嘗て、戦士がいた。



1980年代初頭より


地球人類への侵略を開始した


外宇宙からの使者。





 その異星人の侵略兵器と、


戦う為に生み出された・・・ 


戦闘用アンドロイド。


数多の敵へ立ち向かい、


これを打ち破ってきた彼女は、


最強の戦士と呼ばれていた。







       ルリ・まてぃっく  第1話





異星人に対抗している組織ネルガルの首領、ドン・ネルガルを始めとするネルガルの主だった


人物が集った会議が開かれた。



『ネルガルの偉大なる戦士、ルリよ』



ちなみに主要な幹部が集ったと言っても、ドン・ネルガルだけはルリの正面に配置してある壁に備えられた


通信機(ネルガルの紋章の形をしている)を通して会議に参加している。


『今日まで良く戦ってくれた・・・礼を言うよ』


『すでに承知しているだろうが、君の寿命はあと僅か・・・。

 このまま戦士として全うするなら稼働時間は37日間に過ぎない。

 だが――武装を解除すれば君はまだ398日の間、稼動が可能であると・・・僕は報告を受けた』


この提案を不自然に思ったルリが怪訝そうな表情をした直後、


彼女が予想しなかった言葉が発せられる。


『君は十分に我々ネルガルに尽してくれた・・・。

 もしも叶えたい願いがあるのなら、残された時間を自由に生きてみてはどうだい?』


これには、クールビューティーを信条としているルリも慌てる。


『さぁどちらでも好きな道をお選び・・・』


(私の願い・・・)


「私の最後の願いは・・・」





 ネルガルや異星人の思惑とは何のかかわりも無く、平和その物を満喫しているある都市で、


「何だと〜〜!!。アキト、お前お手伝いさん雇うのか!?」


と、あるむさくるしい男がラーメン屋で素っ頓狂な声を挙げていた。


「え、何か不味い?」


そう尋ねたのは、天河アキト。


そして、彼の前にいるのは彼の友人、山田次郎、そして葵ジュン。


「いや、お前、お手伝いさん雇う必要ないだろ」


「いや、やっぱり色々忙しくてさ、お手伝いさんが居たほうが楽なんだ」


「そうかな・・・」


ジュンの呟きに、ジロウ(魂の名前ダイゴウジ・ガイ)が同調する。


「・・・そう言えば、お手伝いさんってどんな人なんだ?。

 もし凄い美人とかだったら、クラスの女子連中、黙っていないと思うぜ」


「ははは、んなこと無いよ。

 それじゃ今からその人と面接があるから、先に帰るよ」


そう言うと、アキトはラーメン屋を後にした。




 ラーメン屋を後にしたアキトは早速、バス停に向かい、ちょうどやって来たバスに乗り込む。


(それにしてもお手伝いさんってどんな人なんだろう?)


今日行う面接に思いをはせながらバスに乗ったアキトは目を見張った。


(うわぁ、凄い可愛い女の子だな・・・)


そこにはメイド服を着た美少女が座っていた。


いや美しいだけでなくツインテールに纏られた銀髪の髪。そして、普通ではありえない金色の瞳が


何やら、非現実的な雰囲気を醸し出していた。


(カラーコンタクトかな・・・?。


 それにしてもメイドさんみたいな制服の店あったかな?)


ふと疑問に思う一方、胸の高まりを感じたアキトはさっさと席についた。


しかし、


(うわぁ、こっちを見てるよ・・・)


少女からの視線を感じて、アキトは少し気恥ずかしくなる。


(メイドさんか、これくらい可愛い子がお手伝いさんとして来てくれたら良いのになぁ)


と思い始めた時、それは起こった。


「おい!!」


大声がした方向には拳銃を持った長身の男2人と、現金を入れたバックを持った小太りの男が居た。


「いいか、手前等!!、死にたくなかったら大人しくしやがれ!!」


「欲張らなければ良かったですね」


長身の男の1人のこの発言に、もう一方の神経質そうな男が反発する。


「うるせぇ!!。お前も黙っていろ!!」


「はいはい」


「良いか、俺は絶対に捕まらねえぞ!!。

 捕まるぐらいだったら、乗客皆殺しにしてやらぁ!!」


 この応酬に乗客たちは一様に蒼ざめる。


アキトと少女を除いて。


この緊急事態を知った警察が駆けつけるのには大した時間は掛からなかった。


神経質そうな男(以下、悪漢A)は拳銃でバスの運転手を脅し、スピードを出させるが


パトカーを中々、離せない。


「おい、もっとスピードをあげろ!!」


「これが限界です〜〜」


「くそ、ノブ、お前が運転しろ!!」


こうして小太りの男(以下、悪漢B)が運転し始める。


だが、この乱暴な運転に、1人の幼児が泣き始めた。


「うるせぇぞ!!」


「す、すいません」


「熊ちゃんが、熊ちゃんが〜〜」


幼児の指し示す方向には、彼女のもちものとおぼしき熊のぬいぐるみがあった。


「はい。熊ちゃんですよ」


あのメイド姿の少女がそれととり、幼児に手渡した。


母親は感謝したが、悪漢たち、特に神経質な悪漢Aはこれを見て切れた。


「おい、誰が動いて良いっていったんだ。え?。

 誰が動いても良いって言った!!」


悪漢Aは少女を殴り倒す。


これを見たアキトは切れた。


「やめろ」


「あ〜ん、何か言ったか坊主?」


「やめろと言ったんだ」


「ほう、坊主、こっちへ来てもう一回言ってみろ」


アキトは淡々と歩いていき、昂然と言った。


「やめろて言った」


「ほう、坊主言ってくれるな。

 だが、正義ぶった行動が時には自分の命を縮めるということを教えてやろう。お前の命を授業代にしてな!!」


悪漢Aが拳銃を発砲しようとした瞬間、二つのことが起こった。


一つは殴られた少女が何の痛みもみせず動き出したこと。


そして、もう一つは


「ぐ、ぐが・・・」


悪漢Aの腹にアキトの拳がめり込んでいたことだった。


「なっ?」


これを見たもう1人の長身の男(以下、悪漢C)は、アキトが格闘技に類する物をしていると


判断し、発砲しようとした。その瞬間、あの少女が射線に入り込む。


「馬鹿なまねを」


悪漢Cはなんの躊躇いも泣く発砲する。


だが、次に彼が見た物は、その少女によって発砲したはずの弾丸がすべて指で


防がれているという常識からかけ離れた光景だった。


「何!?」


「無駄ですよ」


この少女の淡々とした物言いに、悪漢Cは敗北を悟った。


「ば、化け物め」


この悪漢Cの感想に少しかちんと来たのか、少女はCに近づく。


「な、何だ?」


うろたえる悪漢Cにその少女は反論する。


「もののけではなく、アンドロイドです」


彼女の手のひらが悪漢Cの胸に当った瞬間、彼は泡を吹いて気絶する。


「あ、兄貴〜〜!!」


悪漢Bが運転席を離れる。


だが、


「運転中に離れるな」


アキトの手刀が首を直撃し、悪漢Bも昏倒した。


「終わったか」


そう思った瞬間、アキトは思い出した。このバスが今、とても危険な状態に陥っていることを。


「不味い!!」


アキトが運転席に着いたときには、アスファルトの壁が迫っていた。


「とまれ〜〜!!」


「皆さん、伏せてください!!」


少女が大声で乗客に注意を促した後、運転席のアキトに近寄る。


彼女は、バスの運転に四苦八苦するアキトを助けるように、アキトの手に、自分の手を重ね


運転を手助けする。


この助けもあってかバスは辛うじて、壁をさけショーウインドウの方に突っ込む。


すさまじい衝撃がバスを襲い、シートベルトをしていなかったアキトと少女は外に放り出される。


そしてアキトはそこで気絶した。

「あたたた」


衝突から10数秒後、アキトは多少の痛みを感じながら目を覚ました。


(おかしいな、もっと怪我をしててもおかしくないのに)


彼が怪訝そうに天井の方をみると其処には、あの少女の顔があった。


「うわ!!」


思わず飛び起きるアキト。


「大丈夫ですか?」


「はい。大丈夫です」


「そうですか、それはよかった。

 他の皆さんも無事のようですし」


「あの、君は?」


「私は元々、戦闘用アンドロイドですからこの程度のトラブルではびくともしません」


この答えにはアキトも呆けたような表情しかできなかった。


「それでは事情聴取は面倒ですので、

 私はこのへんで一旦、失礼させてもらいます」


その少女はさっそうと去っていく。


アキトは彼女の後姿を見送ることしか出来なかった。





 アキトは事情聴取のあとの家路で今日のことを振り返っていた。


「何て一日だったんだろう」


「それにしても、アンドロイドだなんて・・・。

 そんな分けないよな。ははは・・・でもなぁ」


アキトは薄々、あの衝突の衝撃から自分を守ってくれたのはあの少女ではないかと


感じていた。


「だとしてらあながち間違いではないかも・・・まさかね」


そして、自分の家の玄関にたどり着いたとき、彼は声を聞いた。


「何だ、これ・・・ひょっとして歌?」


アキトは声のもとと感じた庭に急いだ。


そこにいたのは、


「あ、すみません。勝手に庭に入ってしまって・・・。

 紫陽花の花がとても綺麗だった物ですから」


「君は・・・」


そう、彼を助けたあのメイド姿の少女だった。


「申し送れました・・・私、

 ネルガル家政婦斡旋所から参りましたルリと言う者です。

 本日よりアキト様のメイドとして精一杯お仕えさせていただきます」




舞台にたつ俳優は巡り会った。



主役を務めるのは、二人の少年少女。



一人は、幼くして両親を失った少年。



そしてもう一人は、言葉では表現できないほど過酷な過去を背負ったアンドロイドの少女。



こうして新たな物語が始まる。











 ルリがその機能を停止するまで


  残り391日。










後書き

earthです。う〜ん短いかな?。

まぁ第1話ですのでこの位で。

と言っても、メインはあくまでも『時を紡ぐ者達』ですのでこちらの更新は遅れると思いますが・・・。

ちなみに元ネタは『まほろまてぃっく』です。

勿論、知らない人も楽しんでいただけるように、努力いたします。

それでは駄文にも関わらず最後まで読んで下さってありがとうございました。



ちなみにルリがまほろ役の理由は、2人にある共通点があるからです。

そう貧乳という共通点が(それだけでは無いですが・・・)。


それでは次回もよろしくお願いします。それでは。



 

 

代理人の個人的感想

私はまほろまてぃっくは存じませんが・・・・「ドン・ネルガル」とかいうと

ドン・ザウサーとかドン・ホラーとか思い出しちゃうんですが(核爆)。

 

はっ。

と、言うことはこの話のルリはメガノイド?(爆)