アキトは何故か目をハートにしたユリカに追いかけ回され、

 プロスペクターは、どう考えても掘り出し物の凄腕パイロット、しかも白兵戦の腕も超一流の人材(Dのこと・・・目を見れば腕が立つかは分かります by プロス)を交渉時に、提示した金額の半分でいいと言われルンルンで、

 ゴートとフクベは茶を啜りながら将棋や囲碁をやり、

 ミナトとメグミはファッション雑誌を読み、

 ルリはDのことをオモイカネで調べても、全くデータがないのを不審に思って更に調べ、

 黒い王子様はこれからどうやって、死ぬはずの人々を助けようか考えている。





 さあ、それじゃあ行ってみようか、ムネタケの乱!


機動戦艦ナデシコ 

TWIN DE アキト

 


第二話 『緑の地球』はまかせとけ





------ヤマダ ジロウ(俺の名前は『ダイゴウジ ガイ』だ!)とテンカワ アキトの部屋にて------

『ジョーッ!』

『ジョォォォォ!!』

 暑苦しい男の声が部屋に響く。

 福利厚生に気を配っているとのことだが、音量があまりにも大きすぎるために、隣の部屋の住人(整備員A)は格納庫に避難している。

 部屋でバンドをやっても隣には聞こえない、ということになっているが、それが本当ならば、ヤマダは一体どれくらいの音量にしているのだろうか。

「ヤマダぁ! 音量その半分くらいにしてくれぇぇぇ!」

「・・・・・・・・・・・・・・」

「返事くらいしろっ!」

「(もしかして・・・・・)お〜い、ガイ〜(ぼそっ)」 

「なんか呼んだかっ! アキトっ!」

「ガイじゃないと返事しないつもりかよ)音もーちょい絞ってくれ!」

「何でだっ!」

「煩いからに決まってるだろっ!」

「煩いだとっ!? 貴様っ、

ゲキガンガーを馬鹿にする気かっ!」

「べ、別にそおゆう訳じゃ・・・」

 ピッ

『テンカワさん、ヤマダさん、ブリッジに至急来てください』

「ごめんルリちゃん、もう少し大きな声でお願い」

『ふぅ』

 ルリがため息をついた。

『アキト! ヤマダ! ブリッジに大至急集合!』

 というウインドウがゲキガンガーの画面の上に現れる。

 やったのはオモイカネだ。

「ああ!俺のゲキガンガーがぁ!」

「了〜解っと」





「今までナデシコの目的地を明らかにしなかったのは、妨害者の目を欺く必要があったためです」

 ネルガルが、わざわざ独自に機動戦艦を建造した理由は別に有ります。

 以後、ナデシコはスキャパレリ・プロジェクトの一環を担い、軍とは別行動をとります」

「我々の目的地は火星だ!」

 プロスペクターの続いて、フクベが目的地を発表する。

 ふと、ユリカがアキトの方を見た。

「火星に!?」

 アキトは驚き、ついで喜んだ。

「では、地球が抱えている侵略は見逃すというのですか!?」

 ジュンが意見する。

「多くの地球人が、火星と月に殖民していたというのに、連合軍はそれらを見捨て、地球のみに防衛戦を引きました。

 火星に残された、人々と資源はどうなったんでしょう?」

 バシュウ

 突然扉が開いた。

「死んでるに決まってるでしょう。

 さて、茶番はここまでにしてもらおうかしら」

 ドアから出てきたのは武装した軍人と、ムネタケだった。

「血迷ったか、ムネ茸!」

 フクベが一喝する。

「・・・・・・提督・・・今なんか変な漢字変換しませんでした?」

「・・・・・・・・・・・・・ふっ、知らんな・・・・」

「今の間はなんですか! 今の間は!

 ・・・まあいいわ。 提督、この艦をいただくわ」

「困りましたなあ〜、連合軍との話はとうの昔についてる筈なんですが・・・・・」

「軍としては、確実に木星蜥蜴と渡り合える戦力を無視するわけにはいかないのよ。

 それに、艦内の主要箇所は全て私の部下が制圧したわ」

 バシュー

 再びドアが開く。

「そうでもないさ。

 後はお前らで終わりだ」

 そのセリフを言ったのはDだった。

 誰もが、その時初めて、この場に今までDがいないことに気がついた。

「ルリちゃん、証拠を見せてあげて」

「は、はい。

 オモイカネ、艦内主要箇所を表示」

 ピッ

 格納庫やら食堂やらのウインドウが開く。

 そこには縛られ、気絶した軍人たちの姿があった。

「う、嘘よ・・・そんな馬鹿なこと有るわけないわ!」

「純然たる事実だよ」

「民間企業の情報収集力をなめないでいただきたいですな。

 ・・・・・・ところでDさん、ゴートさんは?」

「遅いから置いてきた」

 バシュウ

「D、お前は・・・一体どういう足の速さなんだ!?」

 今度入ってきたのはゴートだった。

 とまあ、こうしてムネタケの乱は終わった。





『ユリカ〜〜〜〜〜〜!!!』 

 いきなりナデシコのブリッジを超音波兵器が攻撃してきた。(ユリカパパの声の事ね)

 それに耐えられたのは慣れているユリカとジュン、何故だか分からないがルリ、耳を塞いでいたDの四人だけだった。

「お父様!!」

「(相も変わらず・・・か。・・・って、考えてみれば当たり前だよな。

 直系のではなさそうだが、過去だもんな)」

 コウイチロウについてのDの感想はそんなもんだった。

『ユリカ!! おお、久しぶりだな。 こんなに立派になって・・・・(号泣)』

「お父様、昨日お別れしたばかりじゃないですか」

『そうだったかな?』

「(アルツハイマー?)」 by D

「これはこれは、ミスマル提督・・・一体どの様な御用件でしょうか?」

『うむ、こちらの用件を言おう』

 軍人の顔つきになるコウイチロウ。
『機動戦艦ナデシコに告ぐ!! 地球連合宇宙軍提督として命じる!! 直ちに停船せよ!!」

「(ナデシコを寄越せ・・・・・・か・・・。ずいぶんと勝手な話だよな・・・・)」

 この後ユリカが皆の制止を効かずにマスターキーを抜き、ナデシコは操作不能になった。

 そして、ユリカ、ジュン、プロスペクターがトビウメ(ミスマル コウイチロウの乗る艦)に乗り込んだ。

 ・・・・・・それと、誰も気づかなかったが、Dもいつの間にかいなくなっていた。





「! 提督!」

「どうした」

「クロッカスとパンジーから脱出艇を多数確認!」

「脱出艇との回線、開きます」

 ピッ

「一体どうしたんだね」

 クロッカスの艦長が答えた。

『はっ、それが、何者かが一体どうやったのか、本艦とパンジーの自爆装置を作動させたのです。

「そうか。 急いで回収しろ」

「了解!」





「ふぅ。・・・協力ありがとうな、オメガ」

『マスターの心のままに』

「・・・・・・それでもありがとう」

『・・・・・・ハイ』

 どことなく照れたように返事を返すオメガ。

 照れるAIというのも珍しいものである。





「む・・・・・。 Dは何処に行った?」

「いつの間に・・・・う〜む・・・面妖な・・・」

「なんかDさんって不思議な人ですね」

「な〜に、メグちゃんD君のこと、気になるの?」

「何でそうなるんですか!」

「さぁ〜ね♪」

『おいブリッジ』

「ん? 何ですかな? ウリバタケさん?」

『Dのヤツが発艦許可を求めてんだが?』

「ほう、それはまた何故ですか?」

『ああ、キノコの詰め合わせを届けて来たいんだとよ。

 何かやられてからじゃ遅いからだってよ』

「ふむ・・・・・まぁいいでしょう」

『だってよ、D』

『そうか。 それじゃぁキノコの詰め合わせを届けてくる』





「ところでDよ」

「なんだ? ウリバタケさん」

「その機体、いーかげん自由にいじらしてくれないか?」

「改造されては困るからな。 整備するのは俺がいるときだけにしてくれ。

 ・・・・・・・それでは・・・出る」

 マニュアル発進のださいのではなく、低空飛行で飛び出した。 しかもコンテナを抱えてだ。

「Dって・・・ほんといい腕してるよな・・・・・・」

「本当ですね・・・・」

 ウリバタケの言葉に整備員Aが応じる。





『ナデシコの機動兵器が着艦許可を求めていますが、どうしますか?』

「何のようだ?」

 娘との会話を邪魔され、少し不機嫌なユリカパパ。

『何でもキノコの詰め合わせを持ってきたとか・・・・』

「キノコの詰め合わせ・」

「もしかしてムネタケ副提督のことじゃないですか? お父様」

「ムネタケ・・・?・・・許可を出せ」

『分かりました』





 その時だった。

「護衛艦クロッカス、パンジー共にチューリップに飲み込まれます!」



「何だと!? あのチューリップは生きていたのか!?」



「俺が・・・ユリカが帰ってくるまで時間を稼ぎます」

 そう言ってアキトは陸戦フレームのエステバリスで出撃していった。



「ピョコピョコ、何だかノミみたい」

 とミナトに評された。



 そしてヤマダが「俺の名前はダイゴウジ ガイだっ!!」 空戦フレームのエステバリスで出撃していった。


『アキト! いいか!! お前の陸戦タイプを俺の空戦フレームと合体させる。

 チャンスは一回。 俺の足はかなりやばい。 合体の合い言葉はクロスガンガー』

「・・・・・・・・・・・・・それ、言わなきゃダメ?」

『ダ〜〜〜メ!!』 

 モニターをみながら合体のタイミングをいう。

『合体ポイントまで後十秒!!』

 きっかり十秒後、

『よっしゃ!! いくぞ!!!』

「『クロス・ガンガーーーーーッ!』」

 ヤマダは何処かうれしそうに、アキトは半ばヤケで叫んだ。



 ヤマダの機体とアキトの機体が分離する。

 アキト機が空戦フレームと合体する。

 ヤマダ機と陸戦フレームを、キノコの詰め合わせを届け、トビウメから飛び立ったばかりのDのサレナが拾う。

『行けぇーーーーー! アキト!! ゲキガンフレアだーー!!!』 

「ゲキガンフレアーーーーー!!」

 なんかキれたアキト。

 チューリップの触手を切断することに成功する。

『よっしゃーーーーー!! やったな! アキト!!』 



「うっそぉ〜〜〜!」

「ほぉ、ディストーションフィールドによる高速攻撃ですな」

 反応は人それぞれ。

 ルリの場合は

「あんなことやらなくても、Dさんが攻撃すればいいのに」

 と思った。・・・・・・いや、口に出したか。



 その後、ユリカがジュンをトビウメに置き忘れつつ帰還した。

 ユリカはグラビティブラストをチューリップ内に突撃し、発射、殲滅を提案したが、ヤマダ機を届けたDに止められた。

 その代わりに、Dがグラビティブラスト(テールバインダーが、Xバリスの要領で、グラビティブラストの発射が可能。因みに、ブラックサレナMk−Uの形は細かい所に違いはあるが、ブラックサレナと大差ない)を発射し(なお、グラビティブラストの出力は約40%だった)、とりあえずディストーションフィールドを消し去った。

 その後に、ナデシコのグラビティブラストでチューリップを撃破した。



「あんな機動兵器がグラビティブラストを!?」

「ほーう」

「すっごいわねぇ」

「かっこいーい。 でも、あの変な格好はいただけませんよね、ミナトさん」

「Dさんって一体何者なんでしょう・・・・・」


 なんだかんだでナデシコは宇宙に向けて飛び去った。



「提督、追撃はしないのですか?」

「足の遅い本艦では追いつけんよ。

 作戦は失敗だ。

 これより帰還する」

「ユリカ・・・・・・」

 ジュンが悲しそうに(何が悲しいって? そりゃユリカに置いてけぼりにされたことだよ)ユリカの名前を呟いた。





 こうして黒い王子様〈テンカワ アキト〉は無事にクロッカスとパンジーの乗組員を救った。





   次回予告

 ジュンがデルフィニウムを駆ってナデシコに迫る。

 果たしてヤマダはどうなるのか!?

 次回 早すぎる『さようなら』・・・になるのかなぁ?
                        をみんなで読もう!





  本星への報告書2

 執筆時間四時間強・・・・・・・・・・・・・つかれた・・・・

 今度はちゃんとガイが出てきたけど、ジュンの影が薄すぎる・・・・いとあわれなり。

 で、どうでした? 第二話は。

 それではこの辺で・・・・・・・・・・
本星への報告書2 終

 

 

 

 

 

管理人の感想

 

 

E.Tさんからの連続投稿第二話です!!

ま、ジュンはこの役割から逃げられない運命ですしね(苦笑)

しかし、キノコも問答無用にやられてるな。

・・・まあ、情けをかける必用は別に無いんだけどさ(笑)

 

ではE.Tさん、投稿有り難う御座いました!!

次の投稿を楽しみに待ってますね!!

 

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