機動戦艦ナデシコ 

TWIN DE アキト

 

 

 

プロローグ

 

 「・・・・・・・・・そろそろ潮時・・・・・・かな・・・・・・

  暗闇の中アキトはそう呟いた。

  ピッ

  アカツキに回線を繋げる。

「・・・アカツキ・・・?」

『なんだい? テンカワ君』

「ユリカやルリちゃんに連絡を取ってくれ・・・・・」

『一体どうしたって言うんだい?』

「そろそろ潮時・・・・・・かな・・・・・・と思ってね・・・・・」

『・・・・・・・』

 アカツキは一瞬押し黙った。

『ドクター?』

 ピッ

『アキト君の言うとおり・・・ね』

『もうどうにもならないのかい?』

『・・・・・』

 イネスは悔しそうに ---いや,事実悔しかったのだろう---唇を噛みしめた。

『どうにも・・・・・・ならないのよ・・・・・・』

「・・・わかっていたことだ・・・。 気にするな,アイちゃん・・・・」

『お兄ちゃん・・・・・・・』

 イネスは泣いた。 止めどなく涙があふれてくる。

 

 

 火星の後継者の反乱から7ヶ月経った。

 それは,アキトが火星の後継者残党を狩り終わってから1ヶ月と同義語であった。

 その1ヶ月の間,アキトの容態は悪くなる一方だった。

 そしてついに二日前から歩くことはおろか,立つことさえできなくなっていた。

 

 

「アキト・・・・・・」

 ユリカがアキトを見て,悲しそうに呟いた。 

「アキトさん・・・・・・」

 ルリも悲しそうに呟いた。

 映像ごしのアキトは,痩せこけ,窶れていた。

『やあ・・・ユリカ・・・ルリちゃん。

 久しぶり・・・・・・・・・二人とも怒ってる?

 ・・・・・・当たり前だよね・・・・・』

「アキト!」

「アキトさん!」

二人とも目尻に涙を浮かべている。

『ごめんね・・・二人とも・・・・・・・

 俺はもう長くない・・・・・・・いや,たぶん今日明日中に死ぬだろう・・・・・・』

「アキト! そんなこと言わないで!!」

「そうですよ,アキトさん!!」

 二人とも目から涙をぼろぼろと落とす。

アキトは静かに首を振った。

『もし・・・・・・願いが叶うんだったら・・・また,あのときにもどりたいな・・・・・・・・・

 楽しかった・・・・ナデシコAに・・・・・・・・・・・・・』

 バイザーで隠された目元から一筋の涙がこぼれ落ちた。

 ピーーーーー

 電子音が静かな部屋に響き渡った。

「なに!? 何の音!?」

「!? アキトさん!?」

 アキトが全く動かなくなったことにルリが気がついた。

「! まずいわ! 昏睡状態に陥ったわ!」

「 イネスさん! どうにかならないんですか!?」

「残念ながらそれは無理ね・・・・・・」

「そんな!! イネスさん,アキトを助けてよ! イネスさん!!」

「・・・・・・・・・・・・・

 できないものはできないのよ・・・・・・」

 感情を押し殺した声でイネスが言う。

「イネスさん!! どうしてそんなに冷静でいられるんですか!?」

「私だってどうにかしたいのよ!」

 声を荒げるイネス。

「だけど・・・・・もう無理なの・・・これ以上どうしようもないの・・・・」

「だったら・・・! だったらせめてアキトの側に行かせてください! イネスさん!」

「だめよ! 今アキト君はブラックサレナMk−Uの中にいるわ・・・・・・・

 コクピットの中は滅菌室になっているの。 それを開けたら・・・・・・・」

「「開けたら・・・?」」 

「十秒ともたずにアキト君は死ぬわ」

「そんな!?」

「どうしてですか!?」

「アキト君はそれほどまでに弱っているのよ」

 突如警報が鳴り始めた。

「何事!?

 えっ・・・!? そ・・・そんなまさか・・・・

 ジャンプフィールドが!?」

「どうしたんですか!?イネスさん!!」

「ブラックサレナMk−Uが・・・・ ジャンプするわ・・・・・」

「「え・・・!?」」

 ウインドウの中アキトの唇が動いていた。

『ナデシコAに戻りたい』 

 と。

 そしてブラックサレナMk−Uは虹色の光芒の中に消えた。   

 

 

 

 

 

管理人の感想

 

 

E.Tさんからの初投稿です!!

おお! いきなりの場面ですね。

さて、パターンですと逆行が行なわれますが・・・

どうなるのでしょうか?

それと、ブラックサレナMK-Uはどうするんですかね?

続きが楽しみです!!

 

ではE.Tさん、投稿有り難う御座いました!!

次の投稿を楽しみに待ってますね!!

 

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