機動戦艦スペース・ヴァグラント
第一話『英雄なんかクソ食らえ!!』
2195年
ヤツラは火星の遥か向こう…木星の向こう側からやってきた。
第一次火星会戦
敵はまっすぐに火星に向かっています!
大気圏突入後よそう到達地点は同南極。
「敵の目標は侵略で有るのは明白である。奴を火星に下ろしてはならん!
各艦射程に入ったら撃ちまくれ!!」
「敵なおも前進有効射程まで二十秒!」
「うてぇぇええええええええええ!!」
「ヤッタ――――――いや、ダメです、我方のビーム全て捻じ曲げられました!!」
「重力波か……」
「多数の機動兵器射出!!」
「レーザー一斉発射!」
「―効かない?」
「チューリップ衛星軌道に進入あと六十秒で火星南極へ到達!」
くっ…仕方ない…。
「総員退避!!本艦をぶつける!!」
さらば我船…。
「命中!!
――――――――――これは、軌道が変っただけです!!」
「何!」
「予想到達地点は――――ユートピアコロニーです!!」
「イカン!」
「ユートピアコロニーから通達『後は俺たちにまかせろ』です。」
ユートピアコロニー………彼等か!?
「さーて、でっかい物が降って来るぞ!!」
『それにしてもホントにデカイな………。』
『我々だけでやれるか?』
たく、弱気に成ってるなこいつ等……だが今は強気じゃねえと死ぬぜ。
「うだうだ言ってねえでアタック開始だ!!戦って死ねなんて甘い事言わねえぞ!!
戦って生き延びろ!」
『了解だ隊長!』
『自由の旗の下に集まった俺たちの力見せてやりますぜ!』
「その意気だ!!」
チューリップに群がる五人の若者達。
連合宇宙軍第24独立小隊ヴァグラント隊。
軍人の中でも灰汁が強く、厄介者達をかき集めた鉄砲弾部隊である。
彼等の部隊はまとまりが無く、命令無視で暴れまくるはっきり言って
さっさと死ねと思われる部隊であった。
しかし、つい一年程前に火星砂漠に倒れていた男を部隊に入れたところ
見違える様に変り、今では火星で一二を争う最強部隊と成った。
だが、残念なのがその部隊を纏めた男の詳細が分からない事である。
もともと、発見された時点で重傷をおっており、記憶も無くしていたのである。
遺伝子バンクにも登録されておらず、軍事知識も有り警戒すべき点が多かった
ため、保護観察として1512隊、後のヴァグラント隊に入隊させられたのである。
現在の彼の名は……。
『山田隊長!!』
「ガヴァメント!!ってこんな時に如何した!!」
そう、自称の名前は『キャプテン=ガバメント』、そして回りから付けられた
名前は『山田次郎』哀れな男である。
『後、たのんます!』
「ふざけんな!」
『ふざけてねえっすよ、このままコイツが進めばユートピアコロニーはお陀仏…。
だったら俺が!!』
「許可できるか!俺が行く!!」
ナガツカ……ヴァグラント隊切り込み隊長にして、暴走リーダーだが自分の
命を粗末にするやつではないはず。
そんな男が自分の命を投げ出すほど事態は緊迫している。
『隊長が死んだら誰が残ったヤツラに指示をするんだ!
コイツを破壊しても敵は大量にいるんだ!!』
「くっ…しかし…。」
『では!御元気で!!』
ナガツカは通信を強制カットした。
止めようにもアイツはこのチューリップを挟んだ向こう側だ。
まず間に合わない。
隊長に別れを伝え、エステバリス一機につき一回こっきりの必殺技を使う。
「リミッター解除!!いくぜぇぇええええええッ!!」
草色エステバリスが加速する。
「うぉぉぉおおおおおおおおおおおおおお!!」
自分自身を弾丸に見立てて相手に激突する大技そう、
旧日本軍お得意の『神風特攻』である。
だがその、大技の末路は……。
ボガァァアアアアアアアアアアンッ!!
…………悲しい結末である。
『隊長ナガツカが!』
『何考えてんだよあの馬鹿!!』
『熱血は隊長一人で十分だって言っただろ!』
「……………くっ。
各機、チューリップの破片を破壊!!
一個たりともユートピアコロニーに落とすな!!
ナガツカの死を無駄にした奴は俺が打ち落とす!!」
『了解!!』×3
大小さまざまな破片が有る中小さい破片は捨てておく。
小さいヤツは摩擦で燃え尽きるはず。
狙うのはデカイ破片だけだ!
「食らえ!!」
俺のエステバリスが装備しているスパイクナックルでぶん殴り粉砕する。
「あと何個だ!!」
『あの一際デカイのだけです!!』
「よし!俺にまかせろ!!」
エステバリスを急降下させ下に回りこみ、肘を絞り拳を引く、そして。
「食らえ!!マルチガヴァメントスクリューボンバァアア!!
何がマルチでスクリューなのか分からないアッパーが炸裂する!!
それもただのアッパーではない、腕につけられたスパイクナックルと
同じく腕に装着された三連ミサイル発射のオマケ付きだ!
そして、破片は…完全に砕け散った。
『お見事!』
『ヒュ〜ウ、相変わらず無茶苦茶やるぜ。』
『また整備班に怒られるぜ。』
マルチガヴァメントスクリューボンバは腕にかかるダメージがやたらとデカク、
下手をすると腕だけ取り替える場合があるのだ。
「五月蝿せえ―――――――っ?!避けろ!!」
『へっ?ぐぁーぁーぁーぁぁぁぁ!?』
俺の目の前で信じられない事が起きた。
空から黒い帯が降りてきたと思った次の瞬間―――そう、爆発した。
ユートピアコロニーが爆発した!!
その黒い帯にサイトウが飲み込まれ!
コロニーの爆発でカールが!!ゲンジが!!
この一瞬――ホントに一瞬で大切な仲間が!!
仲間が俺を置いて逝っちまった!!
隊長の俺が逝くべきはずだった!!
カールとゲンジは奥さんと子供が居た!
俺には仲間とこのエステ以外なにもねえ!
そんな俺が何故生き残る!!
ブチッ!
「うがぁぁあああああああああああああああああああああああああああ!!!」
俺の中で何かが切れた。
「鉄クズどもがぁ!!」
黒い帯を放った戦艦に向けて突き進む!
群がる鉄屑は全てスパイクナックルで黙らせ叩き落とす!
「じゃまだ退け!!」
鉄屑の放ったミサイルのカーテン…くぐるならその時は死んだ仲間に会えるだろう。
だが、まだ死ぬつもりはねえ!!
肩に装備されている火炎放射器をセットし、端から焼き払う。
一個爆発すればカーテンの様になっているミサイルはどんどん誘爆して、近くの鉄屑も
巻き込んでいく、だがまだまだ数がへらねえ!!
「じゃまだ!!邪魔だテメー!!」
鉄屑を黙らせながら進んで早くも十分…何時の間にか成層圏ギリギリまで高度を取っていた。
そして、アイツは主砲を此方に向けていた。
「コイツか!!」
火炎放射機と2連装苛電子砲を捨て、両腕のスパイクナックルに大電流を流す。
「ナガツカの…サイトウの…カールのゲンジの仇だ!!」
バッタは破壊し、護衛艦は無視――そして大型戦艦にたどり着いた…これで仇がとれらあ!!
「うぉぉおおおお!!」
戦艦の上面に取り付きスパイクナックルで一撃を入れるが!
「くっ、弾かれた!?これならどうでい!!」
いったん、離れ上昇し距離をとる。
「ブースターリミッター解除。限界電圧リミッター解除――死ね!」
方向を変えてアノ戦艦を目指す。
オーバーブーストと重力の力で加速し、エステバリスで出せるギリギリの速度をたたき出す!!
そして、激突直前にを突き出す!!
「ゲキガンフレアァァァ―――――!!」
ガキンッという大きな金属音の後、腕が甲板にめりこんだ。
「コレで終わりだ!!」
スパイクナックルから高電圧が流され―――戦艦が火を噴いた。
エステバリスは飲み込まれると思いきや、偶然にも剥れ弾き飛ばされた戦艦の装甲にぶつかり、
その装甲が爆風と爆炎からエステをまもったが…さらに上空まで飛ばされていた。
「火星上空で大型の爆発を確認!
大型船間の爆発に周りの護衛艦とバッタが巻き込まれたもよう!!」
「提督…シャトルが回収に来た用です。」
「分かった、我々は地球に帰還する……いいな。」
第一次火星会戦敗退の瞬間であった。
「…………アレ。」
皆が顔を伏せ悔しがっているときだった。
「半径三キロ以内に生命反応……モニター出します!!」
「アレは…。」
「いてててて……何処まで飛ばされたんだって!?
どぇぇぇぇえええええええええええええ!!?」
モニターに移っているのは真っ暗闇とお星様でした。
「せっ、成層圏から宇宙まで飛ばされたのか俺?
よく生きてたな……いっそ死ねれば……。」
その時、俺の左目が不意に赤く染まっている事に気が付いた。
「なっ…なんだ?」
とりあえず、手で擦って見て気が付いた。
コレは血だ。
くっ!意識したら急に痛みが!!
ガヴァメントの左目に対して縦に大きな傷が出来ていたのだ、
そこから流れ出た血が目に入り、視界を赤く染めているのだ。
「ナガツカ…サイトウ…カール…ゲンジ。
馬鹿野郎ばっかだったが、いいヤツラだったのによう…。
くそっ!!今からもう一回アタックしてやるぞ!!
って、これ空戦フレームだった…。くそっ…何だありゃ?エステか?」
『見つけたぞ、大役ご苦労。』
行き成り目の前に真っ赤なエステバリスが現れ、強制接続で通信を始めやがった。
誰だコイツ。
『ふむ、予定通り火星は落とせたな。』
何だって!?
いま何て言いやがった!!
『次の任務だ心して聞くがいい。』
「おいっ…。」
『どうした?』
「いま何て言った?お前あの鉄屑どもの仲間か?」
『何をいっている、そんな分かりきった事を。』
「うぉぉおおおおおお!!」
何とかエステを制御し、スパイクナックルで殴りかかった―――が。
『何をする…ああそうか、そうであったな。』
ナックルを放った瞬間に肘と肩の関節に亀裂が入り、そこを狙って紅いエステが
持っていた棒で手足を切断しやがった。
『いま解くのは後々面倒だな…まあよい。』
紅いエステはアサルトピットに一撃入れ、何処かに去って至った。
だが、気負うしなっていく最中に。
『お前は地球に行き、連合宇宙軍と合流しろ。それが任務だ。』
と言っている声だけが聞こえた。
「ここは、何処だ?」
「気が付いたかね。」
「フクベ提督!?」
怪我人だらけの部屋で目を覚ましたら目の前にフクベ提督が!?
なぜ!?
それにここは何処だ!?
「ボロボロの空戦フレームで宇宙を漂っていた時は驚いたぞ。
宇宙で空戦を使うとはさすがヴァグラント隊隊長だな。」
「…………生き残っちまったのか。」
「……それを言うなら私もだ。
守るべき火星と、火星の人達を置いてさっさと自分は逃げ出しているんだからな。」
…………火星、また必ず俺は戻ってくる……。
俺の死に場所を取り戻すために!!
「何だとこら!!」
「落ち着きたまえヤマダ大尉。これは決定事項だ。」
ふざけんな、地球に帰ってみれば
『英雄として迎えよう。しいてはこの勲章を受け取ってもらう』
だと!?
ようは『兵の士気を高めるために、英雄として祭り上げる』つうことだろ。
俺は英雄じゃねえ!
自分の力が足りないために部下を盾にした様なこの俺が英雄だと!!
ふざけるな、俺は卑怯な死にぞこないだ……。
「受賞式は明後日だ、全国ネットで放映するから心していろ。」
それだけ伝えると連合宇宙軍総司令の使いと名乗る野郎供は帰って行った。
「クソッ!」
バキッ
殴りつけた壁が一センチほどへこみ拳に痛みが伝わるが、それでも
ガヴァメントの怒りは収まらず拳から血が出るまで殴り続けた…。
くだらねえ授賞式の演説。
ウソで塗り固められたこの勲章……。
ホントにこのままで良いのかよ…。
「我々はここに英雄――――――――ゴハッ!」
答えを出す前に総司令の顔をぶん殴っちまった。
…そうだよな皆、もうとっくに答えは出てる、
このまま引き下がっちまったら俺じゃねえな!
「よく聞け!!
俺は英雄様じゃねえ!!
部下を…仲間を盾にし、守るべき火星の人たちを見捨てて逃げ出した、ただの卑怯者だ!!」
「貴様ぁあ!!
なにを考えている軍法会議は覚悟しろ!」
「上等だ。」
ビリビリビィィー―――――――!
ガヴァメントは制服を破り捨て、勲章ごと踏む潰した。
「この場で軍人を止めさせてもらう!!
軍法会議にかけるきならすきにしろ。」
背を向けて出口に向かうガヴァメントに対し、未だに地面に座っている総司令は…。
「ぬぅぅううう!!
何をしている、さっさとその能無しを撃ち殺せ!!殺さんか!!」
出口に向かう途中、ふと目が合ったフクベ提督に質問をするガヴァメント。
「フクベ提督………貴方は偽りの英雄のままで良いのか?」
「………かまわん、無様に生きる事がせめてもの罪滅ぼしだ。」
「勝手な考えだな…。」
「早く行きたまえ…軍法会議の件は私が押さえよう。」
「そうか…じゃあな、フクベ提督。」
「ああ、ガヴァメント。」
「えぇぇーい!!私に銃をかせ!!」
総司令の方を向くガヴァメント。
「そういや〜これ、全国ネットで放送中だったよな。」
総司令の…いや連合宇宙軍の信用をがた落ちにして去っていくガヴァメントだった。
後書き
えーと『その後のがいおぶだーくねす』を書き溜めてたら
『ヤベ、ジャンプ前の話丸々やらないとダメじゃん』って事に
成ってしまったので急遽、ダークネスの前を書く事にしました。
それとこの話は『ガヴァメント=ガイ=ヤマダ=???』です。
???が分かった人には管理人様の熱〜い口づけが貰えます。(ウソです)
追記 特攻エステバリスが自爆した理由
ディストーションフィールドを装備していない試作のエステだったから。(苦しい言い訳)
追記2
テストで赤点とってネットを親に切断されて投稿できませんでした。
代理人の感想
まさか白鳥じゃないよなぁ(笑)>???
それとも大豪寺凱かしらん。