機動戦艦ナデシコ

〜夜叉と戦神〜








プロローグ


火星・ユートピア・コロニー辺境




 一人の少年が傷だらけの体で呆然とその光景を見詰めていた。一台の車が激しく炎上している。
炎上している車の中に見える、二つの塊はその少年の親の成れの果てであった。
立ち尽くす少年の後ろから燃え上がる車を追っていた連中が姿を現した。

「手間を掛けさせやがって、おとなしく捕まればよかったものを・・」

黒尽くめの男の一人が呟いた。

「悪いなボウズ、これも仕事でな。まぁ、恨まんでくれやぁ〜」

 黒尽くめの男達のリーダー格の男が、下卑た笑いを交え拳銃を少年に向って構えた。 少年は男の言葉に振り向いた。その瞳は恐ろしいまでの殺気に彩られ、一瞬、男達を怯ませた。

「チッ!、ガキのくせにいやな目で見やがる。さっさとくたばれや」

男は拳銃の引き金を引いた。




カチ


 少年の命は風前の灯であっても、その瞳は先程と変わらない殺気に覆われていた。
その時、少年に拳銃を向けた男に向って、一陣の風が吹いた。瞬間、男は一瞬にしてその命を絶たれた。
呆気にとられている男の仲間達を風は容赦なく命を刈り取っていった。

「ギャアアアアアアアアア!!!」

「たっ、助けてくれ!」

悲鳴が収まると、周りには黒尽くめの男達の肉塊と血溜まりの中に一人の編み笠の男が佇んでいた・・・
少年は呆然とその男を見詰めていた。

「ふっ、なかなかの殺気を感じて来てみればこの程度か・・・」

「ねぇ、オジサンがやっつけたの?」

少年はオズオズと血溜まりの中に佇む男に話しかけた。

「愚問を我以外誰がいる。ん?、その気は主か先程の殺気を出していたのは・・・」

「えっ!?殺気?あの時はただあいつ等が憎くて・・・・・
   父さんも、母さんもあいつ等に追われて殺されたんだ・・・」

少年はそう言って男の顔を見上げた。その瞳には恐ろしいまでの力が込められていた

「ふっ、強き幼子よ、我と共に来い。さすれば主に力をやろう、そして我の片目になれ」

その男は、よく見ると片目は義眼だった。隻眼の男は少年の前に立つと右手を差し出した。

「僕は・・・・・強くなりたい!!、殺されたくないんだ!、それに父さんや母さんを殺した奴等は許せない・・・・

だから、オジサンについていく!」

 少年は、隻眼の男の手をしっかりと掴んだ。少年は何か惹かれるものを感じていた。
それは子供がヒーローに憧れるそれに近いかもしれない。
 この肉塊と血溜まりという異常な光景の中で少年はそれを気にする訳でもなく北辰を見つめていた。

「ふっ、復讐人か・・・・・それもまたよかろう、わが名は北辰、お主の名は?」

「マコト、僕の名は、サナダ・マコト」

 二人は出会う
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 少年は力を手に入れた
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 大人になった少年は己の手を、体を血に染めた
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さながら、悪鬼と呼ばれる夜叉のように
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 蜥蜴戦争の終結から三年の月日が流れた、その間地球と木星連合は表面的な和解、世の中には束の間の平和が訪れていた。

そして西暦2201年、突如ターミナルコロニー連続襲撃事件が発生する・・・・・・ これを機に偽りの平和は終わりを告げ、新しい騒乱を起こす復讐鬼が現れた。






ターミナルコロニー・シラヒメ宙域






静寂の空間の中に無数の命を狩る死神の囁きの様に激しい閃光と爆発音が鳴り響き始めた。 今、黒い悪魔がターミナルコロニー・シラヒメへの襲撃を開始した・・・・・・





ターミナルコロニー・シラヒメ内部





「まっ、待ってくれ・・我々がいなければ研究が・「機密保持だ・・・」ぎゃああああ!

研究員の命乞いの間を与えずに編み笠の男は一瞬にして研究員の命を狩った。 周りには研究員の仲間と思われる物言わぬ骸と血だまりの中に六人の男が立っていた。

「北辰様、研究所全員の処分は終わりました」

先ほど一瞬にして研究員の命を狩った編み笠の男北辰にたいして六人の男の一人が報告した。

「烈辰か・・・・『ドオオオオンンン』・・やはり来たか遅かりし復讐人、未熟者よ」

「如何いたします?」

先ほど報告した男烈辰が北辰の指示を仰いだ。

「烈辰・・・奴の相手をしてやれ、我と残りの六連は次の行動に移る」

「御意、北辰様。では行って参ります・・・・」

そう言った烈辰の銀色の瞳は一段と輝きを増し、一分の隙もない動きで出て行った

「宜しいのですか、隊長。烈辰殿は・「構わん、奴は曲りなりにも六連筆頭。復讐人に遅れはとるまい」
!、しかしあの傷では・・・」

「烈風、我は忙しい・・・・」

「はっ!、申し訳ありません」

北辰は少し苛立ちげに、烈風に言い放つ。

「遅かりし復讐人よ・・まだまだ甘いな・・・滅」

その瞬間、シラヒメ内部、研究所の辺りから大きな爆発が起こった。

ドオオオオオオオン


爆発が収まるとそこにはただ静寂だけが支配していた・・・・
編み笠達は何処ともなく姿を消した・・・・









黒い王子はシラヒメの宙域に光の粒子と共に現れた、黒い巨人を従えて。
それはシラヒメ内部が爆発する数分前の事だった・・・・
未確認のボソンジャンプの反応が現れたシラヒメは迎撃体勢に入った。
幾多の戦艦、機動兵器が迎撃に向った。黒い巨人はそれに臆することなく死を振り撒いた。
 迎撃部隊の人間は黒い死神に恐怖し全滅寸前まで追い込まれるのに時間は掛からなかった。

「・・・・・・・・・」

黒い王子は、何の感慨も持たずシラヒメ迎撃部隊を狩り、シラヒメに高速で近づいて行く。
表面まで近づいた時、シラヒメ内部から突如大きな爆発が起こった。



ドオオオオオオオン


「・・・クッ!!・・・・逃げられたか・・・・・」

黒い王子は黒いバイザーの下で悔しげに唇を振るわせた。
その時、彼の失われた五感をサポートしている幼き電子の妖精の声が黒い王子の頭に響いてきた。

(アキト、アキトノ目ノ前二ジャンプノ反応!)

「ラピス、何がジャンプアウトしてくる?」

(人型ガジャンプシテクル)

幼き電子の妖精ラピスの返事が返ってきたのとほぼ同時に、光の粒子と共に灰色の
人型兵器が姿を現した・・・・・

 アキトはその機体の姿を見た瞬間、自分の手を血が滴るほど握り締めた。
それは己の憎悪の象徴の一つと同じものがここに現れたからだ・・・・・
その時、灰色の機体から通信が入った。常に着信は全て拒否しているアキトだが、
この通信には答えた。
通信を開いたアキトの前の画面には銀色の瞳が印象的な青年が映っていた

「初めて御意を得ます。吾が名は烈辰。六人衆筆頭にして北辰様の右目なり、  この夜天光を駆り、あなたを殺します。」

そう言い放つと烈辰は、夜天光の腰に差している刀を抜き放った。







後書き

皆さん、初めまして道雪と申します。時の流れや皆さんの投稿作品を見て、自分も初めて作品を
作りました。これからも頑張っていきますのでよろしくお願いします。
感想はこれからの勉強の為、色々な意見、アドバイスなど聞けたら幸いです。
では皆さんまた・・・・・

 

 

 

代理人の感想

構図としてはオリキャラ対黒アキト、でしょうか?

いきなりなんですが北辰と言うライバルがいる劇場版でもう一人増やすのは中々難しいかと思います。

キャラの特性、この場合「アキトのライバル」という部分が被るとどっちかが霞んでしまいますからね。

そこらへん、考えていただけると嬉しいです。