漆黒の戦神赤き蛇の国へ

〜第1話 志野との出会い





「う・・・ここは、どこだ・・・」

 アキトが目を覚まし、あたりを見回してみるとそこは馬車の荷台の上だった。
 

(たしか俺はラムダに異世界へ送られたはず、無事についたのか・・・)
 



「お、あんた目を覚ましたのか」

 アキトが横になったまま考えていると、
 入り口のところから一人の女性がかおを出した。
 


「座長ーー!気がついたみたいだぜ!!」

「はーーい!」

 するとまた女性が入ってきた、後ろには子供が一人ついてきている。




「お気づきですか、わたしはこの一座の座長代理の志野、この子は珠洲と言います、
 あなたが道で倒れていたとこを私達が通りかかったので、
 馬車に乗せたんですが、気分はどうですか?」

「俺テンカワアキトっていいます
 ご迷惑をかけてすみませんでした、もう大丈夫です。
 ・・・あの〜、ここはなんというところですか?」

 アキトが体を起こし、尋ねると志野は微笑みながら答えた。

「いえ、大したことではありませんよ。
 ここは当麻の街の近くで、私達はそこへ行くのですが、
 アキトさんはどこへ向かっていたのですか、
 当麻の街へ行くならこのまま乗っていてもいいのですが・・・」


(当麻の街?今の状況が分からん、情報を集めるためにも街へはついたほうがいいな。)

「ありがとうございます、お言葉に甘えさせてもらいます。」

 そう言ってアキトが立ち上がろうとすると、志野がとどめた。

「あ、もう少し休んでいてください。
 もうすぐ夕飯が出来ますから、出来たらまた呼びにきます。」

「すいません志野さん、何から何まで、じゃあもう少し休ましてもらいます。」



 そう言うと志野は珠洲と共に外へでた。
 その時珠洲は鋭い目つきでアキトを睨んでいた。
 





 アキトは一人になるといろいろ考え始めた。



(どうやら異世界には来れたようだ、
 だが耶麻台国のある世界にこれたのかどうかは分からない。
 街に着いたら情報収集をしないとな。
 そういえば、ディアとブロスは・・・)

 アキトは自分の両手を見た、両手にはちゃんと二つの指輪がはめられていた。

(指輪はちゃんとあるな、こっちから呼びかけてみるか。)

(ディア!ブロス!!)

(「『うわっ!』」)

(起きたか、二人とも)

(「急に大きな『声』ださないでよ、アキト兄〜」)

(『そうそう、びっくりするよ。』)

(すまん、すまん、しかしお前達がなかなか『起きない』からな心配だったんだよ。)

(『ま〜いいけどさ〜。それよりアキト兄、ここどこなの?』)

(俺にも分からん、だが異世界なのは間違いないと思うが、
 目的の世界なのかどうかは分からないんだ。)

(「そういえばさ〜、アキト兄〜、あの鏡はどうしたの?」)

(鏡?)

(「あのラムダさんがくれたやつだよ。」)

(あ〜、あれか、ちょっと待てよ・・・・・うん、ちゃんとあるぞ。)


 そういうとアキトは懐から天魔境をとりだした

(「ラムダさんが言ってたじゃない、その鏡に精霊が宿ってるって、
 その人に聞いたらなんか分かるんじゃない?」)

(そうだったな、すっかり忘れてた・・・・
 で、その精霊とかいうやつはどうやったら出てくるんだ?)

(「そこまでは知らないよ〜」)

(『そうだよ〜ラムダさん何も言ってなかったし〜』)

「やっほ〜。」

「うわっ!!」

 アキト達が心話をしていると、突然天魔境からなんとも表現しがたい生き物がでてきた。
 ・・・精霊だから生き物といっていいのか分からないが

「お前が天魔境にやどってる精霊というやつか?」

「そう!僕が天魔境の精キョウだよ、ま〜キョウちゃんとでも呼んでよ。
 君の名前は?」

「俺の名はテンカワアキト、キョウ、早速だが聞きたいことがあるんだが。」

「いいよ、いいよ、なんでも聞いてよ。
 君は邪馬台国の復興のためなんだから。」

「じゃあ早速・・・ちょっと待て!耶麻台国の復興だと!!」

「そうだよ、アキトは耶麻台国の復興のためにきたんでしょ?」

「違う!俺が来たのはこの世界に来たのは俺の世界を救うため、
 火魅子の協力を得るために来たんだ!!」

「それならいっしょだ・・・・「ちょっと待て!隠れろ!」
 ・・・なんでさ?これから説明するのに・・・」

「いいから早く!!」

「分かったよ・・・」

 しぶしぶながらもキョウが天魔境の中に入ると、アキトはそれを懐にいれた。
 それからすぐに入り口から志野が入ってきた。

「どうしたんですかアキトさん?大きな声を出して?」

「いえ、なんでもありませんから気にしないでください。
 すいませんでした。」

「そうですか、じゃあそろそろ降りてきてください。
 もう夕食ができましたから。」

「はい、分かりました。
 今いきます。」


 





 アキトは志野に案内され一座の人達が食事をとっている場所へ行った。
 

「は〜い、皆さん注目してください!
 さあ、アキトさん自己紹介をどうぞ。」

 
 志野はアキトの方を向くと笑顔で自己紹介をうながした。

(志野さん本当にきれいだな〜、
 でも気のせいかこの人の笑顔にはなにか違和感を感じるようなきがする。)


 そう、志野は優雅でたおやかな雰囲気を纏い、整った顔立ちをしている
 青く長い髪を結い上げ、質素な麻の衣装を着ている。 
 にもかかわらず上品な感じを漂わしている、もしかすると高貴な出なのかもしれない。



「初めまして、テンカワアキトです。
 助けていただいて本当にありがとうございました。」

「いいって、いいって気にすんな。
 旅は道づれ世は情けっていうだろ。
 あ、俺は織部って言うんだよろしくな。」

 
(たしかこの人はさっき馬車に来た人だったな。
 
「こちらこそよろしくおねがいします、織部さん。」 


 そう言って笑顔をうかべるアキト、
 それを見て顔を赤くしている女性がいたのは・・・気のせいではないだろう。
 
(なんだか優しい笑顔ね、こっちまで気持ちが和らぐみたい)

(こいつきれいに笑うな、座長の笑顔もきれいだけど、こいつのはなにか違う)

(志野・・・)

 ちなみに上から志野、織部、珠洲なのだが、
 珠洲は志野のほうを悲しげに見たあと、アキトを凄い目つきで睨んでいたりする。

(う〜ん、この一座では風邪がはやってるのかな、顔赤くしてる人が多いけど・・・、
 う、たしかあの子は・・・珠洲ちゃんだったかな、なんかこっち睨んでるよ。
 俺なにかまずいこといったかな。)

(「アキト兄って」)

(『ホントに』)

(「『鈍感!』」)

 アキトが的はずれなことを思い、ディアとブロスがあきれていると、
 一座の人達が次々に自己紹介を始めた。







「さあ、みんなもういいでしょう。
 早く夕食を食べてしまいましょう。」

 自己紹介が一通りすむと、志野が食事をうながしみんなが腰をおろす。
 アキトも座り、食事を始めるのだが、一座の皆が次々に質問してくる。

「変わった格好してるな、どこから来たんだ?」

「なんであんなところに倒れてたんだ?」

「アキトさんっていくつですか?」

 アキトだけならすぐボロをだしたと思うが、
 なんとかディア達のおかげで質問を返していく。


「ずっと、遠くからですよ。多分知らないと思います。」

「よく覚えてないんですよ、気づいたら馬車の中だったから。」

「二十歳だよ。」

(「まったくアキト兄ってホントにこういうときだめだよね。」)

(『ホント、ホント、ついてきてよかったよ。』)

(ありがとうな。ディア、ブロス。)

(「まあ、いいけどさ、しっかりしてよ。」)

(『そうそう』)

(ああ、すまないな。)






 食事がすむと、志野がアキトのほうに近づいてきた。

「アキトさん、今日はむこうの天幕で休んでください。
 反対側のは女性用ですから入らないでくださいよ。」

「はい、分かりました、志野さん。」

「ふふふ、アキトさんそんな風に敬語使わなくていいですよ。
 普通に話してください、それから私のことは志野でいいですよ。」

「そうですか?
 じゃあ志野さんも普通に話してください。
 俺のこともアキトでいいですよ。」

「いえ、私はこのままでいいです。
 アキトさん、のほうが呼びやすいですし・・・」

「そうですか、それならそれでいいです。」

「ほら、また。」

「あ、分かりま・・・分かったよ、志野。」

「はい、それでいいです。
 ふふふ。」



 アキトと志野が楽しげに会話をしていると、
 遠くから珠洲が殺気混じりの視線をアキトにおくっていた。
 自分にとって最も大事な人である志野が男と楽しそうにしているのが気に食わないのだ。
 珠洲は普段は無表情で無感情なのだが、志野が絡んだ時だけ感情的になる。


(あいつ、志野になれなれしくして!)


 ・・・アキトは無事に当麻の街へいけるのだろうか、
 かなり不安のある旅になりそうだ。


















 あとがき&キャラコメ


 かいるろっどです

 読んでいただきありがとうございました

アキト「ヒロインは志野に決まったのか?」

 まだですよ、ただ最初に出会うのは志野と決めていたからこうなっただけです

アキト「いつ決まるんだ?」

 そうですね、まだ未定ですが今月中には決めたいと思ってます。

アキト「なんだか、この話は原作とかなり違うな。」
 
 ええ、出来るだけ原作とは違う話にしようと思ってますから
 
 原作を読んでる人にも読んでない人にも面白い話にしようとがんばってます

アキト「そういえば、なんで志野を呼び捨てなんだ?」

 あ〜、それはですね、原作のイメージが抜け切れなくてどうしても「志野さん」と呼んでるところが
 想像しにくかったからですよ。

アキト「そうなのか?」

 え〜、そうなんですよ、だから他にも呼び捨てにするキャラが出てくると思います。

アキト「ま〜、それはおいといて・・・ちゃんと最後までかけるのか?」

 う、痛いところをついてきますね、アキト君
 
 正直、自信はありませんが力の限りがんばるつもりです

アキト「そうか、それじゃあがんばれよ」

 それではこのへんで終わらしてもらいます

 ヒロインの募集はまだ続いてますから、感想と共に是非送ってください

 

 

 

代理人の感想

取りあえず「珠州」はなんと読みますか。

ちょっと読めません(爆)

 

後気になったのが句読点の使い方。

セリフの場合、どこかいいところに入れないと棒読みに読めてしまいます。