「・・・やれやれ、面倒ね」

麗香は作戦の詳細を詰めていた。おかげで徹夜続き、彼女の格好はかなり乱れていた。

しかし、それでもお肌の手入れが行き届いているのは流石と言うか、何と言うかだが。

「あ〜、疲れる」

麗香は一旦、手を休めるとベットに身を投げる。

ここでインターホンが鳴る。

「誰〜?」

やや気の抜けた声で聞く麗香。だが次の瞬間、ベットから跳ねあがった。

「俺だよ、麗香ちゃん」

「カ、カイト君?」

「入って良いかい?」

「ちょ、ちょっと、待って」

麗香は慌ててクローゼットを開く。だが適当なのが無い。

「ああ、もう」

麗香は無造作に1つの服を選ぶと、急いでそれを着ようとするが。

「げっ、これは・・・。まぁ良いか」

やや躊躇ったものの彼女は急いで着た。そのご彼女は髪を急いで整え、カイトを向い入れた。

「お邪魔ま・・・麗香ちゃん、その服は?」

「ああ、気にしないで」

「気になるって」

何故か彼女が着ていたのはチャイナ服。しかも何故かかなり露出度が高い。

「どうしたの?」

「いや、麗香ちゃんが徹夜してるって聞いたから、夜食でもと思って・・・お邪魔だった?」

「まさか、感激だわ」

「そう、よかった」

カイトは安堵の溜息を着いた。

「それにしても、凄いありさまだね」

「・・・悪かったわね。しかたいでしょ」

「いや別に他意はないんだ」

「・・・そうだ、じゃあ掃除とか頼もうかしら。近頃掃除とかしてないし、それに食事もなおざりだし」

「ああ、別に構わないよ」

「それじゃあ頼むわ」

ちなみにこのやり取りの後、麗香はカイトにモーションを掛けてみたが、

カイトにそこまで効果を挙げられなかった(麗香の視点から見て)。

「ちっ、彼にこの手のコスチュームは効かないか」

ちなみにカイトは

「危ない危ない、あと少しで理性が吹っ飛ぶ頃だった」

・・・何気に危機に立たされている市民を横目になにをしているのだろうか?。

と言うか、彼らに西欧の命運を託して良い物だろうか?。




          時を紡ぐ者達  第24話



「へぇ〜。そんなことがあったの?」

『そう』

麗香は休みをみつけては、本社で留守番している真澄にカイトのことを伝えていた。

「結構、彼奥手なのね。もっと積極的かと思ってたのに」

『どちらかと言うと良識が、欲望より勝っていたと言うのが適当だと思うけど』

「良識ね・・・」

『どうしたの?』

「いえ、何か私達が良識について云々言うのはちょっとね」

『人としての良識よ。別に気にすることは無いわ。私達は彼をサポートする。そのために居るんだから』

「そうよね。私達が願うのはただ彼の望みがかなうこと。ただそれだけ」

『どうしたの?』

「いえ、ちょっとね。こう本社で書類整理ばかりしていると戦争のさまが書類から見えてきてね」

『・・・貴方らしくねいわね』

「・・・すでに死亡した人間は史実の比じゃない。何時まで続ける気なのかしら、姉さんは」

『私もそれは分からないわ。この世界で動く意味があるのか、何故あえて姿を現したのか。

 でも彼女のことだから何か考えがあってのことだと思うけど』

「そうね、あの人は何時もそうだった」

『・・・真澄、機構の様子は?』

「静かよ、今のところ」

『そう、何かあったら』

「分かってる。すぐに知らせるから安心して」

『わかったわ』

通信が切れる。

「・・・さて、これを鈴に届けておきますか」

真澄はファイルの一つを、極秘回線を使ってある場所に送りつける。

「B段回、このままいけば遠からず・・・」

続きの言葉を喉に押し込めた真澄は本社の最上階近くにある執務室から外を見る。だが、

『春日井様から通信が入っています』

とコンピュータが伝えた。

「・・・繋げて」

机の正面にウインドウが開かれ、春日井が映し出された。

「何の用?」

『例の逆行者の件だ。まぁもうそちらも分かっていると思うが、逆行者は星野ルリだったよ。

 それとこちらも驚いたことだが、逆行することを支援した人物まで居るようだ』

「支援者?」

『ああ、クロノスと言えば分かるだろう?』

「・・・なるほど。で、他には?」

『B段階も終わりに近づきつつある。彼女も数ヶ月以内にC段階に入ると言ってきている』

「C段階ね、と言うことはもう引き返せないわね」

『ああ、法院の連中は間違いなく機構を切り捨てる。

   それに連中は反統和機構組織に働きかけを行いつつあるようだ』

「敵の敵は味方ってこと?。反統和機構組織の動きは?」

『法院の連中に同調する者も出始めている。

 反統和機構組織と言っても実際には利権を奪い返すために作られたような組織。

 自分達に利権が認められると成れば、法院に寝返る連中が多数出ても不思議じゃない』

「彼女の派閥の動きは?」

『一部の気骨ある連中をまとめている。まぁ連中は全ての元凶が法院であることを見抜いているから

 彼らはこちらに同調するはずだ。それに寝返った連中の中にはかなりの数の諜報員もいるから情報には苦労しない』

「・・・備えは整いつつあるようね」

『冥王星基地の拡張工事も終了しつつある。すでに完全に自給自足が可能な要塞も完成した。

 艦隊戦力の拡張も進んでいる。阿蘇級に加え、シルフィルム級、それに戦艦モンタナ級、ヤマト級の建造も急ピッチだ』

「大艦巨砲主義のリメイクでもする気なの?」

『これらは護衛戦力だ。空母の建造も急ピッチだ』

「それにしてもヤマト級を生産できるということは、技術部はこちらの手に入ったと?」

『そうだ。多くの技術者達はこちらに賛同している。

 頭の古い法院に牛耳られるのは覇気のある人間だったら誰もが嫌がるさ』

「だけどその覇気のない連中が足を引っ張ってたんじゃないの?」

『無能連中は彼女、いや彼、『影護北斗』によって大分粛清されてからな。

 おかげで機構内部の勢力図は大きく変わってきている。法院の諜報部もかなり酷い目に遭わされて人材不足に

 陥ったようだ。そのおかげでこちらの目を気にせず動きを加速できたから言うことは無いのだが』

奥歯に物が詰まったような言い方に真澄は眉をひそめる。

「どうしたの?」

『彼がもうそろそろこちらに来たいと言い出しているんだ』

「早くない?」

『だが、彼の功績も大きい。いつまでも無視できない』

「・・・でも赤毛の暗殺者は法院内部でもかなりの問題になっていたはずよ」

『まぁな。だが連中はまだこちらに手出し出来る態勢ではない。

 法院はネルガルを使って彼女を始末しようとするだろう』

「木連の戦力は史実の比じゃない。いずれ夜天光の後継機も完成させるだろうし、何より姉さんもいる。

 ちょっとやそっとでやられるとは思えないけど」

『連中の目的は時間稼ぎだろう。我々の準備が整わないうちに攻め込めば計画は失敗させられると思っている』

「と言うことはゲリラ戦術という事になるわね。非正規部隊でも設立させる?」

『勿論、そのつもりだ。まぁそれに連中には精々見当違いの場所を破壊させておくさ』

「・・・また私の仕事が増えるって訳?」

『そう言うことになるな、まぁ頼むよ』

通信が切れる。

「・・・いずれこの世界も我々の戦いに巻き込まれるでしょうね。その時は」

彼女の呟きは呟きの主以外に誰も居ない執務室に消えていった。




 真澄と春日井の会話がなされていたころ、某所。


  小惑星を改造されて作られた要塞が、紅蓮の炎に包まれ滅びの時を迎えようとしていた。

「くそ、一体何が」

「第2大隊壊滅、第3大隊もほぼ壊滅しました」

指令室ではオペレーターが悲痛な声をあげた。

「敵は、一体」

ここで、辛うじてメインモニターが敵影を捕らえた。そして、その姿を見た彼らは絶望の表情を浮かべる。

「・・・部長、あれです。うわさの」

「紅き死神か・・・」

「すでに法院の支部5つを壊滅させたと言う怪物か」

「支部長、如何します?」

尋ねた人間は目で『さっさと放棄すべきだ』と言っていた。

「馬鹿な、たった一機の敵にこの栄えある法院有数の拠点が」

「しかし、もはやここまでです。それに重要施設の大半が破壊された今、ここに固執する意味は」

そうしている内に、停泊していた戦艦が弾薬庫に直撃を受け大爆発を起す。

「司令、もはやここまでです。一刻も早く脱出を」

だが、その答えを彼が聞くことは無かった。

次の瞬間、最もこの要塞で強力な防衛システムを張り巡らせた指令室は、

彼らが言う『紅き死神』のDFSの直撃を受け破壊されたからだ。

「・・・脆い」

紅い機体に乗っている人物はそう呟くと、機体を翻して速やかにこの施設を離脱する。

「さて、もうそろそろ連中の言う世界に行かせてもらうか」

そのパイロットは楽しそうに言う。

「異世界とは言え親父を倒した実力、見せてもらうぞ」





 この法院支部壊滅の報は最高法院、統和機構の最高幹部に届けられる。

「そうか、予想以上か」

アトラスは報告を聞いて満足そうに言った。

「はい。それと法院内部にもこちらの間諜を紛れ込ませることに成功しました」

「老人達は?」

「最高法院は魔女の討伐を主張しています。

 ですが一部の反統和機構組織がいまだに頑強な抵抗を続けているのと、

 法院支配領域で大規模なテロ活動が頻発しているため、あまり強く言って来ていませんが」

「各世界政府は?」

「最高法院の代理人が多数暗殺されたことで動揺しています。多くは日和見に転じつつあるようです」

「まぁ支配者とはえてしてそんなものだ。と言うことは問題になるのは連中の私設軍だけか」

「はい。ですがそれでもかなりの脅威です」

「・・・『あれ』は完成したか?」

「いえ、最終テストはあの地で行うつもりです」

「全ての因縁の地か・・・」

「はい。彼女もすでに承諾してます」

「・・・連中は気づいては居ないだろうな」

「その点は抜かりありません。それにあの地にはあれがあります」

「・・・盾代わりか」

「いえ、バックアップです。電脳が破壊されても、あれがあれば計画は実行可能です」

「・・・何と言われることやら」

「転ばぬ先の杖です。それに我々には手段を選んでいられうような贅沢はできません」

「確かにそうだな。機構内部の様子は?」

「法院派の勢力は大幅に減少しています。将軍クラスがあっさりと暗殺されたことが響いているのでしょう」

「法院派の動きは?」

「機構から脱退するものも出ています。まぁ空いたポストは埋められますから問題ありません。

   機構内部に潜伏していた法院のスパイの狩りだしも上手く言っています。

 法院の諜報部の打撃とあわせて当分、連中にはこちらの正確な情報は届かないでしょう」

「時期近しか」

「はい」

アトラスは報告にきた秘書を下がらせ、近くに控えていた厳馬に言った。

「君の娘も頑張っているようだ。この場を借りて君達親子に感謝させてもらうよ」

「ありがとうございます。ですが礼はすべてが終わった後に」

「・・・そうだな。全てが終わった後には何か奢らせてもうよ」

「遠慮はしませんよ?」

「勿論だ」

「ではそのときを楽しみに待つとしましょう」

このとき緊急通信が入る。

『長官、最高法院から緊急会議開催の通知が』

「わかった。すぐに行く」

(老人達の狼狽ぶりが目に浮かぶな・・・)







 やや時を遡るが、法院でも支部壊滅の報告が入ってきていた。
 
「六つ目の支部が破壊された」

法院では、この事態を受け緊急会議が開かれる。

と言っても実際に会議室に集っているのは、立体映像であったが。

「警備隊は何をしていたのだ!?。あそこにはかなりの戦力を配備していたはずだ」

「どうやら施設もろとも叩きのめされたらしい」

「一体、どんな敵なんだ。二個師団に匹敵する戦力を置いていた要塞を短時間で、しかもたった一人で陥落させるとは」

「我々にもほしいものだな、そう言う人材が」

「機構から廻させるか」

そうこうしている時、アトラスが会議に加わった。

「おくれて申し訳ありません」

「遅刻の釈明はあとだ。君も知っていると思うが我々の支部を破壊して回る人物について情報はあるかね?」

「残念ながら正体はいまだに掴めていません」

「何の為の機構かね?。その程度も出来ないとは君の能力もたかが知れているな」

一人の幹部が嫌味を言った。

「我々は今、反統和機構組織との戦闘に専念せざるを得ない状況です。

 それに加え、あの魔女の件もあります。魔女を牽制するのに一個艦隊は必要ですから」

「すみやかに潰したらどうかね?」

「潰せるとお思いですか?。それにかの世界の干渉には彼女が大きく関わっています。

 あまり下手にやると彼女の逆鱗にふれることもありうると思いますが?」

「・・・彼女との交渉は我々が行う。君は法院の決定に従っていれば良い」

「・・・わかりました」

「それと反統和機構組織の切り崩しは我々が行う。君は速やかに指示された連中を潰せ」

「わかりました。速やかに手を打ちます」

「期待しているぞ。あとは我々の仕事だ。退席しても構わん」

「・・・わかりました」

アトラスの立体映像が消える。

アトラスの存在を苦々しく思っている一部の幹部から総監に対して意見が出る。

「総監、この際統和機構は解体させては?」

「無理だ。もし無理に解体させれば反乱が起こるぞ。それにEOPの件もある」

「先に本部を押えては?」

「本部防衛艦隊と遣り合うか?。六つの支部と私設軍の13%を失った状態で?」

「ですがアトラスには不穏な動きもあります。このままでは」

「証拠が無い。それにもし機構と全面戦争を始めた時に、魔女の介入があればどうなる?」

「・・・と言う事は」

「奴を始末するまでは動けん。かと言って機構は当てにならん。

 あの女は我々の手で始末するしかないだろう。まぁ心配するなすでに『錫』も動き出している。

 問題は無い。それに連中、水原を相手にそれなりの苦戦を強いられているらしい。

 彼らには精々頑張って彼女を弱らせておいてもらおう」

「そうだと良いのですが」

この幹部の不安は的中していた。

すでに法院の諜報機能は大幅に低下しており、正しい情報が入らなくなりつつあったのだ。

だが、上層部は未だに魔女さえ排除すれば事足りると思っている。

自分達の傲慢さが自分達の足元を狭めている事に彼らはまだ気付いてはいなかった。



 決戦に向けての動きはここ木連軍基地でもあった。

「き、貴様、何故貴様がここに・・・」

「馬鹿な、ここの防衛には我が軍でも選りすぐりの精鋭があたっていた筈なのに」

将軍達は驚きのまなざしを招からざる客に向けた。

「警備の人間は今ごろ夢の中。通信施設も押えたから増援は来ないわ」

「馬鹿な」

「目の前の事が真実。受け入れなさい」

「・・・我々を殺す気か」

「まさか・・・少し自意識に眠ってもらうだけ」

将軍達はその目を見た後すぐに魂が抜けたようにその場に座りこんだ。

「あなたも眠りなさい」

辛うじて立っていた将軍も紅き目を向けられ、座りこんだ。

「これで終りね」

「さすがですね」

軍服を纏った男が突如現れ言った。

「邪眼の事?、誉め言葉には成らないわよ」

「いえ、潜入作戦の手際がですよ」

「・・・特殊部隊に身を置いた身でこの程度の事が出来なかったら恥じよ」

「ブランクを感じさせないところがですよ」

「世辞は良いわ。他の反体制派は?」

「ここ以外には大して居ません。まぁ反体制派と言っても軍の一部、特に石頭の将軍連中ですから

 そんな連中に好き好んで従う人間はいないでしょう」

「後は和平派か・・・」

「潰しますか?」

「陣内を筆頭とする和平派が煩い事も事実だけど、彼らは戦後に必要になる。

 消す訳にはいかないでしょう?」

「戦後ですか、我々のやったことからすれば和解はありえないと思いますよ」

「別に終戦である必要はないわ。停戦でも構わないでしょう」

「戦争の火種が残りますが」

「そのための火星政府よ。二極では軍事力がものを言うけど三極だったら戦争は起こりにくくなるわ」

「そう上手くいきますか?」

「上手くいかせるだけよ。

 まぁそれ以前にこの計画を成功させる必要がある。失敗は我々だけでなく木連の全国民、

 下手をしたらこの世界の地球人類すべてが抹殺されかねないのだから」

「為政者、いえ、介入した人間としての責務ですか?」

「そうかもね・・・」

それきり彼女は黙りこむ。



 黙りこんだまま仁美は総司令部に戻ると、即座に自分の執務室に行き業務を再開する。

「・・・それにしても連中の登場でかなりの打撃を受けたわね」

書類を見て彼女は溜息を着いた。

「第一、二波が全滅。まぁ今の連中と遣り合うには紅月の第二艦隊しかないか」

しばし黙りこむ。

(第一艦隊は本国防衛に欠かせなし、第三艦隊は火星付近の哨戒任務がある。

 新規編成する第四艦隊は無闇に消耗させられないし、やはり第二艦隊しかないか。

 ・・・いっそのこと優人部隊を当てる?。まさか、彼らでは手も足も出ない。

 彼らは太平洋戦線に投入した方がまだ効率が良い。増強された連合軍となら互角以上に戦えるし。

 でもナデシコはどうする?。まぁ大して脅威になるとは思えないけど法院が介入すれば話しは別ね・・・)

彼女は法院によってネルガルが強化されるかもしれないことを春日井から知らされていた。

そしてそれを逆手に使うつもりだという事も。

(先制攻撃を含めてそれなりの手は打たせてもらうわ。実際に戦うのはこちらなんだから)

仁美は何かを決意したように電話機をとり、月基地の真奈美に連絡を取る。 

「真奈美、あなたナデシコを撃沈するためにいろいろ手を打ったそうね?」

向こうで真奈美が少しうろたえた雰囲気が伝わってくる。

「別に責めている訳じゃないの。ちょっと追加としてネルガルに対してやって欲しい事があるの」

『ネルガルに?』

「そう。どうやら老人達はネルガルを利用するつもりらしいの」

『先制して潰しますか?』

「本気でそう思ってる?」

『いえ。今ネルガルを我々が叩き潰せば、連中に要らぬ警戒を持たれますからやらないほうが良いでしょう』

「わかっているじゃない。じゃあ分かるわね、こちらの用件」

『・・・了解しました。さっそく手配いたします』

「頼むわ。それと欧州戦線だけど英本土攻略作戦は当分の間、実施しなくても良いから」

『と言う事は現地司令部の判断を支持すると言うことですか』

「まぁね。イギリスは通商破壊だけで良いわ。当分は戦線の維持と接収した工場郡の復旧を優先しなさい」

『了解しました。そのように取り計らいます』

「地球戦線は任せたわよ」

『はい』



 仁美は受話器を置き、背もたれにもたれかかる。

「・・・何か用?」

仁美は振り返りもせず不意に背後に現れた人物に尋ねた。

「何って、つれないですね」

「あなたは何を企んでいるの?。星野ルリを逆行させたり、法院を牽制したり」

「私の企みですか?。別にそんな大層な品物ではありませんよ。まぁはっきり言えば趣味ですよ」

「趣味でナデシコを因果律をまげて沈めたり、私のクーデターを支援したりするの?」

「まぁ私の楽しみですから」

「・・・あなたはアトラスに警告したらしいじゃないの。EOPのことを」

「しましたよ。あれを乱用されてはこちらも困りますし」

「あなたの趣味に関して?」

「そうとも言います。まぁ失敗をりセットするのは構いませんが」

「・・・あなたにとって世界ってなんなの?」

「悠久の時を生きる私の遊び場といったところです。

 せっかく世界を良い様に出きる力を持っているんです。何もしない手はありませんよ」

「・・・まぁ良いわ。少なくとも『今は』私達の味方だしね」

「はい。まぁそう大した援護はしませんが、情報の提供あたりなら止めるつもりは無いので

 これからも頑張ってください」

「・・・そう」

「他に何か?」

「無いわ」

「そうですか。

 それでは私はここいらでおいとましましょう」

そしてその人物は光と共に消えた。

「結局我々も法院も彼女の掌の上で遊ばれるだけの存在か」

力無く呟く仁美。だが同時に彼女の頭の中ではあらたな考えが浮かんでいた。












 後書き

 earthです。時を紡ぐ者達第24話お送りしました。

駄文にも関わらず、最後まで読んで下さってありがとうございました。

次回もお付き合いして頂けたら光栄です。

それでは良いお年を。




 ゴールドアームの感想。



 いい性格してるな〜、『彼女』。
 どっかの誰かさんの昔のようです(爆)。
 昔ってなんのことかって? それは秘密(笑)。



 さて、どうなるんでしょう、このお話の行く末は。
 私はギャルゲー系キャラの元ネタはあんまり知らんので、あくまでもオリキャラとして彼らを見ていますが、どこへ行くのでしょう。
 見事な結末が付く日を楽しみにしています。仁美さんがんばれ。