機動戦艦ナデシコ外伝 すごいよ!!アキトさん
第1話 「アキトと愉快な仲間たち」
ドドンパQ
テラサキサユリはバイト先である雪谷食堂で最後の後片付けをしていた。このごみを裏のごみ捨て場に置いてくれば今日の彼女の仕事は終わりだ。彼女は足元軽く食堂の裏口を出た。
ごみを捨てて後ろを振り返ったときそれは起こった。なにもない空間にいきなり青い光が立ち込めたと思うと明らかに怪しく、気絶していると考えられる人がいきなり現れたのだ。
(まさか、新手のキャッチセールス?)
彼女はまったく関係のないことを思ったが、このさい言及するのはやめよう。
「あの、大丈夫ですか?」
彼女がその男を見たときにはじめに思ったことは男の肩に謎の黄色い輪っかがついていることだった。
彼女は彼が安全に気絶していることを確認すると食堂の中に連れ込んだ。
「ムフフフ、お年寄りがねえ…」
食堂内で介抱されている男は先ほどから謎の寝言を発していた。
(なんの夢見てるのー)
サユリは気になってしょうがなかった。
「おい、サユリどうするんだ?俺はもう引っ込むぞ」
そのとき店主のサイゾウが顔をのぞかせた。
「あ、私はもう少し様子見ます」
「そうか、じゃあ戸締りとか、あとのことはヨロシク」
「こっちこそ、親御さんにヨロシク!」
気がつけば今まで寝ていた男がいやに爽やかに挨拶を返してきた。辺りが少し静かになる。
「目覚めてるじゃん」
二人は突っ込みをいれた。
「おっと、僕はこんなところで何をしているんだ!?」
目覚めた男は自分がテンカワアキトと言う名前だと言うことを名乗るとサユリの作ったチャーハンをガツガツと食べ始めた。
「いやあ、うまいなあ。こんなにうまいものを食ったのは三ヶ月ぶりだからなあ。いやあ、この三ヶ月いろいろなことがあったからなあ」
(聞いてほしそう、でもどうしよう。振袖合うのも他生の縁というし、仕方がないなあ)
サユリは覚悟を決めた。
「いったい、何があったの?その三ヶ月間に?」
「えっ、なんだい?三ヶ月のことかい?いやあ、急に参ったなあ」
アキトは一呼吸おき、深刻な顔つきになると、
「そればっかりは言えない」
と言った。
(ちくしょー)
「でもしょうがない、君にだけは話してあげよう。僕はある場所にいたんだ、そこがどこだかわからないほど途方もない場所でね。そこで僕は出会ったんだ、伝説の格闘技、セクシーコマンドーに!!」
「せくしいこまんどー?」
サユリは正直に怪しいと思ったが、口に出すのは止めた。
「僕はそこでセクシーコマンドーの修行を続けて(五分間のみ)、そこでできたのが……」
サユリはつばを飲み込んで話を聞いた。
「この輪っかだ!!(実際はもらったもの)」
(さっぱりわからーん)
なぜかテンカワアキトは翌朝再び店に来たサイゾウに気に入られ、店を手伝うことになった。アキトは料理もうまく、コックとしては損のない男であった。
アキトが住みついてから、一週間がたち、いま店の中は明らかにヤクザな男が二人と、背広に身を包んだいかつい男とちょび髭でサラリーマン風の男がいた。
サユリがヤクザ風の男たちに注文のラーメン大盛りを持っていったとき、お決まりだが問題が発生した。
「ちょっと止めてください」
「いいじゃねえか、ねえちゃんよぉ」
二人がサユリに絡んだ。
そのときヤクザの二人の肩をたたいた男がいた。
「アキトさん!」
「なんだ、てめえは!!」
「やあ、いい天気だなあ。小鳥もさえずっているなあ」
アキトは口笛を吹きながら、語り掛けた。
「なんだこいつは」
「わかりませんよ、兄貴」
アキトはカッと目を開くと、
「つまずいたあー!!」
と言って豪快にこけた。
「あいたた、いやあ」
アキトは頭から大量の血を噴出しながら立ち上がった。
「さっさとでてけ、テメエら」
さりげなく、かつ爽やかに言った。
「んだと、てめえ」
ヤクザはキレた。
「本気で戦わせるつもりか」
「なんだ怖気づいたか」
「君はセクシーコマンドーの恐ろしさを知らない」
「なんだと」
「まあ、見てろ」
アキトはそう言うと、
「はあーーーーー」
と言いながら、チャックを開いた。
(こんなときになにやってるのよ)
サユリは思ったがアキトの動きは止まりそうもない。
なぜかアキトのチャックの中からでてきたのはオロナミンDドリンクだった。アキトはそれを軽快に振ると敵に向かって後ろを向いた。一瞬のときが流れたあと。「ぷしゅう」とアキトの股間から黄色い液体が噴出した。
「みっともねえ」
ヤクザが一瞬ひるんだ、その瞬間アキトの目がまたもや見開いた。
「今だ、パンチ・デリカット!!」
アキトの必殺技のケリがヤクザ二人にヒットし、彼らは店の外に吹っ飛んだ。
(なによ、今のキック、パンチって言ったのに)
サユリはかなり混乱し始めた。
「な、なんて技だ……」
テーブル席で今の攻撃を見ていたゴツイ男ことネルガルシークレットサービスのゴートは全身が震え上がった。
「み、ミスター。あの男こそ我々に必要なのではないか?」
ゴートは目の前でギョーザをつまんでいるちょび髭のサラリーマン風の男、プロスペクターに声をかけた。よく見ればプロスもあの男に見入っていた。
「あの、輪っかは!!間違いなくC.Cが高純度でできたもの」
「ミスターそれがあると何か変わるのか」
「普段は青色のはずなC.Cが高純度になると急に黄色になるのです」
二人の間に沈黙が流れる。
「それだけ?」
「いや、大事なことを忘れていましたが、黄色いC.Cは普通のものと比べて比較にならないほど強いのです。C.Cを高純度のものにするとは机上の論理だと思われていましたがまさか本当に存在するとは!!・……ゴート君、アレをパクりましょう、アレさえあれば我々も火星なんぞにいかなくてもすむのです」
「でもあいつはかなりの強さだが」
「心配要りませんよ、たとえ荒業で失敗したとしても私には自慢の交渉術が…」
「分かった、ミスターを信頼してなんとかやってみよう」
プロスとゴートは勝ち誇っていたアキトに近づいていった。
「失礼」
プロスは冷静な声をアキトに向けた。
「なんだいお客さん?お会計か?」
「いやあ…」
一瞬の隙にゴートがアキトを後ろからはらいじめにした。
「!?」
「アキトさん!」
「なっ、何をするー!!」
アキトは叫んだ。
「フフフ、あがいても無駄ですよ。素人のかなう相手じゃありません。我々の目的はあなたが肩につけているそれです。痛い目にあいたくなければそれをおとなしく渡しなさい!」
「断る!」
アキトは即座に答えた。
「何ですと!」
「これは…俺のチャームポイントだ!!」
(この人はアレの価値がわかっているのでしょうか?……はっ!!)
プロスはメガネをキランキランに輝かせながらあることに気がついた。
「お、お母さんが子供におしっこ等をさせているポーズ!!」
「むう、いつの間に」
そのときアキトの目がカッと見開いた。
「今だ!!ヒトリ・デ・デキルモン!!」
アキトは一瞬にしてゴートの呪縛を解くと豪快なひじうちを食らわせた。ゴートは豪快にぶっ飛んだ。
「ば、馬鹿な、彼がこんなに吹っ飛ぶなんてなんてパワーだ!!」
「さて貴様はどうする?」
アキトはプロスに向き直った。
「くっ、こうなっては仕方ありません、必殺技を使わせてもらいましょう!!メガネビーム!!!!」
プロスのメガネから高熱の光が発射された。アキトはなんとかそれを避けたが、ビームのあたったテーブルは解けてしまった。
「なかなかやるな…はっ!?」
アキトは気づいた、敵のヒゲに。
「あ、あんたもしかして、ヒゲマニアか?」
「えっ?…わかりますう?」
プロスは顔を赤らめながら、自分のひげをさすった。
彼らはヒゲについて夜中まで語り合ったという。
筆者のたそがれ日記。
最近、ベランダでそだてていた黒百合が咲いた。
「ふーん、これがブラックサレナか…」
と思っていた私でありましたが、その花の香り、かなり淫靡な感じです。吸い込まれていきます。
花期は結構長いので皆さんも楽しんではいかが?
代理人の感想アンたはシュバルツ大佐かっ!(爆)とまぁ、突っ込むだけ突っ込んでおいて。
いや〜、駄目っぷり爆発。
しかもタイトルでは「アキトと仲間達」なのに全然仲間にはなってないし!(友達にはなったが)
は、これもセクシーコマンドー!?