どんな物語も終わり、新しい物語が始まる。

人生とは物語。

その命尽きるまで、終わりと始まりを繰り返す。

これは、奇妙な物語を繰り返し体験した男の話さ。

 

ん?

わたしの名前?

面白い事を問うねえ。

わたしの名は、フォーチュナー

星を詠み、事象を詠み解く・・・覗き見好きの占い師さ。

 

 

 

それでは、よいかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

星々の神話

DAY

 

「混迷の宇宙」

 

 

 

 

 

かつて、蜥蜴戦争と呼ばれた戦いがあった。

 

己の尊厳と生存を賭けて戦った。

木星圏ガニメデ・エウロパ・及び他衛星国家間反地球共同連合体

“木連”

 

何も知らされず、ただ流されるまま己の正義のみを頼りに戦った。

連合宇宙軍

 

この二つの勢力に翻弄され一度は解体されながらも常に自分らしく在り続けた者達がいた。

ネルガル重工所属

機動戦艦ナデシコ

 

その戦いにおいて、木連は、圧倒的な数の無人兵器を多用するが、その全てを管理、制御している訳ではなかった。

古代火星人のテクノロジー、残された数千の次元門、数万の艦艇、百数十万の無人兵器。

その技術に救われたのは確か。

しかし、完全に管理、解析をしようとすれば百年かけても国が傾く。

木連は、ほとんど制御せずに”彼ら”を解き放ったのである。

 

 

戦後、木連軍と連合軍が集い作られた統合軍。

その主な仕事は、旧木連の無人艦隊の凍結と封印である。

 

 

 

 

そして、始まりの戦いより七年の月日が流れた。

 

 

 

 

〜木星軌道上 凍結艦隊〜

 

木星軌道上には、約三万八千隻の艦艇が凍結されている。

それを悪用されないために統合軍は、木星にその戦力の約半分である八百隻の艦艇を用いて、その護衛についている。

統合軍 木星管制室

扇状に展開された中央管制室は、通常は数十人のオペレーターが勤務についている。

しかし、深夜という理由から当直の五人程のオペレーターがいるだけだった。

「祇園精舎の鐘の音、諸行無常の響きあり・・・。」

この時代のコンピューターの制御には、大きく二種類に分類される方法がある。

体にナノマシンを入れることにより体の中にアクセス用のコンピューターを作り作業を円滑に行う方法。

AIなどの人工知能とキーボードを使用した従来の方法。

「なんだ? それ?」

上の階、キーボード組の方から声がかかる。

「千年ぐらい前の戦記ものの冒頭さ。地球ではもう教わらないのかい?」

「地球古典の時間は、居眠りばっかだったからな〜。」

火星や木星及びコロニーなどの過酷な環境で育った者は、そこで生きるために体に人の手を入れるのにあまり抵抗は無い。

「キーボードの使い方とかの方が難しいと思うけどね、俺は。」

「IFSの方が楽そうなのは確かだろうけど・・・なあ・・。」

IFS(Image feedback system)頭で考えたことをナノマシンを使い直接、機械に指示するシステム。車や機動兵器に多用されているシステムである。

生きていくのにそれが必要なのだから、生きていくのに人の手を入れる必要のない地球では抵抗があるようだ。

「注射一本で出来る処理なのに・・・。」

「でも、なんとなく嫌なんだよ。」

何時もの事、そんな日常が続いていくと彼らは信じて疑わなかった。

この瞬間までは、

「第3観測衛星から! 緊急通信です。」

十段の階段状に作られた管制室の下の方からオペレーターの報告が届く。

『木星地表部に異常熱量を感知、警戒されたし。』

「相転移反応を確認、移動要塞クラスです。」

当直についていたイルマ副指令が激を飛ばす。

「基地指令を叩き起こせ! 第一種警戒態勢を発令パイロットと艦長は、戦闘待機!

センサーを全開にして敵の艦種を探れ!」

「しかし、それでは此方の防諜が不完全になります。」

「かまわん! 

火星の後継者との戦いからこちらに知られて困るようなことは無い。」

「第三十二から四十六番ワンマン・オペレート艦隊が発進可能です。」

ワンマン・オペレート艦、ネルガルの発案した新しい艦の運用の方法。

簡単の言えば、一人で戦艦を操り戦力の水増しをしようということ、連合宇宙軍中佐ホシノ・ルリは、機動戦艦ナデシコB+でオモイカネと呼ばれるIFS対応高速処理型のコンピューターを使い一艦隊すら操って見せたと言う。

しかし、実際に戦艦を運用しようと思えば2〜3百の人がいる。

動かすのは一人で出来ても整備やダメージコントロールの類は一人では出来ない。

故に追加装甲と中枢ユニットで構成された戦艦になった。

その完全ブロック構造の船は、積み木細工の船とか使い捨て戦艦と呼ばれている。

艦隊の相互リンクは、中央制御艦に任せてAI等のサポートを受けて動かしている。

「よし! 順次発進せよ。」

管制室に人が集まりだし騒がしくなる。

「こんどは、なにが襲って来たんだ?」

「木星の地表から?・・・・」

最上段の扉が開き辺りが静かになる。

「何事だねイルマ君!」

「はっ! アツギ長官。

木星地表面に要塞クラスの反応をキャッチし、現在警戒態勢を取っております。」

 

「木星の海から機動兵器と思われる物体を多数確認!」

「識別信号は出ているか?」

「いいえ、確認できていません。」

「モニターにだします。」

そこに写るのは遮光器土偶のようなもの。

「なんだ!あれは・・・」

「土偶と呼ばれる古代の土人形に似ています。」

「何でもいい、呼びかけに答えない奴は敵だ!

打ち落とせ!」

 

管制室からの命令で基地の周囲に配置されている攻撃衛星が制御スラスターを吹かし照準を合わせ始める。

「各エネルギー衛星の相転移エンジンの出力上昇」

「重力波エネルギーライン安定率80パーセント」

『第二管制室より入電、第二十八から第三十攻撃衛星のグラビティブラストチャージ完了』

「ミサイル衛星、一番から十三番まで発射可能域です。」

「各艦艇とのデーターリンク完了!砲撃準備よろし」

「よし! 撃えぇぇぇ」

電磁嵐により映像が乱れる、俗に砂嵐という奴だ。

「映像回復します。」

映像に写るのは雲の晴れた木星をバックに浮かぶ縄文土器

「敵、土器型要塞、推定全長・・・さ、30・5km」

「このステーション並の大きさか・・・」

土偶の目のような装飾が歪みはじめる。

「敵、重力波反応増大・・・きます。」

「ディストーションフィールド出力全開!」

 

 

ガガアガガガガガ

 

 

第八番 格納庫

 

先ほどの衝撃で、

「そっちは、どうなってる。」

親方と思しき中年の男が、つなぎを着た若い整備兵に呼びかける。

「だめです!  ハッチが壊れてやがる。」

「しかたねぇ、非常時だ必要なものを隣の第七番 格納庫に移せ!

ステルンクーゲルは、格納庫を閉鎖後、ハッチを壊すからそこから出てくれ!」

「「「はい」」」

「ぐずぐずするんじゃねえぞ!」

 

ステルンクーゲルの中でセンサーや火器管制システムのチェックをする。

緊張は解けそうにない。

『そんな理由で、すまねえがハッチに炸薬を仕掛けるまで待ってくれねえか?』

そう伝えてくれた整備班長の言葉はありがたくもあった。

いま少し時間が欲しい。

それが、贅沢なことだとは分かっているけれど・・・。

どす!

シートに深く座りなおす。

今は、そう・・・いま少し祈る時間を・・・。

 

 

『・・・相互データリンク異常なし、四十番隊の無人兵器とのリンク良好。2番、3番のリンクケーブルをパージ、ケーブルを回収する』

 

『最後の人員の退避を確認。 よし! 準備完了だ!』

整備班の通信が聞こえる。

「システムオールグリーン!ステルンクーゲル発進」

ステルンクーゲルが、爆煙を抜けステーションから飛び出す。

二十体の無人兵器を従えて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

開戦より三十分が経過

 

ドオオオンン

 

本日、何度目かの衝撃にステーションが揺れる。

基地全体の照明が過負荷で落ちる。

「うわぁぁぁぁ」

「落ち着け、非常電源にすぐ切り替わる。」

赤い非常灯の中でアツギ長官が、職員を落ち着かせるために声を上げる。

「13から28ブロック損傷」

「三番相転移エンジン出力ダウン、四番、五番にかなりの負荷がかかってます。」

「参謀本部の回答は来たのか?」

イルマ副指令が聞いてくる。

「援軍を送るのにあと一時間は掛かるそうです。」

守備艦隊の状況が写し出されている。

土偶型の敵、機動兵器はディストーションフィールドとグラビティブラストを装備していて、此方の艦艇の半分を中破、もしくは大破させている。

「間に合わん!凍結艦隊を解凍したまえ、あれを使って打ってでる。」

「アツギ長官あれは、連邦議会と統合軍本部の許可がいります。」

顧問監査席から抗議の声が上がる。

「かまわん!使っての兵器なにをためらおうか!」

 

ドオオオオンン

 

「くっ解凍せよパスワードは『古代の夢が終わるとき』だ!」

「は・・・はい。」

パスワードが打ち込まれ眠れる古代の悪夢が蘇る。

「無人艦隊、敵に向かって進んでいきます。」

「よう〜し、行け!行って敵を蹴散らせ〜」

木連出身のイルマ副指令は、土器型要塞に向かっていく無人艦隊に不安を隠せなかった。

無人兵器は誰が作ったのか? それは誰も知らないのだから・・・。

 

 

「無人艦隊反転!重力波反応増大していきます。」

それが、統合軍木星ステーションの最後の通信となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ネルガル月研究所

 

ネルガルの若き会長アカツキ・ナガレ

会長にしては、めずらしく秘書のエリナ・キンジョウ・ウォンと共に研究ブロックの最深部に足を運んでいた。

「彼が目を覚ましたんだって?」

「ええ、一年ぶりにね。」

アカツキは、おどけながらも何処かホッとした感じを漂わせている。

エリナは、どこか嬉しげでさえある。

「彼女たちの締め付けが、厳しくなってきたんだよね〜。」

「しっかりしなさい。」

話ながらでも歩く早さが衰えないことから心の具合が読み取れる。

 

 

 

やがて、頑丈そうな扉の前につく。

扉の脇にはキーロックの他にインターホンがついている。

ピ〜ン ポ〜ン

「はいはい、どちらさま?」

インターホンのモニターにイネス・フレサンジュが写る。

「愛の伝道師アカツキ・ナガレさ」

「冗談言ってる暇があるなら早く入って来なさい。」

イネスは呆れ顔で言うと扉を開けた。

「はいはいと〜。」

「もう、馬鹿なんだから救いがないわね。」

 

扉を抜けた先にあるのは青い光を放つ直立した医療ポット、その中に標本のように漂う一人の男。

両脇には金の瞳と桃色の髪を伸ばした少女と金色の髪の女性イネス・フレサンジュ

 

 

ゆっくりと金色に変化した瞳を開く。

 

 

「アカツキ・・・敵が来たぞ。」

 

 

 

 

 

 

 

次回予告

 

突然木星から現れた謎の敵、火星にはナデシコB+を初めとした連合宇宙軍が防備に付いていた。

迫りくる敵、月の秘密ドックから発進するユーチャリス!

呪いの花は全てを守ることができるのか?

 

 

 

 

星々の神話

「火星の時」

 

 

 

 

 

あとがき

始まりました、新シリーズ!

大和神族

このネタで書いている人が少ないなと思い。

書いてみました。

もともと魔法科学だの魔術だのが大好きな人間ですので、シナリオは狂い科学チックな説明を考えては詰まり頭を悩ます日々。

だいじょうぶだろうか?

ともあれ気長に次回をお待ちください。

ナデシコ外伝の方をメインに進めていく予定ですので、

 

 

 

 

 

ついかいせつ

はい、と言う事でこっちでも出て来ためるう゛ぃるです

なん〜〜〜〜〜か、聞かされていたのとずいぶん違う話のような気がするなぁ〜

まぁ いいけどね(笑

それにしても・・・『凍結艦隊』か、

凍結される前は『地球圏殴りこみ艦隊』とかよばれていたんだろうなぁ(笑

と言うか、どれだけの人が元ネタわかってくれるんだろ?

 

 

突如来襲した大和の軍勢!

それを察知したかのように『火星の後継者の乱』直後から眠り続けていたアキトが目覚める。

彼の言う『敵』とはいったい!?

 

 

 

 

 

代理人の感想

「大和」が出て来るSSは・・・・ここでは二番目でしょうか?

魔法科学と言うか呪術と言うか。

原作通りの設定(「呪術」には「呪術」でしか対抗できない)であるなら、

ナデCだろうがユーチャリスだろうがけちょんけちょんにノされて終わりなんですが。(爆)

まぁ、それではお話にならないので続きを期待しましょう。(笑)

 

それにしてもアキト君、なんで一年も寝てたんでしょ(笑)。

 

 

 

>凍結艦隊

つまり人類は「地球怪獣」なわけですね(爆)。