・・・・確かに『女』と書かれている・・・・・脱衣所に潜入した。
大型扇風機に今時珍しいアナログ表示の体重計。
備え付けのドライヤーに各種牛乳が入ったケース。
正統的な20世紀後半の銭湯スタイルだ。・・・個人的にとても好きなスタイルである。
とりあえず、あたりを見渡す・・・・・誰も居ないようだ。
続いて脱衣籠をチェック・・・・・衣類の入っているのは一つだけ・・・つまり浴室に居るのは一人だと予想される。
さて肝心の籠の中だが・・・・・残念! 大判のタオルが乗っていて中のほうが確認できない。
トラップが仕掛けてある恐れがあるのでタオルをどける事は出来ないが、タオルにオモイカネのマークがあるので、まず間違いなくターゲットのものだろう。
いよいよ浴室内に潜入を試みるが・・・その前に扉の曇りガラス越しに内部の様子を探ってみる。
曇りガラスに耳を押し当て、意識を聴覚に集中する。
―――カコ〜ン
―――ザバァァァ〜
銭湯特有のエコーが掛かった水音や洗面器を置く音がする・・・どうやら身体を洗っているらしい。
・・・・・・・・思わずその様子を想像してしまった(なぜか前屈みになっている)。
今度こそ浴室に潜入を開始する・・・とは言うものの、我々が浴室に入るとさすがにターゲットに見つかってしまう。
そこで浴室に潜入するのは、ウリバタケ謹製、空中浮遊型カメラ『リリーちゃんDE 出歯亀仕様』だ。
このカメラは直径20センチと小型ながら、ステルス機能搭載の上、高解像度、おまけに生活防水という素晴らしい物なのだ!!
ソッと曇りガラスを開け、いざ立ち込める湯気の中へと『リリーちゃんDE 出歯亀仕様』を突入させる。
・・・ちなみに我々は脱衣所でモニターを見ながら、『リリーちゃんDE』をリモコン操作している。
浴室内は予想以上に湯気が充満していて、視界はあまり良くない。
壁沿いに浴槽の方へ『リリーちゃんDE』を移動させるが・・・・・どうやらターゲットは既に浴槽から出ているようだ。
我々の心に焦りが生まれる。
何故なら『リリーちゃんDE 出歯亀仕様』は高性能なのだが、その移動可能な距離は極めて短い。
おそらく・・・あと浴室一往復分しか動けないだろう。
我々は『リリーちゃんDE』を入り口付近に移動させる・・・・・これが最後のチャンスだった。
祈るような気持ちで画面を見つめていると・・・・・・・画面の端に人影が見えた。
『リリーちゃんDE』を人影のある方へ向ける・・・・・もう限界が近い。
もうダメだ・・・・・我々がそう思った瞬間・・・湯煙が晴れて視界がひらける。
・・・・・そして、我々が見たものは!!
視界がひらけた瞬間、我々の目の前には・・・
スパパーンと股間をタオルで叩くハーリーの姿が・・・
我々を襲った悲劇はそれだけでは無かった・・・・・
突然の映像に、呆然となった私は『リリーちゃんDE』の操作を忘れていた。
近づき過ぎた『リリーちゃんDE』はハーリーのタオルに絡め取られると、股間に向かって一直線・・・・・そのまま押し付けられた。
画面一杯に映る、子供のクセに妙に大人なその部分(しかも熱帯雨林!!)・・・・・
我々は、しばらくその場から動くことが出来なかった・・・・・・・・・・
(ちなみにハーリーも、局部を突然襲ったモーレツな痛みに、しばし悶絶していたらしい・・・)
作者から一言
だから後悔するって言ったのに・・・・・
某『電子の妖精』からの御言葉
クスクスクス・・・今回はこれで許してあげますが、二度と覗こうとしないように・・・
ちなみに暖簾は一時的に取り替えておきましたので・・・あしからず。