「えーと、それで結局、フィーリアちゃんはどこで寝る?」

「わたし?」

 アキトの言葉に、フィーリアはきょとんとした。

 それは、まるで「何を分かり切ったことを訊いているの?」とでも言いたげに見えた。

 そして、

「お兄ちゃんと一緒に寝るーっ!」

『なぬぅーーーっっっ!!!??』

 アキト、水島、米、ランコ、白鳥沢の声が重なった。

 ま、そりゃそーだーろけど、ネ。








蒸気王国の王女

Presented By E.T

Fourth Story:ひなた荘 ~Girls’ War~










「ふぃ、ふぃ、フィ、フィーリアちゃんっ!

 お、女の子がそう言うこと言っちゃダメでしょ!!」

 マイがほとんど叫びながら言うと、

「どうして?

 べつにいいでしょ」

 フィーリアがアキトの腕に抱きつきながら言うと、

「だ、ダメなものはダメなの!」

 と、理不尽なことを言う。

 ・・・・・・ま、気持ちは分かるけどね。





 暫く2人の口論が続きーーー



「なんでこ~なるの」

 アキトはベッドの中で呟いた。

 その両脇には・・・・・・





「「お兄ちゃん(アキトさん)あったかい・・・(ハァと)」」





 フィーリアとマイ・・・・・・(滝汗)



 結局言い合いの末、こーなっちゃいました。





ーーー 翌朝ーーー

 朝食は、アキトが作った。

 内容は、まず米飯(白米)、鮭の塩焼き、納豆、ホウレン草のおひたし、それからシジミ汁だった。

 3日前の夕食のハンバーグ同様、とても好評だった。

 米はふっくらと、硬すぎず軟らかすぎず。

 鮭は単体だと少々塩辛いが、米と一緒に口に含むには、ちょうどいい塩梅だった。

 納豆は・・・・・・市販の物なので割愛。

 ホウレン草は絶妙な茹で加減で、鰹節の風味と良く合う。

 シジミ汁も、シジミの持つ旨さが十二分に出ており、コクのあるもの。

 それを隊員全員で食す。

 ・・・・・・あの世に逝ったり、消滅したり、石像にされた宮本達は一体どうやって復活したのだろう?



 午前十時頃、アキトと、彼に付いていくと言って聞かないフィーリアが、隊員達に見送られながら基地を出た。

「アキトさーん、また来てくださいねー!」

 マイの叫び。

 それにアキトは大きく頷いた。

「また必ず来ます!」

 アキトとその右腕を抱くフィーリアが、パッパラ隊の隊員達に手を振り、後ろを向いて歩き始めた。

「達者でなー!!」

 その背に、隊長の白鳥沢が声を掛けた。










ーーー 数時間後ーーー

「たっだいま~~」

 アキト、ひなた荘に帰宅。

 パッパラ隊基地を出、首都イーストタウンで2時間ほど時間を潰し、特急列車に乗っての帰宅だった。

 お土産は、『スットン共和国名物 毒入り団子』・・・・・・・・・。


 ・・・・・・それが名物なのか?


「アキト、お帰りー。

 今度のお土産は何や、何や?」

 一番の出迎えはスゥだった。

 そして、出迎え一番にアキトに跳び蹴り。

 アキトはそれをひょいと首を曲げて避ける。

「うぬ~~、避けたな~~」

「ははは、まだまだだよ、スゥちゃん」

「にゃはは~~」

 アキトが旅行から帰る度の光景である。

 だが、今回は違う物が一つだけある。

 そのたった一点の相違点は、あまりにも大きいものだった。

「よー帰ったなー、アキトー」

 じゃれ合うアキトとスゥの元に、キツネが現れた。

 コレまたいつもの光景である。

「って、その子誰や!」

 だが、たった一つの相違点、つまりフィーリアがいるため、本当の意味でいつも通りにはならない。

「どうしたんですか、キツネさん!」

「どうしたの、キツネ?!」

「ど、どうかしたんですか、キツネさん」

 キツネの大声に、素子、なる、そしてしのぶが駆け付けてきた。

 そしてフィーリアを見るなり。

「せ・・・先輩・・・・・・」

 しのぶ、

「ついにやってしまったんだな、浦島・・・・・・」

 素子。










 そして・・・・・・




















誘拐 してきたのね・・・その女の子」

「なんでそーなる!」

 魂の奥底から迸る熱い何かを込めた絶叫。

 ま、そりゃ当然だわな。

「じゃあ、何だってのよ」

 青筋を立てながら怒鳴るなるに、アキトは必死で弁解した。

「ちっ、違うよ!

 誘拐なんかするわけないだろ!

 この子は・・・・・・“フィーリア”ちゃんって言うんだけど、旅行先で知り合った子で、記憶喪失で、なんか懐かれちゃったから。

 それで・・・・・・」

 その言い訳を聞き、

「どう思う、素子ちゃん、しのぶちゃん、キツネ」

 ・・・・・・スゥの名は呼ばれなかった。

「有り得ない話ではないと思いますが・・・・・・」

「「何たって(なんと言っても)アキト(先輩)やからな~(ですから・・・・・・)」」

 3人の声が綺麗にハモった。

「・・・・・・なにげに酷いこと言ってるね、素子ちゃん達・・・・・・」

おばちゃん達! お兄ちゃんをいじめないで!!」

 3人+アキトの言葉に、フィーリアは頬を膨らませて言った。

「・・・・・・おばちゃん?」

「誰が・・・・・・おばちゃんですって?」

「わ、私おばちゃんなんですか~~?!」

 素子となるは、しのぶの言葉に噛み付く。

「「・・・・・・『私』・・・・・・?」」

「え・・・、あ、あははははははは・・・・・・・・・」

 まぁこの3人はおいといて。

「・・・で、アキト。

 いったいそのこどーするンや?」

「どーするんや?」

「どーするって、決まってるでしょ。

 記憶が戻るまで、面倒見るつもりだよ。

 旅行先の方でも、この子知らないかっていう張り紙やっといたし。

 ・・・・・・あ、でもなーー・・・・・・」

「でも・・・なんや?」

「考えてみると、時間がなかったから見てこなかったけど、記憶の手掛かりになるかも知れないところが・・・・・・」

 ヌボリアンの王、ボランゴボンババ十八世の言っていた言葉を、今更ながらに思い出した。

 彼は、

『フィーリアはこの洞窟の最下層にいた。 もしかしたら、そこで何かあったのかも知れない』

 と言っていたのだ。

 アキトが顎に手をやりながら言うと、

「だったら、見てきたらえーやんか、アキトー」

「確かにそうだね、スゥちゃん」

 穏やかなキツネ、スゥ、そしてアキトの会話の側では、

「さあ! 誰がおばさんなのか言ってみなさい!!」

「あなたよ、あなた!!」

「キィーーっ!!」

「フィーリアとやら、訂正しろ!

 私はまだおばさんなどと呼ばれる年ではない!!」

「私もです!

 私よりも、フィーリアさんの方が年上でしょ?!」

「「なる先輩と一緒にしないで下さい!!」」

「ちょっと2人とも、どーいう意味よ?!!」

「ほら、周りにもおばさん、って思われてるじゃない!!」



 ・・・・・・・・・。

 醜い女の戦いが行われていた・・・・・・。










後書き

 『毒入り団子』は、全6~8個の饅頭の中に一つだけワサビやカラシがてんこ盛りの物が入っていると言うものです。

 よく、お土産屋で売られています。

 幸いというか何というか、僕は今まで当たったことがないのでどの程度の辛さなのか走りません。





 なんか、スットン共和国を出るまでの騒動、この同衾事件ともう一つ考えたのに、片方を忘れてしまった。

 う~~ん・・・・・・。

 一体なんだったんだっけ・・・・・・?





追伸(宣伝とも言う)
 今までなぜか書くのをすっかり忘れていたことです。

 ACTIONからリンクで行ける、シンさんのホームページ「シンの趣味の部屋」にて、2月頃にでびうしました。

 まだ本当に少ししかありませんが(今のところ、プロローグ(前、中、後編)だけ)、よろしければ読んでやってください。



追伸2(完全に私信)
>KURUBUSHIさん
>By・自称・『E.Tさん』ファンクラブ(本人非公認)会長KURUBUSH

 ああ・・・・・・オレってば、こんなコト言ってもらえるようになったんだ・・・・・・(感涙)

 入ってくれる方がどれくらいいるかは分かりませんが、どうぞ「非公認」から「公認」に変えてください。


>正午さん
 『TDA』ですが・・・・・・ただいま、コレに限りスランプ中です。 ハイ。

 ネタはきちんとあるんですが、どうも文章がまとまらなくって・・・・・・。



 それでは、この辺で。

 

 

代理人の感想

いいじゃないですか、この世に一つくらい毒入り団子が名物の街があったって(笑)。