こんにちは
ホシノルリです。
何かアキトさんが自分が住める世界を探すために
どっか遠くに行っちゃったようです。
劇場版の終わりにもいったように私は追いかけるだけですけどね。
劇場版機動戦艦ナデシコAfter
星界へ続く道
第2話
「アカツキさん、どういうことなんです!!」
「まぁまぁ、落ち着いてよ。ルリちゃん。」
「落ち着いてられますか!」
「僕にそんなこと聞かれても彼がどこに行ったかなんて分からないよ。」
「くっ、しかたないですね。嫌でも協力させますよ。それでは」
状況を説明しましょう。
私は説明お姉さんことイネス・フレサンジュです。
どこで聞きつけたのかアキト君がこの太陽系から去ったことを知ったみたいね。
それでアカツキさんの所に殴り込み乗り込んできたらしい。
それにしてもいいのかしら?
ナデシコCで乗り込んできて?
軍務中じゃないのかしら?
場所は変わってミスマル家
「すいません、突然おじゃまして。」
「いや、いいんだよ。ルリ君は私の娘同然なんだから。
それにしても成長したね。」
コウイチロウはしみじみと言った。
ルリが前にコウイチロウにあったのは2月前のことである。
ナデシコCで地球火星間の航路の警備に当たっていた。
火星極冠遺跡での敵艦隊の掌握に恐怖した統合軍及び政府は、
ナデシコCを解体しようとしている。
宇宙軍はそれを阻止しようとしているが、いかんせん組織の規模が違う。
政府からの要請(ナデシコC解体)を断り続けることが出来ず、
半年ほどの任務だったはずだが、2月に満たない期間で帰還命令を
出すことになった。
その帰路の途中でネルガル重工の会長、アカツキに面会をしたのである。
もちろん、軍規に触れることだが誰も文句は言わない・・・・。
怖いのである。ホシノルリがではなく、彼女のファンたちが・・・
「彼女のファン一人見つけたら20人はいると思え」と密かに噂されている。
「おじさま、前にあったのは2月前ですよ。いくら成長期の私でも
そんなに急には成長しませんよ。」
「はっはっは、そうかね。私にはより女性らしくなったように見えるがね。」
コウイチロウは笑ってはいるが疲れたような表情は消えない。
2月前に比べて多少痩せたようだ。
ユリカのことでいろいろあるんだろう。
「ユリカさんご在宅でしょうか?」
「うん?ユリカ?部屋にいるよ。体は元気になったんだけどね。
アキト君がいないことが相当堪えてるみたいだ。
よかったら、会っていってくれないか?」
「はい、そのつもりです。」
「そうか、そうか。うんうん。では部屋に案内するよ。」
「いえ、場所は分かっているので自分で行きます。」
「そうか・・・・・」
案内しようと立ち上がったコウイチロウはがっくりと肩を落とし、
座り直した。
ルリは少し後悔したようだ。案内を断ったことでコウイチロウが
背中に哀愁漂うほどがっかりするのであれば案内をしてもらえばよかったと。。
っていうか、なぜそれほどがっかりする?>コウイチロウ
こんこん
「ルリです。入りますよ。」
がちゃ
ユリカは窓から寂しそうに外を眺めている。
アキトのことでも考えているのだろう。
「あっ、ルリちゃん。いらっしゃい。来てくれたんだ。」
「はい。」
「何か飲む?」
「いえ、おじさまにお茶をごちそうになったので結構です。」
「そう。」
ルリは思わずにやけた。
コウイチロウとユリカのがっかりした感じがよく似ていた。
やはり、親子なのだろう。
そして、疲れたような感じまで同じである。
ユリカは帰ってこないアキトのことを思い、コウイチロウは
そんなユリカに心を痛めている。
そんなユリカが無理に作った笑顔が痛い。
自分の娘兼妹に心配させないように無理矢理作った笑顔が。
「アキトがいなくなってから半年だね。どこいったんだろう。
なんで私に会いに来てくれないんだろう。」
ルリに対して何度となく繰り返される、質問。
ルリはいつも「きっと帰ってきますよ」と答える。
だが、今回は違った。
ルリはネルガルが隠しているのだろうと思い、通信に網を張って傍受し続けること
5ヶ月、ようやくアキトの行方と思わしき事象があった。
アカツキに問いつめても白状しないから、合法非合法問わずというか、
完璧非合法な手段、要はハッキング、でネルガルの情報を収集した。
それによって、行方が分かったのである。
「アキトさんはこの太陽系にはいません。」
「えっ!!!!」
「アキトさんはこの太陽系ではテロリストなんで居場所を探しに果てしない旅に出たようです。」
「そう・・・・・なんだ。」
「ユリカさんはどうします?」
「どうするって・・・ルリちゃんは?」
「追いかけます。」
予想通りの質問であったのだろう、ルリは間髪を入れずに答えた。
ユリカは驚いている。
アキトの居場所が、行方がわかったことにではなくルリの積極性に。
「どうやって?」
「そのことで相談が・・・・・」
2時間後・・・・
「ルリちゃん、怖いこと考えるね。」
「恋する少女は無敵ですから。」
「あはははは、うん、私も協力するね。帰ってこようと思えばいつでも帰ってこれるし。」
「はい、では決行は1月後ということで。」
「うん。」
「それでは失礼します。」
そういって、ルリはユリカの前を辞した。
1月後のナデシコCの解体作業が始まる直前、その時までに準備しなければならないことが
あるようだ。
そして、ルリの顔には微笑みが浮かんでいた。
ユリカが立ち直ったこと、ユリカが自分の考えに同調してくれたことが
嬉しいのだろう。
1月後、佐世保ドック、ナデシコC艦橋
現在ナデシコCは解体準備のため艦内には誰もいなかった。
いや、いないはずである。
だが、艦橋には2人の人影があった。
「オモイカネ、艦内に人は?」
『猫の子1匹いません。あ、もちろんルリたちを除いてですが。』
「食料とかは?」
『女性2人の平均摂取量で約2月分の食料と水は約50%の充足率になります。
Cレーション
食料のほとんどは携帯食ですが運び出されずに済むのがそのぐらいの物でしたので。
あと風呂の方はエンジンさえかかればいつでも使えます。2人の女性が乗ると言うことですので、
必要かと思いまして一応そういう風にしておきました。』
何とも気が利くAIである。
アキトの乗っている船、ユーチャリスのAI-アメノオシホ-ではこうはいかないだろう。
ナデシコAからの5年間は伊達ではないと言うことだ。
ユーチャリスのAI-アメノオシホ-はナデシコBのコピーに手を加えた物である。
ただし、ハードウェア面では正規の実験艦(何とも変な日本語である)、ナデシコA,B,Cに及ばない。
遺跡から発掘された演算ユニット−ボソンジャンプの演算ユニットとは別、純粋に計算のみを目的としたユニット−を
使っているのは、ルリの使っているオモイカネ-SVC0272-だけである。
アメノオシホはその辺のスパコンを使っているに過ぎない。
その性能差は現在に置いても1000倍以上の開きがあるが、オモイカネの演算ユニットの解析が
それほど進んでいないことを考えると、この差は縮まることはそうないだろう。
その性能差のため、ハッキングは出来ても相手のシステムの掌握などという大技は使えないのである。
閑話休題
『一応着替えの服も数着確保しておきましたが・・・・その鞄を見ると必要なかったようですね。』
ユリカの傍らにはでっかい旅行鞄が3つ置いてある。
アキトとの思い出の品、アキトとの会うための服、ナデシコA艦長時代の制服、
その他諸々が詰まっているようである。
これでもかなり量を減らしたとのユリカ嬢の言である。
「ありがとう、オモイカネ。」
『いえいえ、ルリのためですから。』
「それでは、そろそろ始めましょうか。」
そういうと、ルリは少し考える素振りを見せユリカの方に向き直った。
「ユリカさん、ひとつ言っておきたいことがあるのですが。」
「なに?ルリちゃん?」
「アキトさんのことなんですが、この際はっきり言っておきます。私はアキトさんのことが好きです。」
2人の間に沈黙が走る。
ルリの爆弾発言を聞いてユリカはおどろいて・・・いない。
「知っていたよ。でもね、ルリちゃん、アキトは譲らないよ。」
「分かってますよ。正妻はユリカさんに譲るとして、私は側室か二号さんにでもなりますのであしからず。」
「・・・・・・。ルリちゃん、強くなったね。」
「そうですか?」
「そうだよ。私が眠っている2年間にいろいろあったんだね。」
「はい。」
「でもね・・・うん、わかった。」
「それではそろそろ始めましょうか。オモイカネ、相転移エンジン始動。」
『分かりました、ルリ。それにしても本当にいいんですか?』
「いいんですよ。」
『よくても反乱罪ですよ?』
「分かってますよ。
フィードバックレベル10まで上昇。
ユリカさん、他のことはお任せします。地球のシステム乗っ取りますので。」
ルリがそう言うと、艦長席を兼ねたオペレーター席が前にせり出し、ウィンドウボールが展開される。
「了解。ルリちゃん。がんばってね。」
「とりあえず、佐世保ドッグの掌握。次に軍の軍政本部、指揮発令所、
防衛設備、高速通信社、重力派通信社、テレビ局、・・・・・・・・・最後にネルガル重工。」
『分かりました。』
「それじゃ始めますよ。ハッキング開始。」
『ハッキング開始』
ウィンドウには次々と掌握された施設、システムが並びだした。
「ルリちゃん、ずいぶんペースが速いね。」
ユリカにも現在の状況が分かるようにユリカの前にウィンドウが開いてある。
「前もってあちこちにトロイを仕掛けておきましたので。後20分もあれば掌握完了です。」
ルリはユリカの問いに答えながらも全くペースを落とさずにハッキングを続けていた。
20分後
「ユリカさん、掌握完了しました。次はユリカさんの演説です。どうぞ」
ユリカはカメラに向かって演説をするようだ。
「皆さん、こんにちは。私はなぞの美少女ミスマル・ユリカです。ぶぃ」
「ユリカさん、美少女って歳じゃないですよ。」
「ルリちゃん、うるさいよ。『ユリカ〜〜!何やってんだ!』」
ルリに向かってユリカが文句を言おうとしているところに、軍からの緊急の回線が繋がった。
この回線は閉じなかったようだ。
その回線を使ってユリカの父親、ミスマルコウイチロウがでかい顔をさらにでかくしてその上声もでかくして割り込んできた。
「お父様。これからみんなに説明しますので、それ聞いてからにしてください。」
『ユリカ〜〜〜』
今にも泣きそうな顔をしながらコウイチロウは娘の言う通り、とりあえず黙ったようだ。
「ええと、地球のシステム乗っ取っちゃいました。そこんとよろしく!
それでね〜ルリちゃんなんだっけ?」
「要求を言うんですよ。」
「あ、そうだ。コロニー爆破のテロリスト、テンカワアキトの身柄を要求します。
なお、要求が受け入れられない場合は強硬手段に出ますのでよろしく。
いきなり返答を求めても無理でしょうから3時間の猶予を与えます。一生懸命考えてくださいね。それでは。」
連合宇宙軍式の敬礼を最後にやって、通信を切断した。
あちこちから通信を求めるウィンドウが現れるが、無視をすることに決めたようだ。
「3時間なんて待つつもりないですけどね。」
「ルリちゃん。アカツキさんに繋いで。」
「はい。」
『や〜どうも。何かすごいことになってるね〜。』
「どうもアカツキさん。その節はお世話になりました。」
『や〜ユリカ君。元気そうで何よりだ。で、君たちは何をしたいんだ?
アキト君が捕まってないことぐらい知ってるでしょう?』
「それは知ってますよ。ただ、アキトと同じ立場になって
アキトが私たちを受け入れざるを得ない状況を作っただけです。」
『なるほど。で、僕に繋いだと言うことは何かやって欲しいことでもあるの?』
「アキトの居場所知ってるんでしょ?」
『いや〜、申し訳ないけど僕も分からないんだよ。なんせこの太陽系にいないからね〜。』
「でも、そろそろ連絡に帰ってくる時期でしょ?」
『そんなことまで知ってるのか。』
「とりあえず、ネルガルのドッグにでもかくまってくださいね。
そうじゃないとあることないこと喋っちゃいますよ。こっちにはルリちゃんがいますからね。」
『分かった、分かった。とりあえず、月のドッグに来てくれたまえ。それからにしよう。』
「分かりました。ルリちゃん、ジャンプの用意。」
「もう出来てます。」
「それじゃ、目標ネルガルムーンベースのドッグ。・・・・ジャンプ」
たいへん長らくお待たせいたしました。<待ってないって
第2話です・・・
相変わらず遅筆でと言うかなんというかの、Emotionです。
とりあえず、ユリカたちには月にいってもらいました。
なんか、設定っぽいことを中に入れてしまったけど・・・ま、いいか。
あ、そうそう、ユーチャリスのAIの名前の由来は古事記で思兼(金)神の縁者、天之忍穂耳命(アメノオシホミミノミコト)から取りました。
ホントはミミまでいれた方がいいかも知れないけど、語呂が悪いので省きました。
神話は謎だらけ・・・。オモイカネの妹の旦那さんらしいが・・・。
アーヴに接触するまで後2話・・・・かな。
それにしても、SS書くのって難しいですね。
これだけの文章を書くのに、数週間も掛かるとは・・・
純粋に私の自由になる時間が少ないのも原因ですけど、他のSS作家の方々を尊敬して止まない。
文章量も多くなく、かといって投稿ペースも激遅。
救いようがないですね。
それでも最後までお見捨て無きようよろしくお願いします。
「星界へ続く道」自体はそれほど長くならないと思います。
筆者
その後の展開は・・・神のみぞしる。
それでは今後ともよしなに。
星界シリーズ豆知識
ナデシコの世界と星界シリーズの世界の戦闘艦の違いを書こうと思いましたが、
書いていて、第2話の本編より長くなってしまったので別に投稿したいと思います。
PS
感想メールをくださった方々ありがとうございます。
一応、すべての方に返事を書いたつもりですが、私の環境ではHTMLメールはメーラーの方で
自動的に削除されるということもあって返事が返ってない方もいらっしゃるかと思います。
感想メールは非常に楽しみというか嬉しい物です。
是非、メールはテキスト形式で送ってください。
HTML形式はウィルスの感染源にもなりかねないのでよろしくお願いします。
OutlookExpressをお使いの方は「ツール→オプション→送信→テキスト形式」とすれば
大丈夫です。
代理人の感想
アメノオシホミミのミコトというのは天照大神の長男です。
ニニギノミコト(いわゆる天孫、天皇家の御先祖様)の父親で
「地上を治めなさい」という命令を母親から受けたのはいいけど
面倒臭くなったのかなんなのかその役目を生まれたばかりの息子に押し付けた神様(笑)。
(もっともこの交代には象徴的、呪術的な意味もあり一概には言えませんが)