「アー君は枝織が運ぶね!」
「その役目だけは譲れません!」
「アリサッ!姉を差し置いて抜け駆けするつもり!」
「私はアキトの目、アキトの耳、アキトの手、アキトの・・・・・」
「あれ、アー君は?」
「エリナもいないわよ!」
「やってくれましたね、会長。」
「エリナ・・・許さない・・・・・」
『ナデ学』
〜嗚呼、文化系!!〜
『起承転結』
〈総研〉部室の中・・・・・
「ふふ、あの子達もまだまだ甘いわね。それにしても・・・・・見れば見るほどストライクゾーン
ど真ん中ね(はあと)。」
部室にしては広すぎる部屋に置かれたソファーでアキトが寝かされている。
「可愛い寝顔・・・」
エリナは飽きずにアキトの寝顔を見つめている。
つんつん
アキトの頬を指で突っついてみる。
「ウ〜ン・・・母さん、もう食べられないよ・・・・・」
つんつん
「むにゃ・・・・・オレはコックになるんだ・・・」
「や〜〜〜ん!可愛すぎ〜〜〜!!(はあと)」
エリナの目は既にハートになってしまっている。
きょろきょろ
「キ、キスぐらい・・・いいわよね・・・・・」
2人の距離が徐々に縮まっていく。
ドキッ・・・ドキッ・・・
エリナの瞳が閉じられ、お互いの吐息が顔にかかるほどに近づく・・・
「「「「そこまでよ!!」」」」
「きゃっ!」
驚いて顔を上げると、そこにはようやく追いついてきた4人が立っていた。
「会長!!」
「やってくれたわね!!」
「枝織怒ってるんだから!!」
「・・・・・お前はもう・・・死んでいる・・・・」
アリサ、サラ、枝織、ラピスの4人がすごい形相で睨んでいた。
「あら、遅かったわね。」
「どういう事ですか、私たちを置いて行くなんて!!」
「抜け駆けは許さないって言った筈よ!!」
「あら、私はターゲットの確保を最優先しただけよ。あなた達みたいに無駄な事をしなかった
だけじゃない。むしろあなた達の方こそ作戦を無視した行動で責められる立場にあるのよ。」
「くっ!」
「・・・正論ですね。」
「ふふん、何か反論はあるかしら?」
エリナが勝ち誇ったような顔をする。
「枝織は難しい事わかんないもん!!」
「まあ、それはしょうがないわね・・・」
「ラピスも難しい事はわからないもん!!」
「あなたはダメ!」
「・・・・・あの〜、お取り込み中で悪いんだけどいいかな?」
アキト復活。
「ここは何処かな?何でオレはこんな所にいるんだろう?」
「あなたは廊下で(薬で眠らされて)倒れてたのよ。それでここに連れて来たの。」
「そっか・・・迷惑かけちゃったみたいですいません。」
「いいのよ別に。たいしたことじゃないわ。」
「何で会長ばっかり・・・」
「耐えるのよアリサ、後1年の辛抱よ。なにしろ私たちとアキトは同じ学年なんだから!」
「う〜〜〜、枝織もアー君とお話したい!!」
「私はアキトの目、アキトの耳、アキトの手、アキトの・・・」
「あっ、忘れてた。オレはテンカワ・アキトって言います。」
アキトは笑顔で自己紹介をする。
ダキューーーン(アキトを除く5名のハートが撃ち抜かれた音)
(なんて笑顔なの!?情報以上だわ!!)
(あぁ、天使の微笑とはこの事を言うのですね・・・)
(アキト・・・一緒にお爺様に会いに行かなきゃ・・・)
(アー君・・・・・ステキ・・・・・・・)
(アキトは私の目、私の耳、私の手、私の・・・・・)
「もしも〜し?」
「「「「「はっ!?私は今何を!?」」」」」
「どうかしたんですか?みんな突然動かなくなっちゃって・・・」
「い、いえ、なんでもないわ。それより私たちの紹介が未だだったわね。私の名前はエリナ、
エリナ・キンジョウ・ウォンよ。よろしくアキト君。」
「私はサラ・ファー・ハーテッド。よろしくねアキト。」
「そしてその妹のアリサ・ファー・ハーテッドです。よろしくお願いします。」
「枝織は枝織だよ〜!仲良くしよ〜ねアー君!!」
「パパ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
アキトに抱きつくラピス。その顔はしてやったりという表情である。
「「「「「ええ〜〜〜!?」」」」」
「ど、どういう事ですかアキトさん!!」
「ア〜キ〜ト〜!!」
「そんな!?アキト君がそんな子だったなんて・・・・・」
「へ〜、アー君とラピちゃんは親子だったんだ〜。」
アキトに詰め寄る女性達。
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!オレ、彼女とは今日始めて会ったんですよ!だいいちオレは
高校生で彼女はどう見ても中学生くらいじゃないですか、年が合いませんよ!!」
「「「「・・・・・・・・・」」」」
しばし沈黙。
「それもそうね。」
「確かにアキト君の言うとおりだわ。」
「ちょっと勘違いしてしまったようです。」
「えっ、違うのアー君?」
みんな納得したようである。
「ラピス、いつまでくっついてるつもり!」
エリナに言われてようやく離れるラピス。しかしその表情はとても幸せそうである。
「ところでアキト君?あなた確か今日転校してきた子よね?」
「ええ、よく知ってますね。」
「という事は未だクラブは決めてないわよね?」
「そりゃまあ・・・」
「これも何かの縁だし・・・1つあなたに頼みたい事があるんだけど・・・・・」
「なんですか?オレに出来る事であればなんでも言ってくださいよ。」
「実は私たちのクラブに入って欲しいのよ。実はここにいる5人がそのメンバーなんだけど、
ちょっと人が足りなくて・・・クラブそのものがなくなりそうなのよ。」
「えっ、ホントですか!?わかりました、そういうことならいいですよ。」
「本当!?じゃ早速ここに名前を書いてもらえるかしら。」
そう言って1枚の紙を取り出す。
「それはかまわないですけど・・・準備いいですね。」
「ま、まあね。いつこんな事あるかわからないから。」
名簿に名前を書くアキト。それを見て思わずニヤリとする女性陣。
「書きましたよ。」
「ありがとう。じゃあ・・・オホンッ・・・・・」
「「「「「〈総研〉へようこそ!!」」」」」
どう考えてもあらかじめ練習していたとしか思えない程息が合っている。
「〈総研〉?」
「そう、〈総研〉よ。アキト君、お人好しはいいけどそのぐらい確認した方がいいと思うわよ。」
「まあ、みんな悪い人には見えなかったし・・・・・ところで〈総研〉ってなんですか?」
「説明しましょう!」
新しい声が聞こえる。そして扉を開けて入って来たのは・・・・・
「ク、クマ!?」
そう、入って来たのは白衣を身に着けた白クマだった。
「アイちゃんおっそ〜い!」
「ちょっと職員会議が長引いちゃって。」
「もしかして・・・先生なのか?」
「ええそうよ、うちの顧問なの。」
サラの答えに信じられないという表情のアキト。
「わ〜い、アイちゃん今日もフッカフカ〜!!」
「今日は白クマさんなんですね。」
「で、〈総研〉とは?っていう質問だったわね。」
「ええ、そうですけど・・・」
「ではお答えしましょう。〈総研〉とは〈総合文化研究会〉の略よ。」
「〈総合文化研究会〉?」
「ええ、各種文化系クラブを1つにしたような物ね。まあ活動内容は自分のしたい事をするってところかしら。
そこにいるエリナが会長をしているわ。」
「あらためてよろしくね、アキト君。」
「よろしくお願いします。」
「で、私が顧問にして謎の美人保険医。アイちゃんって呼んでね。」
「着グルミ着てたら美人かどうかわからないんじゃ・・・」
バヒュンッ
着グルミの手が発射され、アキトの頬を掠めてそのまま壁に突き刺さる。
「・・・・・・・・・」
「アキト君・・・・・美人は何を着てても美人なのよ。」
アキトの背筋に冷たい物が走る。
「アイちゃんかっくい〜!!」
「あれ、なんか煙出てません?」
「そういえば煙いわね。」
「これは!?みんな、急いで外に出て!煙は吸っちゃダメよ!!」
急いでエリナが指示するが時既に遅し・・・
「なんか枝織眠くなってきちゃった〜。」
「いけない、これは奴ら・・が・・・・」
全員が眠りにつくのを見計らって誰かが部室に入ってくる。
シュコー
「どうやら作戦は成功のようだな。」
入って来たのは全部で3人。どうやらガスマスクを着けている様だった。
シュコー
「まだまだ、これからが肝心なんだよ!」
シュコー
「・・・・・・・・・・」
シュコー
「しかし・・・こいつら運ぶのって辛くないか?」
シュコー
「部室のためだもん、がんばんなきゃ!!」
シュコー
「・・・・・・・・・・・・」
シュコー
「イズミ〜、どうしたの?」
シュコー
「ほっとけほっとけ。どうせまたくだらない洒落でも考えてんだろ。」
シュコー
「・・・・・・・しゅこー・・・」
シュコー
「・・・・・はぁ・・・じゃ行こっかリョーコ。」
シュコー
「・・・ああ。」
〈総研〉メンバーを引きずりながら部室を出て行く2人。
シュコー
「・・・・・・・・・スランプかしら?」
突如現れた怪しいガスマスク3人組、はたして〈総研〉の運命やいかに!!
【ちょっとあとがき】
ども、このお話どうでしょう?実はこれ連載物の予定だったんですよ。それが処々の事情で
4部構成になってしまったんですよ。
ではでは。
by. Chobi
代理人の感想
・・・・・・いきなり拉致られてるし(笑)。
拉致で始まり拉致に終る・・・・・中々斬新な展開といえば言えなくもないのだろうか(爆)?
韻を踏んでいるだけかもしれないけど(笑)
後、実はイネスのファンであるところの代理人としてはあの白くまの中身が是非見たいです(^^;