機動戦艦ナデシコanother 楔 kusabi 〜 第5話
ナデシコがサツキミドリ2号コロニーに寄航して半日。
ナデシコよりも先にドッグ入りしていたユーチャリスから、三人のマシンチャイルドを引き取るために、ナデシコのおもだったメンバーは、二番ドッグに集まっていた。
プロスペクターの手回しにより、そのメンバーの一人として同行していたアキトの前に、見たことも無い流線型の戦艦が鎮座している。
ナデシコよりも、はるかに洗練されたデザインは、その高い潜在能力を、見る者に感じさせた。
プロスペクターが溜息のような声を洩らす。
「これがユーチャリスですか。なんともはや、声もありませんな。
ナデシコと同等か、それ以上の戦艦がこうして稼動しているとは。信じられない」
ユリカも同じように呆然としていた。
しかし、洩らした言葉はプロスペクターとは根本的に違う。
「取り替えっこして欲しいなあ……」
なにをだ!? と心の中でツッコミつつ、アキトは別のものを凝視していた。
車椅子の白づくめの女性と、その背後に立つ、灰色のバイザーで顔を隠した瑠璃色の髪の少女、そして三人のマシンチャイルドの子供たち、そしてなによりも、その全員を守るようにして立つ、黒いバイザーと、黒いマントの男――黒アキトをである。
あの男が、なぜここにいるのか、アキトにはその理由がわからずにいた。
サセボでの一年間、中華料理屋での修行と二足のわらじで、この男に武術を習ってきたのだ。
一般に言えば「師弟」という関係なのだろうが、アキトにとっては「宿敵」という感覚であった。
修行の過程で、なんど死にかけたかわからない。
折られた骨の数は軽く二桁を数える。
身体中に残る、一生ものの傷跡は、自分でも数え切れないほどだ。
男から、はっきりとした殺意を感じたことも、なんどとなくある。
――気を抜けば、殺される
アキトは一年の間、そんなプレッシャーと闘いながら、血を吐く思いで男から武術を学んできたのだ。
「あんた……なんでここにいる」
アキトの言葉に、男は薄く笑って答えた。
「ユーチャリスの副長だからな。言ってなかったか?」
それどころか、名前すら知らないのだが、この際、そんなことはどうでもいい。
重要なのは、なぜこの男が、こうもなんども自分の前に姿を現すのかという、そのことだった。
「オレになにをさせようっていうんだ、あんた!」
「好きにすればいい。俺も好きに行動しているだけだ。
おまえこそ、なぜここにいる。ナデシコになぜ乗ったんだ?」
アキトは口ごもっていた。
ガイの死で揺らいだ信念を取り戻すには、まだ時間が必要であった。
「しかし――」プロスペクターが口をはさんだ。「こうして見ると、お二人とも、なんと言うか――」
「よく似ている、だろ」
男があっさりと言葉を継いだ。冷たい笑みがその顔にある。
「俺もクローンかもしれないぞ? 調べてみろよ、プロスさん。
それが、あんたの仕事だろ」
プロスペクターが引きつった笑いをあげた。
「いやいや、まさかそんな。どう見ても、あなたのほうが年上だ。
それでは、テンカワさんのほうがクローンということになってしまいます。
それはいささか計算に合いませんなぁ」
「そうかな?
クローンは生産性を上げるために、幼年期が短くなるように設計されるそうじゃないか。
つまり、俺のほうが、早く年をとるのかもしれないぜ。
どうなんだい、プロスさん。本当はもう調べはついてるんだろう」
その通りだった。
しかし、調査した結果わかったのは、このユーチャリスという戦艦と、もう一隻の戦艦が、彼らを乗せて突然この世界に出現したとしか考えられないということだった。
しかし、彼らは、マシンチャイルドの子供と、強力なハッキング戦艦を二隻も所有している。
あきらかに、なんらかの情報操作が行われたのだ。
問題は、どの情報が真実で、どんな情報が隠蔽されたのか、それを見極める方法だった。
テンカワ・アキトの出生そのものが操作されている可能性もある。つまり、クローンはテンカワ・アキトだということだ。
テンカワ・アキトの両親が、科学者であったため、その研究内容も詳しく調べられた。
しかし、ネットワークに存在する情報が不正操作された疑いがある以上、信用できるのはペーパーベースの情報と、人間という不確かなネットワークだけである。
火星圏が木星蜥蜴の勢力下にある今、調査は、難航の一途をたどっていた。
あるパイロットが、冗談のように語っていた「生き別れの兄」という可能性すら、大真面目に調査が進められていたのである。
「オッカムの剃刀という言葉、知っているよな、プロスさん」
プロスペクターは首肯した。
「頑張って、その剃刀で削ってくれ。どんな真実が残るか、楽しみにしているよ」
大量のウソを殺ぎ落としていけば、真実は残るということか?
言葉通りに受け取れば、二隻の戦艦が、突然この世界に出現したということになってしまう。
真実は隠していないという意味だろうと、プロスペクターは受け取った。
「ありがとうございます。職務に邁進させて頂きましょう。
結果は、真っ先にお知らせしますよ」
この話はここまでという態度で、黒いバイザーの男は、顔をプロスペクターからそらした。
その顔は、彼の腰にべったりと抱きついている、桃色の髪の少女に向けられる。
その少女の外見は10歳前後。しかし、渡された資料によれば、14歳だということだった。
「ラピス。しばらく、お別れだ。ナデシコで、元気にやれよ」
ラピスは、その顔を黒いバイザーの男の腹にうずめ、激しく横にふった。
絶対にいやだという、強い意思表示であった。
苦笑しながらその桃色の髪を撫でる男を、白づくめの車椅子の女性――白ユリカが、胡散臭そうに見ている。
おもむろにコラピスをひざに抱き上げると、その光景をよく見るようにと話しかけた。
「コラピスちゃん。あれだけは、絶対にマネしちゃダメ。あれは悪い見本だからね」
学習する幼児は、こくこくと素直にうなずいた。
「あれは悪いの……」
その返事に満足して、邪悪な笑みを洩らす白い女性。
恐ろしい光景だった。
悪意ある刷り込みが行われるなか、アキトはというと、ガマのカエルのように冷や汗をだくだくと流している。
その原因は、全身に絡みつく、ねっとりとした視線である。
視線のもとは、白い女性の背後に立つ、瑠璃色の髪の少女であった。
灰色のバイザー越しでありながら、その視線には、たしかな温度が感じられた。
ときおり、アキトがその少女の顔を見ると、ポッとほおを赤らめ、視線をそらす。
しかし、アキトが別の方角を見ていると、また、絡みつくような視線が向けられるのである。
――なんなんだよ……
冷や汗を垂らしながら、アキトはどうしたものかと、自問自答を繰り返していた。
クローンだのなんだのという、かなり衝撃的な会話も、アキトの耳には入っていない。
そこに、異変を嗅ぎつけたユリカが加わってきた。
さりげなく、少女とアキトの間に移動して立ちふさがる。
空中で、無言の激しいバトルが開始されていた。
助かったような、より泥沼化したような。
はやく帰りたいというのが、アキトの本心であった。
その後、三人のマシンチャイルドの受け渡しも穏便に――実際はいろいろとトラブルを巻き起こしながら――無事終了した。
ユーチャリスは補給を終えると、バイザーで顔を隠した三人を乗せ、飛び去っていく。
ナデシコもまた、ユーチャリスから遅れること三時間後、サツキミドリ2号コロニーを後にした。
目指すは火星。
しかし、到着までには二ヶ月以上の時間を要するのであった。
厨房に雑多な匂いと音が満ちている。
香辛料のきつい香りに彩られた、食欲を刺激する赤い色。
ぼたぼたと煮立つ鍋物が奏でる、やわらかい音と香り。
そして、包丁が踊る、軽いリズム。
そこは活気に満ち満ちた場所だった。
「アキトくん、それには、醤油じゃなくて、ナンプラーじゃないと」
後ろ髪をポニーテールにまとめた少女が、鍋に醤油を垂らそうとしていたアキトの手を止める。
アキトと並ぶと、背丈がほとんど変わらない。
スタイルのよさとあいまって、かなり人目を引く少女である。
厨房の五人娘の中では、リーダー格の行動力を持つ、テラサキ・サユリであった。
「え? ナンプラーって、何?」
アキトの問いに、サユリが嬉しそうに笑みを浮かべた。
とととっ、と小走りにアキトの左横に並ぶと、指を立てて揺らしながら口をひらく。
「ふふ。ナンプラーっていうのは、タイ料理なんかでポピュラーな調味料なの。
魚油が原料のお醤油みたいなものかな。でも、とっても独特の匂いがあるんだ。
この料理には、やっぱりナンプラーじゃないと、あの風味は出ないのよね」
へー、としきりに感心するアキトの横顔を、サユリはニコニコと微笑みながら見ていた。
どうやら世話焼きの性質らしいが、アキトの横に寄り添う姿は、それだけが理由でもないようだ。
「そっかあ。じゃ、オレ、ナンプラー取りに行ってくるよ」
「あ、私も一緒に行ってあげる。
この厨房、ホウメイさんの主義で、すごい数の調味料がそろってるんだから。
一人で行っても、絶対に見つけられないと思うな」
そう言って、アキトの服の袖を掴んだサユリの前に、でんとナンプラーの容器が突き出された。
「これよね〜、サユリ。
――はい、アキトさん、使ってくださぁい」
ボブカットの女の子が、大きな黒い瞳を輝かせて、アキトを挟む形でサユリとは逆側に寄り添った。
ころころとよく表情を変える娘で、見ていると、こちらも元気が出てくるような魅力がある。
ミズハラ・ジュンコである。
「へー、これがナンプラーかぁ。じゃあっと――よし、いくぞ!」
そう言って、ナンプラーを鍋に加えようとしたアキトの手を、ジュンコが横から掴んだ。
「あん、ダメですよぉ、アキトさんてば。
ナンプラーは味がきついんですから、ちょっと量を間違えただけで、
すごい味になっちゃうんですよぉ?」
「えっ、そうなの? どれぐらいが適量なんだ、オレ、全然わかんないや」
ナンプラーを持つアキトの右手に、今度はサユリが手を添えた。
その際、さりげなくジュンコの手を払いのけたりなぞしている。
そのサユリの立ち位置が、だんだんとアキトに擦り寄っていた。
「もう! 勉強が足りないよ。そういう時は、まず自分の舌で味を確認するの。
ナンプラーは、香りも大事なんだから、よく覚えておくのよ?
ほら、すこし舐めてみて」
そう言いながら、自分の左手の小指に、ナンプラーを一滴垂らした。
「え゛……」
さしものアキトも、素直にそれを舐めることはできないらしい。
しかし、サユリは親切心で澄み切った瞳を輝かせ、じっとそんなアキトを見つめている。
ほらぁ、と言いながら何の躊躇もなく、指先をアキトの口元に持っていった。
「ダメです、アキトさん! 指で舐めたりしたら、塩分で味が変わっちゃうんですから!
こっちの方がいいですよ。
は〜い、あ〜んしてくださぁい」
スプーンの先にナンプラーを垂らし、こんどはジュンコがアキトにべったりと身を寄せてきた。
にっこりと楽しそうな笑顔を浮かべながら、左手をスプーンの下に添えてアキトの口元に運ぶ。
それは、新婚夫婦の食事風景のようですらあった。
「え゛え゛っ……!」
どうなってるんだこれは、という混乱しきった顔で、アキトは狼狽していた。
どちらも、口にするには、いろいろな意味でかなりの度胸と覚悟がいる。
アキトに可能なのは、両方一度に口にしてしまうか、両方とも投げ出して逃げるかだった。
鍋は、そんな三人の間で、ぐつぐつと煮立っていた。
「ほら、サユリ、ジュンコ! あんまりテンカワを甘やかすんじゃないよ。
そんなんじゃ、いつまでたっても、独り立ちできないだろうが」
パンパン、と手を打ち合わせながら、そう助け舟を出してくれたのは、ホウメイだった。
はぁ〜い、と綺麗にハモり、二人は残念そうな表情でアキトから離れていった。
大きく息を吐くと、アキトはホウメイをふりかえった。
「どうしたんですか、あの二人。なんか変ですよ」
「そうかい? ま、自分に素直な娘たちだからねえ。
あんたも、いまじゃナデシコの中心人物だからさ、いろいろあるさね」
はあ、と不明瞭に返事をすると、アキトは改めてホウメイに話しかけた。
「それで、ホウメイさん。結局これ、どうすればいいんでしょう」
ナンブラーの容器をしげしげと見つめている。
「あん? ああ。まあ、好きにやってごらん。それも修行だよ。
ただし、言っておくがね、味見するんなら、薄めてからにすることだね。
濃縮してあるんだから、そのまま舐めたりしたら、舌が馬鹿になるよ」
「え? でも二人とも……」
「からかってたんだよ、バカだね。驚かしてやろうとでも思ったんだろ。
可愛いじゃないのさ……そうなんだろ、二人とも」
「「ゴメンなさ〜い!」」
と、これまた綺麗にハモりながら、二人は楽しそうに皿洗いをしていた。
「……そっスか」
ようやく納得したらしく、アキトはチョビチョビとナンプラーを鍋に加え、味を確かめ始める。
「しかし、あんたもずいぶん元気になったね。
ヤマダの奴が死んじまった時には、どうなることかと思ったよ」
ホウメイのその言葉に、アキトは静かな声で答える。
「いろいろ考えたっス。一時期は、オレもジュンも、ナデシコを降りようかと思ってましたしね。
でもオレ、まだゲキガンガーは捨てられないです。ガイの分も、まだまだ諦めらんないですよ」
そうかい、とホウメイはうなずいた。
「まあ、例えがよくわからないけど、言いたいことはわかるよ。
強いね、テンカワは。
それにひきかえ、ジュンのやつは……」
ジュンはガイが死んだ翌日から、謹慎という名目で、自分の部屋に閉じこもっていた。
「あいつ、なにを信じて行動すればいいのか、わからなくなってるんでしょうね。
一年前のオレもそうでしたから、よくわかります」
「あんたは、どうしたんだい、そん時にはさ」
「体を動かしたんですよ。
ちょうど、あの黒いバイザーの男に出会って、武術の特訓を受け始めてましたし。
そのうち、全部忘れちまいました」
「なるほどねえ。
テンカワ、あんた、ジュンに武術でも教えてやったらどうだい?
案外、一番いい解決策なのかもねえ」
アキトは小皿で味を確認しながらうなずいた。
「そのつもりですよ。――ホウメイさん、こんなんでどうですか?」
差し出された小皿を受け取り、ホウメイは味見した。
「うーん、もうひと頑張りってとこだねぇ。――ところで、テンカワ……」
いきなりホウメイが表情を引き締めた。
「は、はい!」
「味見するのは、ナンプラーだけにしとくれよ」
「なんですかそれ?」とアキト。
ホウメイはニヤリと笑っていた。
「うちの娘たちまで味見したら許さないからね、あたしゃ」
がしゃんっ! という景気のいい音をたてて、二枚の皿が、同時に床に落下して割れた。
ちなみに鍋の中には、ナンプラーが容器ごとぶち込まれていたりするのだった。
てててっ、と二つの足音がブリッジを横切ると、一段高くなった艦長席の段差に、コラピスとコハーリーがあごを乗せた。
そのままの格好で、そこにいる面々の行動を興味深そうに観察している。
ブリッジには、ユリカとメグミの姿があった。
「ねえ、メグちゃん……」
「なんですかぁ、艦長」
眠そうにあくびを洩らしながら頬杖を突いていたユリカが、これまたタレきった格好でファッション雑誌をテレテレと眺めているメグミに話しかけた。
「ひまだねぇ」
「そうですねぇ」
しばしの沈黙。
ユリカのあくびの声と、メグミが雑誌のページをめくる、ぱらぱらという音だけがブリッジに響いていた。
「ねえ、メグちゃん」
「なんですかぁ、艦長」
「アキト、いまごろなにしてるかなぁ」
「今のシフトなら、ナデシコ食堂で働いていると思いますよ」
「アキトの手料理食べたいねぇ」
「そうですねぇ」
また沈黙。
ぱらぱらという音。
「ねえ、メグちゃん」
「なんですかぁ、艦長」
「私たち、なんでこんなことしてるんだろうね」
「当直ですから」
「私たちなんて、必要ない気がするの」
「いざというときに、困るかもしれないじゃないですか」
「いざというときって、いつ?」
「さあ」
「……」
三度、沈黙。
いいかげん、読むところがなくなったのだろうか、ページをめくる音が、異様に早くなっている。
「ねえ、メグちゃん」
「なんですかぁ、艦長」
「……サボっちゃおうか」
ぱんっ、という小気味いい音を立てて、メグミが雑誌を閉じた。
「艦長命令なら、しかたないです。お付き合いします」
「メグちゃん……ズルイ」
「そうですか?」
「ぜったいそう」
「そうかなあ」
「そうだよ」
「……そうかもしれないです」
意外と仲のよい二人である。
とたとたという二組の足音が通路に響き、一室の扉の前で止まった。
『アオイ・ジュン』
扉のネームプレートには、そう書かれている。
二人の子供が、背伸びをしながら適当にバンバンとパネルを叩いていると、何の偶然か、扉が音もなく開いていった。
暗い室内からは、なにかの音楽と声、めまぐるしく点滅する光が漏れてくる。
二人の子供は、そっと室内を覗き見た。
そこには、ひざを抱えたジュンが、放心したように、ひたすらゲキガンガー3を見つづけている姿があった。
数分の間、その姿を観察していた子供達だが、あまりの変化の無さに、退屈したらしい。
ぷくっとコラピスが頬を膨らませると、コハーリーの手を引いて、ジュンの部屋から駆け出していった。
あとに残されたジュンは、身じろぎ一つせず、ただ、流れる映像に見入っている。
フクベ提督が、コタツで背を丸め、渋茶とセンベイをかじっている。
その正面には、同じように、コラピスとコハーリーが並んでコタツに入っていた。
渋茶をすするフクベ提督を、二人はじっと観察している。
「……欲しいのかね」
その問いに、二人は何も答えなかった。
もくもくと渋茶をすすっていたフクベ提督だったが、おもむろにきゅうすを取り出すと、茶碗を二人の前に並べ、お茶を注いだ。
お茶請けには、細かく砕いたセンベイと、二切れの黒羊羹が供される。
「飲みたまえ。遠慮することはない」
やはり、二人は何も返事をせずに、それを飲み、食べた。
「美味いかね」
こくっ、とコラピスがうなずく。
「うむ。それはよかった」
なんとなくほのぼのした空気が流れる中、三つのお茶をすする音だけが響いていた。
「アーキートっ!」
「テンカワさーん!」
その声に、厨房の全員と、それを観察していたコラピスとコハーリーが振り返った。
ユリカとメグミが、並んで手を振りながらナデシコ食堂に入ってくる。
「おや、二人ともブリッジの当直じゃなかったのかい?」
ホウメイの言葉に、メグミがペロッと舌を出して答えた。
「サボっちゃいました。だって、攻撃されたって、ナデシコなら全然平気ですもんね」
「艦長のお墨付きで〜す!」
胸を張って言うユリカだが、本当にそれでいいのか、悩みどころではある。
「アキト。私、ビビンバが食べたい! うんと辛いの希望!」
「私は、ボンゴレロッソがいいです。お願いします、アキトさん」
カウンターでコハーリーの横に並び、前屈みの格好で頬杖を突いた二人が、楽しそうに注文した。
「まてまてまて! なんで、オレを名指しなんだよ。
それに、そんなのメニューに無いだろ」
「艦長命令です! いいですよね、ホウメイさん?」
ホウメイはとくに気にした様子も無く、なにかの仕込みを続けていた。
「ああ、かまやしないよ。作ってやんな、テンカワ。
お客様の注文はできるだけ守らなきゃね」
「でも、オレ、中華しか知らないですよ。ビビンバってなんだっけ?」
それを聞いたジュンコの眼が、ギラリと光った。
「韓国料理なら、私に任せてくださいです、アキトさん!
得意なんですよぉ、私ったら!」
ずずずんっ! と擬音を放ちながら迫ってくるジュンコの迫力に、アキトはあとずさる。
「あ……あ、そうなんだ。いや、でもボンゴレロッソってのも……」
あとずさるアキトの背が、何かにぶつかった。
振り返るとニコニコと笑顔を浮かべたサユリが、親指を立ててアキトにサインを送っている。
私に任せなさい、とその顔が雄弁に語っていた。
「そ、そう……じゃあ、ご指導……お願いします、はは……」
罠に追い込まれたタヌキのような顔で、アキトは頭を下げる。
「了解ですぅ! えっと、じゃあですねぇ、ビビンバに必要な材料は――」
「そうねえ、ボンゴレロッソっていうのはね、アサリとニンニクの風味を利かせた――」
アキトを間にはさみ、二人はそれぞれに指導を開始する。
とても仲睦まじい光景だった。
「ちょ、ちょっと艦長。もしや、あの二人……」
焦ったのは、メグミだった。
ユリカは、いまいちぴんと来ていないのか、あいかわらずの笑顔でその光景を見ている。
「どしたの、メグちゃん。なんか顔、怖いよ」
「だって……だって、ほら! あんなに身体くっつけて!
ああっ! 手、握った! アキトさんの手、二人して握ってますよ。
いいの、あんなことさせておいて、艦長!」
その言葉に、にぶいユリカも、ようやく、なにが起きているのかに気づいたらしい。
笑顔が失せて、そのあとに、驚愕が取って代わった。
「あ……あっ! ちょっと、くっつきすぎかも! なんか不自然!」
「不自然なんてもんじゃないです! 危険です!
アキトさんが、罠にはめられてます。
助けないと、大変なことになりますよ!」
「大変なことってなに!?
どうしよう、どうすればいい、メグちゃん!」
「こんなときの艦長じゃないですか!
いまそこ艦長権限を発揮するときです。あの二人を排除してください!」
それは違うんじゃないかい、というホウメイのツッコミは、まったく無視された。
よし! と意気込んだユリカは、直立すると、二人に指を突きつける。
「艦長命令です! そこの二人、早急にアキトから離れなさい!!」
そんな命令が、抗力を発揮するはずもない。
ジュンコはユリカをふりかえると、フッと鼻で笑った。
「――えっとですね、アキトさん。ビビンバの味の決め手は、たっぷりの酢なんですよぉ〜」
そんなことを言いながら、アキトに酢のビンを手渡す。
アキトは、何の疑いもなしに、それをフライパンにドブドブと注いだ。
すっぱい匂いが、厨房からあふれ出る。
メグミが鼻をつまみながら叫んだ。
「艦長! 反乱です! あの娘、艦長に危害を加えるつもりですよ!?」
しかし、ユリカはとくに驚いた様子もなく、普通に答えた。
「そう? 私、よくビビンバ丼に酢をかけて食べるけど」
少しメグミが引いた。
厨房では、サユリが茹でたパスタの仕上がりを確認している。
「うん、もういいね――じゃあ、アキトくん、最後の仕上げだよ。
茹でたパスタは、よく水分を切ったあと、ぬかに漬けておくの。
味が染み込むまで、10分くらいかな。
歯ざわりがシャキシャキしてくるころが、目安だからね」
アキトは、やっぱり何も疑わずに、茹でたパスタを、ぬかに漬けはじめる。
サユリが、親切心たっぷりの目で、その光景を見ていた。
「メ……メグちゃん。サユリさん、あんなこと言ってるけど……」
「いえ、私、漬物は大好きですから平気です。
一人暮らししていた頃は、よく作ってたんですよ、漬物」
作っているのはボンゴレロッソなのだが、そのへんはメグミにとっては、どうでもいいことらしかった。
いずれにしろ、悪意たっぷりの料理も、二人のトチ狂った舌には、なんの被害も与えそうにない。
いろいろな意味で、ホウメイガールズ最強の敵であった。
大騒ぎをしながら、アキトから二人を引き離そうとしているユリカとメグミを、コラピスとコハーリーが興味深そうに観察していた。
そこに、おたまを手にしたホウメイが近寄ってきた。
カウンターから身を乗り出して、二人に諭すように話しかける。
「いいかい、二人とも。絶対に、あんな大人になっちゃダメだよ。
おばさんと約束だからね」
コラピスとコハーリーは、同時に力強くうなずいた。
学習する幼児たちは、新たな知識を得たようである。
「ふふふ〜ん♪ ふんふん♪ あ〜、いい気持ち」
かぽ〜ん、という、どこからともなく聞こえてくる音を背景に、ミナトが機嫌よくナデシコ温泉に浸かっていた。
その両脇に、頭にタオルを乗せた格好で、コラピスとコハーリーが肩までお湯に浸かっている。
かなり長いこと入っているらしく、二人とも頭のてっぺんまで真っ赤になっていた。
「は〜い、二人とも、100まで数えましょうねぇ。できるかなぁ?」
ミナトの声に、力なく、うなずく二人。
「じゃあ、いっしょに数えようか?
はい、い〜ち……に〜い……さ〜ん――」
大浴場に、三人の数を数える声が、しばらく響いていた。
ちなみにこの後、コラピスとコハーリーが、フルーツ牛乳の正しい飲み方を学習したことは、言うまでもない。
バーチャルルームに、三人の人影があった。
ルリ、ラピス、ハーリーの、年長組マシンチャイルドたちである。
それぞれ、バーチャル・メットを頭に乗せ、なにかの夢に没頭しているようだった。
ルリとラピスが楽しそうにしているのに対し、ハーリーだけは、なぜか大量の汗をかきながら、もだえ苦しんでいる。
「や……やめてください、ルリさん! ヒドイ!
そんなこと……なんでラピスまで一緒になってるんだよ!?
ボクが、なにしたっていうんだ!!」
いまにも泣き出しそうな、悲痛な声である。
そこに、バーチャルルームの扉を開け、二人の子供が連れ立って入ってきた。
二人はトコトコと歩いてくると、苦しむハーリーを観察しはじめる。
ハーリーの表情は、見ているだけで、結構、楽しいらしい。かなり長い時間、そうして観察を続けていた。
そのうちに、コハーリーが思いついたように、コントロールパネルを適当に弄りはじめた。
すると、天井から、新たなバーチャル・メットが、一つだけ降りてきた。
それは、コラピスの目の前に、ぶらりとぶら下がる。
「?」
コラピスは、それを手にとり、しげしげと観察をはじめた。
あげくに、カポッと音を立てて、頭にかぶってしまう。
「!!」
無言の悲鳴をあげて、コラピスの体が跳ねた。
じたばたと頭をまさぐると、バーチャル・メットを引っつかみ、投げ捨てるような勢いで頭から外した。
何を目にしたのか、コラピスの顔は真っ青であった。
不思議そうな顔をしているコハーリーに向けて、一生懸命に首を振りたくっている。
見ちゃダメ! という表情である。
ガシッとその手を取ると、バーチャルルームから転がるように走り出ていった。
コハーリーが見てはいけないものとは、なんだったのか。
苦しみもだえるハーリーの姿だけが、それを物語っていた。
「くっそおっっ!!」
そんな叫びとともに、シミュレータのアサルトピットから、リョーコが降りてきた。
その後に、ヒカルとイズミが続く。
二人とも表情が暗い。
とくに、ヒカルは、食いちぎらんばかりに唇を噛んでいる。
そうとうに悔しい思いを抱いているらしい。
「えっと……お疲れさまっス」
最後に、アキトがそんなことを言いながら、アサルトピットから降りてきた。
どこか、恐縮しているような表情だ。
――すこしやりすぎたか?
そんなことを考えていた。
リョーコは悔しそうに拳を震わせていたが、そのうちに大きく息を吐き出した。
すこし複雑な感じではあったが、すがすがしい笑みを浮かべる。
「ちっきしょう、やるなあ、テンカワ。どこのパイロット養成学校の出身なんだ、おまえ」
アキトはどう答えたものか、しばらく考えていた。
「その……雪谷食堂……」
「どこ?」
「雪谷食堂……中華料理屋なんだけど……」
リョーコの顔が、盛大に引きつった。
「んだと、このやろう!
どこのコックが、三対一の機動戦で、本職のパイロットに勝つってんだ!?
ふざけてると、シメるぞ、こらあ!!」
イズミが「シメないで……鯖じゃないんだから」などと、つぶやいていたが、いつにもまして声に元気がなく、誰も聞き取ることができなかった。
それは幸福なことではあったが。
「いや、本当なんだよ。
雪谷食堂で働きながら、あの黒いバイザーの男から、戦闘の技術を習ってたんだ」
リョーコが納得したように手を叩いた。
「ああ、あいつか! なるほどな、ありゃ、人外だったからな。
なにもんだったんだ、あいつ。
あの黒い機動兵器といい、ユーチャリスとかいう戦艦といい――」
「ズルしてる……」
リョーコを押しのけて、ゆらぁっとヒカルがアキトに近づいた。
メガネが、光を反射して、その顔を隠していた。
「……ズルしてるんだ。
……支援用のAIとか……シミュレータに細工がしてあるとか……
どこに隠してるの、その仕掛け――」
両手をブラブラさせながら詰め寄るヒカルに、アキトは恐怖を感じていた。
「……オレ、そんなもの使ってないよ……」
「ウソ……絶対、ウソ。
でなきゃ、あんな動き、できるわけないもん。ヘンだもん」
光るメガネのまま、鼻先が触れるほど顔を近づける。
「……もう一度、勝負してよ
――今度は、アサルトピットを交換して、シミュレータのソフトも、全部入れ替えるから。
ズルなんてさせないよ?」
「い、いや、でもオレ、もうすぐ食堂に行かなきゃならないし……」
メガネが、ギラリと光り輝いた。
「逃げるんだ……ズルがバレそうだから逃げるんだね。
そうなんだね、アキトくん。そうなんでしょ?」
「お、おい、ヒカル……」
「リョーコちゃんは、黙ってて!!」
あまりの迫力に、リョーコは、直立不動のまま凍りついた。
「ねえねえ。勝負しようよぉ、アキトくんたらぁ〜。ね、勝負、勝負ぅ」
妙に色っぽい声でアキトに詰め寄るヒカル。
アキトは、恐怖心に負けて、うなずいてしまった。
結局、ヒカルが納得するまで、三日もの間、アキトはシミュレータに缶詰状態にされていた。
アキトがヘロヘロになっているにも関わらず、ヒカルは元気いっぱいである。
『えぇ〜? だって、原稿の追い込みの時よりは、楽なもんだよぉ?』というのは、のちのヒカルの弁であった。
アキトは朝食時の忙しい時間のなか、定食の雑煮を掻き回していた。
食欲をそそる匂いが、ナデシコ食堂いっぱいに広がっている。
雑煮と焼き魚定食は飛ぶように売れていた。
「そろそろジュンも心配になってきたねえ」
ホウメイが無駄のない手さばきで秋刀魚を火にかけながら、そう口火を切った。
「どうなんだい、テンカワ。まだジュンは顔を出しそうにないのかい」
「ええ。なんか、だんだん酷くなってくみたいです。
もう二週間ですからねぇ。そろそろなんとかしないと。
あいつって、思いつめるタイプなのかな」
そう返事をしたアキトに、元気のいい声がかけられた。
「アキト! 私、雑煮と焼き魚定食! ご飯は大盛りで!
あ、ニンジン嫌いだから、入れちゃヤダよ?」
ユリカであった。
後ろにメグミもいる。
かなり仲がいいらしく、このところ二人で行動する姿が、よく目についた。
「私も同じので。ご飯は普通でいいです。
あと、秋刀魚は眼が怖いから、半身だけお願いしますね」
わがままなオーダーを終えると、二人は、アキトの姿を目で追いながら、のんびりと突っ立っていた。
そのとき、ホウメイが手を叩いた。
「ああそうだ、艦長。あんた、ジュンに手料理でも作ってやったらどうだい?
喜ぶよ、あの子」
名案といわんばかりに、ホウメイはユリカに菜箸の先を突きつけた。
「へ、私が? なんで? ただのお友達なのに」
「バカだね、むこうはただのお友達だなんて思っちゃいないんだよ。
いまのジュンを元気付けるには、あんたが一番だと、あたしゃ思うね。
厨房なら貸してあげるからさ、どうだい?」
「でも、お友達だしぃ」などと、ユリカは躊躇していた。
そこにアキトが口をはさむ。
「無理強いしてもしかたないですよ、ホウメイさん。
今日も、オレが作って持っていきますから……」
その言葉に、ユリカとメグミが驚いて目を見開いた。
「ちょ、ちょっとまって、アキト!
まさか、アキトが毎日、ジュンくんのゴハンを作ってるわけじゃないよね?」
なんで、という顔で、アキトはユリカを見た。
「しかたないだろ、誰かが作らなきゃいけないんだから」
「でもでも、まさか、テンカワさんが、毎日ジュンさんに食事を運んでるわけじゃないですよね!?」
今度はメグミが口をはさむ。アキトは不思議な表情でメグミを見た。
「だから、しかたないじゃないか。あいつ、部屋から出てこないんだからさ」
ショックで倒れそうな二人は、お互いに体を支えあった。
「ヤマダさんの脅威が無くなったと思ったら――」
「――こんなところに、伏兵がいたなんて!」
二人は顔を見合わせると、ひとつの合意に達した。
「わかりました! 今日から、私がジュンくんの食事を引き受けます!」
「私も手伝います、艦長! お昼は、私、空きシフトだから、任せてください!」
ホウメイが驚いた声で言った。
「いいんだよ、そんなに無理しなくて。ちょっと言ってみただけなんだしさ」
「いいえ、そんなことありません!」
ユリカが強い声で反論する。
「乗員のメンタル管理だって、艦長の責務ですから! 私が引き受けます!」
「そうです、通信士の責務なんです!」
少し違う気もするが、熱意だけは伝わった。
ホウメイは苦笑いすると、うなずく。
「まあ、そこまで言うんなら、やってもらおうかね。いいね、テンカワ」
「ええ、そりゃ、かまいませんけど……」
なら早速、と腕まくりをしながら、ユリカが厨房に入ってくる。
なにを作ろうというのか。
しかし、完成したそのときですら、アキトには「それ」がなんなのか、ついに理解できなかった。
「ジュンくん? いるよね、入るよ、入っちゃったからね?」
そう言いながらジュンの部屋に入ったユリカが見たのは、ボケっとゲキガンガー3を見つづけているジュンと、その左右にチョコンと座っている、コラピスとコハーリーの姿だった。
その姿に、さすがのユリカも驚愕した。
「ジュンくん、どうしたの!? なんか、魂が抜けちゃってるよ!」
「――ああ、ユリカ。なんか久しぶりだね」
ボケらっとした声で、返事をするジュン。
目の焦点が合っていなかった。
かなり、ヤバイ。
「えっとね、私、朝食を持ってきたんだけど……その……手料理……」
ジュンの目に、すこしだけ生気が戻った。
「――手料理? なんで……急に」
「ホウメイさんに、元気付けてやれって言われたの。
まさか、こんなに落ち込んでるなんて思わなかったよ」
そう言いながら、ユリカはジュンの正面に、ストンと腰を落とした。
手に持っていた皿を、ジュンのひざの前に置く。
なにか赤黒い物体が、ぐつぐつと蒸気を吹き上げながら泡立っていた。
「これを……ボクのために……ユリカが?」
うん、とユリカがうなずく。
表情に、幼なじみに対する、気遣いが含まれている。
本気でジュンを励ます気になっているようだった。
「ヤマダさんが死んじゃたことは、ショックだと思うけど、あんまり落ち込んでちゃダメだよ。
私も心配になるじゃない」
かなり胸に響いたのだろう、ジュンは少し涙ぐみながら、ぽつぽつと言葉を洩らし始めた。
「それだけじゃ……ないんだ。地球でも、ボク、連合議会で……」
そんなジュンの口を、ユリカはその指でふさいだ。
「……今はまだいいから。ほら、先にゴハンを食べちゃおうよ。
おなかが一杯になれば、気分も明るくなるよ、きっと。ね?」
ジュンは子供のように素直にうなずいた。
ユリカは皿を手にとると、スプーンでカチャカチャと音を立てながら、その赤黒い物体をかき混ぜる。
「今日だけ、特別だからね」
ぞぶり、という無気味な音とともに、スプーンで物体をすくいとった。
そのまま、ジュンの口元に運ぶ。
ジュンの表情が、至福につつまれていた。
天にも昇る気持ちとは、このことだろうか。
ジュンは口をひらき、その物体を口中に含んだ。
ジュンとユリカの様子が、なんとなく気になったアキトは、ジュンの部屋に向かって通路を歩いていた。
そのとき響き渡ったのは、魂切る絶叫であった。
同時に、ジュンの部屋から、コラピスとコハーリーが飛び出してきた。
怯えた表情で、ぼろぼろと涙までこぼしている。
そのまま、アキトの足元を走り抜け、泣きながら通路の向こうへと姿を消した。
「……なにがあったんだ、いったい……」
ジュンの部屋を覗く勇気は、アキトにはなかった。
それから、しばらくのあいだ、朝昼晩と、定期的にナデシコ艦内に悲鳴が響き渡ることになる。
ジュンが部屋から出てくる日も近い、そんな確信が、クルー全員の間に芽生えていた。
あとがき
インターミッションです。
引きこもりのジュン君も元気になったので、次回からは火星編。
そうすると、なかなか「ほのぼの」「ギャグ」は書けなくなってしまうので、今回は一話まるまる、
それにあててみました。
ルリちゃん「航海日誌」ならぬ、コラピ&コハリの「ナデシコ観察日記」です。
もっとほのぼのするはずだったのに、なんか壊れかけているような(笑
以下は、勝手に作った設定の補足とか、いろいろです。
◆冒頭のシーン
これは、前回の代理人様の感想、
>せめて名前とかなんとか、多少は怪しまれないような工夫はしないもんでしょうかフツー(笑)
に対する回答のつもりで書いていたんですが――結局、さらにウソつきまくって怪しさ爆発。
理屈抜きになりつつあります(^^;
本当は、「怪しまれるのは避けられないので、嘘をばらまいて時間稼ぎをしている」という
設定だったんですが――もう、どうでもよくなってますね、これ(笑
いや、マズイか、やっぱり。
◆秋刀魚
戦艦の定食に焼き魚ってアリですか?
なんとなくナデシコらしいかなと思ったんですが。
以上です。
次回は、たぶん、6、7話の同時投稿になると思います。
少し時間がかかりそうですが、よろしければ、お付き合いください。
ではでは……。
代理人の感想
悲鳴を上げながらも朝昼晩とユリカの手料理を食べつづけるのね・・・・・ある意味ご立派(爆)。
は、まさかこれでも部屋から出てこないのは「ユリカに手料理を作ってもらう」為か!?(核爆)
だってそーとでも考えないと理屈が通らないじゃないですか(爆)
>怪しさ爆発
いや、名前もそうですけどいきなり三人娘の名前を呼んだりなんだりと、
正体を隠す配慮を全然してないので(笑)。
まぁ、隠そうが隠すまいが「未来の国からやってきた」なんて事は普通考えもしないでしょうが。
「どんなに有り得ないように思えても、その他の可能性が全て否定されるなら残った一つが真実」
とは推理ものでよく聞く言葉ですが、
消去法が通用するのは全ての可能性を考察したと断言できるときだけなのですね。
この世界でボソンジャンプによる時間移動が起こらない限り、プロスさんが真実に辿り付く事は多分ないでしょう。
そう考えると「ネルガルの情報網をもってしても正体は掴めなかった」程度で良かったかもですね(笑)。
>焼き魚
ナデシコならありでしょう(笑)。