Ultimate Battleship NADESICO
第一話
仲間との出会い
「あ〜、よく寝た。
今日はプロスペクターさんがナデシコの案内をしてくれるんだよな。
只今の時間は・・・。」
ケイは時計を手に取り硬直状態。
時間は7時18分。
待ち合わせは8時ちょうど。
「ありがちなパターンだな・・・・
って、そんな事より、早く支度しなきゃマジで遅れちゃうよ!」
ケイは大急ぎで支度をし、待ち合わせ場所に向かった。
「ふう、何とか間に合ったな。」
「時間通りですね。」
ケイの後ろには、プロスペクターとケイを気絶させた大男が立っていた。
「なかなか来ないので、また逃げられたのかと思いましたよ。
それと、彼の紹介がまだでしたね。
彼は、私と同じネルガル重工社員のゴート・ホーリーです。」
ゴートは小さく頭を下げた。
「昨日はすまなかった。」
そう言って、また頭を下げた。
「ゴートさんが謝る必要はないですよ。
元はといえば、センターから逃げた俺が悪いんですし。
とは言っても、結局ネルガルに逆戻りですけど・・・。
それよりも、ここって連合軍の基地ですよね?」
「そうです。ここの地下ドックにナデシコがあります。
では、行きますか。」
軍人のチェックを受けて、三人は基地内に入っていった。
「これが我が社の誇る機動戦艦ナデシコです。」
「これがナデシコ・・・・。」
ケイはナデシコを見つめたまま、黙ってしまった。
「次はナデシコ内部の案内をしましょう。」
プロスペクターとゴートはナデシコの中に入っていった。
ケイも二人の後に続いた。
「ここはナデシコのデッキです。」
「なんだか、皆さん忙しそうですね。」
「もうすぐ就航ですから。
整備のほうも最終段階って感じですね。」
「あの、もしかして、あれがエステバリスですか?」
ケイは、奥にある人型ロボットを指差した。
「よくぞ聞いて下さいました。
あれこそが、ネルガル重工が開発した近接戦闘用人型ロボット、エステバリスです。
フレームの交換により、陸海空はもちろん宇宙でも運用可能。
超々強化樹脂と複合ルナリウム合金を使用することにより、
重量1.85トンというトラックより軽い超軽量を実現。
さらに、ナデシコから発される重力波ビームを受けることでエネルギー供給を行うため、
ナデシコと共に運用すれば活動時間はほぼ無限です。
ムヅキさんの機体は、右端にある、白いエステバリスです。」
「カッコイイ機体ですね。予想以上です。」
ケイがエステバリスを眺めていると、左端にあるピンク色のエステバリスが暴れだした。
「木星蜥蜴め、どっからでもかかって来い!
俺様がボコボコにしてやるぜ!」
コックピットから若そうな男の声が聞こえてくる。
「なんですか、あれ。」
「ヤマダ・ジロウさんですよ。
この前もエステバリスに乗って、デッキで暴れてました。」
プロスペクターは当たり前のように暴走エステバリスを見ていた。
「お?プロスペクターさんじゃねぇか。
なんだ?また、ガキを雇ったのか?
よーし、御前にも俺様のスーパー・ウルトラ・グレート必殺技を見せてやる!」
プロスペクターは少し戸惑ってから、ケイに言った。
「ムヅキさん、エステバリスに乗って構いませんから、彼を止めて下さい。」
「乗っちゃっていいんですか?」
「仕方ないですよ。これで他の機体を壊されたらたまりませんからね。お願いします。」
「わかりました。」
ケイは急いで自分のエステバリスに乗り込んだ。
「御前、パイロットか?って、んなわけねーよな。
これはガキのオモチャじゃねぇんだ。
ほら、さっさっと降りろよ。」
「ガキじゃねぇっつーの。
ムヅキ・ケイ、パイロット兼オペレーター補佐っス。」
「御前がねぇ・・・一応、自己紹介をしておく。
俺の名はダイゴウジ・ガイ。」
「え・・・ヤマダ・ジロウじゃないんですか?」
「ヤマダ・ジロウは仮の名前、ダイゴウジ・ガイは魂の名前!
よーし、御前がどれぐらい強いのか、俺様が試してやる!
さあ、来い!」
「来いって言われても・・・・
俺、アンタを止めに来たんですけど。」
「来ないってか?
んじゃ、こっちから行くぞ!」
そう言うと、ヤマダはケイに向かって体当たり。
ケイはヤマダの体当たりを横にかわし、後ろに回りこんだ。
ケイは後ろからヤマダを押さえ込んだ。
「これで動けないだろ。」
と、ケイが油断したそのとき、
「あまーい!
くらえ!俺様のスーパー・ウルトラ・グレート必殺技!
ガァイ、スゥーパァー・ナッパァァァァ!!」
ヤマダはその場に片足で立ち、上半身を回しだした。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」
ケイの悲鳴が響く中、二体のエステバリスは倒れこんだ。
「いてててて・・・」
ケイがエステバリスから降りると、デッキの隅から工具をたくさん身に付けたメカニックが走ってきた。
「おい、大丈夫か?」
「生きてるんで平気だと思います。
ところで、あんた誰スか?」
「俺か?俺は天才メカニックのウリバタケ・セイヤだ。御前は?」
「俺はパイロット兼オペレーター補佐の、ムヅキ・ケイって言います。」
二人の自己紹介が終わると、ピンクのエステバリスからヤマダが出てきた。
「どうだ、あれこそが俺の必殺技、ガイ、スーパー・ナッパーだ!」
ヤマダは、偉そうに腰に手を当てて降りてきた。
「な〜にが必殺技だよ。
こんな狭い所であんな技やって、他の機体を壊したらどうすんだ。
整備するこっちの身にもなってみろ。」
「んなこと言ったってしょうがねーだろ。
ロボットだぜ、ロボット。男のロマンだよなぁ。
ケイ、御前もそう思うだろ?」
「俺に聞かれても・・・・・
あれ?ヤマダさん、どうかしましたか?」
「いや・・・足がね。
それと、俺はダイゴウジ・ガイだ・・・・
段々痛くなってきたぞ・・・・。」
「アンタ、足折れてるよ。」
「なにぃぃぃぃぃ!」
ヤマダはウリバタケに連れられて、医務室に行った。
「プロスペクターさん、パイロットが一人減りましたね。」
「大丈夫ですよ。ヤマダさんのことですから就航までには治りますよ。
さて、次はブリッジを御案内しましょう。」
「ブリッジには通信士、操舵士、オペレーターの三人がいるはずです。
ちなみに三人とも女性ですよ。」
「艦長はいないんですか?」
「それが、まだ来ないんですよ。
勿論、艦長も女性です」
「マジすか・・・・」
「さぁ、ブリッジに着きましたよ。」
プロスペクターを先頭に、三人は中に入った。
「皆さん、お仕事の方は慣れましたか?
今日は、新しいクルーの紹介です。」
「ムヅキ・ケイです。よろしく御願いします。」
ケイが自己紹介をすると二人の若い女性が寄ってきた。
「私、通信士のメグミ・レイナード。
見てのとおり、男性は君が初めて。」
と、メグミが嬉しそうに言う。
「あら、カワイイ坊やじゃない。
私は操舵士のハルカ・ミナト。よろしくね。
ところで、ケイくんの担当は何?」
「パイロット兼オペレーター補佐です。」
「オペレーター補佐?
ってことはルリちゃんのお手伝い?」
「ルリちゃんって誰ですか?」
ケイがそう言うと、オペレーターっぽい女の子が奥から出てきた。
「君がルリちゃん?」
「はい。ナデシコ専任オペレーターのホシノ・ルリです。
よろしく・・・・。」
ルリは挨拶を済ますと、自分の席に戻った。
「なんだかなぁ。
本当に、あの子がオペレーターなんですか?」
「本当ですよ。彼女もあなたと同じ・・・・・
い、いや、なんでもありません」
「俺と同じ?どういうことですか?」
「本当に、なんでもありません。
気にしないで下さい。次は食堂に行きましょう。」
プロスペクターは、足早にブリッジから出ていった。
「なんかマズイことでもあったんスか?」
ケイはゴートに聞いてみた。
「さぁな。いずれ分かる。」
ゴートも答えようとはせず、ブリッジを出ていった。
「どうせ分かるなら、今、教えろよな。」
ケイはブツブツと独り言を言いながらブリッジを後にした。
「おやおや、また新入りかい?」
食堂に入ると、厨房からオバサンが出てきた。
「どうも、ムヅキ・ケイです。」
「彼女はホウメイさんです。料理の腕前は天下一品ですよ。」
「そんなことないさ。ところで、アンタの出身は?」
「出身って言われても・・・
プロスペクターさん、あの施設ってどこにありましたっけ?」
「おや、お忘れですか。スウェーデンですよ。」
「スウェーデンってことは、この前の子と同じだね?」
「同じと言えば同じなんですけど、いろいろと事情がありまして。」
「そうかい。まぁ、何か食べたくなったらここに来なよ。
じゃぁ、厨房の片付けがあるから、失礼するよ。」
そう言って、ホウメイは厨房に戻った。
「今日はこれぐらいにして、お部屋の方に案内しましょう。」
「こちらが、ムヅキさんのお部屋です。
今日は疲れたでしょうからゆっくり休んで下さい。では・・・。」
「ふぅ。今日も疲れたな。」
それにしてもプロスペクターさんの言ってたこと、気になるよなぁ。
あの子のどこが俺と同じなんだよ。全然わかんねぇ。
まぁ、結構、可愛かったけど・・・って、何考えてんだろ。
ホシノ・ルリ、どっかで聞いたことのある名前なんだけど・・・・・・
そんなことを考えてるうちに、ケイは昨日の様に深い眠りについてしまった。
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あとがき
どうも、デュランです。
まず最初に・・・キャラを「立てる」のが凄く難しいです。
「こんなキャラにしたい」っていうのはあるんですけど、
それを作中で組み立てるのが、さらに難しいです。
でも、今後とも頑張りますので、よろしくお願いします。
それと、感想・アドバイスなどを頂ければ嬉しいです。
代理人のアドバイスみたいなもの
「心理描写」ではいまいち。
「会話」でもあまり良くない。
「設定」は絶対にダメ。
キャラを立たせるには「行動」これあるのみ!
もっとも、「行動」と言っても積極的な、一般的な意味での「行動」である必要はなくて、
己の不甲斐なさを責めて歯軋りするとかやりきれなさに壁を殴りつけるとか、
薄暗い部屋の中でぶつぶつ呟きながら膝を抱くとか、
あるいは弟を思って木の陰からそっと様子を見るというのも
充分にキャラクターを立たせる行動となりえます。
要は「このキャラならこうする!」という行動をとらせればよろしいのではないでしょうか?
まぁ、やろうとするのと実行するのとはまた別問題ですが(爆)。